
事例紹介
ケース紹介
傷害事件の示談交渉事例
傷害事件における示談交渉は、被害者と加害者の間で行われる重要な手続きです。
本記事では、傷害事件の示談交渉の実際の事例を紹介しながら、そのメリットや具体的な手続きについて詳しく解説します。
傷害事件における示談
傷害事件が発生した場合、加害者と被害者の間で示談交渉が行われることがあります。
示談とは、双方が話し合いで和解し、裁判を避けるための手続きです。
示談は民事事件でも刑事事件でも行われ、特に傷害事件では、被害者の意向を尊重しつつ、早期解決を図るために用いられます。
傷害事件における示談のメリット
示談が成立すると、加害者にとっては刑事事件で有利な結果が得られることが多くなります。
起訴される前に示談が成立すれば、検察が不起訴処分とする可能性が高まります。不起訴となれば、刑事裁判が行われず、前科がつくこともありません。
また、起訴後に示談が成立しても、刑事裁判において実刑判決か執行猶予か微妙な事案では、執行猶予がつく可能性が高まります。執行猶予が付けば、刑の執行が猶予され、刑務所に実際に行かずに済みます。
示談での迅速な解決
示談は、当事者間の交渉で進めるため、損害賠償の請求に関する民事裁判よりも迅速に問題を解決できる可能性が高いです。
裁判は長期化することが多く、時間や費用がかかりますが、示談ならば短期間で解決することも多いです。
あくまで当事者間の交渉のため、双方が示談に前向きであることが必要ではありますが、お互いが示談による解決を望んでいるのであれば、早期解決になることが多いです。
示談の流れ
示談交渉は、まず被害者と加害者が直接、または弁護士を通じて接触することから始まります。
加害者側が示談の意思を示し、被害者側がこれに応じる形で交渉がスタートします。
刑事事件になっており被害者側の連絡先もわからない場合には、警察や検察に示談の意思を申告し、被害者側の意向、連絡先開示を求めます。被害者がこれを拒絶する場合もありますし、弁護士にであれば開示しても良いという回答をしてくることもあります。
傷害事件の場合には、被害者側で、どの程度の怪我であるのか、治療は終了しているのか、後遺障害は残るのか等の要素によって、被害を金銭的に確定できるか、被害額が確定するかを確認します。
通常は、被害額が確定した後に、示談交渉になるでしょう。
示談を申し入れるためには、被害者と連絡を取る必要がありますが、被害者が連絡先の開示を拒否するケースが多いです。
示談内容の決定
示談内容には、示談金の金額や支払い方法、謝罪の方法、再発防止策などが含まれます。
大きいのは、示談金の金額でしょう。
高額になる場合、一括支払が厳しい場合には、加害者側から分割払いの提示などもありえます。
被害者側としては、分割払いの合意をして支払が遅れると困るので、公正証書などで強制執行できるようにしておくという対応が考えられます。
示談書の作成
示談内容が合意に達したら、示談書を作成します。
示談書には、示談金の金額や支払い方法、示談の内容に違反した場合の措置などが記載されます。
双方が署名・押印することで示談が成立します。
弁護士を代理人として示談交渉している場合には、弁護士が代理人として押印することが多いでしょう。
刑事事件などで資料として提出する場合には、この示談書の写しを使います。
つまり、この示談書の作成までこぎつけないと、刑事事件では有利な事情とはほとんど考慮されません。
示談金の相場
示談金の相場はあってないようなものです。
傷害の被害の程度と、刑事事件の可能性によって異なるからです。
一般的な怪我の被害の損害について、民事訴訟を起こした場合に認められる損害額が一つの基準にはなります。
そして、怪我について、入通院や後遺障害がある場合、一つの基準になるのが交通事故の民事裁判での損害額です。交通事故裁判は多数の判例があり、損害額に目安ができています。
傷害事件では、交通事故よりは、故意行為のため悪質とされ、交通事故の基準に一定の加算がされるあたりの金額が民事訴訟を起こした場合の損害額となるでしょう。
ここに示談で早期解決を考える場合、さらに加算するかが検討されます。
全治1週間の傷害の示談金
全治1週間の怪我は軽度とされ、慰謝料や治療費も比較的少額です。
トータルの示談金はおおよそ10万円~30万円前後となる可能性もあると言われます。
これは、怪我が軽度の場合、刑事事件になりにくいことや、被害者側が民事訴訟まで起こしにくい事情が理由にされていると思われます。
全治1ヶ月の傷害の示談金
全治1ヶ月の怪我では、慰謝料が高くなるほか、治療費や休業損害も高額になります。
治療のため仕事ができず、休業損害が出てくると、被害者の収入によって損害額が大きく変わります。
示談金は50~150万円程度となる可能性があります。
たとえば、月収30万円の人が治療のため1ヶ月働けなかったとなると、休業損害だけで30万円が発生するイメージです。ここに慰謝料等が加算されます。
もとの月収が100万円の人であれば、休業損害だけで100万円となるので、示談金は100万円では足りないという結論になるでしょう。
示談書の例文
示談書
甲(被害者)〇〇〇〇(以下「甲」という)と乙(加害者)〇〇〇〇(以下「乙」という)は、本日、令和◯年◯月◯日午後◯時の◯◯により甲に生じた傷害に関する損害賠償について、以下のとおり合意し、示談を成立させた
第1条(示談の目的)
甲および乙は、本示談書に基づき、甲の傷害事件に関するすべての請求を解決することを目的とする。
第2条(示談金)
乙は甲に対し、本件事件の示談金として〇〇万円の支払い義務があることを認める。
第3条(支払い方法)
乙は、前項の示談金を、◯年◯月末日までに、甲の指定する下記の銀行口座に送金して支払う。送金手数料は乙の負担とする。
第4条(清算条項)
甲乙間には、本条項の定めるほか、何らの債権債務の存在しないことを相互に確認する。
作成年月日
当事者署名・押印
甲:〇〇〇〇 印
乙:〇〇〇〇 印
示談と民事訴訟の違い
示談は、当事者間の話し合いで解決する方法であり、迅速に問題を解決できます。裁判を避けることができ、被害者の意向を尊重することができます。
これに対し、民事訴訟は、裁判所を通じて解決する方法です。
内容を争われた場合には、証拠の提出や証人の証言が必要となり、時間と費用がかかります。
しかし、裁判所の判決は法的に強制力があり、示談が成立しない場合には有効です。
また、裁判を起こした後に、和解になることもあり、この場合には、示談にも強制力をもたせることができます。
傷害の示談解決事例
座間市にお住まいの方からの相談でした。
傷害事件としては加害者側の相談。
電車内でのトラブルで相手に暴行を加えてしまい、怪我をさせてしまったとのこと。
その場で警察対応もされています。
しかし、被害者からは刑事事件にまではしないとのことで、示談交渉の依頼がありました。
被害者の連絡先は把握していたので、直接連絡を取ったところ、聞いていたよりも重い傷害で、治療期間も長い他、後遺障害の可能性もあるような状態でした。
そのため、一定期間は、通院状況を見守り、症状が落ち着いたうえで損害額を確定させ交渉に入る形となりました。
依頼者である加害者としては、法的に主張したい部分もありつつ、民事裁判にまではしたくないとの意向。被害者としても、民事裁判までは考えていないとの意向だったので、治療状況を見つつ、主に金額調整の交渉を進め、示談を成立させての解決となりました。
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