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FAQ(よくある質問)

 

Q.名板貸の責任とは?

名板貸しとは名義貸しのようなもので、責任を負う制度です。

「ないたがし」と読みます。

自分の氏名や会社の商号を使って、営業することを他人に認めることです。

認めた人を「名板貸人」、認められた他人を「名板借人」と呼びます。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.28

 

名板貸の責任

名板貸をしたことによる責任は、会社法9条に書かれています。

会社法9条

「自己の商号を使用して事業又は営業を行うことを他人に許諾した会社は、当該会社が当該事業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う」

 

これを名板貸責任と呼びます。

名前を貸したのだから、誤解した人を救済するため責任を負ってね、というルールです。

 

名板貸責任の要件

このような名板貸責任を負う要件は次のとおりです。

  • 1 外観の存在
  • 2 名義使用の許諾(帰責事由)
  • 3 取引の相手方の誤認

 

名前を貸すことで、実態と異なる外観ができてしまった、それを真実だと誤解した人を救おうという趣旨です。

ただ、勝手に名前を使われてしまった場合には、名義人には責任がないので、許諾などの帰責事由が必要としているものです。

 

許諾は黙示でも良い

名義使用の許諾という要件については、黙示のものでもよいとされています。

裁判例では、他人が自分の名義を使って営業をしているのを知って放置している場合には、黙示の許諾があったものと判断されています。

ハッキリした許諾がなくても、放置していただけで、会社法9条(会社法が成立する前は商法23条)の適用や類推適用を認め、名板貸人の責任を認めています。

 

このルールは、本来の契約相手以外にも責任追及するものなので、債権回収確率を高めるものです。

債権回収の3つの基本ポイント

 

そこで、いろいろなシーンで、この規定の類推適用が認められるべきだと主張されています。

直接の契約相手に資力がないなど、回収が難しい場合に、名義人に対する責任追及がされているのです。

債権回収時には、一応、検討しておいたほうが良いルールでしょう。

 

スーパーのテナント名板貸についての最高裁判決

最判平成7年11月30日が、有名な最高裁判決です。

スーパーマーケットの中に出店したテナントに関する事案でした。

スーパーマーケット

スーパーマーケットに商法の名板貸人の責任規定を類推適用して責任を認めています。

テナントと買物客との取引に関して、店舗の外部には、スーパーマケットの商標を表示した大きな看板が掲げられていました。

テナントの店名は表示されていませんでした。

 

屋上への階段の登り口にあった屋上案内板や階段踊り場の壁には「ペットショップ」とだけ表示されていました。

結局、この営業主体は、スーパーなのかテナントなのか明らかにされていないとされ、一般の買物客がペットショップの営業主体はスーパーであると誤認するのもやむを得ないような外観が存在したとして、名板貸人と同様の責任を負うと結論づけました。

 

黙認での名板貸責任事例

大阪高裁平成28年10月13日判決でも、黙認による名板貸責任が認められています。

ホテル内で営業しているマッサージ店がありました。

そこで、マッサージの施術を受けた宿泊客。しかし、施術過誤があり、後遣障害を負ってしまったという事例です。

マッサージ店の営業主体がホテル経営会社ではないかと誤認する外観があり、それをホテル経営会社が黙認、宿泊客も誤認していたというケースで、会社法9条の規定の類推適用に基づき損害賠償が認められるとしています。

マッサージ

裁判所は、本件施術が行われた当時、本件マッサージ店の営業主体がホテル経営会社であると誤認混同させる外観が存在したと認め、そのような外観の存在を基礎づける要素のうち、本件イラストマップ、本件案内図等の記載は、ホテル経営会社自身が作出したものであり、また、本件マッサージ店の看板、貼り紙等については、本件協定書の合意に基づいて、ホテル経営会社がマッサージ店に是正を求めることができたものであると指摘しています。

ホテル経営会社は、上記外観を作出し、又はその作出に関与したものと評価することができるから、上記外観を信頼して本件マッサージ店を利用したことにより損害を被った者に対して、会社法9条の類推適用により、損害賠償責任を負うというべきであると結論づけています。

名板貸に近い状態を是正できたのに、黙認していたことにより、損害賠償義務を負うことになった事案です。

 

 

 

業種が違う場合

最高裁は、自己の商号を使って営業を営むことを許諾したとしても、その許諾を受けた者が業種の違う営業を営むときは、特段の事情がない限り、許諾者は、責任を負わないとしています。

最判昭和43年6月13日です。

ただし、事案としては名板貸責任を認めています

この事例は、「現金屋」という商号及び自己の氏名の使用を許諾したケースでした。

名板貸人の営業業種は電気器具販売業。

名板借人の営業業種は食料品販売業。

このような事情であったところ、名板借人は、名板貸人の使用人だったという関係がありました。

名板貸人の営業当時のまま「現金屋」という看板を使い、同一の店舗で営業していました。

このような事実関係のもとでは、誤認して取引をした者に対し、名板貸人は名板貸責任を負うべき特段の事情があるとして責任を認めています。

 

 

このように名板貸責任は、本来の契約当事者以外から、債権回収を図る方法として有効に働くこともありますので、頭に入れておきましょう。

 

 

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