
事例紹介
ケース紹介
名誉毀損と内容証明事例
名誉毀損被害を受けた30代女性の実例から、弁護士名義の内容証明郵便が効果を発揮した事例を解説します。
虚偽の噂により実害を受けた被害者が、弁護士に依頼して内容証明郵便を送付したところ、相手方が期限内に慰謝料50万円を即座に全額支払いました。
内容証明郵便の法的効力と心理的圧力、そして弁護士名義で送ることの意味について、実際の解決事例とともに詳しく紹介します。
虚偽の噂で名誉毀損被害
30代女性からの依頼がありました。
知り合い虚偽の噂を流され、実害も生じているので、慰謝料を請求したいとの相談でした。
根拠のない噂話で、放置すればさらに信用に傷がつきかねない状態でした。
名誉毀損の被害をそのまま放っておくのは危険と考え、一人で抱え込まず専門家に頼ることにしました。
弁護士に相談し、内容証明郵便を弁護士名義で送り、慰謝料請求をすることとしました。
裁判を起こすこともできますが、訴訟は時間も費用もかかります。まずは内容証明郵便によって相手に慰謝料の支払いを求めるのが現実的で簡易な解決策です。
こうして弁護士代理人名義で作成された内容証明郵便が相手方に送付されることになりました。
内容証明郵便には、発言内容が事実無根で名誉毀損にあたること、そして被害者が受けた損害を具体的に記載しました。
「7日以内に支払いに応じない場合は訴訟を提起する」という趣旨の記載をしました。
相手の対応:要求どおり即座に50万円を全額支払い
内容証明郵便が相手のもとに届くと、相手方はその文書を目にした途端、事の重大さを悟ったようでした。
弁護士からの正式な通知に対し、「これは無視したら大変なことになる」と感じたのでしょう。
結果、相手は送達からほどなくして請求額である慰謝料50万円を指定口座に全額振り込んできました。
7日間の期限を設定しておきましたが、即時の支払いにより解決となりました。
弁護士名義の内容証明郵便の効果
ここで、「ただ内容証明郵便を一通送っただけでなぜ相手は言いなりになったのか?」と不思議に思われるかもしれません。
その理由は主に心理的圧力と法的リスクの示唆にあります。
まず、内容証明郵便という形式自体に心理的プレッシャーを与える効果があります。
内容証明郵便は郵便局が差出人・宛先・日付・文書内容を公的に証明する特殊郵便であり、受け取った側からすれば「公式な通知が来た」と認識します。届いたこと自体は証明されるため、受け取っていない、見ていないという言い逃れは難しくなります。
特に、弁護士の名前と法律事務所の名称が記載されていれば尚更だと感じる人もいます。
通常、内容証明郵便での請求をする際には、法的根拠を踏まえた要求が書かれているため、「これは放置したら本当に訴えられる」と受取人に思わせる効果が生まれます。
事実、「自分の名前だけで内容証明を送っても効果がなかった相手に、弁護士名義で送り直した途端態度が軟化した」というケースもあります。
また、弁護士名義の通知には「反論しても無駄」「逃げられない」という圧迫感を与える力があります。
法律のプロである弁護士が文章を作成している以上、内容に誤りがなく法的に正当な主張が記載されていることが示唆されます。
相手からすれば下手な言い逃れは通用しないでしょうし、下手に感情的な反論をすれば逆に不利になる可能性もあります。
現に、内容証明郵便を受け取った側が感情的に反発して一人で示談交渉しようとした結果、かえって不利な状況に陥ったという例もあります。
そのため、相手によっては「プロが出てきた以上、下手な対応はできない。ここは言われた通りにするしかない」と観念させる効果があるのです。
さらに、法的措置の可能性をチラつかせることで、相手にとってのリスクの大きさを理解させられる点も重要です。
内容証明郵便には「応じなければ法的手段も辞さない」という趣旨の文言が盛り込まれることが多いです。
相手からすれば、訴訟になれば公開の法廷で争うことになり社会的信用にも傷がつきかねませんし、時間もコストもかかります。裁判を起こされること自体に抵抗を感じる人も多いでしょう。
刑事事件に発展する可能性を考えれば前科が付くリスクすらあります。「そこまでされるくらいなら、今のうちにできるだけ穏便に解決したい」――そう思わせること自体が内容証明郵便を送る大きな目的なのです。
弁護士を代理人とすることで、こうした「本気度」を相手に伝えられるのが最大の強みと言えるでしょう。
実際に弁護士名義での内容証明郵便を送るケースでは、すでに民事裁判の依頼がされていることもあります。裁判前の一応の通知として内容証明郵便で請求をするということもあるのです。
内容証明郵便の仕組み
「内容証明郵便」とは誰が・いつ・どんな内容の文書を誰に送ったかを公的に証明する特殊郵便サービスです。
ここで改めて内容証明郵便について簡単に説明します。
内容証明郵便とは、郵便局が「いつ・どんな内容の文書を、誰から誰に宛てて差し出したか」という事実を証明してくれる郵便サービスです。
差し出された文書の謄本(原本の写し)が郵便局に保管されるため、「○月○日にこのような内容の手紙を出した」という記録が公的に残ります。
これにより、後日、相手との間で紛争が裁判に発展した場合に「その内容の請求を確かに相手に送っていた」ことを証拠として示すことができます。
裁判になって相手方が「そんな請求は受け取っていない」などと主張しても、内容証明郵便の控えを示せば確実に送付した事実を証明できるわけです。
送達の日付も記録されるため、「○月○日付で請求したのに支払いがなかった」という事実から遅延損害金(遅延利息)を請求する根拠にもなります。
このように、内容証明郵便は後々に備えた証拠作りとして有用な側面があります。
クーリングオフや契約の取消通知、遺留分請求など期限内に通知したことを証明する必要がある場合には、内容証明郵便を使うべきでしょう。
もっとも、内容証明郵便そのものには判決のような強制力はありません。
郵便による通知であって、相手に支払いを法的に強制できるわけではないのです。
したがって、送れば必ず相手が要求に応じてくれるとは限りません。このような請求に慣れている相手の場合、ただの手紙と同じように扱われます。
今回の事例では、「誹謗中傷に対して弁護士に依頼し内容証明郵便を送ることで、迅速かつ円満に問題を解決できた」という成功例でした。
本人の希望により請求した金額は、事情を考えると高額なものではなく、事実自体は争っても認められる可能性が高い事案でした。裁判になれば不利だと考え、支払をしてきたものといえます。
内容証明郵便の到達からすぐに支払いがあったため、直ちに判断して支払いに応じてきたものでしょう。
内容証明郵便による回収確率は、このように相手の属性や性格によって大きく変わります。
うまくいけば、費用を抑えることができるコスパの良い選択肢となるでしょう。
名誉毀損や内容証明郵便のご相談(面談)は下のボタンよりお申し込みください。