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民事裁判の証人尋問

 

証人尋問の原則

民事裁判で、証人尋問や当事者尋問をおこなうことも多いです。

その場合のルールについて紹介しておきます。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.28

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証人・当事者として尋問を受ける場合に、参考にしてみてください。

動画でも解説しています。

 

証人尋問の持ち物

証人尋問が始まる前に宣誓をします。

その宣誓書に署名・押印しますので、印鑑を持って行くようにしてください。

 

証人尋問時の服装は?

証人尋問時の服装について質問を受けることがあります。

法律では、決まりはないです。

ジャージはNG

正装に準じる服装で・・・

等と書かれている法律はないです。

「裁判官が服装で判断を間違えることはないだろう」

と考える人もいます。

 

しかし、多くの事件では、弁護士をつけていると、裁判官に初めて見られるのが当事者尋問の場となります。

そのため、第一印象が尋問時の外見ということもあります。

裁判官も人間であり、人の見た目に影響されていると感じるケースは多いです。

できるだけしっかりした服装をしておいた方が無難でしょう。

 

スーツ

 

証人尋問時の退廷ルール

通常、証人尋問期日で、2人以上の証人尋問をする場合、後から尋問する証人は退廷させられます。

後から尋問される証人が、最初の証人の証言を聞いて影響を受けることを避ける目的です。

この場合、後から尋問される証人は、証人待合室などで待っていることになります。

あまりに尋問時間が長い場合には、呼び出し時間を調整することもあります。

 

ただ、2番め以降の証人に先の証人の証言を聞かせておいた方が、わかりやすいという場合もあります。

例外として、裁判所の判断で、退廷させずに、在廷を許すこともできるとされています。


なお、証人ではなく、原告や被告など当事者本人は証拠調べ期日でも在廷する権利がありますので、証人尋問の内容を聞いたうえで当事者尋問を受けることがほとんどです。

順番としても第三者の証人を先に尋問し、当事者は最後ということが多いです。

 

証人尋問の順番

なぜなら、証人尋問と当事者尋問を行う場合、まず証人尋問を先にすることになっているからです(民訴207Ⅱ)。


ただし、このルールは絶対的なものではなく、裁判所は、当事者の意見を聞いて、適当と認めるときは、当事者尋問を先にすることもできるとされています。

実際に当事者尋問が先にされるケースもあります。

また、証人同士、当事者同士の順番について、明確な規定はありませんが、争点との関連でわかりやすい順番があればそのとおりになり、そうでなければ原告、被告側の順番で行うことが多いです。

 

証人尋問の流れ

証人尋問の前には、宣誓をします。

嘘を言わないという宣誓です。

複数人の尋問が行われる場合、最初にまとめて宣誓させることが多いです。

紛争中の当事者や証人が一斉に声を合わせて宣誓します。

 

そのうえで、順番に尋問が始まります。

一人ひとりの尋問の中では、主尋問・反対尋問・再主尋問・・・補充尋問という順番でおこなわれます。

 

 

主尋問とは?

証人尋問、当事者尋問の中には、主尋問・反対尋問・補充尋問というパートがあります。

主尋問は、尋問の申出をした側の当事者の尋問のことです。

相手方の尋問を反対尋問といいます。

主尋問は「立証すべき事項及びこれに関連する事項」について行うものとされています。

これ以外の事項については、制限されてしまうこともあります。

尋問の申請をする際には、書面で証拠申出書等を提出しますが、ここには立証事項が書かれています。

主尋問は、申請した側の尋問のため、通常は、尋問期日前に、練習、シミュレーション、テストをします。

何回も練習を繰り返してから期日に来るという人もいます。

よほどのことがない限り、基本的にはテストと同じような質問がされ、答える方も心の準備ができているかと思います。

 

尋問では、それぞれの証人、当事者でそれぞれ何分程度おこなうか確認されています。

主尋問では、事前にテストができることが多いことから、予定時間を大幅に超過することは許されません。

シビアな裁判官だと、数分オーバーでも「そろそろ時間ですが」と強制終了させようとしてきます。

 

反対尋問とは?

反対尋問は、相手方が申請した証人や当事者に対する尋問です。

尋問される側からすると、紛争の相手方やその弁護士からされる尋問となります。


反対尋問の目的は、主尋問での供述の信用性を下げる点にあります。

よく、反対尋問で相手から有利な証言を引き出せると誤解する人もいますが、そんなに都合よくいきません。

相手が申請しているのだから、相手に有利な証言をすることの方が多いのです。

それをどこまで下げられるかがポイントです。

こちらにとって、マイナス100ポイントの証言をされたら、それをマイナス40ポイントくらいまでで留めたい、という目的でおこなうものなのです。プラスポイントまで持っていけることはほとんどありません。

そのため、反対尋問は「主尋問に現れた事項及びこれに関連する事項並びに証言の信用性に関する事項」等について行うものとされています。

これ以外の内容を聞きたい場合には、予め自分たちからも証人申請をして、当事者双方から申請をする双方申請という形にしておく必要があります。

 

補充尋問とは?

主尋問や反対尋問、再主尋問後におこなわれる裁判官からの質問です。

この補充尋問についてはきく内容を制限する規定はありません。

主尋問等で出てきていない事項についても質問できるとされています。

弁護士からすると、この補充尋問によって、裁判官がどのような判決を書こうとしているのか読み取れることもあります。

 

介入尋問とは?

主に裁判官がする尋問です。

補充尋問は、主尋問や反対尋問のあとに行われます。

これに対し、介入尋問は、誰かの尋問中に介入してくる尋問です。

質問や答えが不明瞭で、趣旨を確認するために裁判官が行うことがある尋問です。

固有名詞の特定のために行われたりもします。

 

尋問では端的な質問・回答をすること

民事裁判では、端的な「一問一答」型で質問・回答をすべきとされます。

長々と質問したり、延々と回答することは望ましくありません。

耳からの情報は、人によって、瞬時に理解しにくいものです。

反対尋問などで相手方弁護士からの質問が聞き取れなかったり、長い質問で趣旨が分からなかった場合には、「もう一度言ってください」「質問の意味がわからないのですが」などと言って確認するようにしましょう。

わからないまま答えてしまうのが問題です。

 

また、裁判所では、証言を録音していますので、質問が終わってから答えるようにしましょう。

質問とかぶせて答えると、録音を聞いても何を言っているかわからないからです。

横から質問されるのですが、答えは前を向いて話します。

 

 

禁止される尋問・侮辱、当惑させる質問

規則115条2項1号に規定されています。証人を侮辱する質問や困惑させる質問は、禁止されています。

この質問については、2号以下と異なり絶対的に禁止されます。

主尋問で、自分側が申請した証人に対して、このような質問がされることは少ないですが、反対尋問でされることもありますので、注意しましょう。

明らかにおかしい侮辱的な尋問がされたときは、困惑した表情のまま止まれば、代理人が異議を出してくれたり、裁判官が止めてくれることも多いです。

 

当惑させる

 

禁止される尋問・誘導尋問

異議あり!というシーンで耳にしやすい誘導尋問という方法も原則として禁止されます。

質問者が答えを誘導すると、証人等の体験事実が証言に出てこなくなってしまいます。

そのため、原則として禁止されています。

誘導尋問は、原則禁止ですが、「正当な理由」がある場合には許されます。

正当な理由について、法律では明記されていません。

ただ、反対尋問の場合には、質問者と証人との間に対立関係があるので、誘導による弊害は少ないとされます。

実務的にも、反対尋問での誘導尋問は認められているといえるでしょう。

なお、刑事裁判では、刑事訴訟規則199の3条3項で「主尋問においては、誘導尋問をしてはならない。」との規定があり、条文上からも反対尋問での誘導尋問が認められています。

また、同項では、主尋問でも但書で例外的に誘導尋問ができる場合を規定しています。


1 証人の身分、経歴、交友関係等で、実質的な尋問に入るに先だって明らかにする必要のある準備的な事項に関するとき。
2 訴訟関係人に争いのないことが明らかな事項に関するとき。
3 証人の記憶が明らかでない事項についてその記憶を喚起するため必要があるとき。
4 証人が主尋問者に対して敵意又は反感を示すとき。
5 証人が証言を避けようとする事項に関するとき。
6 証人が前の供述と相反するか又は実質的に異なる供述をした場合において、その述した事項に関するとき。
7 その他誘導尋問を必要とする特別の事情があるとき。

誘導尋問の弊害が少ないような場合に認められているといえます。

刑事裁判と同じように、民事裁判の証人尋問でも、このような場合には、「正当な理由がある」として誘導尋問が認められる可能性は高いです。

 

禁止される尋問:誤導尋問

誘導尋問と似たような言葉で誤導質問というものがありますが、これは全面的に禁止されます。

誤導質問とは、争いがある事実を真実であるかのように仮定したり、それを前提とした尋問です。

不貞慰謝料の裁判で、肉体関係を争っているのに、「なぜ関係を持ったのですか?」という質問や、関係があることを前提に「関係を持った際、既婚者だと知っていたのか、知らなかったのかどちらですか?」などと、本来おかしい二択を迫る質問です。

意図的なのか、うっかりなのか、この誤導尋問をやる弁護士も結構いますので、気をつけましょう。

前提がおかしい場合には、しっかりと前提について反論すべきでしょう。

 

禁止される尋問・重複尋問

同じ質問を繰り返しすることは認められません。

例外として、「正当な理由」がある場合には許されます。

質問の経緯から、過去の回答が矛盾しているような場合に、再度確認のために質問することはよくあります。

 

やみくもに同じ質問を繰り返した場合には、異議が出されることも多いです。

 

 

禁止される尋問・関連性なし

争点と関係のない質問も制限されます。

尋問は、争点に対する証拠という趣旨で行われます。

争点と関連のない質問は意味がありません。

ただ、質問は短くしていくとなると、1つの質問だけで直ちに関連性がないかどうか判断しにくいです。

実務上、関連性がなさそうな質問があっても、1つの質問だけで異議が入ることは少なく、2,3と質問を重ねて、関係ない分野の話だと思われた段階で異議が出たり、裁判官が趣旨を確認することの方が多いです。

 

禁止される尋問・意見を求める

証人尋問は、発言者が体験したり認識した事実を証言するために行われます。

体験していない事実について、その意見や推測を述べさせることは禁止されています。

例えば、証人に「どう思いますか?」という尋問は意味がないのです。


また、証人が体験していない事実に基づいて、推測を述べさせる質問も制限されます。

証人が体験した事実に基づく意見や推測に関する尋問が認められることもありますが、現在の意見というより、当時の認識のような形で発言した方が異議が出にくいでしょう。

「それを見て、当時、どう思いましたか」という形式の質問だと、意見を求めるという趣旨での制限はされにくいでしょう。

同様に、証人が直接経験しなかった内容も伝聞証拠として制限されます。

 

なお、弁護士の中には「私はこう思うんだけど、どう思う?」というような、明らかに意見を求める尋問をしてくる人もいます。敵対する弁護士の意見には左右されないようにしてください。

 

証人尋問での異議あり

ドラマや映画でよく見かける「異議あり!」ですが、法的には、裁判長に対して、「当事者の質問を制限してほしい」と職権発動を促す発言という位置づけです。

法的には、当事者のした質問が、主尋問、反対尋問、再主尋問それぞれの質問の範囲を超え、かつ相当でない場合や「してはならない」質問のときに出すことができます。

この異議が出された場合、裁判長が、質問を制限するか決めることになります。

ただ、その判断の前に、質問者自身が禁止質問であることを認め「撤回します」「聞き方を変えます」ということはよくあります。

裁判官の職権発動なので、そもそも異議が出ていなくても、裁判官自身が質問を制限することもできます。

禁止されている質問がされたからといって、必ずしも異議が出されるわけではなく、スルーされることも多いです。

結局は、自分たちにとって有利な証言結果を得ることが目的なので、あえてスルーすることもあるのです。

 

また、弁護士によっては、敵対証人にプレッシャーをかける意味でも異議を出してくることがあります。

証言しているときに、「異議あり!」と言われると自分が責められているように感じるかもしれませんが、あくまで質問者に対する異議です。必要以上にプレッシャーを感じることはありません。

 

 

尋問は紙を見ながら答えられない

証人尋問等では、記憶に基づいて証言することが求められています。

陳述書、証拠書類、メモを見ながら答えることはできません。

質問をする弁護士が、証拠書類を示しながら質問をすることがあります。

この場合は、その質問に限り、その証拠を見ながら答えることができます。

証人尋問

 

この証拠の提示は、民訴規則にルールが書かれています。

裁判長の許可を得て文書、図面、写真、模型、装置その他の適当な物件(文普等)を利用して証人に質問できるとされています。裁判長の許可制なのです。

ただ、民事裁判では、提出済みの証拠を示す場合には、「甲10号証の陳述書を示します」といって、弁護士がそのまま書類を示すのが通常です。

積極的に裁判長が「許可します」ということは少なく、黙示の許可があるということになるでしょう。

 

 

弾劾証拠を示しての尋問

尋問期日までに証拠提出している書類の提示については上記のルールです。

これに対して、証拠提出していない書類を示すこともあります。

証言と矛盾するような証拠を突きつける場合です。

「そんなメールを送ったことはありません」

「後出の甲○号証を示します。では、ここにあるこのメールは何ですか?」

というように証言が間違っていることを示すパターンです。

これを弾劾証拠(だんがいしょうこ)と呼びます。

この場合、質問の前に、相手方にこれを閲覧する機会を与えなければなりません。

弾劾証拠として使用する証拠でない場合には、尋問で示す書類は、原則として尋問期日の相当期間前までに証拠として提出しておかなければなりません。なかには、尋問期日に出されることもあります。

尋問側は、不意打ちの証拠を出して、証言の信用性を下げようとするのですが、尋問される側としては、未提出であることを理由に異議を出すことが多いです。

この場合には、提出証拠が弾劾証拠としてのみ機能するものなのかを検討することになります。

 

 

 

尋問では西暦と和暦を混同しやすい

裁判所の書類では、多くが和暦で作成されています。

尋問では、時期の特定を求められることも多いです。

普段、西暦で時期を記憶している場合、「それは平成の何年のことですか?」等と時期を聞かれた場合に、混同してしまうこともあるでしょう。

この変換を脳内で何度もして、大事な箇所の証言がうまくできないと問題です。

混同してしまう場合には、西暦で答えてしまい、和暦への変換は代理人や裁判所に任せましょう。

 

 

証人の呼び出しと同行

裁判で証人尋問を申請する際には、その証人を申請した側が連れてくる、同行するか、裁判所から呼び出してもらうかを選択できます。

呼び出しとなった証人に対して、裁判所から呼出状が送達されます。

証人といっても、第三者性が低く、当事者側の人間ということが明らかな場合には同行が多く、証人テストなどがしにくい立場の第三者性が高い人の場合には、同行できるかわからないから呼び出しにしておくことが多いです。

呼び出しとなった場合、その証人が、尋問期日に来るかどうかわからないという事件もあります。

 

 

 


証人尋問がありそうな争いがある事件では、しっかり証人尋問対策をしてくれる専門家に依頼するようにしましょう。

 

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弁護士 石井琢磨 神奈川県弁護士会所属 日弁連登録番号28708

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