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ネット誹謗中傷の削除請求、発信者情報開示、損害賠償請求

 

誹謗中傷、名誉毀損への対応

インターネット上の誹誇中傷、名誉毀損、プライバシー侵害、著作権侵害等によって被害を受けている場合、まず、その情報を削除することが優先でしょう。

その後、情報発信者に対して責任追及を行う場合、民事上の請求として損害賠償請求や謝罪広告等、刑事上の責任追及として名誉毀損罪での刑事告訴等があります。これらを行うために、発信者情報開示により相手を特定する必要があります。

つまり、対応として

・削除請求

・責任追及のための発信者情報開示請求

の2つが大きくあります。

そして、2つともに、複数の手段があります。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.28

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削除請求

インターネット上の情報発信によって、権利が侵害されている場合、その情報を削除することが最優先でしょう。

法的性質としては、人格権が違法に侵害されている場合、人格権に基づく差止請求権として削除を求めることになります。

この差止請求権が認められるためには、故意や過失などの主観的要件は不要とされています。不法行為よりも緩やかな要件です。違法性判断のなかで、発信者の表現の自由と、どちらを優先するかを判断していくことになります。

 

 

まず、誰に対して削除請求をするかが最初の問題になります。

最初に、権利侵害がされているサイトを特定します。URLや該当箇所を特定し、キャプチャ、印刷等の証拠確保をします。

サイト内に削除フォームや連絡先がされば、そちらから削除請求の依頼をする方法が考えられます。

サイト上に記載がない場合、Whois情報で管理者を調べます。ドメイン等の管理者の情報がわかり、そこから発信者を特定できることもあります。

 

証拠の保存

サイト上の記事、投稿については、後日、損害賠償請求等で証拠として使うものですので、証拠として保存しておく必要があります。

投稿内容の部分と、URLがわかる状態で保存します。サイトをプリントアウトする方法、サイトデータを保存する方法、画像として保存する方法があり、複数の方法で保存しておくのが無難でしょう。

URLがわかる状態でスクリーンショットをとり、画像として保存するなどの方法です。

一連の表示を動画で撮影するということもあります。

サイト管理者への削除請求

個人作成のウェブサイトやブログであれば発信者自身が削除できるので、発信者に対して削除請求します。

サイト上から発信者が特定できるか、連絡方法がわかるかを確認したうえで請求することになるでしょう。

設置されているフォームから請求することも多いです。問題の投稿を特定した上で依頼します。

なお、 フォームから削除請求を行う場合、発信者情報開示請求を予定していること、アクセスログを消去しないでほしいという要求は記載しておくべきです。このような記載がない場合、アクセスログ自体を消去されてしまうこともあります。

 

これに対して、クチコミサイトなど多数のユーザーが情報発信しているサイトの場合、一度投稿を行ったユーザーが投稿の削除や修正をできないことがあります。

このような場合、削除できる権限はサイトの管理者やサーバーの管理者がにあるので、そちらに削除請求する必要があります。

 

 

 

プロバイダに対する削除請求

プロバイダに対する削除請求の場合、プロバイダ責任制限法の規定を意識する必要があります。

いわゆるプロバイダ責任法は、正式には、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律といいます。

この法律の3条2項では、プロバイダが発信者の情報を削除するなどした場合、原則として賠償義務があり、例外的に以下の場合には責任がなくなるとしています。

・他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったとき。
・自己の権利を侵害されたとする者から、削除等の申出があった場合に、発信者に対して削除に同意するかどうかを照会し、七日を経過しても同意しない旨の申出がなかったとき。


プロバイダに対する削除請求では、この要件を意識する必要があります。

この請求では、テレコムサービス協会の書式があるので、そちらを使い請求するのが通常です。

テレコムサービス協会は活動の1つとして、プロバイダ責任制限法関係のガイドラインの作成・公表をしています。
このガイドラインで、ネット上の権利侵害について削除を求める手続が説明されています。

この削除請求である「送信防止措置依頼書」には実印を押し、印鑑証明書(発行から3か月以内)を添付します。

請求を受けたプロバイダは、発信者に対して、7日~14日の期限を設けて、意見照会をします。

発信者からの反論がなければ削除されるのが通常です。

 

検索エンジンへの削除請求

Google等の検索エンジンに対する削除請求については、最高裁決定を意識する必要があります。

最高裁平成29年1月31日決定。

検索事業者が,ある者に関する条件による検索の求めに応じ,その者のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL等情報を検索結果の一部として提供する行為が違法となるか否かは,当該事実の性質及び内容,当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度,その者の社会的地位や影響力,上記記事等の目的や意義,上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化,上記記事等において当該事実を記載する必要性など,当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので,その結果,当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には,検索事業者に対し,当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当である。

プライバシー等から、公表されない利益の優越性を示す必要があります。

 

プロバイダ責任法による発信者情報開示

サイト上から発信者が誰なのか特定できる場合には、その相手に対して損害賠償請求をすれば良いことになります。

これに対し、特定できない場合が問題です。

 

インターネット上での権利侵害について、損害賠償請求の前提として、誰が情報発信者なのかを特定する必要があります。

ここで、プロバイダ責任制限法による発信者情報の開示請求がスタートになります。

プロバイダ責任法4条1項では、インターネット上の匿名での情報発信について、発信者の住所氏名等の情報を持っているプロバイダに対し、発信者情報の開示請求権を認めています。

この請求には

・当該情報の流通によって自己の権利が侵害されたことが明白であること
・発信者情報の開示を受ける正当な理由が存在すること
等の要件が必要です。

正当な理由としては、

発信者に対する削除請求

民事上の損害賠償請求

刑事告訴のためなどが挙げられます。

 

この開示請求の相手方は、特定電気通信役務提供者とされます。

ここには、サーバー提供者、電子掲示板の管理者、インターネットサービスプロバイダのほか、インターネットへの接続サービスをしている経由プロバイダも含まれます。

 

開示請求できる発信者情報は、プロバイダ責任制限法の発信者情報を定める省令で決められています。

発信者その他侵害情報の送信に係る者の氏名または名称、住所、発信者の電子メールアドレス、発信者が通信を行った際に用いたIPアドレスと、ポート番号(接続元ポート番号)、SIMカードの番号、侵害情報が送信された年月日および時刻等(タイムスタンプ)です。

このIPアドレスには、ログイン型投稿の場合のログイン時のIPアドレスも含まれるとされています。

この手続をとった場合、発信者に対して意見照会をしますが、プロバイダ側で発信者のメールアドレスなど連絡先を把握していない場合には、意見照会ができないことになります。権利侵害が明らかだと判断されれば情報が開示されますが、そうでない場合には、仮処分等の裁判手続きが必要です。

 

 

2回の開示請求

プロバイダ責任制限法は、その業者が持つ情報を開示させる手続です。

しかし、業者が持っている情報は限られているため、発信者を特定するためは、

サーバー管理者等(コンテンツプロバイダと呼ぶこともあります)が持つ情報発信に使用されたIPアドレスの記録

アクセスプロバイダ(経由プロバイダと呼ぶこともあります)が持つ、IPアドレスが割り当てられた際の記録

の2つが必要です。

 

IPアドレスは、インターネットに接続している端末を識別するために使われる符号です。数字の羅列です。

毎回、同じIPアドレスが付与されるわけではありませんが、識別のため、重複することはありません。

ネット上でアクセスしたり、書き込みの際には、それを使っている端末(パソコン、スマホ等)には、必ず、IPアドレスが付与されています。


このIPアドレスはICANNという団体が一元的に管理しています。そこから、アクセスプロバイダに割り振られ、各利用者に割り当てているのです。

 

したがって、発信者の特定をするためには、少なくとも2回は発信者情報開示請求が必要です。

 

発信者情報の保存期間

発信者情報の開示請求では、相手がその発信者情報を保存していなければ開示してもらえません。

発信者等によるアクセスログについて保存期間に決まりはありません。

開示請求では、少なくとも2回の請求が必要です。

サーバー側のアクセスログと、アクセスプロバイダのアクセスログです。

発信者を特定するには、両方のアクセスログが残っていないといけません。

大手のアクセスプロバイダが、アクセスログを保存している期間は、3~6か月のことが多いです。

このような理由で、サイトへの投稿から3カ月以上の期間が経過している場合、ログが残っていないという理由で、発信者の特定までたどり着けないこともあります。

 

仮処分

サイト管理者等に対し、裁判外の請求でも応じてもらえなかった場合、民事保全法の仮処分手続を利用することが多いです。

削除請求で使うこともありますし、発信者情報開示請求でも使う手続です。

「債務者は、別紙投稿記事目録記載の投稿記事の下線部分を仮に削除せよ」

「債務舎は、債権者に対し、別紙発信者情報目録記載の情報を消去してはならない」

「債務者は、債権者に対し、別紙発信者情報目録記載の情報を仮に開示せよ」というような申立をします。

 

サイト管理者等に対する発信者情報開示請求では、情報開示までに時間がかかると、アクセスプロバイダ側のアクセスログ保存期間が経過してしまうことがあるので、より早い仮処分手続を使います。

削除請求については、被害者住所に裁判管轄があります(不法行為地)。

被害者が自分の住所でサイトを見たという構成です。

 

発信者情報開示請求の仮処分は、不法行為とは違うため、債務者住所に裁判管轄があります。

外国企業の場合、日本国内に主たる支店・営業所、主たる業務担当者が日本国内に住所を有するような場合には、日本国の裁判管轄が認められます。
そうでない場合も、民事訴訟法3条の3第5号の「日本において事業を行う者」として管轄を認めてもらうことが運用上は多いです。

発信者情報開示請求については、日本国内に営業所等がなく、管轄裁判所が定まらな場合、民事訴訟法10条の2、民事訴訟規則6条の2により管轄裁判所は東京地方裁判所となるとされます。

そのため、削除請求が不法行為地、発信者情報開示請求が東京地裁、と異なる裁判所での取り扱いになります。

発信者情報開示請求の際に、別途不法行為による損害賠償請求を構成して併合することで、原告住所地での管轄裁判所に起こすことも考えられます。

 

外国企業に対する手続の場合、翻訳文を送る必要があります。ただ、多くの海外企業は、仮処分が申し立て後、日本国内の弁護士を代理人として選任するので、その後の翻訳は不要となります。

仮処分では、通常、双方審尋期日が設けられます。

なお、保全の必要性は、アクセスプロバイダ側のアクセスログ保存期間の問題のため、発信者情報特定のために、これが不要な場合、たとえば、サイト管理者自身が権利侵害者であるような場合には、仮処分は使えず、サーバー管理者に対して契約者の発信者情報開示請求訴訟を起こします。

 

仮処分の担保金

双方審尋期日の後、問題なければ、仮処分決定が出されます。

それに先立ち、担保金を供託する必要があります。

担保金の金額は、裁判官から伝えられます。

事案によって金額は変わりますが、およその額は次のようなものです。

削除仮処分:3 0万円程度~事案によって5 0万円程度
発信者情報開示仮処分、発信者情報消去禁止仮処分:10~30万円程度

 

担保決定が出たら、供託は法務局で行います。

供託書を裁判所に提出、目録や郵券を裁判所に合わせて出します。

削除について仮処分というと、仮の手続なので、元に戻ってしまう可能性があるのではないか考える人もいますが、通常は削除されたままになります。

 

 

担保金については手続き終了後に取り戻すことになります。

仮処分と同様の裁判を起こし、本案で全部勝訴判決が確定した場合と、そうでない場合によって手続が変わります。

勝訴判決の場合、判決確定証明書を取得し、仮処分の裁判所に、仮処分取下げ、担保取消申立て、供託原因消滅証明申請をします。

それ以外の場合には、仮処分の裁判所に、仮処分取下げ、担保取消申立て、供託原因消滅証明申請のほかに、権利行使催告申立てをします。相手方に損害が出ているかの確認をする手続です。相手の、同意がある場合や和解調書により同意条項がある場合には、これを代わりに出します。

 

 

IPアドレスから、アクセスプロバイダの割り出し

サイト管理者等に対する発信者情報開示請求が認められると、各投稿に対するIPアドレス、タイムスタンプ情報が開示されます。

このIPアドレスから、割り振られたアクセスプロバイダを確認し、今度は、アクセスプロバイダに対して、発信者情報開示請求をすることになります。2段階目の請求です。

第1段階の開示では、通常、発信者の氏名等の情報はわかりません。

投稿に使用されたIPアドレス等のアクセスログのみ開示されます。


IPアドレスからでは、投稿時に使用されたアクセスプロバイダを調べることはできても、発信者の住所・氏名などの情報には直ちにはつながらないのです。

そこで、投稿日時において、このIPアドレスが誰に割り当てられていたかを調べていくことになります。

IPアドレスからアクセスプロバイダを調べるには、「whois検索」を使います。

これにより、アクセスプロバイダが、たとえば、KDDI、ソフトバンクのように特定できるのです。

 

アクセスプロバイダに対する発信者情報開示請求

アクセスプロバイダが特定できたら、発信者情報の開示請求をするのですが、通信の秘密があるため、投稿を特定し、「この投稿者の住所・氏名を開示せよ」としても開示はされません。

IPアドレスとタイムスタンプの情報を使い、その日時に、このIPアドレスを割り当てられていた人、の情報を求めるという形で開示請求します。

この請求は、訴訟を起こすことになります。訴額は160万円とみなされ、管轄裁判所は相手のアクセスプロバイダの住所地の地方裁判所となります。

テレコムサービス協会の書式による開示請求をすることもできますが、アクセスプロバイダが任意に情報開示をすることはなく、訴訟が必要です。ただ、早く意見照会をして、投稿者の行動を抑制するために、この開示請求をしておくことも考えられます。

 

それと並行して、アクセスログを消去しないよう求める必要があります。訴訟での判決までかかる時間を考えると、通常のアクセスプロバイダの運用だと、アクセスログが保存されている期間が経過してしまうためです。3ヶ月程度でアクセスログを消してしまうところもあります。

保存を依頼する情報は「この時間に、このIPアドレスを使用した契約者の情報」となります。

この保存については、任意に応じてくれるアクセスプロバイダが多いですが、応じてくれない場合には、発信者情報消去禁止仮処分の申立をすることになります。

仮処分をした場合に、一定期間はアクセスログを保存する、その期間に、当方が発信者情報開示請求の訴訟を起こすという内容の和解が成立することもあります。

 

開示訴訟の提起により、被告となったアクセスプロバイダ側は、問題投稿の発信者に対して、情報開示に同意するか意見照会します。発信者自身が開示に同意すれば、判決を待たずに任意に開示されます。

同意しない場合には、裁判が進みます。

裁判の第一回期日では、意見照会の回答が間に合わないことも多いです。

発信者情報開示裁判は、この回答をふまえて、2~3回程度の期日で終結となります。

 

発信者の特定

アクセスプロバイダからの開示により、発信者が特定できれば、損害賠償請求等を進められます。

これに対し、開示された情報だけでは、まだ発信者が特定できないこともあります。

職場からの投稿、ネットカフェからの投稿のような場合です。

この場合、アクセスプロバイダから開示される契約者情報は、プロバイダ契約をしていた会社の情報となります。

発信者の特定ができない場合、さらに調査が必要です。

会社等に照会をかけて特定していくことになります。

 

 

発信者に対する損害賠償請求

インターネット上への投稿で、名誉権等の権利が侵害された場合、不法行為に基づく損害賠償請求ができます。

内容証明郵便で請求することもありますし、最初から裁判を起こすこともあります。

損害賠償請求訴訟の中では、反論として、被告が投稿自体を否定することもあります。

たしかに、発信者情報開示請求で開示された情報は、通信契約の名義人情報です。

名義人が投稿者であるところまでの確定はできません。

しかし、そのネット環境を利用できるのは、契約者や同居家族等に限られます。

もし、自身が投稿者でないと否定するのであれば、投稿者の特定を求釈明等でしていくことになるでしょう。

事実上、ある程度の推定が働いているような状態と考えて良いでしょう。

 

発信者に対する弁護士費用の請求

ネット上の書き込みに対する損害賠償請求は、まず発信者情報開示請求からしなければ、現実的には難しいです。

そして、発信者情報開示請求は、保全処分や民事訴訟などが必要で、弁護士に依頼せざるを得ないことがほとんどです。

そのため、発信者に対する損害賠償請求をする際、発信者情報開示請求に要した弁護士費用も損害に含めるべきです。これを認めた裁判例も多数出ています。

全額が認められるとも限られませんが、請求自体はしておくべきといえるでしょう。

 

同定可能性

削除請求や発信者情報開示請求をするには、自分の権利が侵害されていると他人から理解できる必要があります。これを同定可能性と呼びます。

伏せ字、イニシャル等の問題です。

このような場合でも、文脈から誰のことか分かるのであれば、同定可能性はあるとされます。

ハンドルネームのような場合、現実の人物と結びつけられるかどうかがポイントになります。

同定可能性については、名誉毀損などの過去の裁判例も参考になります。

最高裁平成14年9月24日判決では、一般読者にとっては同定可能性がなくとも、原告の属性のいくつかを知る者にとって同定可能なら、権利侵害が認められる可能性があるとされています。

 

名誉毀損の内容

名誉毀損には、事実型と意見型があると言われます。

事実を摘示しているかどうかです。

たとえば、「Xは風俗で働いていた」という記載は事実を述べています。

このような記載なのか、「Xはいやらしい」のように単に意見を述べるものかによって変わります。

名誉毀損による損害賠償請求が認められるかどうかは、事実型以外に、意見型でも認められる可能性はありますが、違法性阻却事由の構成が両者で違うとされるので、主張の際は区別した方が良いでしょう。

ある表現をしていたとしても、それが事実を述べているのか、評価を含む意見を述べているのか、どちらとも取れる表現もあります。主張としてはどちらなのかハッキリさせることになります。

名誉毀損が認められるには、記載がその人の社会的評価を低下させる危険を有することが必要になります。

 

名誉毀損への反論

名誉毀損の主張に対する有効な反論として、真実性の抗弁と相当性の抗弁があります。


真実性の抗弁は、
1 公共の利害に関する事実に係ること
2 もっぱら公益を図る目的でなされたこと
3 重要な部分の内容が真実であること
4 (論評としての域を逸脱したものでないこと)
の各要件を満たすことで、名誉毀損行為の違法性を阻却するという内容です。

相当性の抗弁は、真実性の抗弁の要件中、3の真実を満たさなかった場合でも、真実だと信じたことについて相当の理由がある場合に故意過失が否定されるものです。

 

侮辱行為

名誉段損は記載内容が社会的評価を低下させる行為ですが、それ以外に、ネット上での侮辱行為が問題になることも多いです。

事実の摘示もなく、他人の名誉感情を侵害する行為があった場合、侮辱行為として損害賠償請求ができるケースもあります。

侮辱行為として認められるには、相当の悪質性が必要とされています。

 

 

なりすまし

ネット上やSNSでは、なりすまし被害の問題になります。

ネット上で、あなたになりすまし、あなたの発言であるかのように情報発信をされてしまうことがあります。

SNS上でつながっている人や第三者に、なりしまし発信が、あたかも、あなたの言動であるかのように受け止められてしまうのです。

このようななりすましが、名誉毀損、プライバシー侵害、肖像権侵害等に該当することもあります。

そのような場合には、各権利侵害を理由に損害賠償請求をすることが考えられるでしょう。

これらの侵害がない場合でも、最近は、アイデンティティ権の侵害として損害賠償請求ができるという考え方、裁判例も出てきています。

 

リベンジポルノ

通称「リベンジポルノ防止法」、正式名称「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」により、リベンジポルノは規制されています。

リベンジポルノは、配偶者や交際関係にあった相手が、離婚等、交際関係が破たんした腹いせに、裸の画像や動画などの性的画像を無断でネット等に公開することです。

リベンジポルノ防止法では、このような行為を刑事処罰の対象にしています。


リベンジポルノ防止法では、刑事処罰等の規制はあるものの、ネット上の画像、動画を削除するよう求める権利は直接認めていません。

性的な画像は、通常、プライバシーの侵害となります。

これらの削除請求については、プライバシー権侵害等により削除請求をしなければなりません。

プロバイダ責任制限法での意見照会期間について、リベンジポルノでは2日間に短縮されています。

 

営業妨害と削除請求

個人間の削除請求では、名誉権やプライバシー権が問題になることが多いです。

これに対し、法人を含め事業者の場合、営業妨害の問題があります。

 

営業権も、発信者情報開示請求で保護される権利に含まれるので、営業権侵害として発信者情報開示請求はできます。

これに対して、削除請求については、裁判例では否定されています。

そのため、削除請求をする際には、営業権侵害ではなく、名誉毀損等の人格権侵害にした理論構成が必要だとされています。

 

商標権の侵害

商標権は、登録を受けることにより、指定された商品やサービスについて独占的に使用できる権利です。

商標権の侵害として認められるためには、自社の商品やサービスとして売るためにその商標を使用されている必要があります。

他人が投稿で、その商標名を記載していたとしても、自身の商品等を売るものではなく、批評であるという場合には、商標権の侵害にはなりません。

 

 

ホストラブでの誹謗中傷

夜の仕事に関する掲示板です。

その性質上、匿名での投稿となり、損害賠償請求等までするのであれば、発信者情報開示請求が必要です。

名誉毀損等の主張をする際、源氏名と被害者との結びつきや、その投稿が、その源氏名に対してなされているか等の検討が必要になります。

運営者は非公開ですが、国内業者です。

 

 

Twitterでの誹謗中傷

つぶやきサービスのTwitterでの誹謗中傷相談は多いです。

気軽に投稿できてしまうことで、つい行き過ぎた発言をしてしまいがちです。

日本国内へのサービスは、アイルランド法人 Twitter lnternational Companyが主体となり展開しています。そのため、法的手続きをとる場合には、同社を相手にすることになります。

削除請求については、サイト上に設置されているウェブフォームから請求できます。

 

Twitterは、ログイン型投稿のサービスです。個々のツイート時のIPアドレスは記録がされていません。

投稿に関する発信者情報開示請求ではなく、対象投稿をしたアカウントへのログインに用いられたIPアドレス、ログ
イン日時の開示を求めます。

対象投稿から時間が経ってしまっていても、最近のログイン情報から、発信者を特定できる可能性があります。

 

日本国内に営業所を持たない外国法人のため、発信者情報開示請求は東京地方裁判所、削除請求は債権者住所地に裁判管轄があります。

 

Facebookでの誹謗中傷

Facebookは実名SNS。

誹謗中傷の投稿が実名で行われている場合、他の情報から発信者を特定でき、発信者情報開示請求が不要なこともあります。

ただ、実名以外でのアカウント登録をされている場合には、Twitterと同様に発信者情報開示請求をする必要があります。

Twitterと同じく、ログイン型の投稿です。

Facebookはアメリカ合衆国カリフオルニア州のFacebook,Inc.が相手となります。

通常のルートで資格証明書を取得しようとすると、1ヶ月程度かかってしまいます。

なお、インスタも相手は同じです。

 

 

Google マップでの誹謗中傷

事業者からの誹謗中傷相談で増えているのがGoogleマップでの口コミ投稿です。

経路検索でも表示されることから、影響力が強く、ネガティブな口コミ投稿について相談が増えています。

Googleのフォームから削除請求をするか、Google相手に裁判をするかという選択になります。

裁判や仮処分を提起する場合、相手は、カリフオルニア州のGoogle.LLCになります。

資格証明書の取得に時間がかかるのはFacebookと同じです。

 

 

Amazon口コミによる誹謗中傷

ネット通販のAmazonでは、商品に対する口コミが投稿できます。

書籍のレビューなどで、口コミの範囲を超えた著者の人格に対する誹謗中傷がされた場合に、発信者情報開示請求が使われます。

 

Amazonに対する手続では、日本のアマゾンジャパン合同会社を相手にすることでも進められます。

Amazon特有の方法として、問題投稿をおこなったアカウントに登録している住所・氏名の開示請求があります。

IPアドレス経由よりも、早く投稿者にたどり着けることが多いです。

 

 

削除、発信者情報開示請求の代行業者

誹謗中傷投稿の削除や発信者情報開示請求を対応するとする代行業者、行政書士、司法書士もいますが、弁護士法違反と思われますので、ご注意ください。

弁護士法72条では、弁護士または弁護士法人以外の者が、報酬を得る目的で法律事務の取扱いをすることを禁じています。

削除請求や発信者情報開示請求をするためには、自分の権利が侵害されたという主張をすることになり、法律事務にあたるでしょう。

そのような業者が、実質的に顧客の代わりに活動すれば非弁行為です。

「○○相談センター」のような公的機関っぽいネーミングを名乗っている場合もありますので、ご注意ください。

 

 

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弁護士 石井琢磨 神奈川県弁護士会所属 日弁連登録番号28708

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