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仮差押えと公正証書

 

最高裁平成29年1月31日第三小法廷決定

すでに債務名義がある債権について、仮差押ができるかどうか争われたケースの最高裁判断です。


事案の概要

抗告人と相手方は、夫婦でした。

協議離婚となりました。その際、公正証書を作成。

2人の子の養育費の取り決めや、抗告人に対する慰謝料100万円の支払合意がされています。

公正証書では、支払がされなかった場合には、強制執行されることを認諾する文言があります。

強制執行認諾条項がある場合、支払を怠ると、強制執行、差押ができます。

財産の差押えには、裁判所の判決などが必要ですが、このような強制執行認諾条項がある公正証書があれば、裁判所の判決がなくても差押が可能です。

そのため、協議離婚で養育費等の長期支払いがある場合、公正証書が活用されることが多いのです。

今回のケースでは、相手方が支払うべき養育費139万円や慰謝料が未払になっていました。

 

自宅への仮差押え

相手方の財産に、自宅不動産がありました。

この土地建物で、相手方は自営で建築業を営んでいました。

担保状況を確認すると、本件不動産には、住宅金融支援機構を債権者とする住宅ローン債権3000万円を被担保債権とする抵当権が設定されていました。

直近の不動産の固定資産税評価額は、土地・建物あわせて1012万円弱でという価値でした。

このような不動産について、抗告人は、仮差押をしたという事件です。

仮差押の被保全権利としては、養育費債権のうち支払期限が到来していない時期の150万円として申立をしています。

 

原審までの判断

一審の東京地裁立川支部では、申立てを却下。

抗告人は即時抗告。


原審の東京高裁でも、抗告棄却。

債務名義が存在する被保全権利につき、なお民事保全制度を利用し権利保護を図る特別の必要性は認められないとしまいた。

その理由として、金銭債権について確定判決等の債務名義が存在する場合には、債権者は、特別の事情のない限り、速やかに差押命令の申立て等による強制執行をすることができるから、原則として、民事保全制度を利用する必要性(権利保護の利益)が認められず、仮差押命令を発することはできないとしています。

例外的な取り扱いとしては、金銭債権について債務名義が存在していても、執行停止命令が発せられているため、その債務名義に基づく強制執行を開始できないような場合など、債権者が強制執行をすることを望んだとしても速やかにこれをすることができない特別の事情がある場合には、認める余地があるとはしています。

そして、本件における被保全権利は、毎月末日払いの養育費であるところ、毎月当月分についての履行期が到来していて、現時点で未払の債権存在するとしています。そうすると、抗告人は、慰謝料等の債権をも含め請求債権として、速やかに本件不動産につき強制競売の申立てをし、手続を開始させることが可能だとしています。

競売手続きという本執行ができるのだから、仮差押のような保全は使えないという理由です。

 

抗告人は、この点について、抵当権のオーバーローンの話も出していました。

この点についても、東京高裁決定は触れています。

本件不動産には長期分割払いの住宅ローン債権と思われる債権を被担保債権とする抵当権が付されています。

そして、抵当権設定から6年程度しか経過していません。

そうすると、不動産の競売を申し立てても、無剰余取消しとなるリスクがあります。

しかし、取消しの可能性は確実なものとまではいえず、執行停止命令が発せられている事例や、実際に強制競売手続を申し立てたが、無剰余を理由として同手続が取り消されているような事例と同列に論ずることはできないとしています。

養育費の支払を受けられない債権者にとって、無剰余取消しが相当程度見込まれる強制競売を申し立てることが経済的にちゅうちょされることは理解できるが、これをもって、速やかに強制執行をすることができない十分な事情があると認めることは困難と結論付けました。


抗告人は抗告許可の申立てを行い、抗告が許可されて、最高裁に行きました。

 

最高裁の決定内容

結論としては、抗告棄却でした。


本件事実関係の下においては、所論の点に関する原審の判断は是認することができる。論旨は採用することができない。


なお、裁判官の反対意見も出されています。

「本件仮差押えに民事保全制度を利用する必要性(権利保護の利益)がないとする原審の判断は是認できない」との反対意見です。

理由としては、権利保護の利益に関して、期限到来分の債権と期限未到来分の債権は別異のものだと。

そして、期限未到来の債権については、債務名義があったとしても、即時の強制執行申立てはできないから、債務名義があることをもって仮差押えの利用の必要性を否定できないとしています。

債権の個別姓から考えると、理論的にはそうなりますね。

さらに、即時の強制執行が可能な債権の強制執行をするか否かは債権者の意思に委ねられており、強制執行しないからといって、期限未到来の債権の保全措置をとることに不利益を課す理由はないとしています。

さらに、本件不動産に対する強制執行を行った場合の無剰余の点に関しては、無剰余とされる可能性が相当程度あるものの、剰余が将来生ずる見込みは否定できないとしています。

 

仮差押とは?

仮差押えは、裁判所の判決など債務名義を取得するのに時間がかかる場合、強制執行をすることができなくなるおそれがあるか、強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに行うことができる手続です。

要は、強制執行までに債務者財産がなくなったり、隠されたりするのを防ぐ趣旨ですね。

まだ、強制執行はできないけど、将来のために財産を押さえておいてくださいという制度。

本当は、まだ強制執行できないはずだから、債務者に損害を与えてはいけないので、担保が必要だったりもします。

このような趣旨からすると、債務名義があるなら、直ちに強制執行を行えば良いので、それを被保全権利とした仮差押えは必要ありません。そのため、原則として認められておらず、例外的にのみ認められるとされていました。

どのような場合に例外として認められるのか争われており、今回のケースでも、その一つの事例となります。

例外として、即時に無条件の強制執行ができない場合には、強制執行までの財産を保全する必要性があることから、仮差押えも許されるという考えもありました。

たとえば、条件、期限が付いている場合、差押え前に執行停止決定が出ているような場合です。

 

期限未到来債権でも仮差押が否定されるケース

本件では、仮差押えの被保全権利とした債権自体は、債務名義があるものの期限未到来のものでした。

期限が来ていないのですから、即時に強制執行はできません。

そうだとすれば、例外的に認められるケースになりそうです。

しかし、最高裁は、これを否定しました。

解説等では、被保全権利とはされていない期限到来分の未払があったことから、そちらで強制執行できることが理由にされているのではないかとされています。

養育費債権の中には、期限が到来して未払になっているものと、期限到来分があります。

これらは別債権のところ、全体としては強制執行が可能なのだから仮差押えは不要としたものではないかとの考えです。

申立をした側としては、あえて期限未到来分を特定して被保全権利の理論構成をしたものと思われますが、これを全体評価されてしまったということですね。

そうすると、このような仮差押をする場合には、全体の債権をチェックされる可能性があると考えて、選択肢を検討しなければならないことになるでしょう。

 

 

 


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