FAQよくある質問
FAQ(よくある質問)
Q.簡易裁判所の支払督促とは?
簡易裁判所を使った支払督促の相談も多いです。
支払督促が裁判所から届いたという相談が多いですが、債権回収の相談のなかで、選択肢として説明することも多いです。
そこで、支払督促の制度、流れ、メリット・デメリットを解説します。
この記事は、
- 支払督促が届いた、どうすればいい?
- 債権回収したい、コストを押さえたい
という人に役立つ内容です。
裁判所の支払督促とは
支払督促は、債権者の申し立てだけで、金銭給付等の債務名義を作成できる法的手続きです。
債務名義とは、債務者の財産を差し押さえすることができる書類です。裁判所の判決や、公正証書などです。
支払督促は、裁判のように、相手方の言い分を聞かずに、債権者の主張だけで債務名義を取得できる簡単な手続である点が特徴です。裁判所にも行きません。
ただし、支払督促では、債務者が異議を出せば失効し、民事訴訟に移行します。
当然ながら、債務者の利益も保障されているのです。
支払督促手続の流れ
支払督促の流れについて解説します。
まず、債権者が、裁判所に支払督促の申し立てをします。
そうすると支払督促が発布されます。
その後、仮執行宣言の申し立てをすることにより、この支払督促に彼執行宣言が付されます。
支払督促からの仮執行宣言申立。
このように2段階の構成になっています。
そして、仮執行宣言付支払督促が、確定判決と同一の効力を有するものとされています。
支払督促の申し立て
支払督促の申立書は、債務者の普通裁判籍を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に出します。
支払督促の申し立て費用については、通常の裁判の半額となっています。
申し立ての手数料というのは、書面に貼る印紙代のことです。
また、債務者に送達するための郵便切手費用は支払督促でも必要になります。
この切手代に関しては裁判所によって組み合わせが異なるので、提出先の裁判所に個別に確認をします。
手続きは、郵送でもオンラインでもできます。
支払督促の要件
支払督促ができる対象は、金銭の給付や代替物の引渡を請求するものに限ります。
期限が来ていないなど、即時に執行できない請求は対象外です。
そのほかに、将来の請求や、条件付き請求も支払督促手続きは使えません。
例えば、建物の明け渡しを受けたときは100万円を支払えというような請求は、支払督促では使えません。
これに対して、引換給付の請求であれば、支払督促手続も利用できるとされます。
例えば、商品の引き渡しと引き換えに100万円を払えというような請求です。
支払督促申立書の記載例
支払督促申立では、「債務者は、債権者に対し、請求の趣旨記載の金額を支払え、との支払督促を求める」
という記載をします。
連帯債務であれば、「債務者らは、連帯して債権者に対し」と変更しますし、保証人をあわせて債務者にしたり、不真正連帯債務の場合には、「債務者らは、各自債権者に対し」という記載にします。
請求の趣旨の記載例
支払督促の請求の趣旨では、通常、
1 金○○円(下記請求の原因の3の残額)
2 上記金額に対する令和3年5月13日から完済まで年3%の割合による遅延損害金
3 金○円(申立手続費用)
のような記載をします。
1項でメインの請求、2項で遅延損害金、3項で手続き費用です。
遅延損害金率について契約書などで合意があれば、そちらのパーセンテージを記載します。
請求の原因の記載例
請求の趣旨に続く、請求の原因では、訴状と同じように、その請求が認められるための要件事実を記載します。
たとえば、継続的な売買の売掛金請求では、
基本契約の年月日を記載、契約内容として代金の支払時期の記載、商品の特定などです。
そのうえで、債務者に商品を引き渡したなどと記載します。
支払済みの金額などがあれば、いくらなのか、いつなのかなど記載し、残額を記載するのです。
何回かの取引があるのであれば、表などにまとめる方がわかりやすいでしょう。
マンション管理費であれば、債務者が区分所有者であること、マンションの特定、債権者が管理組合であること、マンションの管理規約での管理費の金額や支払時期を特定し、未払いの管理費が何年の何月分であるのかを特定、支払済み金額を控除した金額がいくらなのかなどを記載することになります。
当事者の権限を示す必要書類
支払督促の申し立て時に、代理人が申し立てをする場合には、委任状の提出が必要です。
当事者が未成年者のときには、その法定代理人である親権者の代理権を証明するために、戸籍抄本を提出する必要があります。
会社その他の法人が当事者になるときには、その資格及び代表権を証明するために、通常、登記事項証明書を提出します。
会社の謄本です。
債権回収会社が委託を受けて支払督促の申し立てをするときには、債権者の資格証明書として登記事項証明書を提出するほかに、委託金融機関等からの委託事実を確認するために、サービサーの委託契約書や、委託契約を証する証明書及び委託者の登記事項証明書が必要になります。
法人ではない社団が当事者になる場合には、その団体の存在と代表者又は管理人についての証明書を提出します。
当事者が破産をしている時などは、破産管財人の証明書が必要です。
また、金額によっては、破産裁判所が発行する訴えの提起許可書が必要になります。
債権者代位権による支払督促の申し立てをする場合、申し立て書には、債権者であることがわかる借用書や契約書等の謄本も添付します。
差し押さえ債権者が、取り立て権に基づいて支払督促の申し立てをする際には、取り立て権を持っている事実を証明するため、差し押さえ命令正本と送達証明書を添付する必要があります。
支払督促の提出書類
法律的には、提出義務がないものとされていますが、管轄を示すために、債務者の住民票の写し等が提出されることもあります。
また、実務上は、当事者目録、請求の趣旨及び原因目録も提出しています。
支払督促原本や正本の作成のために必要とされます。
原本及び債務者告知用として、債務者の人数に1通を加えた通数を提出させられることが多いです。
簡易裁判所でコピーすれば良いようなものですが、事務を簡素化するために必要とされています。
民事執行などでも同様の扱いがされており、目録は申立人が準備する運用になっています。
支払督促では証拠はいらない
支払督促では、証拠調べはありません。
請求の理由の有無の判断資料として利用できるのは、申立書の記載のみです。
証拠の提出を求めることができませんし、債務者を進言することもできません。
債権者側の一方的な主張に基づいて出されるのが支払督促手続です。
つまり、証拠は手続上、いりません。
債務者は、証拠がないなどと主張するのであれば、督促異議を申し立てることになります。
もちろん、異議が出され、民事訴訟に移行した場合には、相手が争うなら証拠が必要になってきます。
裁判での証拠は相手が争ったら必要
裁判でも支払督促でも同じですが、証拠がなければ手続きができないのではないか、という誤解があります。
証拠がなくても、裁判も支払督促も使うこと自体はできます。
ただ、相手が争ってきたら、そこで初めて証拠が必要になります。
自分に立証責任がある事柄について、証明が不十分だと負けてしまう可能性があるわけです。
支払督促については、相手が異議を出せば、通常裁判の手続になります。
貸金の請求をしていて、相手が、「お金を渡したこと」自体を争えば、その証拠が必要になってくるでしょう。
「お金を渡したこと」は争わず、それはもらったとか、返したと相手が主張してきたときには、「お金を渡したこと」の証拠は必要ないことになります。
支払督促の取り下げ
支払督促を申し立てたけど、取り下げたいという場合、支払督促手続が終了するまでであればできます。
支払督促に対して、債務者から督促異議の申し立てがされた場合には、民事訴訟に移行します。
民事訴訟に移行したあとは、通常の裁判と同じく、訴えの取り下げの規定が適用されます。
支払督促が債務者に送達されたことで、支払われた場合などに取り下げることになるでしょう。
支払督促の却下
支払督促の申し立てをした場合に、申立書に書かなければならない事項が書かれていないなど、要件を満たしていない場合、裁判所書記官が債権者に対し、補正を命じます。これに応じなければ、支払督促の申し立てが却下されます。
また、申し立ての趣旨からして、請求に理由がないことが明らかな場合には、却下処分がされることがあります。
債務者の住所が不明な場合の支払督促
支払督促は、裁判所から債務者に対して送達をする必要があります。
債務者の住所がわからないときに、民事裁判で使われる公示送達は、支払督促では利用ができません。
民事訴訟法382条但書です。
「日本において公示送達によらないでこれを送達することができる場合に限る。」
支払督促は、公示送達によらずに送達できる場合に限って使えると明記されています。
公示送達とは、債務者の住所がわからず送達ができない場合に、裁判所書記官が、送達書類を保管し、送達を受けるべき者が出頭すればいつでも書類を交付する旨を、裁判所の掲示板に掲示することで送達されたものとする制度です。
行方不明者相手の裁判で使われることがあります。
支払督促は、債務者を審尋などしないで、迅速に債務名義を取る手続きなので、所在不明のため公示送達をしたりとか、日本国内で送達できない場合には利用ができないことになっています。
ややこしいのですが、2段階目の仮執行宣言付支払督促では、公示送達もできます。最初は届いたのに、後から行方不明になったようなケースです。
付郵便送達は使える
これに対し、裁判でも使われる勤務先への送達や、付郵便送達は利用できます。付郵便送達は、書記官が、送達書類を書留郵便に付して、発送した時に送達の効果が生じたとみなされる制度です。実際に到達したかどうかは問われない手続きです。留置期間経過として、書類が郵便局から裁判所に戻っても、裁判所が発送した時点で送達の効力は発生する手続きです。ただし、「転居先不明」や「あて所に尋ねなし」で郵便が戻ってきてしまうと、発送されてないものとみなされ、送達の効力は生じません。
住所が判明し、他の送達方法でも送達できない場合に利用される制度です。
なお、送達ができないような場合には、債権者が2ヶ月以内に新たな送達場所の申し出をしないと申し立ての取り下げが擬制されます。
支払督促の送達
支払督促は、債務者宛に送達されます。
これに対し、申立をした債権者には送達されません。
法律の改正前は、申立人である債権者にも送達されていましたが、債権者への送達は必要がない、あらかじめ内容は知っているので不要ということで、送達自体は債務者に対してだけされることとされました。
債権者に対しては、支払督促が発せられた旨の通知がされることになっています。
通知は、普通郵便や、ファックス電話でも良いとされています。
この通知をした際には、裁判所書記官は、その通知方法を記録上を明らかにしておきます。
支払督促が届いたら
支払督促の正本が債務者に送達されることで、支払督促の効力が生じます。
この送達の際には、督促異議申し立て書類の用紙が同封されています。
債務者としては、内容を争う、すぐに差し押さえされたくない、話し合い機会がほしい、というような場合には、異議を出します。
裁判所が出す支払督促には、債務者はこの支払督促送達の日から2週間以内に督促異議を申し立てないときには、債権者の申立によって仮執行宣言をするという文言が書かれています。 警告の文言ですね。
また、通常は、同封物の中に、督促異議申立書の書式や支払督促の説明書等があります。
督促異議の申立
債務者は支払督促に対して異議を出せます。
督促異議を出すと、支払督促は失効、支払督促の申し立ての時に訴えの提起があったものとみなされます。
民事裁判に移行するというものです。
支払督促の異議申し立て期間
支払督促に対する異議は、仮執行宣言の時までとされています。
仮執行宣言付支払督促に対する異議は、債務者への送達日から2週間以内とされています。
督促異議の申し立て自体には手数料はかかりません。
民事訴訟法393条により、仮執行宣言付支払督促の債務者への送達日から2週間が経過すると、異議申し立てができなくなります。
つまり、仮執行宣言がされるまでは、支払督促への異議の申し立てができます。
ただ、通常は、支払督促送達から2週間が経過すれば、債権者は速やかに仮執行宣言の申立をするので、受け取ってから2週間以内に異議を出しておいた方が無難です。
支払督促の仮執行宣言
支払督促が債務者に送達後、2週間以内に債務者から異議の申し立てがなければ、債権者の申し立てによって、支払督促の原本に仮執行宣言が記載されます。
債務者から異議申し立て権の放棄があれば、2週間を待たずに、仮執行宣言の申し立てができます。
仮執行宣言の申し立てについては、別に申立書を提出します。
仮執行宣言の申し立て期間は30日以内とされています。
支払督促が債務者に送達された翌日から2週間目の最終日(債務者が異議を出せる期間)の翌日から30日の申立期間がスタートします。
この最終日が、土日、祝日、1月2~3日、12月29日~31日の年末年始時期に当たるときは、その翌日まで延長されます。
民事訴訟法95条3項の規定です。
「期間の末日が日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日、一月二日、一月三日又は十二月二十九日から十二月三十一日までの日に当たるときは、期間は、その翌日に満了する。」
仮執行宣言の申立期間である30日の最終日も同様の扱いです。
仮執行宣言付き支払督促の効力
仮執行宣言付支払督促は、債務者への送達時に執行力が生じます。執行力は強制執行できる力です。
確定を待たずに強制執行できることになります。
仮執行という言葉は、裁判所の判決でも出てきます。一審で勝訴判決が出た場合、仮執行宣言が付いている場合があります。控訴され、判決内容が争われていても、一審の判決で強制執行・差押えができてしまという制度です。
仮執行宣言付支払督促が債務者に送達され、2週間の間に、債務者からの異議がなければ確定し、確定判決と同一の効力を生じます。
これは、判決と同じように債務名義となります。
債権者は、仮執行宣言付き支払督促正本、その債務者に対する送達証明書があれば、執行文の付与を受けることなく、強制執行の申し立てができます。
支払督促に既判力はない
支払督促、仮執行宣言を出す権限は、裁判官ではなく、裁判所書記官にあります。
債務者に送達する支払督促正本には、裁判所書記官が記名押印することとされています。
裁判官の印鑑ではないものとされています。
そのため、判決と同じような効力があるとはいっても、強制執行ができる力にとどまり、裁判所の判決とは異なり既判力はないです。
既判力は、その内容について争えなくなる力です。裁判所で審理され、判決が出たのに、もう1回争うことができてしまうと、紛争が解決しません。そのため、判決が出て確定すると、紛争はやり直せなくなります。
支払督促では、債務者側の言い分を聞かずに、簡易な手続で、裁判官が発するものでもないので、既判力はないのです。
督促異議後の流れ
異議申し立て期間後の異議など、不適法な異議については、簡易裁判所が決定で異議を却下します。
この却下決定に対しては、即時抗告ができます。
適法な異議申し立てがされると、民事訴訟へ移行します。
支払督促の申し立て時に、請求に係る訴えの提起があったとみなされます。
民事訴訟に移行した場合には、訴えを提起したものとみなされるので、債権者は原告になります。支払督促は、民事訴訟よりも印紙代が安かったので、民事訴訟との不足分が出てきます。これを追加で収めなければなりません。
なお、総額が140万円を超える場合には、その簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所に移行します。
訴えを提起したものとされるので、裁判の第一回口頭弁論期日が指定され、原告には、訴状に代わる準備書面を作成させるケースや、そのまま支払督促申立書を陳述させることもあります。
被告は、これに対して、答弁書を提出します。
その後は通常の民事裁判と同じ流れになります。
仮執行宣言前の異議
支払督促は2段階。
支払督促、からの仮執行宣言付支払督促という流れです。
ここで督促異議を出したタイミングが、仮執行宣言前の場合、支払督促は、その異議の限度で効力を失います。
債務者からすれば、とりあえず一安心です。民事訴訟に移行するので、今度はそちらの対応となります。
仮執行宣言後の異議
これに対し、督促異議を出したタイミングが、仮執行宣言後の場合には、異議によっても、仮執行宣言付支払督促自体は失効しません。民事訴訟に移行しても、執行力は残り、強制執行・差押えができます。
強制執行を停止するためには、別途、強制執行の停止や、取り消しの申し立てをしなければなりません。
執行停止の要件としては、支払督促の取り消し、または変更の原因となる事情がないとはいえないこと、執行により著しい損害を生ずるおそれがあることとされています。
債務者としては、しっかりそこまでやるか、差押えリスクを受け入れるか、という判断になります。
2週間経過後の異議と仮執行宣言前
債務者に対して支払督促が送達されて、2週間経過したので、債権者から仮執行宣言の申し立てをしたものの、仮執行宣言が出される前に、督促異議が出されるということもあります。
2週間→仮執行宣言の申立→督促異議→仮執行宣言?
というタイミングです。
このように、仮執行宣言前に、債務者から督促異議の申し立てがあった場合には、仮執行宣言の申し立ては却下すべきとされています。
ギリギリというタイミングですが、債権者の対応が遅れている場合もあるので、最初の支払督促に対する異議は、万一、2週間が経過していても出しておくべきでしょう。
督促異議自体の取り下げ
支払督促に対する異議は、判決があるまでは、取り下げができます。
取り下げについて、原告の同意は不要です。
裁判に移行された後、当事者双方ともが口頭弁論期日に出席しない場合、取り下げの擬制が働きます。
ただし、ここでも、仮執行宣言前後で違いがあります。
仮執行宣言前の支払督促からの訴訟以降であった場合、当事者双方が口頭弁論期日に出頭せずに、1ヵ月以内に期日指定の申し立てもしなかった場合には、訴えの取り下げとみなされます。通常の裁判と同じです。
これに対して、仮執行宣言後の場合には、督促異議の取り下げとされるので注意が必要です。
仮執行宣言後の裁判での和解、判決
仮執行宣言後の異議からの裁判で、裁判上の和解が成立すると、仮執行宣言付支払督促は失効します。
彼執行宣言付支払督促後の裁判での判決では、この支払督促をどうするのか、判決主文に書かれます。
仮執行宣言付支払督促が失効せずに存在している場合に、民事裁判の判決では、この支払督促をどうするのかも主文で判断されるのです。
判決主文では、支払督促を認可するのか、取り消すのか、変更等するのか記載すべきとされています。
例えば、認可するのであれば、簡易裁判所の事件番号を記載してから執行宣言付支払督促を認可するという書き方になります。
支払督促を使うと良い場合
このような支払督促を使うには、まず要件として、金銭等の給付請求の場合とされます。
そして、債権者が主張する権利自体を、債務者が争わない場合には有効です。
権利自体を争われるのであれば、異議が出され、民事訴訟に移行するので、最初から民事訴訟をした方が良いということになります。
相手が内容を争わない、裁判所の書類などに反応しないのであれば、早期に債務名義を取得できます。このような場合に加えて、相手の財産を把握できている場合には、差押えにスムーズに動けるので、有効な方法といえるでしょう。
支払督促のデメリット
支払督促では、異議を出されると、相手方の住所地の管轄裁判所での裁判になってしまうことがデメリットとされます。
自分と相手の住所地が離れているような場合で、裁判であれば自分の住所地の管轄裁判所でできるのに、支払督促は相手方の住所地です。支払督促から移行する裁判では、そのまま相手方の住所地管轄の裁判所となります。
民事裁判で何度も出席するのが相手方の住所地となってしまうことがありえます。
異議が予想される場合には、最初から裁判を起こしていた方が、移動の負担が少なかったということもあります。
支払督促と当事者の死亡
支払督促の申し立て時に、債務者が死亡していたというケースがあります。
このような場合には、債務者の表示の誤記として、債務者の法定相続人の氏名に訂正することが許されるとされています。
支払督促の発布後の場合には、支払督促の更正処分をすることになります。
支払督促の申し立て後、その判断前に死亡した場合にも、同様の扱いです。
これに対して、督促手続係属後に、当事者が死亡した場合には、手続きは中断します。
まず、支払督促の発布後、送達される前に当事者が死亡した場合、手続きは中断します。
相続人等から、受継の申し立てがあった場合には、裁判所書記官は受継処分をします。
受継処分では、各相続人の承継範囲を明記する必要が出てきます。
また、支払督促が債務者に送達されても、当事者が死亡や破産をすると手続きは中断します。
支払督促と架空請求
支払督促が利用された架空請求もあるので注意が必要です。
まず、簡易裁判所を使った正式な支払督促は、郵便で届きます。特別送達という特別な郵便です。
メール等で届くことはありません。メールで届いた場合には、架空請求とみなせます。
書面の場合には、注意が必要です。
過去に、本物の支払督促手続きを使い、架空請求で差し押さえるという事件があったからです。
支払督促では、債権者側の言い分だけで差し押さえができる債務名義を取得できてしまうので、架空請求でも悪用されるリスクがあるのです。
書面で支払督促が届いた場合、本物の裁判所からの書類であれば、異議を出す必要があります。偽物の裁判所であれば無視しても良いのですが、見極めが大変です。
裁判所に問い合わせるのであれば、届いた裁判所の連絡先を「ネットで」調べて、そちらの電話番号に連絡、事件が本物かどうか確認する方が無難です。
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