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裁判例紹介

歩合給と割増賃金の賃金規定

 

最高裁平成29年2月28日第三小法廷判決の紹介です。


事案の概要

タクシー乗務員とタクシー会社の紛争です。

両者の間には労働契約が締結されていました。


タクシー会社の就業規則に含まれる賃金規則の規定が問題になりました。

賃金規則では、タクシー乗務員に対し、基本給のほか服務手当・交通費・歩合給・割増金(深夜手当・残業手当等)を支給することとされていました。

このうち、歩合給と割増金が問題になりました。

 

賃金規則の規定は次のとおり。

売上高から一定額を控除した金額に一定の割合を乗じた額が「対象額A」

 

割増金の算定は「対象額A÷総労働時間数×割増率(残業手当・深夜手当は025、公出手当は0.35)」という式で算出。

歩合給の算定は「対象額A-(割増金+交通費)」。


このような賃金規則だと、労働者が時間外労働等に従事した場合、割増金が支払われる一方で、その分が歩合給から控除されるという関係になります。

そのため、労働者の賃金は増額されないことになります。

従業員らは、本件規定のうち、歩合給から割増金を控除する部分について、労基法37条および公序に違反し無効等と主張。

タクシー会社に対し、控除された割増金分の未払賃金と付加金の支払を求めて提訴。

 

原審までの判断

一審の東京地方裁判所。

割増金と交通費の合計額が対象額Aを上回る場合を別にして、揚高が同じである限り、時間外等の労働をしていた場合もしていなかった場合も乗務員に支払われる賃金は全く同じになるのであるから、本件規定は、法37条の規制を潜脱するものといわざるを得ないと認定、労働基準法37条は強行法規であることから、控除部分は公序良俗違反で無効と判断。

割増金を控除しないで算定した歩合給との差額支払を命じる。

付加金については、請求棄却。

双方控訴も、東京高裁も一審支持。

タクシー会社が上告受理申立て。

 

最高裁判所の判断

破棄差戻し。


労働基準法37条は、労働基準法37条等に定められた方法により算定された額を下回らない額の割増賃金を支払うことを義務付けるにとどまり、使用者に対し、労働契約における割増賃金の定めを労働基準法37条等に定められた算定方法と同一のものとし、これに基づいて割増賃金を支払うことを義務付けるものとは解されないとしました。

労働基準法37条の定める割増賃金を支払ったとすることができるか否かを判断するには、労働契約における賃金の定めにつき、それが通常の労働時間の賃金に当たる部分と同条の定める割増賃金に当たる部分とに判別することができるか否かを検討した上で、そのような判別をすることができる場合に、割増賃金として支払われた金額が、通常の労働時間の賃金に相当する部分の金額を基礎として、労働基準法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回らないか否かを検討すべきとしました。

そして、割増賃金として支払われた金額が労働基準法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回るときは、使用者がその差額を労働者に支払う義務を負うのだとしました。

他方において、労働基準法37条は、労働契約における通常の労働時間の賃金をどのように定めるかについて特に規定をしていないことに鑑みると、労働契約において売上高等の一定割合に相当する金額から同条に定める割増賃金に相当する額を控除したものを通常の労働時間の賃金とする旨が定められていた場合に、当該定めに基づく割増賃金の支払が同条の定める割増賃金の支払といえるか否かは問題となり得るものの、当該定めが当然に同条の趣旨に反するものとして公序良俗に反し、無効であると解することはできないと結論付けました。

このような理由から、原審は、本件控除部分が労働基準法37条の趣旨に反し、公序良俗に反し無効であると判断するのみで、上記基準での判断をしていない、割増賃金に関する法令の解釈適用を誤った結果、上記の点について審理を尽くさなかった違法があるとしました。

 

 

割増賃金の計算方法は?

労働基準法37条は、法定外時間外労働や深夜労働では、割増賃金を支払わなければならないとしています。

ここで義務付けられているのは、割増賃金の支払で、労働基準法所定の計算方法の採用は含まれていません。

判例では、割増賃金を歩合給等に含める形で定額払いとする方法も、通常賃金と割増賃金とを区別でき、支払われた割増賃金の額が労働基準法所定の算定方法で決められた金額を下回らないのであれば合法としています。

本件の場合、このような定額払いではありませんでした。

割増金の支払がされるものの、割増金が歩合給から控除される計算方法であったため、割増金と交通費の合計が対象額Aを上回らければ、時間外労働をしても賃金が増額されないという関係にありました。

原審は、このような規定では時間外労働をしても賃金総額が変わらないから、労働基準法37条違反、公序に反し無効としました。

最高裁判決は、賃金規則について、定額払いとする方法と同じ基準により、労働基準法37条所定の割増賃金が支払われているかどうかという視点から、違法性を判断しています。

 

賃金規定の適法性基準は?

賃金規則の適法性について、
・通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分を判別できるか、

・割増賃金として支払われた額が労基法所定の方法により算定される金額(「通常の労働時間の賃金」×法定割増率)を下回らないか、

という2つの基準を出しています。

そうすると、「通常の労働時間の賃金」をどう解釈するかが問題になってきます。

 

本件規定での計算方法は次のものです。

売上高から一定額を控除した金額に一定の割合を乗じた額が「対象額A」

歩合給の算定は「対象額A-(割増金+交通費)」。

「通常の労働時間の賃金」を歩合給とすると、これと割増金の判別は容易で、割増金は歩合給より高いはずのAをもとに算定されるので基準を満たすことになりそうです。

しかし、歩合給が「通常の労働時間の賃金」であり、割増金が割増賃金だとすると、「通常の労働時間の賃金」が割増賃金の額によって変わります。

これが本質的におかしいのではないか、労働基準法の趣旨に反するのではないかという疑問も残ります。

この点について「通常の労働時間の賃金」は、割増金を控除しない歩合給と解釈すべきという意見もあります。

すなわち、対象額Aから交通費のみを控除した額とする考えです。

これによると、「通常の労働時間の賃金」と割増賃金に当たる部分は区別されていないことになります。

 

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