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台風被害の法律問題

台風で問題になりがちな法律問題の解説です。

台風などの災害後によくある質問を取り上げておきます。

 

土地工作物責任


台風の防風や大雨で被害を受けた際、誰かに損害賠償請求できないか検討することになります。その際に、よく使われるのが土地工作物責任です。


民法717条に規定されているもので、土地の工作物の瑕疵(かし)によって、他人に損害を与えた場合、工作物の占有者や所有者が負う賠償責任のことです。

工作物の占有者が責任を負います。

占有者が損害を防ぐため必要な注意義務を果たしている場合には工作物の所有者が賠償責任を負うとされています。

所有者の責任は無過失責任と言われ、過失がなくても賠償義務を負う重いものです。

 

「工作物」については、かなり広く認められていますが、この類の裁判では、工作物の設置又は保存の「暇疵」が争点になります。

工作物の設置状況、設置経緯、本件災害の程度、工作物が当時予想しうる安全性を持っていたか等がポイントになります。

 

災害の規模が予見可能だったかも問題になるでしょう。

ここ数十年で最大、最強というのが、数字で出ているような台風ならば、予想しえなかったとなり、それに耐えられない設計だったとしても、瑕疵といえるか微妙になってきます。

 

国・地方公共団体の設置・管理責任

その工作物等が、国などの公のものである場合は、工作物責任の規定ではなく、国家賠償法による責任となります。

公の営造物の設置・管理の瑕疵による損害について、国や地方公共団体の賠償責任が決められています。

 

これらの規定で賠償責任が認められた判例も多いです。

 

福岡高判昭和55年7月31日台風で屋根瓦が飛散し、隣家の建物を破損した事件。
屋根瓦の設置又は保存に暇疵があるとして賠償義務を認めています。

 

長崎地判昭和61年3月31日豪雨の土砂崩れ事件。斜面のあった道路部分で土砂崩れがあり下にあった家が押しつぶされ住人が死亡した。国賠法2条で、道路の設置又は管理の暇疵があると認定。

 

 

台風被害と契約責任

台風被害があった後に、契約上の責任が問題になることもあります。

この場合、危険負担というものが、どのような内容になっているのかをチェックすることになります。

 

契約の基礎とした事情が大きく変わったときに、民法上の信義則を理由に事情変更の原則が使えないか問題になることもあります。

これは、

①契約締結時に基礎としていた事情が契約締結後に変更したこと、

②契約時の当事者に予見可能性がなし、

③当事者に帰責事由がない

④当初の内容で当事者を拘束することが信義則上著しく不当という場合に認められるものです。

ただ、裁判例では事情変更の原則の主張はなかなか認められません。

 

台風被害と請負契約

請負契約災害の被害では、建物建築など請負契約でも問題が発生します。

 

災害が原因で、工期が大幅に遅れてしまったようなケースです。

注文主からは、工期の遅れによって受けた損害賠償請求がされることがあります。

これに対し、請負人からは、工期の遅れは災害という不可抗力が原因だと主張することになります。

不可抗力によるものであれば、遅れによる損害賠償請求はできません。

なお、標準的な工事請負契約約款では、不可抗力のため工期内には完成が不可能になってしまったときは、請負人は工期延長請求をできるとされています。
「受注者は、この契約に別段の定めのあるほか、工事の追加又は変更、不可抗力、関連工事の調整、近隣住民との紛争その他正当な理由があるときは、発注者に対して、その理由を明示して、必要と認められる工期の延長を請求することができる。」

 

災害が原因で、特別な費用がかかってしまった場合、民法上は、この損害は請負人が負担するという危険負担の規定があります。

しかし、標準的な約款では、注文者、請負人、監理技師が相談し、請負人が注意を十分にしていたのに、災害による損害が重大なときには、その損害は注文者が負担するという特約がついているため、注文主が、追加費用を支払うこともありえます。
「2 前項の損害について、発注者、受注者及び監理者が協議して重大なものと認め、かつ、受注者が善良な管理者としての注意をしたと認められるものは、発注者がこれを負担する。
3 火災保険、建設工事保険その他損害をてん補するものがあるときは、それらの額を前項の発注者の負担額から控除する。」

 

台風被害と割賦払い契約やリース契約

割賦払やリース中の自動車が自然災害により滅失した場合危険負担でいうと、車が滅失等してしまった際に、自動車ローンの支払い中であったり、リース中である場合も問題になります。


まだ自動車ローンの残代金があったとして、不可抗力で車が滅失した場合であっても残代金の支払い義務が残る契約であることが通常です。ローンは残ってしまうことが多いです。


契約に記載がない場合でも、裁判例では、危険負担の債権者主義(民法534条)の規定により、買主が危険を負担するという結論をとっています。

 

リース契約でも、通常は使用者が危険を負担するという特約があるため、リース料の支払い義務が残る可能性が高いです。

 

台風被害とお金の貸し借り

現在、金銭債務について、債務不履行による遅延損害金を請求されても、借主は、不可抗力だと主張できません(民法419条3項)。

不可抗力でも遅延損害金の支払義務はあるのです。

利息の支払いができず、期限の利益が喪失し、一括請求されることもあります。

 

なお、東日本大震災の際には、政府が金融機関等に特別の配慮をするように求め、返済猶予の措置をとりましたが、法的にこちらから主張できるものではありません。

 

台風被害と労働問題

労働問題災害等で働けない場合の、給料の支払いを含む労働問題では、ノーワーク・ノーペイの原則からスタートして考えることになります。 

労働義務が履行不能になったとして、労務の提供がない以上、使用者は賃金を支払う義務がないのが原則です。

ただ、履行不能が「使用者の責めに帰すべき事由」による場合には、労働者は給料の請求が可能です(民法536条2項)。

使用者が「使用者の責めに帰すべき事由」により休業にした場合には、休業期間中、平均賃金の6割以上の休業手当を支払わなければならないとされています(労基法26条)。

 

台風等の自然災害により使用者がやむを得ず休業させた場合だと「使用者の責めに帰すべき事由」にあたる可能性は低いでしょう。

休業ではなく仕事があるものの、従業員が交通機関の麻揮により欠勤・遅刻して働けなかった場合、ノーワーク・ノーペイの原則により賃金の支払義務はないことになります。

 

台風被害と有給休暇

台風等で休業となった場合、ノーワーク・ノーペイの原則により賃金は発生しませんが、労働者から、事前に有給休暇の申請があった場合には、すでに年次有給休暇による休業が確定しているので、年次有給休暇に対する賃金を支払う義務があります。 

休業決定の際に、会社が有給休暇の使用を強制することはできません。

また、休業決定後に、労働者が有給休暇に振り替えたいと希望を出してきても、雇用主側は応じる義務はないとされています。

 

台風被害と民事裁判の上訴期間

民事裁判の判決では、控訴期間が2週間と決められています。

この期限に災害が発生し、上訴ができなかった場合には、どうなるのでしょうか。


このような不変期間については、民事訴訟法97条に規定があります。

「当事者がその責めに帰することができない事由」によって不変期間を守れなかった場合には、その障害事由が消滅した後1週間以内に限り、訴訟行為を追完することができるとされています。

追完が認められれば救済されることになります。

大規模自然災害の場合には、この規定で追完が可能とされています。

 

過去の裁判例では、控訴状等が災害で期間内に提出されなかった事例で使われています。

書面発送後の自然災害によって期間内に書面が到達しなかった場合には追完が認められやすいです。ただ、自然災害発生後に、郵便等の遅れを予想できた場合には、追完が否定されることもあるようです。

 

弁護士がついているケースで、災害により本人と上訴の意向確認ができなかった場合に、追完を認めた例もあります。上訴も、費用がかかるので、状況によっては、この追完で救済されることもあるでしょう。

なお、裁判所を使った支払督促に対する異議期間も2週間とされていますが、これも同様に追完の対象となります。

 

台風被害と刑事裁判の上訴期間

刑事事件でも、民事裁判と同じように判決から2週間の上訴期間が決められています。

こちらも類似の救済規定があります。

災害によって上訴提起期間内に上訴ができなかった場合には、刑訴法362条が、上訴権の回復請求を認めています。

事由が止んだ日の翌日から上訴提起期間に相当する期間内に請求しなければならず、同時に上訴の申立てもしなければならないとされます。

これらは書面での手続きが必要です。

 

 

 

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