成年後見人は特別縁故者になれるか争われた裁判例の解説。神奈川県厚木市の弁護士

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FAQ(よくある質問)

 

Q.成年後見人は特別縁故者になれる?

相続人がいないときに、財産分与を受けられる可能性がある特別縁故者。

成年後見人が、この特別縁故者になれるか問題になった事案があります。

 

大阪家庭裁判所令和元年10月21日審判です。

 

この記事は、

  • 特別縁故者の申立をしたい人
  • 成年後見人になる前から頑張ってた人

に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.28

 

事案の概要

被相続人は昭和13年生まれの女性。

申立人は、被相続人の夫の兄という立場でした。

兄弟は、いずれも寝具店を経営して互いに助け合い、家族ぐるみの付き合いをしていました。一緒に旅行にも行くなどしていました。

夫が平成7年に死亡。

被相続人が看病しましたが、申立人がこれを手助けしていました。
その後、被相続人は、アルツハイマー型認知症と診断。

申立人は、ヘルパーを派遣したり、身の回りの世話をするように。被相続人は病気の影響か、不審行動が増えるようになり、毎日のように訪問しないとダメな状態に。

そのころ、被相続人からは、死後に全財産を贈与するので供養をしてほしいとの意向も示されました。

申立人は、被相続人の母の年金等の管理や立退き料交渉、預貯金の保管・管理までするように。立退き料は、交渉で倍額以上の金額を取得できていました。

平成12年、申立人は、被相続人の成年後見人に選任。

被相続人は、認知症が悪化により、平成16年9月、グループホームに入居。

その後も、ホームを訪れるなどし、身の回りの世話、法事や近所づきあいもしていました。


被相続人は平成29年に死亡。

申立人が葬儀納骨を執り行い、法要等も行いました。

申立人には、成年後見人の後見人報酬として合計983万円が付与されていました。

 

被相続人に子はなし、法定相続人はいませんでした。

相続財産管理人により相続人捜索の公告等、手続きが進みます。

相続財産としては9583万円余りが残されており、相続財産管理人が保管している状態。

そこで、申立人が、平成31年2月25日、特別縁故者に対する財産分与の申立て。

しかし、同年3月24日死亡し、妻子が特別縁故者の財産分与申立人としての地位を承継したとして、引き継ぎました。

 

裁判所の判断はトータル1200万円

申立人妻に対し、被相続人の相続財産から600万円を分与、子2名それぞれに対し、被相続人の相続財産から300万円を分与という内容。

トータル1200万円の分与となりました。

 

特別縁故者の地位も相続

特別縁故者に対する財産分与について、申立人が、本件申立てをした後に死亡しているものの、その相続人は本件財産分与申立人としての地位を相続したものと認められるとしました。

申立後の死亡では、相続を肯定している内容です。

 

特別縁故者とは

特別縁故者は、相続人が不存在の場合に認められる制度です。相続人がいる場合には、そちらが優先します。

不存在の場合に、相当と認めるときは、被相続人の療養看護に努めた者等に対し、相続財産を分与することができるとされています。民法958条の3にかかれています。

この判断基準については法律には書かれていませんが、文献等では、縁故関係の内容、程度、特別縁故者の性別、年齢、職業、教育程度残存すべき相続財産の種類、状況、所在その他一切の事情を調査して決めるとされます。

いろいろな要素が絡んでくる問題ということですね。

本件でも、経緯を細かく認定しています。この認定をもらうためには、当然ながら、申立も丁寧にしなければなりません。

 

裁判所が特別縁故者と認めた事情


被相続人と民法958条の3第1項にいう「特別の縁故があった者」(特別縁故者)に該当するか否かを検討しています。

被相続人の夫と同じく寝具店を経営していたことから、被相続人一家と長期間にわたって公私共に交際を続けてきたこと、

被相続人の夫が死亡し、被相続人に認知症の症状が出始めると、頻繁に被相続人の身の回りの世話を行うだけでなく、被相続人を医療機関に受診させて訪問へルパーの手配や成年後見の申立てをしており、被相続人を心身共に援助したことを認定。


被相続人の母のために、年金及び恩給の受給手続を行い、身元引受書を入居施設に提出し、同人が借りていた土地の立
退交渉を行い、預金通帳等を管理するといった財産管理・身上監護事務を行っていたと指摘。

この点については、被相続人がその母に対して扶養義務を負っていたことからすると、被相続人の母の財産管理・身上監護事務は、被相続人への援助とも評価することができるとしました。

 

成年後見人としての活動も評価

被相続人について成年後見が開始した後には、成年後見人として、頻繁に被相続人と面会し、行方不明になった際には捜索に参加し、定期的に被相続人宅の仏壇にお供えをし、被相続人の隣人と積極的に交際。

これらを成年後見人が行うべき財産管理・身上監護事務を超える活動をしていると認定。


そして、被相続人の死後には、被相続人の遺骨を引き取って葬儀・納骨を行うなどしている点も指摘。

このような被相続人との交際・援助は、親族間の通常の交際の範囲を超えるものであり、被相続人の成年後見人に選任された後の交際・援助については、成年後見人の通常の職務の程度を超えるものというべきであるとしました。

 

生前の意向も評価

また、被相続人は、申立人に対し、死後には全財産を贈与する旨の意思表示を示しており、申立人に対して被相続人の財産を分与することは、被相続人の意思にも沿うものと考えられるともしました。

これらの点から特別縁故者に該当すると認定。

贈与としては実行されなかったものの、その意向があったということは評価ポイントになるわけです。

 

特別縁故者への分与額

特別縁故者に該当するのであれば、次に分与金額が問題になります。

申立人は、被相続人の成年後見人に選任され、その17年以上の在任期間中の後見人報酬として900万円以上を付与されていました。

そのため、分与額の検討に当たって、被相続人の成年後見人在任中の活動を重視することはできないとしました。

対価をもらっての職務だったという認定ですね。

他方、被相続人の成年後見人選任前において、長期間にわたって被相続人一家と公私共に交際を続けており、被相続人の夫の死亡後には、認知症の症状が出始めた被相続人を心身共に援助した上、被相続人の母の財産管理・身上監護も行っていたものであり、これらの活動は、分与額の検討に当たって相応に重視すべきものとしました。

さらに、被相続人は、死後には全財産を贈与する旨の意思を示していた点も指摘。

このような点から、被相続人の相続財産の10%を超える1200万円を分与することが相当であると結論づけ、相続割合によってこれを分配した金額を分与すると結論づけました。

成年後見人としての職務を超えていたことから、特別縁故者としての認定はされたものの、分与額の際には、報酬受領もあることから、これは考慮しないとの扱いです。

 

特別縁故者への分与額

相続財産が高額な場合には、特別縁故者でも全額の分与は認められにくくなっています。

内縁の配偶者のように、実質的には相続人といえるような立場の場合には、全額分与もあり得るのですが、本件では、そのような関係ではなく、一部分与にとどまるのもやむを得ないといえるでしょう。

その場合の金額については、相続財産管理人の意見が確認されることもありますが、基本的には裁判官の裁量によります。

これを認めてもらうには、過去にさかのぼって、通常の関係以上の貢献を主張・立証していく必要があります。

裁判官の頭の中で、どのようなカテゴリに分類してもらえるかがポイントになってきます。

今回のようなケースでは、生前に被相続人の意向もあったので、財産取得という観点からすれば、遺言作成をしてもらうよう働きかけた方が圧倒的に良かったといえます。

被相続人としても、国に行くよりは、申立人に分与することを望んでいたように感じます。

 


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