取扱業務
債権回収
誰に請求できるか
債権回収の際に、まず大事なのは、法的に、誰に請求をすることができるか、という点です。あなたの債権がそもそも法的に請求可能なものなのか、可能だとして、その相手方は誰なのか、検討する必要があります。
契約関係にない相手方に対して、契約を根拠に請求することはできません。
損害賠償請求などをする際にも、法的な根拠が必要になります。
どのように回収するか
相手方に対する請求が法的に可能だと判断できた場合、次に方法を検討します。法的に認められる債権を、どのように回収していくか、という問題です。
交渉で支払ってもらうよう頑張るか、訴訟などを含めた法的手続をとるか。
たとえば、相手方が言い分もないのにこちらの請求を無視している場合、簡易裁判所へ支払督促の申立をすることが考えられます。
また、相手方に財産があり、これを事前に押さえておきたい場合には、仮差押え手続を併用することが有効です。
証拠の確認
交渉で債権が回収できる場合には、契約書がなくても問題は起きにくいです。しかし、訴訟など法的手続をとる場合、相手が債権の内容を争ってくる場合があります。争われた場合には、債権があることを証明しないといけなくなります。
何らかの証拠が必要になってきます。
法律上、契約は口頭でも成立します。しかし、細かいところを証明しようとすると、口頭でのやりとりだけだと非常に曖昧です。そのため、契約書などの書類があった方が良いのです。
債権回収の初期段階で、証拠になりうる資料を集めたり、作成するなどしながら交渉を進めると良いでしょう。
債権が消滅してしまっていないかの確認
債権は、消滅時効にかかります。債権の性質によって、一定期間放置した場合、相手が「時効です」と主張すると、債権があると主張できなくなります。本格的な債権回収に入る際に、まず時効期間を経過してしまっていないか、チェックする必要があります。
時効期間が迫っている場合には、内容証明による督促などをして早期に時効を中断させたうえで、本格的な債権回収に移る必要があります。
相手方の支払意思や資力の確認
どのような方法により債権回収をするかを検討する際、相手方に支払う意思があるのか、資力があるのかを検討する必要があります。
訴訟などを起こして勝訴判決をもらっても、相手に資力がない場合、極端な場合は倒産されてしまった場合、十分な回収はできません。
このような場合、結果論としては、時間をかけて勝訴判決をもらうより、減額してでも早期に一定額を回収した方が良かった、ということになります。
もちろん、相手方の資力がどうなるかは、相手方の事情によるので正確にはわかりません。ただ、一定の調査をすることで、予想の精度は上がります。時間をかけることのリスク要素として考えておくべきでしょう。
相手方に支払う意思があるものの資力がない、という場合、費用をかけて訴訟手続をするより、交渉などで支払の合意をし、強制力は公正証書など他の方法によった方がコストを抑えられることも多いです。
債権譲渡等による債権回収
相手方に現金がないものの、第三者に対する債権がある場合、これを差し押えることが可能です。ただし、法的に相手方の財産を差し押えるには、裁判所の判決や公正証書など強い効力をもった公的書面が必要になります。裁判を起こす前に財産を押さえておく仮差押えという方法もありますが、一定の要件が必要であったり、担保として一定額の保証金を裁判所に納める必要があります。
第三債務者の協力が得られる場合、債権を第三債務者に譲渡し、譲渡代金で回収するという手法も使われます。
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