
事例紹介
自己破産ケース紹介
鎌倉市の自己破産事例
80代 / 女性 / 無職
借入の理由:保証人
鎌倉市にお住まいの80代女性のケースです。
亡くなった夫が経営していた会社の役員に形だけなってしまっており、その進め方が問題となりました。
この記事は、
- 鎌倉市にお住まいで自己破産の検討をしている
- 法人の名目的な取締役だが自分だけ破産したい
という人に役立つ内容です。
法人代表者のみの自己破産
相談者は、法人の代表者として登記されていました。
実質的には、亡くなった夫が経営していた会社といえます。
不動産販売を事業としていたものの、相談者は、役員報酬を受けたこともなく、名目的取締役とされていただけでした。
法人代表者の自己破産
法人代表者の自己破産では、原則として、管財手続となります。
簡単な同時廃止手続で進めることができるのは稀です。
法人に借金があり支払不能であれば、代表者の自己破産と同時に法人の自己破産も進めるべきとされます。
これができないとしても、法人の破産手続きを進めなくて良いか調査するため、破産管財人が選任されるのが通常です。
しかし、本件では、代表者としての活動はしていませんでした。
名前だけ代表者ではあったものの、実際の活動はなく、名目的な取締役という立場でした。
そこで、相談者のみ自己破産の申立をしました。
裁判所に対しては説明を行い、管財手続ではなく、簡単な同時廃止手続で進めてもらうことができました。
名目的取締役の経緯
法人自体は夫が設立したものでした。
当時、定年間近だった夫が、別荘地の造成・販売をはじめました。そのために、法人を設立しました。ただ、当時は会社勤めだったことから、相談者が役員になったという経緯でした。
今でも、副業禁止の会社等に勤務している際に、妻が役員となり法人を稼働させることも行われています。
当時、土地の取得費用は、夫個人で借入れを行い、妻である相談者が保証人になっていました。また、相談者が土地を所有していた自宅にも担保を設定するなどしていました。
そのような場合、妻の自己破産だと、今回のような問題が発生することになります。
法人の経営悪化
会社を設立し、造成が終わった頃には、バブルが崩壊し、別荘地は全く売れなくなっていました。
夫や債権者の銀行は、地元不動産会社に頼むなど、別荘地に販売に動いていたものの、売れなかったようでした。
その後、対応や返済を少しずつ進め、数年前には、担保に入れていた自宅を売却し、売却代金は担保権者に返済するなどしていました。
このような動きは夫が主導して進めていました。
ところが、夫が亡くなってしまいました。債務の支払について銀行と相談するも、支払は難しいと考え、自己破産の相談に来たという経緯でした。
法人破産についての意見書
法人の申立が必要ではないとの意見書を提出しています。
申立人は会社の代表取締役であるものの、同社に負債はなく、破産手続開始原因が存在しないため、同時処理は不要と報告しています。
また、同社には申立人の他に取締役がいることから、代表取締役である申立人についてのみ破産手続を行ったとしても、仮に抵当権実行手続などがあったとしても特段の支障は生じないことも主張しています。
これにより、代表者のみの自己破産でも同時廃止で進められることとなりました。
夫が管理していた通帳
自己破産では、通帳などで預金取引の明細を提出します。その際に、説明が必要な取引も多いです。
今回のケースでは、三菱UFJ銀行の通帳について、夫が管理していたことから、説明を求められる点も多かったです。
たとえば、夫宛の振込などもあり、夫の債務支払のため資金を移動していたものと推測される取引がありました。
これらについて、もともとの預金残高が申立人の資産ではなく、夫自身の収入、つまり、申立人の財産とは関係がない取引であることを示すなどしています。
法人の状況説明
法人破産は同時に申し立てないとしても、代表者であることから、法人の説明についても、わかる範囲でしています。
仮に、法人に相当額の資産があれば、要調査として管財手続にされることになるでしょう。
まず、設立の経緯ですが、そもそも、夫が、不動産事業のために設立した会社でした。
定年が近かった夫は、地方の土地を購入・造成して販売しようと会社を設立。
ただ、定年前で会社に在籍している時期に設立したことから、夫は役員とならず、相談者と娘夫婦が役員になりました。
会社を実際に経営していたのは夫でした。
そのため、相談者や娘夫婦は、夫から聞く限りでしか会社のことを知りませんでした。
また、会社は長らく休眠状態で、最近は決算も行っていませんでした。
決算書があれば、その説明を求められることになるでしょう。
法人の事業内容,過去及び現在の営業状況
会社の事業は、不動産売買と聞いていました。
登記上は「不動産の賃貸及び管理業務」が会社の目的となっていますが、なぜそのような登記になっているかは分かりませんでした。
平成元年頃に土地を購入しましたようですが、その直後にバブル経済が崩壊し、土地は塩漬け状態に。
不動産仲介業者を通じて土地を売りに出していたが、買手は見つからなかったとのことでした。
会社の資産については、その土地だけと聞いていました。ただ、これらの土地も買手が付かないもので、実質的な価値はない状態でした。
原野商法などの不動産でもそうですが、不動産があるからといって財産価値があるとは限りません。
売れない不動産は、むしろマイナスの財産ともいえます。
会社の債務もない
土地の取得費用は、夫名義で借入れをしていました。
そのため、法人に債務はありませんでした。
ただし、会社で取得した土地には、夫の債務の担保が設定されていました。
このような点から、法人破産の申立はできず、また、代表者のみの自己破産申立てでも破産管財人は不要との判断をしてもらうことができました。
夫自身の相続財産と相続放棄
夫が主たる活動をしていたため、亡くなったとなると相続問題が出てきます。
夫の遺産としては、土地の他、銀行に数十万円の預金口座がありました。
ただ、土地は担保に入れていましたし、銀行の残高は相殺される見込みでした。
相談者や娘は、相続放棄をしています。
相続放棄をしているため、こちらも財産性はなく、調査をする必要性もないと判断されています。
代表者のみの自己破産で同時廃止で進められることは少ないのですが、実質的な役員ではなかったことを示せれば、可能性は出てくることでしょう。
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