有責配偶者からの離婚請求の解決事例。神奈川県厚木市の法律事務所。

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ケース紹介

 

有責配偶者からの離婚請求の事例

他の女性と関係を持った夫からの離婚相談・依頼の事例でした。

すでに別居し、妻から婚姻費用の請求がされたとの相談からでした。

内容を聞くと、離婚を希望するものの有責配偶者からの離婚請求とされる可能性が高く、非常に問題がありました。

 

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2024.1.18

 


有責配偶者とは

有責配偶者とは、婚姻関係の破綻を引き起こした行為を行った配偶者を指します。これには不貞行為、悪意の遺棄、重大な精神的虐待などが含まれます。

この用語は、婚姻関係を破綻させる原因を作った責任を指し、不倫や暴力などが代表的な行為です。

民法では、離婚事由が定められており、ここで言う有責配偶者とは、これら離婚事由に該当する行為を行い、夫婦関係を破綻させた責任を負う配偶者のことを指します。

通常、これらの行為を行った配偶者は、離婚を求める立場としては不利とされます。

離婚を望むものの、不倫・不貞行為やDVを理由にされて拒否されることはあります。

こうした場合、有責配偶者とみなされ、法的に離婚が困難になることがあります。

 

有責配偶者からの離婚請求

通常、有責配偶者からの離婚請求は原則として認められません。

また、有責性のある行為について、相手から慰謝料請求を受ける可能性も考えられます。

しかし、双方に一定の離婚事由がある場合もあり、その際には有責配偶者の定義が異なることもあります。

また、両方に同程度の有責性がある場合、有責配偶者とは認められず、性格の不一致のような状況で離婚することもあります。

民法第770条には、裁判で離婚が認められる原因が定められており、これを「法定離婚事由」といいます。

これらの事由に該当する行為を行った人が有責配偶者となります。これには不貞行為、悪意の遺棄、生死が3年以上不明、強度の精神病、その他婚姻を継続しがたい重大な理由などが含まれます。

 

不貞行為と有責配偶者

有責配偶者とみなされる要因には様々なものがあり、具体的な事例や裁判例に基づいて考慮されます。

この点でよく問題になるのが不貞行為です。不倫・不貞をした人が離婚を希望する場合の問題点です。

例えば、不貞行為は配偶者以外の人と自由意思で性行為をすることを指し、これが離婚の原因となることが多いです。

不貞行為自体、慰謝料の発生要因となります。離婚をしなくても、配偶者には慰謝料請求権が認められます。

また、不貞相手に対する請求もできます。

 

有責配偶者と他の離婚問題

有責配偶者の概念は親権や養育費、財産分与とは別の問題として考えられるべきです。

有責配偶者であっても、子どもを育てるのに適切であれば親権を獲得することがありますし、養育費や財産分与に直接的な影響はありません。

有責配偶者が離婚に関して問題となるのは離婚の可否・慰謝料部分のみです。

 

有責配偶者からの離婚請求が認められる場合

以前は、有責配偶者からの離婚請求は否定されていました。原因を作った人が離婚請求できるのは、望ましくないとの価値判断です。

しかし、その後、最高裁は、一定の条件があれば有責配偶者からの離婚請求も認めると判断しました。


有責配偶者からの離婚請求が認められるのは、以下の条件をすべて満たす場合です。

1.別居期間が相当の長期に及ぶこと、

2.未成熟の子がいないこと、

3.配偶者が精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれないこと

すべて満たす必要があるため、夫婦間に小さい子がいる場合には、有責配偶者からの一方的な離婚請求は認められないことになります。

 

有責配偶者からの離婚調停

上記の条件を満たすのであれば、離婚裁判でも離婚が認められる可能性はあります。

これに対し、小さい子がいる場合には、それだけで条件を満たさないことになります。そのような場合でも、相手が同意するのであれば離婚は認められます。

協議離婚のほか、調停離婚でも、相手が同意するならば離婚はできます。そのため、有責配偶者であっても離婚交渉をもちかけたり、離婚調停の申立をすることはできます。

このような請求を受けた配偶者としては、拒絶して裁判になれば、有責配偶者の主張は通らないことを認識します。そこで、離婚に応じる場合には、相場以上の慰謝料請求などをすることもできます。

3番めの経済的に極めて過酷な状態におかれないことという要件では、金銭の支払も考慮されます。

裁判では有責配偶者に不利な点を主張し、他の条件で有利な結論を導こうとする動きに出てくることが多いです。

 

有責配偶者からの離婚請求の手順

有責配偶者とされている場合の離婚手続きは以下の通りです。

1.相手との協議:まずは相手と話し合い、離婚に同意してもらうよう努力します。

厳しい条件であっても相手が同意するなら離婚は認められます。相当額の金銭支払で離婚できるのであれば、協議離婚で進めた方が良いといえます。調停や裁判でのコスト、相手が拒絶した場合には、離婚できないリスクを考慮し、条件を検討すべきでしょう。


2.別居と離婚調停の申立て:協議が不成立の場合、別居し離婚調停を申し立てることもできます。裁判では、別居期間も一つの要素となりますし、別居により、相手の意思が変わることもありうるので、離婚を強く望むのであれば、別居したほうが離婚確率は上がります。ただし、婚姻費用の負担は発生します。


3.長期別居後の裁判:調停でも合意が得られない場合、長期間の別居後に裁判で離婚を求めることができます。

有責配偶者からの離婚請求が認められる要件を満たすと考えて離婚裁判を起こすのも選択肢となります。また、調停では合意しなかったものの、離婚裁判後の和解であれば応じるという人もいますので、それを狙う方法もあります。

 

離婚慰謝料

不貞・不倫などの場合、相手に慰謝料を支払う義務が生じます。

一般的には、不貞の場合は100~300万円程度と言われます。

有責配偶者からの離婚請求の場合には、協議や調停において相手が離婚に納得するためにより高額な慰謝料提示をするしかなくなることも多いです。

相場以上の金額を支払うことで同意してもらうという選択肢です。

 

長期的な視点

即時の離婚が難しい場合は、長期的な視点で計画を立てる必要があります。

別居期間の延長や、未成年の子供の成長を待つことも一つの戦略です。

婚姻費用の負担は続きますが、相手の求める金額が法外な場合には、離婚を一旦保留にするという考えです。

長期化することで、相手の態度が変わることもあるでしょう。

離婚調停

有責配偶者からの離婚請求事例

海老名市にお住まいの30代男性からの相談でした。

離婚を望む夫側に有責性がある場合、このような流れで進むことが多いですので、一般的な流れとして解説します。

 

別居後、高額の婚姻費用請求がされ、回答を出したところ、婚姻費用調停を申し立てられたという事案です。

調停への対応のほか、離婚希望がありました。

しかし、客観的には、他の女性との関係を持っていた事実が認められ、裁判所では有責配偶者とされる事情がありました。

そのような事情があったものの、強く離婚希望があり、相手からの離婚請求もなかったため、離婚調停を申し立てることとなりました。

 

離婚調停の成立

最終的には離婚調停を成立させることができましたが、慰謝料のほか財産分与、養育費の金額について、相手の主張を受け入れ、相応の金銭的負担をしての合意となりました。

ただし、金銭支払については財産もなかったことから、頭金として一定額を支払い、残りは養育費とともに分割払いという内容で合意できています。

調停にかかった期間は、約1年5ヶ月となっています。

 

問題となった争点

婚姻費用調停、離婚調停を通じて問題となった争点は複数ありました。

 

養育費等の基礎収入

双方の収入認定額が問題となっています。

双方ともが休職中であったり、一部の仕事を辞めるなど収入変動があったため、養育費や婚姻費用を決める際の基礎収入をどうするのか争われました。

また、夫に事業所得があったところ、確定申告書上の経費に関する主張までされるなどしています。

双方とも収入資料の開示から問題となっています。

 

共有財産の持ち出し

相手方が、共有財産である預貯金を持ち出している可能性が高く、そのような主張をしています。

預貯金の持ち出しを婚姻費用にあてるか、財産分与で精算するか等が争われました。

 

財産分与の対象財産

一般的に財産分与として主張される預貯金、車、保険、株式等のほかに、あまり主張されない類の請求もされています。

iDeCo掛金や、国民年金基金の精算も主張されています。

また、名義預金の問題も主張されています。

 

離婚調停の成立

各争点について、長期間、調停員からの説得なども並行し、一部の争点では譲歩しつつ、調停による離婚成立を試みました。

相当額の解決金を支払うこととなりましたが、一括での支払が難しかったため、分割払いでの合意により調停成立となりました。

有責配偶者からの離婚請求で、請求側のみ離婚希望が強い場合には、交渉の余地が少なく、金銭面での相応の負担をしなければ、調停で解決できないことが多いです。

 


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