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FAQ(よくある質問)

 

Q.貞操権侵害の慰謝料金額は?

既婚を隠して関係を持つことで、貞操権侵害とされることがあります。

本件では、

出会い系サイトからの交際

結婚、妊娠も匂わす発言での性交渉

という事例で、慰謝料として50万円が認定されています。

東京地方裁判所令和2年3月2日判決です。

同様の紛争になっている人は参考にしてみてください。

 

この記事は、

  • 既婚を隠して性交渉に至って納得できない
  • 貞操権侵害で慰謝料請求されている

という人に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.8

 

事案の概要

原告は、昭和53年生まれの未婚の女性。

被告は、昭和48年月生まれの既婚の男性。

原告が、被告が、独身男性をかたり、結婚を前提に交際したいなどと虚偽の甘言を述べて性的関係をもったことが、原告の人格権又は貞操権を侵害する不法行為に該当すると主張して、損害賠償金330万円等を請求した事件です。

 

出会い系サイトからの交際

インターネット上のサービス「A」は、男女間でのパートナー探しを目的として、利用者が学歴、職種、年収や、趣味・嗜好等をプロフィールに登録して、利用者間で互いを紹介し合い、登録内容をもとに相性のよさそうな相手が見つかれば、利用者間でメッセージを交わすこと(ただし、男性会員については有料会員に限る。)ができるシステム。

原告と被告は、平成29年4月半ば、本件サイトを通じて互いに知り合い、同年5月6日に初めて二人で会い、以後二人でデートを重ね、性交渉にも及びました。

被告は、原告と知り合った当時から、すでに婚姻していました。

 

平成29年11月18日に被告が既婚者であることが原告に知れるところとなり、同日が二人で会う最後の日となっています。

交際期間は半年程度となりますね。

 

 

出会い系サイトの規約と虚偽登録

本件サイトは、利用規約上、利用者を18歳以上の独身者に限定しており、既婚者が会員登録をしてサービスを利用することを禁止しています。


被告は、本件サイトでは既婚者の登録、利用が禁止されているのを知りつつ、有料会員として本件サイトを利用し、プロフィールには、結婚歴に「独身(離婚)」、結婚に対する意思は「良い人がいればしたい」などと登録。

 

原告は、結婚相手を探すために本件サイトに登録していました。

原告は、本件サイトを利用して被告を知り、平成29年4月半ばから、本件サイトで互いにメッセージを交わすようになり、同年5月6日に初めて二人で会いました。

 

独身との虚偽説明

当日、被告は、28歳時に性格の不一致で離婚したことや、被告が1年ほど前まで別の女性と交際していたこと、父が亡くなった際に遺産のほとんどを姉に相続してもらったことを話しました。

原告から、上記交際相手が既婚者と思われると指摘されると、被告は、「もしそうであればすごくショックなんだけどな。」と発言。

原告は、被告の話を聞いて、被告が一度離婚を経験した独身男性であると信じました。

 

同居や結婚を匂わす発言

原告と被告は、同年6月2日には、二人で落語を聞きに行き、原告が初めてのことであったと伝えると、被告は、「これから初めてのことをたくさんしていこう。」と発言。

その晩に二人で初めて性交渉を持ちました。

原告は、交際前に被告と性交渉に及んだことが軽率だったと後悔して、被告とは、正式に交際するまでは性交渉に及ばないこととし、その旨を被告に伝えました。

被告は、同月28日、原告と二人で食事に出かけ、原告に対し、被告が犬を苦手としており、二人で一緒に住むときには、原告が飼っている犬を実家に置いてきてほしいと伝えました。

 

被告は、同年7月12日、原告と二人で食事に出かけた際に、原告に対し、自分もいい年だし、原告との交際を遊びではなく、真剣に考えていると伝え、原告にとっては初婚であるから結婚式をあげたほうがいいと勧めました。

また、被告は、二人の出会いのきっかけが本件サイトだったと紹介するのは面白くないから、二人で面白いエピソードを考えようと提案。

ほかに、被告は、先日に二人で鉄道博物館に出かけたことについて、子供ができたらもう一度行ってみようと話しました。

 

複数回の関係、妊娠OKとも匂わす発言

被告は、平成29年7月15日、原告に正式に交際を申し込み、原告がこれを受け入れました。

原告と被告は、以後も、二人で食事に出かけるなどデートを重ねました。

同年8月5日には、被告は、原告と出かけたコンサート会場で、被告の知人女性に、原告が彼女であると紹介。

原告は、被告とは、正式に交際するまで被告との性交渉を避けていたが、交際申込みを受け入れたことから、同年8月12日、同年9月28日、同年10月27日には被告と性交渉に及びました。

被告は、原告との性交渉では避妊具を使用したことがなかったが、原告には、ピルを飲まなくていいのにと伝えたことがありました。

また、被告は、同年8月19日に原告に対して「このお腹が妊娠して膨らんだらどうなるんだろう。」と発言。

 

既婚者であることが発覚

原告は、平成29年11月18日、被告の投稿を閲覧して、被告が平成23年時点において結婚していたことを窺わせる内容であったため、被告が同年時点に二度目の婚姻関係にあったものと理解して、被告が二度の離婚歴があるにもかかわらず結婚歴を詐称しているものと疑い、被告を問い詰めたが、その場で「まさか婚姻関係は継続していないよね。」と質問すると、被告は現在も妻と婚姻関係にあることを打ち明けました。

なお、それまでに被告が原告に対して既婚者であると自ら伝えたことはもとより、既婚者であることをほのめかしたこともなし。

 

裁判所は貞操権の侵害を認定

被告は、原告訴訟代理人との交渉を通じて、原告に対し「彼女(原告を指す)を騙していない。」、「慰謝料を請求されるなら、彼女に対し妻から慰謝料請求をすることを考える。」などと伝えていました。

また、被告は、勤務先しか原告に開示しておらず、本件訴えの提起に際して原告訴訟代理人から現住所を明らかにするよう要求されたが、一切開示せず、本件口頭弁論の終結時に裁判所から釈明を求められても、開示に全く応じない状態。

被告は、原告に対し、既婚者であることを隠して、自身のプライベートを打ち明けるかのような言動をして原告に信頼感を与えたり、原告との結婚をほのめかす発言をしたりして、原告を誤信させ、被告との婚姻に対する将来への期待も抱かせて、原告と交際関係を持つに至り、複数回にわたって性交渉に及んでいたのであるから、被告が原告の貞操権を侵害したものと認定。

被告は、悪意はなかった旨供述するが、認定した被告の言動の内容に照らして、その供述はおよそ信用できないと排斥。

また、被告の供述には、原告が性に解放的であった旨言及する部分があるが、原告が被告に対して、結婚を視野に入れた交際を期待し、そのような交際における性的関係を望んでいたものと認められるから、原告の貞操権侵害を左右するものではないと排斥。

被告は原告に対して不法行為責任を負うと結論づけました。

 

貞操権侵害の慰謝料は50万円

原告は被告に対して結婚を視野に入れた交際を期待していたのに、被告に騙されて、性的関係を持ち、相当の精神的苦痛を被ったものと認められ、被告の原告に向けた言動には、性的関係の前提となる信頼感を醸成するための積極的な働きかけがあり、被告の態様が悪質であることや、被告の事後の対応が自己の責任を免れようとする不誠実なものであることに鑑みると、慰謝料は50万円と認めるのが相当としました。

なお、本件サイトには規約に違反して利用する既婚者がいるとしても、被告は本件サイトのプロフィールに限らず、原告に直接向けた言動をもって、原告をして被告が独身男性であると信じさせていたのであるから、原告に落ち度はなく、被告の責任が軽減されるべき事由とはならないとしています。


弁護士費用については、本件事案の難易、請求額、認容される額その他本件に現れた諸般の事情を斟酌すると、5万円が本件の不法行為と相当因果関係のある損害と認定。1割です。

 

貞操権侵害のご相談も多いですが、不貞慰謝料、離婚慰謝料と比較すれば低額の認定となることが多いです。

侵害自体が認められるためにも、このような経緯を細かく主張・立証していく必要があります。

請求側としては納得できない金額かもしれませんが、内容証明郵便等による文書での通知や、交渉による解決の方が望ましいことが多いです。


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