コラム
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弁護士は字が汚い・・・060913
最近、字が汚い。
自分で書いたメモの字が読めないことがあります。
手帳のこの字が解読できません。
うちの事務所では、かかってきた電話が自分宛でなかった場合、電話記録ノートに手書きで内容を記載しておきます。
この前、私がそのノートに記載すると、事務員から、「これ何て読むんですか?」と質問されることもありました。
少し前には、ある女性事務員が、事務所のボスに私の字と自分の字を間違えられたらしく
「石井先生の字と間違えられました・・・」と
青ざめた顔で言われたことがあります。
そのときは、光栄なことなのに何で顔色悪いんだ?と疑問に思ったりもしましたが、今考えると、私の字が汚いということだったようです。
周りの弁護士を見てみると、字がうまい人はいることはいるが、他の業界よりも圧倒的に少ない気がします。
うちのボスも私の書いた書面を直してくれるのは良いのですが、手書きでのチェックが何と書いてあるのか読めないこともあります。
弁護士会の行事で、受付の札を誰が書くかという話をしたときに、みんな自分の字が汚いと言い出しましたが、謙遜ではなく全員それなりに汚かったということもありました。
このように、私の周りの狭い世界では、
字が汚い人の比率は、他の業界よりも圧倒的に高い。
しかし、これには理由があります。
周りの弁護士のほとんどは、司法試験に合格し、司法修習を終えて弁護士になっています。
司法試験の論文試験では2時間で2通の論文を仕上げなければいけなません。
私が受験したとき、論文を書く用紙は4頁でした。センスの良い人は、2頁くらいで合格答案を書くのですが、私は、質より量(?)的な作戦を取っていたため、4頁目の最終行まできっちり書くことが多かったです。
しかも調子が良いときは2問とも最終行まで書いていました。
つまり、より速くより多く書かなければいけなかったのです。
私の周りに、大学3年生のときに司法試験に最年少合格した奴がいました。
そいつも、私と同タイプだったようで、小さい字で最終行まで書いている答案が模範答案として模試で配られたことがありましたが、字が読めませんでした。
私の答案が模範答案として配られたこともあって「石井、すごいな」と友人から言われたこともありましたが、その大半は、答案の内容がすごいというよりは、あの時間でよくこれだけの量を書けるよな、という趣旨でした。
司法試験でセンスがない奴が合格するには、
とりあえず量書いとけ → より速く書く技術が必要
という点もあるのです。
そして、私の中で、速く書くことと字を上手く書くことは両立しない。
スピードを取ればそれだけ下手な字になっていくのです。
この司法試験の論文試験のせいで、私の字はかなり下手になったのです。
さらに司法修習がありました。
司法修習では、起案というものがあって、これも決められた時間内に、裁判官が書く判決とか弁護士が書く文書を手書きで作成しなければいけません。
ここでも、私は、質より量作戦で臨んだのです。
しかも、この試験は、司法試験のように用紙が限られておらず、時間内に書こうと思えば何枚でも書けるシステムだったのです。
起案後は、仲間に対して、内容がどうだったかというより、何枚書いたぜと自慢していた気がします(よく卒業できた)。
起案が連日続く卒業試験では、字を速く大量に書きすぎて右手が麻痺しました。
そう、この修習でも字を速く書くことを重視したため、私の字はより下手になっていったのです。
弁護士の中には、センスがあって量よりも質でこれらの試験を通ってきた人や、スピードと字の上手さを両立させてきた人もいるでしょう。
ただ、私と同じようなタイプの人間も絶対いるはず!
そう、私の字が下手になったのは、これらの試験のせい。
いわば職業病。
何ら恥じることはないのです
お客さんの目の前で、自分の名前を委任契約書に書いたとき、下手な字だと思ったとしても職業病だとして胸を張って生きていこうと思います。
ところで、私にも字が上手かった時代があります。
小学校の授業で書道を習い始めたのが3年生だったが、2年生までは楷書の授業でした。
この小学校2年生の楷書では、金賞を取ったのです。
誰にも信じてもらえませんが経歴詐称ではありません。真実です。
私の字の上手さを流行のグラフにしてみると
思いっきり下降トレンド?