不貞慰謝料請求に必要な証拠について争われた裁判例を弁護士が解説

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FAQ(よくある質問)

 

Q.不貞慰謝料請求に必要な証拠は?

かなりの証拠があっても不貞慰謝料が否定された裁判例があります。

不貞行為を争われた場合、どのような証拠があれば請求が認められるのか確認しておいたほうが良いでしょう。

東京地方裁判所令和元年12月3日判決です。

この記事は、

  • 不貞慰謝料の請求に必要な証拠は?
  • 不貞慰謝料の裁判を起こされたが争っている

という人に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.6.28

 

事案の概要

原告が妻。不貞相手の女性が被告でした。

被告が原告の夫と不貞行為に及んだと主張。

不法行為に基づき、損害賠償金として、慰謝料800万円及び弁護士費用80万円を請求した事件です。

 

原告(昭和27年生)は、昭和60年5月16日に夫(昭和22年生)と婚姻。

平成28年6月3日に別居するまでは、同居。

被告(昭和21年生)は、夫の高校時代の同級生。

不貞行為の有無が争点になった事件です。

 

原告の主張する事実

原告は、探偵報告書を提出し、

二人は手をつないで出かけていた

深夜に2人きりで車に数時間いた

怪しいメールのやりとりがある

クレジットカードからホテルの利用明細が

夫の車からは使用済みティッシュや毛布が出てきた

2人とも一時は不貞を認めていた

という事実を主張。

証拠としては、かなり揃っている印象を受けますが、裁判所は、不貞慰謝料の請求を棄却しました。

いろいろな間接事実から不貞行為を立証しようとしたものの失敗した事例といえます。

 

探偵による浮気調査

原告は、平成27年9月頃、探偵業者に夫の行動追跡調査を依頼。

夫は、同月28日、午後零時頃から午後8時頃までの間、被告と行動を共にし、手をつないで公園を散策するなどしていました。

夫は、同年10月24日、午後4時半前から日をまたぐ深夜まで被告と行動を共にしました。二人は、同月24日午後9時01分頃から午後10時36分頃までの間、夫の車を路肩に駐車し、約1時間半にわたり停車中の車内で過ごしました。

その後、二人は、短時間車を移動させて近所のコンビニエンスストアに立ち寄ってから、再び上記路肩に戻り、午後10時56分頃から同月25日午前1時53分までの間、約3時間にわたり停車中の車内で過ごしました。

それから、夫は、被告の住居付近まで車を移動させて、被告と別れたというものでした。

 

離婚調停

原告は、平成28年10月頃、夫に対し、婚姻費用分担請求及び夫婦関係等調整の各調停を千葉家庭裁判所に申し立て、離婚条件についての協議が行われたが、折り合いがつかず、平成29年9月7日に調停不成立。

現在も離婚が成立しておらず、離婚訴訟も提起されていないという関係。

 

 

 

夫からの離婚申し出で浮気を疑う

夫は、平成27年8月29日、原告に対し、突如離婚したい意向を伝えたところ、原告は、即座にこれを拒否。二人の間で離婚の話が出たのは、この時が初めてであり、近い時期に夫婦の関係悪化につながるような出来事も特段なかったと認定。

 

夫と被告は、高校時代の同級生であり、高校卒業後は長らく交友が途絶えていたが、遅くとも平成25年ないし26年頃に開催された互いに60歳を超えたクラス会の場で、卒業後初めての再会。

二人は、共にカラオケが趣味であったことから、最初は他のクラス仲間も交えて、途中からは二人だけでカラオケに行くようになりました。


被告は、2人の子をもうけた夫と死別した後、他の男性と十数年間に及ぶ内縁関係にありました。

内縁の夫は、平成26年秋頃には死の病に侵されており、被告は、もう助からないことを知って、精神的に辛い思いを抱えていた状態。


夫は、被告と内縁の夫の関係や予後の状況を聞き及んで、二人だけで会って被告の相談に乗るようになったと認定。

内縁の夫は、平成27年6月12日、闘病生活の末死亡。

被告は、死亡前後の時期には、しばらく夫と会っていませんでした。

被告は、内縁の夫の死後、夫からの二人で会って話をしたいという誘いに応じて、遅くとも同年9月までには夫と再び会うようになった。
なお、被告は、同年2月頃までには、夫に妻がいることを認識。

 

手をつないで出かける

被告は、平成27年9月28日午前11時46分頃、JR駅前で待機していた夫の車の助手席に乗り込み、夫の運転で横浜市内の中華街に移動。

夫と被告は、午後1時半頃、駐車場に車を停めた後、手をつなぎながら中華街を散策し、午後3時頃まで昼食を摂るなどして過ごしました。

二人は、次に車で公園に移動し、手をつなぎながら公園内を散策した後、近場の喫茶店で午後4時半頃まで過ごしました。

夫は、午後8時頃、被告を自宅まで車で送り届けて、被告と別れたというもの。

 

車内で長時間過ごす

探偵の報告書で指摘された内容も裁判所は認定しています。

被告は、平成27年10月24日午後4時19分頃、東京都葛飾区の路上で待機していた夫の車の助手席に乗り込み、夫の運転でファミリーレストランに移動して、午後4時半頃から午後8時45分頃まで4時間以上店内に滞在。


夫と被告は、その後、運動場前第二信号付近の進行方向沿いの路肩に設けられた車一台分の駐車スペースに車を停めて、午後9時1分頃から午後10時36分頃まで1時間半以上車内で過ごしました。

本件駐車スペースに接する道路は、片側一車線で、街灯が多数設けられており、付近は土手となっていて、歩行者や自転車がそこを通行することができた状態。

二人は、その後いったん付近のコンビニエンスストアに車で移動し、午後10時40分頃から午後10時52分頃まで店内で買物を済ませてから、再び本件駐車スペースに同じ車の向きで戻り、午後10時56分頃から同月25日午前1時53分頃までの間、3時間近く車内で過ごしたと認定。
夫は、午前1時56分頃、被告を自宅付近まで車で送り届けて、被告と別れたというものでした。

 

被告の夫に対するメール

被告は、平成27年11月以降、以下の内容のメールを送信した。なお、夫の携帯電話では、被告の名前は偽名で登録されていました。


平成27年11月13日頃
「私には、もう何も言わなくていいです。昨晩の私にくれたメールも11時半を(一字又は二字不明)ていたので奥さんと話が出来たと思って(以下不明)」

平成27年11月30日
「遅くなってすみませんでした。そしてご馳走さまでした。逆になってしまって…もうそろそろ着くかしら」

平成27年12月6日
「明け方まで、知り合った頃の話をして、爽やかな気持ちになりました。何故か、どうしても、ひとつになれない二人で(以下不明)」

平成28年3月2日午前零時台から1時台(全5通)
「Aさん 私、読めてきたわ。これだけメールしても無視しているのは Aさんは離婚することが、大変な事と思い知り、離婚やめたんじゃない?楽な方に行こうとしているんじゃない?だから私に何も云えなくて、無視しているのでは?昨日の□で漠然と感じたのだけれど…」
「私そういったわ。でも会うことはなるべくしない方がいいということで そんなことしていたら気持ち不安定になってしま(以下不明)」
「答えだけ言って!てないと、私眠れない」
「どうしてそんなに、ヤキモキさせるの?待つ私の気持ちを考えてね お願いだから今言って。私の言ったこと当たり(以下不明)」
「明日□でなく会えるの?」

 

交渉直後は「不貞」を認めた

原告は、夫の行動状況が記載された探偵業者の報告書を受領し、夫が被告と不貞行為に及んでいることを確信して、平成28年1月6日頃、弁護士(原告訴訟代理人)を通じて、被告に対し、不貞慰謝料1000万円の支払を求める旨の内容証明郵便を送付。

また、原告は、同じ頃、同居中であった夫に対しても、弁護士を通じて、被告との不貞行為を理由に離婚を求める旨の内容証明郵便を送付。


被告は、内容証明郵便を受領した後、弁護士と面談し、その際には夫と「不貞行為」があったことを認めていました。


原告は、弁護士を通じて、被告に対し、被告が不貞行為は認めていることを踏まえて、従前請求していた慰謝料と不貞行為への謝罪を求めたいと考えていることなどを記載した同年3月2日付け「ご連絡」と題する文書を送付。

 

被告は、同月3日、上記文書を受領後に弁護士に架電し、上記文書の記載内容に対する反論。

被告は、同月4日、再び弁護士に架電し、そもそも夫は独身であると聞いていた、「不貞行為」とは相手に配偶者がいる男女間のキスなどの行為も広く含んだ意味だと思っていた、昨日の電話で「性行為」の意味を弁護士に尋ねたら、「セックス」であると教示されたが、狭い車内でセックスなどできるはずがないし、自分は車内でのセックスに及ぶほど非常識な女ではない、などと補足の反論をしました。

 

被告は、同年4月4日、弁護士に架電し、不貞行為はなかったことを前提に、50万円から60万円程度の解決金を原告に支払う提案をしたが、原告に拒否されました。

「不貞行為」については、裁判等では性行為を示すものとして使われますが、一般的には広くとらえる人も多く、交渉の初期段階で定義を曖昧にしたまま認めるという人もいます。

 


車内での長時間の滞在行動が不貞を推認するか

被告は、夫に妻がいることを知りつつ、平成27年10月24日午後4時半頃から翌25日午前2時頃まで約9時間半にわたり、夫と二人で外出して過ごし、このうち午後9時頃以降の約4時間半は、途中で一度近所のコンビニエンスストアに移動した場面を除き、本件駐車スペースに停車した車の中に長時間こもり続けるという、一見すると相当に不審な行動に及んでいると指摘。


しかし、車内での滞在状況を終始監視し続けていた探偵業者の調査報告書によっても、車内で何が行われていたのかまでは不明であり、車内で人影が不自然な動きを見せたり、車体が不自然に揺れ動いたりするような状況が現認されたことを示す記録も存在しないとも指摘。

この点に関し、原告は、本人尋問において、車を監視中の探偵業者から、車が揺れ動く様子が確認できるとの報告を電話で受けた旨供述するが、仮にそのような明らかに不自然な停車中の車体の状況の変化が現認されたのであれば、不貞の有無の調査を行う探偵業者が、その旨の特記事項を調査報告書に記録しておかないことは考え難いというべきであるから、客観的な裏付けを欠く原告の供述はにわかに採用できないとしました。


一方、本件駐車スペースは、片側一車線の道路沿いに位置し、すぐ脇を車が通過していく車道に近い場所であること、周囲には街灯が等間隔で多数設置されており、深夜でも相応の明るさを保持していたこと、周辺は土手となっていて、夜間でも人や自転車の通行があったことに鑑みると、たとえ深夜であっても、人目につきにくい環境であるとはいい難く、通行車両や通行人に目撃されないように車内での性行為を敢行するために適した場所であるとは必ずしもいえないと指摘。

このような客観的状況に加えて、被告と夫が当時67歳又は68歳に達していた初老の男女であることを併せ考えると、深夜の時間帯であるとはいえ、二人が敢えて人目に触れる可能性のある車道脇に駐車した狭い車の中での性行為を実行するという大胆不敵かつ破廉恥な性的行動に及んだものとは、一般論としても想像しにくい面があるとしました。


そうすると、上記調査報告書から認定できる単に二人が深夜に長時間密室の車内で滞在し続けていたとの外形的事実をもって、車内での不貞行為の存在を推認するには不十分であり、その証拠力には限界があるといわざるを得ないとしました。


車内から毛布やティッシュが出ても不貞を否定

原告は、車内での不貞行為の立証を補強する証拠として、車のトランクに毛布が積まれている写真や、車内のダッシュボード等に使用済みティッシュが捨てられている写真を援用。

しかし、トランクの毛布の写真は、問題の平成27年10月24日から1か月以上経過した同年11月30日に撮影されたものであり、同年10月24日の時点でも毛布が積まれていたのか否かは不明であるし、仮に同日の時点で車内に毛布が存在していたとしても、単に車内に毛布が積まれていたとの一事をもって、車内での不貞行為を推認するには不十分であるといわざるを得ないと指摘。

なお、調査報告書によれば、本件駐車スペースを離れる前の同月25日午前1時30分頃、車外に出た夫がトランクを開閉する様子が確認されているものの、この時に夫が何を出し入れしたのかまでは不明であることに鑑みると、この点は上記判断を左右するには至らないとしています。


また、使用済みティッシュの写真の撮影日は、同年11月24日及び同年12月4日であり、問題の同年10月24日の直後に撮影されたものではないし、ティッシュに精液が付着していたのか否かも写真からは不明と指摘。

この点に関し、原告は、本人尋問において、現在も保管中であるというティッシュには精液のような臭いが付着していた旨供述するが、客観的な裏付けを欠いており、にわかに採用できないとしました。

そうすると、単に車内のダッシュボード等の中に使用済みティッシュが格納されていたとの一事をもって、車内での不貞行為を推認するにはやはり不十分であるといわざるを得ないとしました。

 


メールだけでは不貞の証拠として弱い

原告は、後記を本件不貞行為を推認させる間接事実として主張するが、いずれも推認力が限定的なものにとどまるか、間接事実自体が認められず、本件不貞行為が推認されるとまではいい難いとしました。

被告の夫に対する送信メールについても否定。

被告は、平成27年11月30日及び同年12月6日、Aに対し、深夜に二人で会っていたことを前提とする内容のメールを送信。

しかし、証拠として提出された被告のAに対する全ての送信メールの文面を検討しても、二人が不貞関係にまで至っていたことを直接窺わせる内容のものは存在せず、上記両日の深夜や明け方まで具体的に何をしていたのかは不明というほかないから、これをもって不貞行為を推認するには不十分というべきであるとしました。


また、被告は、同年11月以降、夫に対し、妻である原告との話合いの状況を気にしたり、離婚をするという話がどうなるのかを気にかけたりする内容のメールを送信。

これらのメールの文面には、夫の離婚の話に進展がない煮え切らない態度について、被告が焦燥感を表明しつつ、夫に決断を迫るような内容が記載されており、文字どおりに読めば、夫に好意を抱いていた被告が夫の離婚の実現を期待していた心境が表現されたものと解釈できる余地があると言及。

しかし、仮に被告が夫の離婚の願望を有していたものとしても、そのことから直ちに二人の間に不貞関係が存在していたことまでの推認が及ぶものではなく、これらのメールが送信される前の本件不貞行為の存在を推認するにはやはり不十分というべきであるとしました。

被告が夫に同年12月6日に送信したメールには、明け方まで話をした日の感想に続けて、「何故か、どうしても、ひとつになれない二人で」との表現があるものの、文章はそこで途切れてしまっており、これだけでは文意が不明というほかなく、こうした中途半端で曖昧な内容のメールを本件不貞行為の存在を推認させる有力な証拠として位置付けるのは困難。


被告及び夫の不貞行為の自白

原告は、被告が弁護士との交渉の場で、当初は夫との不貞関係を認めていた旨主張し、被告自身も、最初に「不貞行為」はあったとの回答をしていたこと自体は本人尋問で認めていると認定。

しかし、「不貞行為」とは法的概念であり、弁護士に相談する前の法的素養のない一般人である被告が、妻のいる夫との「不貞行為」の責任を相手の弁護士から追及された場面で、「不貞行為」は性行為(セックス)に限らず、配偶者を持つ異性とのキスなどの身体的接触行為や、二人きりで夜に会うなどの傍から見れば不適切に思われる行動も広く含む意味であるとの誤解に陥っていたという説明(被告本人)も、あながち不自然とまではいい切れないと指摘。

被告がその後の弁護士とのやり取りの過程で、具体的に問題とされているのは性行為(セックス)の有無であることを確認した後は、狭い車内でセックスなどできるわけがない、自分はそんなに常識のない女ではない、などの首肯し得る反論を展開していたことも併せ考えれば、上記回答経過をもって、被告が過去に真実夫との不貞行為を自認する態度を示していたと認定するのは相当でないというべきであるとしました。

また、原告は、夫が離婚調停の席上で不貞行為は認めていた旨主張し、同旨の供述を行っているが、夫は証人尋問でその事実を否定しており、不貞行為を自認する内容の調停段階の書面も存在しないことに鑑みると、配偶者による不貞行為の自認という重要な点について客観的な裏付けを欠く原告の供述を直ちに採用するのは困難としました。

 


クレジットカードでホテル利用の明細

平成26年12月24日の夫のクレジットカードの利用履歴には、「△△ホテル」での利用料金の決済が行われた記録が存在。

これは「▲▲ホテル」のことを指しており、宿泊利用の場合は少なくとも1室2万円以上を要する料金設定となっているにもかかわらず、同日の同ホテルにおけるクレジットカードの利用金額は1万円のみであり、宿泊料金の決済としては明らかに少額であることが認められると指摘。

そうすると、日にちは定かではないが、被告が夫と二人で食事のために同ホテルを訪れた事実自体は認めていることを考慮に入れたとしても、被告が同日に夫と同ホテルに宿泊した事実は認定できず、その当時被告が既に夫の妻の存在を認識していたか否かの点はさておき、同利用履歴の存在は、何ら二人の不貞関係の立証に資するものではないとしました。

また、原告は、夫が二人でカラオケルームを2時間ないし5時間利用していたレシートを不貞関係を示す証拠として援用するが、互いにカラオケが好きな夫と被告が複数回カラオケルームに数時間滞在していたことをもって、不貞関係の推認に結び付けるのは無理があると指摘。


このほか、原告は、夫から離婚話を切り出された後に、夫が夜間に散歩などといって外出し、深夜に帰宅する日が不自然に増加したことを示す夫の行動記録のメモを被告との密会を繰り返していた証拠として援用するが、外出中に何をしていたのかや、誰と会っていたのかまでは不明であり、これをもって被告との不貞関係を推認するには証拠力が乏しいというほかないとしました。

 


車内の長時間の滞在行動に関する被告の説明の合理性について

以上の間接事実の検討結果を踏まえて、最後に本件不貞行為が疑われている場面に関する被告の説明の合理性について検討。


被告は、長時間にわたる車内での滞在状況について、平成27年6月12日に内縁の夫と闘病生活の末死別したことや、納骨をどうするかなどの、話している最中に不意に涙が出てくるような、ファミリーレストラン等の他人の目や耳に触れる場所で話すのがはばかられる性質のプライベートな話を車内でしていた旨主張し、これに沿う供述をしていると指摘。

また、夫も、はっきりとは覚えていないものの、内縁の夫を亡くした後に被告が抱えていた様々な悩みの相談を受けていたと述べて、被告の主張と符合する証言。

二人が深夜にかけて道路脇に駐車した車中で合計約4時間半にも及ぶ長時間を密室状態で過ごしていたという外形的事実は、一見すると相当に不審な面があることは否定できないものの、他方で、車内での不貞行為が疑われている平成27年10月24日は、被告が十数年間連れ添った内縁の夫と死別してからまだ4か月余りしか経過していない時期であり、内縁の夫にまつわる様々な感情や内縁の夫の親族も絡むお墓などの問題を信頼できる間柄の者に打ち明けて、じっくり相談に乗ってもらいたいという考えを当時の被告が持っていたとしても、必ずしも不自然ではないと指摘。

また、そのようなプライバシーに深く関係する話題は、事柄の性質上、周囲に人がいる飲食店等の場所ではしたくないので、人に話を聞かれる心配のない環境の下で安心して相談を行いたいとの意向を被告が有していたことは、格別不自然な考えではないし、こうした相談に適したプライベートな環境として、本件駐車スペースに駐車した車中を選択することも、必ずしも不合理な発想ではないとしています。

これらの事情を考慮すると、長時間に及ぶ車内での過ごし方に関する上記被告の供述及び夫の証言は、あながち不自然で苦しい弁解とまでは断じ難いというべきであるとしました。


これに対し、原告は、仮に人目を気にしつつプライベートな話を長時間したかったのであれば、カラオケの個室を利用するという合理的な選択肢があったにもかかわらず、深夜の土手沿いに停めた車内という状況を敢えて選択したのは、カラオケの個室以上に密室性の高い環境でなければ実行できない行動に及ぼうとした意図の表れであり、被告の弁解内容は不合理である旨主張。

しかし、仮に路上に駐車した車内での性行為を敢行するのであれば、事柄の性質上、人目に触れない環境であることが必須条件となるところ、車を停めた本件駐車スペースは、深夜であることを勘案しても、一義的に人目につきにくい場所であるとはいい難いとして、原告の主張を排斥しました。

 

口裏合わせとの主張は排斥

また、原告は、本訴提起後も被告と会って事件の話もしたことを証人尋問で自認した夫には、原告との離婚問題が未解決である状況を考えると、利害が一致する被告と口裏合わせをして虚偽の証言をする動機が存在するから、その証言は信用できない旨主張。


原告が指摘するとおり、類型的に虚偽供述に及ぶ動機が存在する立場の夫の証言の信用性を慎重に吟味すべきことはもちろんであるが、一方で、前述したとおり、70歳に近い相応の人生経験や経済力のある初老の男女が、ホテルに行こうと思えば行けたはずであるにもかかわらず、深夜であるとはいえ、人目に触れて通報されるかもしれないリスクを承知の上で、敢えて車内での性行為に及ぶという大胆不敵で破廉恥な性的行動に及んだものとは、常識的に考えて想像し難いこともまた否定できないと指摘。

こうした素朴な疑問点と対比して考察した場合に、被告との不貞行為の成否に関して利害関係を有する夫の証言が全面的な信用に値するといえるのかどうかはともかく、少なくとも、夫が車内での性行為の有無に関して殊更に虚偽を述べているものとは、問題となっている事柄の性格上、にわかに考えにくい難点が最後まで残るといわざるを得ないとしました。

 

裁判所は、原告が主張する種々の間接事実を総合しても、本件の証拠関係から推認できるのは、せいぜい被告と夫が相当に親密な交際関係にあったという限度の事実にとどまり、これを超えて本件不貞行為の存在まで認めるに足りる証拠はないといわざるを得ず、被告の原告に対する不法行為の成立は認められないとして請求棄却としました。

 

非常に疑わしい証拠はあるもの、性行為の立証はできていないとして、不貞慰謝料が否定された形となります。

不貞行為があったのか、原告が考えすぎだったのか、真実は不明ですが、交渉前でも調停時でも、夫が性行為としての不貞行為を認めたのであれば、その時点で一筆もらうなどして証拠化をしておけば、結論は全く変わったといえるでしょう。

 



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