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FAQ(よくある質問)

 

Q.反訴とは?

反訴は、裁判で訴えてきた相手に、訴え返す手続です。

反訴の要件、いつまでできるかの手続、応訴との違い、反訴印紙代の手数料など一連の解説をします。

この記事は、

  • 訴えられたけど、自分にも権利がある
  • 訴えたら、訴え返された!

という人に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2022.10.11

 

反訴とは

反訴とは、係属中の民事裁判の手続き内で、被告が原告を相手方として訴える手続です。

原告から訴えられた場合、その裁判を本訴と呼びます。本訴で反論を出して争うなど応訴の活動以上に、逆に被告から訴え返すのが反訴です。

反訴は、民事訴訟法146条に規定されています。

反訴を提起すると、元の訴えである本訴とは別に事件番号が付されます。

反訴が認められる趣旨は、互いに関連する事件については同一の裁判で審理した方が、裁判所や当事者の労力、費用などを軽減できるからです。

 

反訴

 

 

反訴提起の方法

反訴の手続きについては、本訴の手続きに準ずるものとされています。

そのため、訴状と同じように、反訴状を提出するところから始まります。

反訴状の提出方法は、訴状と同じように裁判所に持ち込むほか、郵便でもできます。提出先は、本訴の係属裁判所です。

反訴状の書式としては、訴状と同じように、どのような請求を求めるのか請求の趣旨、その請求が認められる法的な原因を請求の原因として記載したものです。

すでに本訴の基本事件で裁判所の事件番号が付いているので、そちらを記載します。

また、冒頭に、「本訴被告は、次のとおり、反訴を提起する」と書くことが多いです。

その後に、請求の趣旨や、請求の原因を記載します。このあたりは、訴状と同じような記載です。

反訴状の提出時には、裁判所に提出する正本以外に、相手方に送るための副本も裁判所に提出します。

その後の、弁論期日での反訴状の陳述や、相手からの反訴答弁書の提出なども、本訴と同じ手続きになります。

反訴状の送達が間に合えば、本訴の次回期日で反訴状を陳述する扱いになるでしょう。

 

反訴状と当事者の記載

反訴を起こす場合には、本来の裁判では被告という立場ですが、反訴では原告になります。これを反訴原告と呼びます。

元の裁判での原告は、反訴被告となります。

その後の裁判では、本訴と反訴が同一手続で進められることも多く、反訴状や準備書面等を提出する際に、原告と記載していた表示を、原告(反訴被告)などと記載するのが通常です。


反訴提起の手数料、印紙代

反訴提起の手数料である印紙代は、反訴提起した時を基準として算定された総額によります。

しかし、本訴とその目的は同じとするときには本訴の手数料分を控除できます。控除後の額が0であれば、印紙代は不要となります。

訴訟物が同一の場合などが例として挙げられます。

たとえば、本訴が離婚・慰謝料請求、反訴が離婚請求であれば、反訴状の印紙代はゼロです。

 

また、本訴の請求を審理することで、反訴請求の結論が出るような相排斥するような請求でも、控除できます。

たとえば、本訴が、所有権に基づく土地明渡請求、反訴が同じ土地の賃借権確認請求であれば、反訴の手数料はかかりません。

これに対し、本訴が敷金返還請求、反訴が未払賃料請求のような場合には、本訴の手数料分は控除されません。未払賃料額を基準にした印紙代がかかります。

同様に、本訴が請負代金請求、反訴が請負工事の瑕疵を理由とする損害賠償請求では、控除されません。

 

控訴審における反訴提起には、訴えの提起の手数料に関しては、1.5倍の額の手数料額の納付が必要になっています。

反訴の費用

 

反訴提起の印紙代の計算事例

本訴の手数料分が控除されるかどうかは、本訴の目的と同じかどうかによります。

ただ、実際には、複数の請求が併合されることも多いです。

たとえば、100万円の保証債務について、債務不存在確認請求が本訴。これに対し、100万円の保証債務の請求のほか、貸金200万円の返還請求を反訴とするようなケースです。

反訴の訴額は300万円になります。

300万円の裁判の印紙代は、2万円です。

このうち、100万円については、本訴と目的を同じにするものです。100万円の裁判の印紙代は、1万円です。

そこで、このような反訴を提起する場合の手数料・印紙代は、2万円から1万円を差し引いた1万円になります。

 

反訴提起の弁護士費用

反訴提起に弁護士費用がどの程度かかるかは、弁護士によって変わるでしょう。

元の民事裁判対応の費用が弁護士事務所によって自由化されていますので、反訴提起の費用についても自由化されています。

反訴状作成には、訴状と同程度の作業量が必要になりますが、その後の裁判手続では、本訴と活動内容が重なっています。

そのため、通常の訴訟提起と同程度の費用がかかることは少ない一方、無償で対応するのは難しいことが多いのではないでしょうか。

一般の訴訟を起こす場合の費用から、一定の減額をすることが多い印象です。

また、訴訟を起こされたという相談の際に、反訴提起も考えているのであれば、それを含めて委任契約を最初にしてしまうことも多いです。

反訴を起こされた元の原告側も、反訴答弁書の提出などが必要になるので、追加の弁護士費用がかかることが多いでしょう。

 

反訴状の送達

被告の訴訟代理人である弁護士は、反訴を提起する権限は持っておらず、特別の権限がなければできないことになります。

他方で、原告の訴訟代理人は、反訴に応訴する権限を有するものとされます。

そのため、反訴状は、原告本人ではなく、本訴原告の訴訟代理人宛に送達すれば良いものとされています。

当事者が被保佐人や、被補助人の場合については、反訴提起に関しては、同意がなければできないです。

ただし、相手方が起こした反訴への応訴自体は、同意がなくてもできます。

 


反訴提起の要件1:関連性

反訴は一定の要件がある場合に認められます。

第一に、関連性の要件があります。

本訴請求の請求原因、反訴請求の請求原因とで、基礎となる法律関係または事実関係が同一であること

または、本訴請求に対する抗弁、反訴請求の請求原因とで基礎となる法律関係または事実関係は同一であること

反訴についての原告の同意が要件として挙げられます。


反訴をされる側の同意がない場合には、本訴と関係がある裁判しかできないという内容です。

全く無関係の裁判はで反訴ではなく、別に裁判をしてくれという話です。

関連する裁判だけしかできないのです。

 

この関連性について、判例では、本訴提起自体が不法行為として反訴で損害賠償請求を求めることもできるとされています。

抗弁との関連性については、例えば、相手方からの金銭請求に対して、被告として、相殺の抗弁を主張しつつ、その抗弁で主張した債権の請求を、反訴で訴えるということもあります。


反訴の要件2:手続面

反訴のその他の要件としては、

反訴提起が著しく訴訟手続を遅延させないこと

本訴の事実審の口頭弁論終結までに反訴を提起したこと

本訴と反訴が同種の手続きで審判されるものであること

反訴請求が他の裁判所の専属管轄に属しないこと

反訴が禁止されていないこと

などが挙げられます。

 

事実審の終結までとされているので、上告審においては反訴提起はできないことになります。



要件を満たさない反訴に関しては、不適法だとして、終局判決をもって却下される扱いになります。

反訴の手続


 


反訴の訴えの変更

反訴についても民事訴訟法143条の要件を備えるのであれば、訴えを変更できます。

本訴と同じく、訴えの変更は認められています。

 

反訴と取り下げ

反訴を取り下げたいという場合は、訴えの取り下げの規定によります。

 

反訴の提起後、本訴が取り下げられて終了になっても、反訴自体は残ることになります。

ただし、本訴が取り下げられた後、反訴の取り下げについては要件が緩和されています。

反訴の取り下げについては原告の同意は不要となります。

本訴が、請求の放棄で終了した場合も同じ扱いになります。



控訴審での反訴

反訴については、事実審ではできるルールなので、控訴審でも提起できます。

しかし、控訴審の場合、相手方の同意が要件とされます。

相手方の同意がなければ、控訴審での反訴は却下されるのが原則です。ただし、訴訟物が同一であるような場合など、相手方の審級の利益を失わせるおそれがない場合には、同意は不要とされています。




予備的反訴

反訴の一形態として予備的反訴というものもあります。

本訴の結果によって反訴の請求をするというものです。

たとえば、本訴が認容されるのであれば反訴の請求をするという、本訴が認容されることを条件とした予備的な反訴があります。

また、逆に、本訴が棄却されるのであれば、反訴の請求をするという予備的反訴もあります。


例えば、原告が、売買の目的物の引渡しを請求している裁判で、被告が、売買契約の成立等を争っているようなケースです。

このような場合に、仮に、売買契約が認められて原告の請求が認められるならば、自分からは売買代金の請求ができることになります。そこで、仮に売買契約が認められてしまうなら、予備的に売買代金の請求の訴えを反訴で起こしておくという使い方です。

 

 

債務不存在確認の訴えと反訴

反訴がよく使われるシーンとして、債務不存在確認の訴えに対する反訴があります。

債務不存在確認は、不当請求などを受けている場合に、債務が存在しない、または一定額以上の債務がないということを裁判所に確認してもらう裁判です。

請求する側ではなく、請求されている側から起こす裁判です。

このような債務不存在確認の訴えが起こされた場合には、本訴の被告は、本来は請求していた側なので、その請求について訴えを起こす、反訴を起こすのが通常です。

ただ単に債務不存在確認の裁判で勝っても、自分の権利について、支払えという判決はもらえないので、差押えなどができず不便なので、反訴を起こし、あわせて解決してもらうのが通常です。

 

反訴がよく使われる裁判

また、交通事故の裁判などで、お互いが権利を持っていて、過失相殺などもされるような場合に、一人が起こした訴えに対して、被告側が自分の損害について反訴を提起することもよく行われます。

 

最近、目立ってきているのが不当訴訟に対する反訴です。スラップ訴訟のように、恫喝目的で名誉毀損裁判などを起こされた際に、訴訟提起自体が違法だとして反訴提起をする方式です。明らかにおかしい裁判を起こされた場合には、このような反訴を検討してみても良いかもしれません。

 

離婚裁判と反訴

離婚の訴えに対して、訴えられた被告が、別の離婚原因に基づいて離婚請求の反訴提起するということもあります。

このような場合でも、同じ法律関係の問題なので、関連性があるとされ反訴は認められます。

また、予備的反訴も使われやすいです。

離婚の訴えに対して、離婚自体を争うものの、仮に離婚が認められるなら、予備的に財産分与や慰謝料の請求をするという方式です。離婚だけ認められてしまって、財産分与や慰謝料について何も認められないのは困るので、万が一のときに備えて、予備的反訴をしておくという方法です。

このような離婚に対する予備的反訴については、弁護士の意見も分かれています。予備的反訴をすること自体が、婚姻関係破綻と認める材料になってしまうのではないかという意見です。個人的には、これは請求内容や主張の仕方次第ではないかと考えています。

 

反訴については動画でも解説しています。

 


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弁護士 石井琢磨 神奈川県弁護士会所属 日弁連登録番号28708

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