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前科情報と削除請求

 

最高裁平成29年1月31日第三小法廷決定

前科や逮捕情報のような過去の犯罪事実について、ネット検索すると表示されてしまう問題がありました。

そのような事実がいつまでも表示されてしまうのは、プライバシーの侵害になるとして、 争われたケースです。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.28


事案

抗告人は、児童買春の被疑事実により、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成26年改正前)違反の容疑で平成23年11月に逮捕、同年12月に同法違反の罪により罰金刑に処せられました。

 

逮捕情報は、逮捕当日に報道されていました。

そして、その内容がインターネット上の電子掲示板に書き込まれていました。

相手方である検索事業者は、ネット上で検索サービスを提供。

この検索サービスで、抗告人の居住する県と抗告人の氏名を条件として検索すると、逮捕事実等が書き込まれたサイトの検索結果が表示される状態でした。


そこで、抗告人は、人格権(更生を妨げられない権利)に基づく妨害排除請求・妨害予防請求権を根拠に、本件検索結果の削除仮処分を申し立てたという内容です。

 

原審までの判断

第1審は仮処分命令。

相手方が異議申立て。

保全異議申立審も仮処分命令を認可。

相手方は、原決定および仮処分決定の取消し、本件申立ての却下を求めて抗告。

保全抗告審で、相手方の抗告が認められる。この際、抗告人は、「忘れられる権利」、プライバシー権、名誉権も被保全権利として主張。

抗告人が許可抗告の申立て、原審が抗告を許可。


最高裁の判断

抗告棄却。

まず、抗告人の保護されるべき権利は認めます。

「個人のプライバシーに属する事実をみだりに公表されない利益は、法的保護の対象となる」

前科のような犯罪情報もプライバシーとして保護されるものだと認定しました。

 

 

これに対する表現の自由、検索サービスの特性について触れます。

 


「情報の収集、整理及び提供はプログラムにより自動的に行われるものの、同プログラムは検索結果の提供に関する検索事業者の方針に沿った結果を得ることができるように作成されたものであるから、検索結果の提供は検索事業者自身による表現行為という側面を有する。

また、検索事業者による検索結果の提供は、公衆が、インターネット上に情報を発信したり、インターネット上の膨大な量の情報の中から必要なものを入手したりすることを支援するものであり、現代社会においてインターネット上の情報流通の基盤として大きな役割を果たしている。

そして、検索事業者による特定の検索結果の提供行為が違法とされ、その削除を余儀なくされるということは、上記方針に沿った一貫性を有する表現行為の制約であることはもとより、検索結果の提供を通じて果たされている上記役割に対する制約でもあるといえる」

検索して結果を表示されるということも、表現行為だという話です。

検索サービス業者が直接している表現行為ではなく、他のサイトの表現行為を表示しているようには感じるのですが、この構造自体が検索サービス業者の表現行為という認定です。

検索事業者は、媒介者に過ぎず、表現行為をしていないことから責任を負わないとする考えもありましたが、今回の判断は、それも否定しています。

 

削除請求ができる基準は?

2つの利害が対立する構造で、どのような場合に削除請求が認められるべきなのか、その基準を解説していきます。


「検索事業者による検索結果の提供行為の性質等を踏まえると、検索事業者が、ある者に関する条件による検索の求めに応じ、その者のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL等情報を検索結果の一部として提供する行為が違法となるか否かは、当該事実の性質及び内容、当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度、その者の社会的地位や影響力、上記記事等の目的や意義、上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化、上記記事等において当該事実を記載する必要性など、当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので、その結果、当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には、検索事業者に対し、当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当である。」


プライバシー侵害を理由として差止請求を認めた最高裁判決としては、「石に泳ぐ魚」事件があります(最判平成14.9.24)

同判決は、原審の比較衡量による判断基準を前提に、名誉、プライバシー、名誉感情等様々な被侵害利益を取り上げ、あてはめが正当だと認めた判断でした。

今回のように、基準を明確に述べたものではありませんでした。

そのため、今後、今回の判断基準が他の場面でも使われることが想定されます。


児童買春の逮捕事実では?

では、本件のような過去の逮捕事実、被疑事実が児童買春という場合には、どのように判断されるべきなのでしょうか。


「児童買春をしたとの被疑事実に基づき逮捕されたという本件事実は、他人にみだりに知られたくない抗告人のプライバシーに属する事実であるものではあるが、児童買春が児童に対する性的搾取及び性的虐待と位置付けられており、社会的に強い非難の対象とされ、罰則をもって禁止されていることに照らし、今なお公共の利害に関する事項であるといえる。

また、本件検索結果は抗告人の居住する県の名称及び抗告人の氏名を条件とした場合の検索結果の一部であることなどからすると、本件事実が伝達される範囲はある程度限られたものであるといえる。

以上の諸事情に照らすと、抗告人が妻子と共に生活し」「罰金刑に処せられた後は一定期間犯罪を犯すことなく民間企業で稼働していることがうかがわれることなどの事情を考慮しても、本件事実を公表されない法的利益が優越することが明らかであるとはいえない」

犯罪情報というプライバシー性の高い情報であっても、公表されない法的利益とまでは認められないとして、削除請求が否定されることとなりました。

 


「忘れられる権利」

今回の判断では、「忘れられる権利」については取り上げられませんでした。

保全抗告審決定のなかでは、忘れられる権利は、「人格権の一内容としての名誉権ないしプライバシー権に基づく差止請求権と異ならない」とされ、個別に、独自の意義を認める必要がないとされました。

このような忘れられる権利が、独自に認められていくことがあるのか、今後の注目の的となっています。

 


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