配当要求で消滅時効は中断するかの最高裁判決を解説。マンション管理費。

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FAQ(よくある質問)

 

Q.配当要求で消滅時効は中断する?

マンション管理費の消滅時効で、最高裁まで争われ、時効中断を認めた事例があります。

配当要求があったものの、競売が取下げられたということで、時効中断が争われました。


最高裁令和2年9月18日第二小法廷判決です。

この記事は、

  • マンション管理費に関わっている
  • 先取特権債権についての消滅時効を主張したい

という人に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.6.27

 

事案の概要

原告は、本件マンションの団地管理組合法人。

管理費等の滞納がありました。

平成23年4月、本件建物部分の共有持分についての強制競売開始決定。

同年6月、原告は、強制競売手続のなかで、滞納管理費の一部について、建物の区分所有等に関する法律66条、7条1
項の先取特権を主張、民事執行法51条1項に基づいて配当要求。

ところが、同年7月、本件強制競売の申立ては取り下げられました。

その後、被告が、本件建物部分を担保不動産競売によって取得。

被告は、滞納管理費等の支払義務を承継することになります。

 

そこで、原告が、管理費等およびこれらに対する遅延損害金の支払を求めたところ、被告は、民法(平成29年法律44号による改正前のもの) 169条に基づき、上記管理費等のうち支払期限から5年を経過したものについて消滅時効を援用。

これに対し、 原告は、本件配当要求により、消滅時効は中断したと反論。

配当要求によって消滅時効が中断したかどうかが争われました。

 

高等裁判所は消滅時効

高裁は、中断を否定、一部を消滅時効と判断しました。

不動産競売手続において、区分所有法66条で準用される同法7条1項の先取特権を有する債権者が配当要求をしたことにより、配当要求債権について、差押えに準ずるものとして消滅時効の中断の効力が生ずるためには、債務者が上記配当要求債権についての配当異議の申出等をすることなく売却代金の配当または弁済金の交付が実施されるに至ったことを要すると解するのが相当であるとしました。


本件においては、本件強制競売の申立てが取り下げられており、本件配当要求債権についての配当異議の申出等をすることなく配当等が実施されるに至ったものではないから、本件配当要求により本件配当要求債権につき消滅時効の中断の効力が生じたということはできないという内容です。

配当要求をしても、強制競売の申立が取り下げられてしまえば、消滅時効は中断しないとの結論。


原告が上告受理申立て。

 

最高裁判所は消滅時効を否定

一部却下、一部破棄差戻しというものでした。


区分所有法7条1項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、一般の先取特権である共益費用の先取特権とみなされるところ(区分所有法7条2項)、 区分所有法7条1項の先取特権を有する債権者が不動産競売手続において民事執行法51条1項(同法188条で準用される場合を含む。)に基づく配当要求をする行為は、上記債権者が自ら担保不動産競売の申立てをする場合と同様、上記先取特権を行使して能動的に権利の実現をしようとするものであると指摘。

また、上記配当要求をした上記債権者が配当等を受けるためには、配当要求債権につき上記先取特権を有することについて、執行裁判所において同法181条1項各号に掲げる文書により証明されたと認められることを要するのであって、上記の証明がされたと認められない場合には、上記配当要求は不適法なものとして執行裁判所により却下されるべきものとされていると言及。

これらは、 区分所有法66条で準用される区分所有法7条1項の先取特権についても同様であるとしています。


以上に鑑みると、不動産競売手続において区分所有法66条で準用される区分所有法7条1項の先取特権を有する債権者が配当要求をしたことにより、上記配当要求における配当要求債権について、差押えに準ずるものとして消滅時効の中断の効力が生ずるためには、法定文書により上記債権者が上記先取特権を有することが上記手続において証明されれば足り、債務者が上記配当要求債権についての配当異議の申出等をすることなく配当等が実施されるに至ったことを要しないと解するのが相当であるとしました。

配当までいかなくても、消滅時効は中断するとの結論です。


配当要求で時効は中断

団地管理組合法人は、その業務を行うにつき団地建物所有者に対して有する債権について、共益費用の先取特権を持ちます。

一般の先取特権を持っている債権者は、不動産競売があった場合、その手続で、配当要求できます。

配当要求があった場合は、差押債権者と債務者に通知がされます。

 

今回の最高裁判決は、このよううな配当要求によって消滅時効が中断すること、そのためには債務者が配当要求債権についての配当異議の申出等をすることなく配当等が実施されるに至ったことまでは必要がないことを判断したものです。

消滅時効制度については、民法改正がされています。

改正前民法では各種の時効中断事由がありましたが、これに限定されるものではなく、これに準ずるものまで時効中断事由になるとされていました。

配当要求についても、過去の判例で、差押えに準ずるものとして中断事由になるとされていました。

しかし、配当要求があっても、それだけで判決のように権利の有無が判断されるわけではありません。

債務者に、請求権を争う機会が与えられる必要があるとする考え方もあります。これを前提にすると、配当要求後、配当異議等の申出なく配当等が実施されて、はじめて時効が中断するのではないかという考えもありました。

高裁はこのような考えを前提にしています。

これに対し、最高裁は、配当実施までは不要という判断をしたものです。

 

消滅時効と民法改正

民法改正により消滅時効制度も変更されています。

中断という言葉は使われなくなり、完成猶予と更新という呼び方になっています。

改正前民法で差押えまたはこれに準ずるものとして中断とされていた事由については、民法148条1項各号で完成猶予の効力が認められています。

今後、本件のように、一般の先取特権に基づく配当要求をした後、強制競売手続が取り下げられた場合、更新となるといえるかどうかは不明です。

更新の性質上は、今回の判決と同じように、更新の効力が認められる余地はあるとされています。

民法改正後の債権については、異なる考え方が採用される可能性はあるとは意識しておいたほうが良いでしょう。

 


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