永代供養料の返還請求が認められた裁判例を紹介。返金しない条項も消費者契約法で無効

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FAQ(よくある質問)

 

Q.永代供養料の返還請求はできる?

永代供養料を支払ったものの、使用せず、数年後に解約し返金を求めた裁判例があります。

大阪地方裁判所令和2年12月10日判決です。

内容としては、永代供養契約を分解し、その性質から、一部の返還請求を認めています。

 

この記事は、

  • 永代供養の契約を解約したい
  • 契約後、何も利用していないので返金を求めたい

という人に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.6.24

 

事案の概要

今回は、永代供養料等の返還請求が一部認められた裁判例です。

 

被告は、宗教法人。被告は、 納骨壇の販売・運営を外部に委託。

受託した会社は、関西圏でテレビCMによりビル型納骨壇の使用権を宣伝販売していました。

原告は2012年、同社を通じて、被告に対し、納骨壇の使用を申し込み、契約。

永代使用料と永代供養料140万円を支払いました。

その後、全く使用しない状態が続き、6年経過。

6年後に本件契約を解約、140万円の返還を求めて訴えを提起。

 


永代供養の管理規約内容

原告は、本件管理規約の内容を承諾した上で、被告に対し、本件納骨壇の使用の申込みの意思表示をし、被告がこの申込みの意思表示に対して承諾の意思表示をして、本件契約が成立していることから、本件管理規約の内容は本件契約の内容となっているということができると認定。


管理規約2条は、被告の代表役員が納骨壇の管理・運営をする旨、同4条9項は、納骨壇の使用者が遺骨又は遺品を収納する度に所定の遺骨預かり願いを提出しなければならない旨、同条5項は、納骨された慰霊については管理者である被告の代表役員がその責任において永代にわたって供養する旨、それぞれ定めていました。

 

永代供養の契約性質により解約できる

本件契約は、被告が原告から遺骨預り願いの提出を受けた場合に遺骨又は遺品を永代にわたって保管し、その報酬として原告が被告に対して永代使用料を支払うこと及び遺骨又は遺品の保管を前提に、被告が原告のためにその保管する遺骨又は遺品を永代にわたって供養するという役務を提供することをその本質的内容とする契約であると認定。

 

本件契約の性質は、被告が原告のために遺骨又は遺品を保管することを約し、その寄託の報酬として原告が被告に対し永代使用料を支払うという内容の有償の諾成的寄託契約に、被告が原告のために永代供養という役務提供を行うことを約するという内容の準委任契約が付随した混合契約であると解するのが相当であると認定しました。


このような法的性質から、原告は、本件契約について、民法662条に基づき、いつでも遺骨又は遺品の保管に係る諾成的寄託契約部分を解約することができ、かつ、民法651条に基づき、いつでも永代供養に係る準委任契約部分を解約することができるとしています。

 

永代供養契約の解約と返金

このような契約の性質を認定してから、返金可能性について触れていきます。

永代使用料及び永代供養料として支払われた金員のうちには、本件納骨壇を使用し、供養を受けることができる地位を付与され、これによって、宗教的感情を満足させる効果が生じたことに対する対価としての性質を有する部分があるとみるのが相当であり、当該部分については、後に本件契約が解除されても返還義務が生じるものではないと解されると指摘。

そして、永代使用料及び永代供養料における、遺骨又は遺品を永代にわたって保管し、供養することに対する報酬の部分と、それを受けることができる地位を取得するための対価としての部分との割合は、前者が本件契約における債務の本質的内容であり、後者がその前提として付随するものであることからすると、7割対3割と見るのが相当と判断しました。

したがって、永代使用料及び永代供養料の合計140万円のうちの3割に相当する42万円については、本件契約に付随する地位の付与の対価としての支払として、法律上の原因があると認めるのが相当としています。

本件契約に基づく報酬請求としての永代使用料及び永代供養料の合計140万円のうちの7割に相当する98万円の支払については、本件契約が解約告知によって終了したことにより、その支払の根拠となる報酬請求権が発生しないことになり、報酬請求権の発生を理由として法律上の原因があるということはできないとしました。

 

解約しても全額返還しない特約は無効

原告は消費者契約法2条1項の消費者に当たり、被告は同条2項の事業者に当たるから、本件契約は、同条3項の消費者契約に当たると認定。

そして、本件契約における本件不返還特約は、使用者が解除又は解約した場合においても適用されることが想定されるものであり、被告が本件契約に基づいて受領した既払金を一切返還しないという内容の規定であると解されるから、本件契約の解約に伴う損害賠償額の予定又は違約金を定める条項に当たるとしました。

本件不返還特約は消費者契約法9条1号の適用の対象となるとしています。


本件契約と同種の消費者契約において、本件のように消費者が納骨壇の使用を開始する前の段階で解約告知により終了した場合、通常は事業者には何ら積極的な損害が発生しないものと認められると判断。

本件契約と同種の消費者契約につき、本件契約が解約された時点の区分に応じた平均的な損害は存しないから、本件不返還特約は、消費者契約法9条1号により、全て無効であるとしています。

 

以上の理論で、永代供養契約を使用前に解約、一部返金を認めたという判決となっています。

永代供養に限らず、何らかのものを預ける寄託契約等でも参考になる裁判例といえるでしょう。

 

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