FAQよくある質問
FAQ(よくある質問)
Q.家事調停の本人出頭主義とは?
家事調停や家事審判では、弁護士に依頼をしても裁判所のへの出席が必要です。
これを本人出頭主義と呼びます。
この記事は、
- 家事調停や家事審判を弁護士に依頼したい
- 弁護士に任せればそれでOK?
という人に役立つ内容です。
本人出頭主義
民事裁判や民事調停では、紛争当事者である本人が裁判所に出頭しなくても、弁護士等の代理人を選任することで、手続を進めることができます。
尋問期日や和解期日には出席を求められることも多いですが、他の期日では、代理人だけが出席ということも多いです。
特に民事裁判では、そのような傾向にあります。
裁判や調停は、平日の日中に期日が開かれますので、全期日に出頭しなくても良いというのは、代理人を選ぶメリットといえます。
民事裁判や民事調停に対し、家事審判、家事調停については、原則として本人が出席する必要があるとされます。
本人出頭主義と言われます。
本人出頭主義の条文
家事事件手続法では、第51条1項で、家庭裁判所は、家事審判の手続の期日に事件の関係人を呼び出すことができるとしています。
2項では、呼出しを受けた事件の関係人は、家事審判の手続の期日に出頭しなければならないとし、ただし、やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができるとされています。
さらに、3項では、前項の事件の関係人が正当な理由なく出頭しないときは、家庭裁判所は、五万円以下の過料に処するとまでされています。
この条文は、258条で、家事調停の手続の期日について準用するとされています。
これによって、離婚や相続などの家事調停手続きでは、弁護士をつけても当事者本人の家庭裁判所への出頭が必要とされるのです。
本人出頭主義の理由
このように、民事裁判とは異なり家事調停等で本人出頭主義が採用されている理由はいくつかあります。
家事問題では、人の感情的な問題を取り扱うことが多く、裁判所で直接本人からの聞き取りをして問題を把握する必要があることや、身分行為という性質から、代理人をつけていても本人自らの意思決定の確認が必要とされています。
また、相続などでは、当事者が高齢になることも多く、判断能力が低い可能性があり、裁判官が口頭で確認する必要があることも理由に挙げられます。
家事調停では、感情面での調整も多く、調停期日でもこの部分のケアがされる時間が多いです。そのような時間が必要だという前提でしょう。
本人出頭主義の例外
本人出席義務の例外が、「やむを得ない事由」です。
ここに該当するものとして、当事者本人の病気や一時的な家族の不幸などが挙げられます。
ただ、このような事情があっても、期日変更で対処できないか検討されることが多いです。
期日変更をして、別期日であれば、出頭できる理由があるのであれば、やむを得ない事由とはされない可能性が高いです。別期日に原則どおり出席するよう求められるでしょう。
また、この例外は、期日によっても違うといえます。
調停期日でも、期日ごとにその内容が変わります。
遺産分割調停などでは、当事者も多数となり、紛争性のない当事者は、途中の期日を欠席して、調停成立時に再び出席するということもあります。
家事事件の裁判と本人出頭義務
このような本人出頭主義がとられているのは、調停や審判手続きであり、家事事件であっても裁判では代理人だけが出席することがほとんどです。
人事訴訟法では、本人尋問の場合には、個別に出頭命令の規定があります。
人事訴訟法第21条では、人事訴訟においては、裁判所は、当事者本人を尋問する場合には、その当事者に対し、期日に出頭することを命ずることができるとされています。
その他の期日では、このような規定がなく、離婚裁判の場合には、弁護士だけが出頭し、民事裁判のように書面でのやりとりで進められることも多いです。
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