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裁判例紹介

デート商法と携帯電話レンタル会社の責任

デート商法

デート商法と携帯レンタル業者の責任についての裁判例の紹介です。

仙台高裁平成30年11月22日判決。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.28

 

 

事案の概要

デート商法で被害が579万円という事件。
デート商法といっても、女性と出会えるという内容で先に送金させ、会ってもいないという詐欺の程度がひどいケース。

その詐欺商法に使われた携帯電話は、レンタルのものでした。
そこで、携帯電話レンタル業者と代表者に対して、損害賠償請求をした事案です。

 

高等裁判所は業者の責任を肯定

原審は電話レンタル業者の責任を否定。

被害者側が控訴し、仙台高裁はレンタル業者の責任を認めました。

最近の詐欺被害回復のためには、携帯電話や賃借物件のように、詐欺に使われたツールを提供していた人への責任追及もすることが多いです。

 

レンタル業者の注意義務

今回の詐欺に使用された携帯電話は、03番号の表示や0120番号の表示ができるタイプ。
→犯罪に利用されやすい。

当時、携帯電話が悪用される詐欺事件は、社会問題になっていた。
この件の貸し出し前に、他の事件で警察からの問い合わせや、別件の訴状が届くなどしており、より注意すべきだった時期であった。

今回の貸付について、偽造の運転免許証が使われたとされている一方で、実際にこの免許証の提示を受けた状況等が記録に残されていない。

後から追加でさらに10台の携帯電話の貸し出しをした際にも、使用目的を確認していない
レンタル料支払いに関しての記録が何も出されていない。

 

レンタル業者の故意まで認める

このような点から、「貸与した携帯電話が、本件で控訴人が被害を受けた電話勧誘によるデート商法詐欺を含む詐欺等の犯罪行為に悪用される可能性が極めて高いことを具体的に認識しながら、そのような犯罪行為を助ける結果が生じてもやむを得ないものと少なくとも未必的に認容した上で、被控訴人会社からAに貸与したものと認めるのが相当である。

このように、被控訴人らが犯罪に悪用されることを未必的に認容していたとの判断は、被控訴人会社がレンタルした携帯電話が実際に犯罪に悪用されていたことを知っていたにもかかわらず、犯罪に悪用されかねない契約の態様等をとっていたことに照らすと、仮に被控訴人Y2が、その供述するように当初の貸与に先立ってAと公園で面会して偽造された運転免許証の原本を確認した事実があったとしても、これにより左右されるものでない。
したがって、被控訴人らには、控訴人が被害を受けた前記第2の2(1)の詐欺被害について、そのような詐欺行為を助け、詐欺による被害が生ずることについて、包括的かつ未必的な故意があったと認めるのが相当である。なお、仮に、故意がなかったとしても、上記認定判断によれば、被控訴人らには、上記詐欺被害が生ずることについて具体的な予見可能性があったということができ、それにもかかわらず携帯電話を貸与したことには過失があるというべきである。」

と、レンタル業者の故意まで認定しています。

ツール系、インフラ系の責任追及をする際には使える裁判例でしょう。

 

動画でも解説しています。

 

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