事例紹介
ケース紹介
成年後見後の相続放棄事例
認知症などで判断能力が低下した親に相続が発生した場合、相続放棄を進めるには「成年後見制度」の活用が重要になります。
この記事では、成年後見制度の基本から選任手続きの流れ、相続放棄の期限や具体的な進め方、さらに実際の解決事例を解説します
認知症の親の相続放棄
判断能力が低下した親に相続放棄が必要になった場合、今すぐ進めるのであれば、成年後見制度と相続放棄制度の両方を使っていく必要があります。
そこで成年後見制度から概要を説明していきます。

成年後見制度の概要
成年後見制度は、認知症や障害などで判断能力が十分でない人を法律的に保護・支援するしくみです。
本人が一人で契約を結んだり財産管理をしたりする際に不安がある場合、家庭裁判所が成年後見人などを選び、本人をサポートします。
成年後見制度には、本人の状態に応じて「後見」「保佐」「補助」の3類型があります。

成年後見人を選任する手続きの流れ
成年後見人を選んでもらうには、まず家庭裁判所に申し立てをします。
必要書類の準備
申し立てには本人の戸籍謄本や住民票、診断書、財産・収入資料などが必要です。家族(子や配偶者など)が後見人になりたいという場合は本人との続柄を示す戸籍も用意します。
ただし、事案によって、後見人を希望しても選ばれず、他の人が後見人になることはよくあります。親族間でトラブルがある事案だったり、相当額の財産がある場合などは、弁護士等の職業後見人が選ばれることがよくあります。
家庭裁判所への申立て
本人の居住地を管轄する家庭裁判所に書類を提出します。
裁判所所定の申立書に必要事項を記入し、印鑑を押して提出します。
申立の際は収入印紙800円(+郵便切手)を貼り、登記手数料、郵便切手代等を準備します。
財産資料をまとめ財産目録を作ったりします。
審理と鑑定
家裁が書類を審査し、必要に応じて本人や申立人から事情を聞いたり、医師の鑑定(判断能力の程度を確認)を求めたりします。
鑑定がある場合、費用は事案にもよりますが多くは10万円以下です。
選任審判
審理の結果、家庭裁判所が成年後見人を決定します。通常は申立て後1~2か月で審判が確定します。選ばれた後見人は法定代理人として本人の財産管理を始めます。
この後、必要であれば相続放棄手続も進められます。
相続放棄の基本的な仕組み
相続放棄とは、被相続人(故人)の財産だけでなく借金などの負債も含めて一切相続しない意思表示です。
相続放棄をすると、その相続人は「初めから相続人でなかった」ものとみなされます。
つまり、遺産分割に参加せず借金も一切負いません。一般的に「故人に多額の負債がある」「遺産が期待できない」などの場合に相続放棄を検討します。
相続放棄は家庭裁判所で手続き(申述)を行います。手続き先は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
「相続放棄申述書」を提出し、被相続人の死亡記載のある戸籍謄本や住民票の除票、申述人(自分)の戸籍謄本などを添付します(必要な戸籍は申述人と被相続人の関係で異なります)。

相続放棄の期限
相続放棄手続では、期限も重要です。民法では「相続があったことを知ってから3か月以内」に申述しなければならないと定められています(これを熟慮期間といいます)。
3か月を過ぎると原則として相続を承認したものとなるので注意が必要です。もし3か月以内に判断材料が揃わない場合は、家庭裁判所に期間延長の申立てをすることもできます。

成年後見人による相続放棄の手続き
ご両親が認知症などで判断能力を失い、相続放棄の手続きをご本人自身ができない場合で、相続放棄を希望する場合には、まず成年後見人を選任します。判断能力がない状態では、相続放棄の手続ができないからです。
成年後見人は被後見人(ご本人)の法定代理人となりますので、代わりに家庭裁判所へ相続放棄の申述をすることができます。
具体的には、家庭裁判所で後見開始の審判が確定した後、成年後見人は3か月以内に相続放棄の手続きを行います。
つまり、後見人が決まれば、後見人は被後見人に代わって相続放棄申述書を作成・提出し、必要書類を揃えて家庭裁判所に届けます。
手続きの流れ自体は本人が行う場合と同じで、後見人が申述人(代理)となる点が異なるだけです。

家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届けば、正式に相続放棄が認められたことになります(その後、証明書の申請も可能です)。
なお、限定承認という別の手続きもありますが、こちらは共同相続人全員の同意が必要になるため、一般的には相続放棄が利用されることが多いです。
成年後見人選任後の相続放棄事例
成年後見人を選任した後に、相続放棄をしたケースを解説します。
兄弟が多額の借金を負って死亡。
子はなし。
第二順位の相続人が母親。
母親が相続放棄をすると、次の順位として兄弟姉妹の立場で相続するという相談。借金を相続したくないので、相続放棄を希望していました。
しかし、母親は認知症で判断能力がありません。
そのため、母親に成年後見人を選任して相続放棄をした後、自分も相続放棄をしたいという相談でした。

負債総額もそれなりに多かったので、不安のため、現時点での早期解決を望み、母親に成年後見人をつけたいとのことでした。
母親には金融資産は多くはなく、成年後見相当という点も争われず、申立て後、裁判所面談を経て、希望通り依頼者が成年後見人に選任されました。
その後、成年後見人として母親の相続放棄を申請。
本来であれば、先順位の母親が相続放棄を受理されてから兄弟姉妹である自分の順位になるので、その後に相続放棄の申請をすることになります。
しかし、形式上利害関係の問題がありました。母が相続放棄をすれば兄弟姉妹である自分に相続人の順位が回ってきます。財産がある場合、母に相続放棄をさせて、自分が財産を相続するとなると、母との間で利害関係があることになってしまいます。
このような構造の場合、成年後見人がついていても特別代理人の選任が必要と言われることもあります。
しかし、特別代理人が選任されると費用が余計にかかるという問題があったため、裁判所宛ての上申書を付けて、兄弟姉妹分の依頼者分の相続放棄も合わせて提出しました。
これにより特別代理人の話などはなく、そのまま受理されたという形で解決しています。
賃貸物件などがあったので債権者対応などもこちらでフォローしました。

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