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FAQ(よくある質問)

 

Q.パワハラの3要件とは?

職場のパワハラ問題での相談、問い合わせも多いです。

パワハラに関しては、勤務先にも防止措置の義務があることが多いので、そのような対応を勤務先に求められないかと検討すると良いでしょう。

そこで、そのようなことを求められるパワハラの要件を解説しいます。

 

この記事は、

  • パワハラの被害にあって困っている
  • パワハラをしていないのに訴えられている

という人に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.8.23

 

パワハラの3要件とは

一般的に言われるパワハラの要件としては、パワハラ防止法の3要件が使われることが多いです。

正確には、労働施策総合推進法。社内のパワハラを防止するよう相談窓口の設置等を義務付けている法律です。

2022年4月から中小企業も対象になります。

ここで、事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上、必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない、とされています。

この条文からの3要件として、

職場において行われる
① 優越的な関係を背景とした言動
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
③ 労働者の就業環境が害されるもの

が挙げられます。

ここでのパワハラは、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいうとされます。

 

他のパワハラもありうる

この3要件については、厚生労働省で指針が出されていますが、結局、抽象的な規定になっています。

また、ここでのパワハラに該当したからといって、民事上の不法行為になり慰謝料請求ができるとも限らず、また、懲戒処分が許されるとも限りません。

これらは必ずしもリンクしないのです。ここでの「パワハラ」になるかどうかは、雇用主側に防止義務が発生するかどうかの問題なのです。

とはいえ、パワハラの要件らしきものが法律で記載されている部分なので、多くのパワハラ問題では、この3要件から出発することになります。


パワハラ要件「優越的な関係を背景とした」言動

優越的な関係は、業務遂行の際に、その言動を受ける労働者が、行為者に対して抵抗や拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景としているものです。

パワハラといえば、典型的な関係は、上司・部下の関係です。

しかし、この要件では、それ以外のものも含まれます。

同僚や部下による言動でも、その人が業務上必要な知識、豊富な経験があって、その人の協力がなければ業務の円滑な遂行を行えない場合には、同僚や部下の言動もパワハラになりえます。ITなどに詳しい部下から、上司に対する言動もパワハラになることがあるのです。

 

また、同僚や部下などの集団による行為があって、これに抵抗又は拒絶することが困難であるものも含まれます。

集団によるパワーもパワハラの主体になりうるのです。

 

パワハラ要件「業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより」

必要性、相当性という抽象的な要件です。

現場では、この当てはめが大変になります。

業務上明らかに必要性のない言動や、業務の目的からかけ離れた言動、業務を遂行するための手段としては不適当な言動などは、この要件を満たします。

また、行為の回数、その態様や手段が社会通念からして許容される範囲を超える言動も含まれます。

 

この判断に当たっては、多くの要素が考慮されます。

言動の目的が何であるのか、言動を受けた労働者に問題行動があったか現場が危険など業種・業態によっても許容される言動は変わるでしょう。

必要性の要件としては、上司が、業務と関係のない個人的な用事を命じる場合、必要性がないと判断されるでしょう。

相当性の要件として、叱責の態様が考慮されることになります。部下のミスに対して叱ることが必要だったとしても、机を叩いたり、怒鳴ったり、多数人の前で叱責するなどの態様だと、相当性の要件を満たさないと言われる可能性が上がります。逆に、医療現場、危険性が高い工場などで部下のミスに対し、怒鳴ることがあったとしても、人の生命・身体に関わる場合であれば、やむを得ないとして相当性の要件を満たすとされることもあります。

このように、この要件は、現場によって、また、各要素によって変わってくるため、判断が難しい要件です。

 

パワハラ要件「労働者の就業環境が害されるもの」

3要件目の就業環境が害されることも必要です。

必要性や相当性のない言動だけではなく、それにより、この3つ目の要件も満たすことが必要なのです。

就業環境が害されると書かれていますが、厚生労働省の指針では、この内容としては、行為者の言動で、労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために能力の発揮に重大な悪影響が生じる等の当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指すと解説されています。

身体的苦痛か、精神的苦痛を受けたことを前提に、就業環境が不快になり、支障が生じるという関係になります。

言動を受けた人の苦痛だけではなく、環境が害されることまで必要な要件とされています。


この判断の際には、「平均的な労働者の感じ方」を基準にするとされています。

平均的とは、「同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうか」とされます。

その人がどう感じたかというより、普通の人ならどう感じるかを基準に判断するということです。

平均的な労働者よりも、打たれ弱い人が、上司のフィードバックを受けて精神的苦痛を受けたとしても、平均的な労働者であれば苦痛を感じないという場合には、パワハラ要件を満たさないことになります。


パワハラになる6類型

厚生労働省の指針では、パワハラになる具体的な例を6類型、紹介しています。一般的なパワハラのイメージとは異なるものも含まれているといえるでしょう。

 

1 身体的な攻撃(暴行・傷害)

殴る、蹴るなどの暴行です。これ自体、怪我をさせれば傷害罪、させなくても暴行罪になる犯罪行為です。

パワハラになるかどうか以前に刑事的にも違法です。当然ながら、民事でも不法行為となり、損害賠償請求の対象になります。

暴行の内容としては、直接の加害行為ではなくても、相手に物を投げつける行為なども含まれます。


2 精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱)

これらも、刑事問題として犯罪行為に含まれる類型です。ただ、程度によっては、警察が動かない、処罰されないということも多い犯罪です。

また、刑法の犯罪要件を満たさなくても、民事でも不法行為となることが多い類型です。

人格を否定するような発言や、プライバシーに関する情報を公開してしまうことも含まれます。

長時間にわたる厳しい叱責、大勢の前での大声での威圧的な叱責なども、この類型に含まれるでしょう。

 

3 人間関係からの切り離し

直接的な攻撃ではなくても、職場のいじめのようなものもパワハラに含まれるとされます。

隔離や仲間外しなどです。

同僚が集団で無視するような行為も含まれます。

 

4 過大な要求

業務上明らかに不要なことのほか、遂行できないようなことを強制したりする行為もパワハラに。

経験が少ない従業員に対し、必要な教育もせず、過大なレベルの業績目標、ノルマを課す行為などがここに含まれます。

 

5 過小な要求

逆に、業務上の合理性もないのい、能力や経験とかけ離れた仕事を命じることもパワハラになる可能性があります。

窓際族などがこの類型になります。

労働者を退職させるために、誰でも遂行可能な業務を行わせたり、仕事を与えない行為が含まれます。


6 個の侵害

私的なことに過度に立ち入ることとされます。

職場外での継続的に監視や、私物を写真撮影するなどの行為が含まれます。

SOGIハラと呼ばれますが、労働者の性的指向・性自認等を了解なく、暴露する行為などがここに該当します。

 

パワハラの認定問題

厚生労働省は、非該当例も示してくれてはいますが、現場での当てはめの際にはグレーゾーンの問題も多く、認定は難しいです。

身体的攻撃や精神的攻撃は、刑事事件としての犯罪要件などもあるため、まだ判断しやすい類型です。さらに、不当解雇や退職強要などが加わった場合には、裁判例も多くあるので、参考にできます。

しかし、人間関係からの切り離しや個の侵害等の他の問題は、コミュニケーションや業務量の問題であり、これだけで裁判になることは少なく、他の判断を参考にしにくいものといえます。

 

 

パワハラがあった場合の対応

このようなパワハラの要件を満たした場合の効果としては、雇用主に防止義務があるというものです。

実際に、パワハラの被害を受けた場合に、どのような対応がとれるのでしょうか。

まず、職場に相談窓口などがあれば、そこに相談するのが通常の流れです。聞き取り調査等がされることになります。

これにより、環境が改善されることもあります。

 

内部の相談窓口で改善されなかった場合には、外部に相談することになります。弁護士なども外部の相談窓口といえます。

このような相談窓口から、通知をして、改善を求めることがあります。

書面等で、パワハラ行為者本人や会社に対して、パワハラの指摘、改善を求める通知をする方法です。

 

このような対応でも改善がされない場合や、改善以外の方法を検討する場合、民事上の不法行為といえる場合には、慰謝料の請求をすることも選択肢になってきます。特に、ひどいパワハラで、体調を崩したような場合には、その損害賠償請求をすることもあります。

パワハラの指摘をしていくなかで、雇用契約上、不当な不利益を受けたような場合には、それを是正する法的措置をとることもあります。解雇等がされた場合には、解雇無効の確認や、地位確認の保全処分などの方法があります。

労働審判を使うこともあるでしょう。

 

パワハラ冤罪

このように、パワハラ被害を受けた場合の法的手続きがある一方で、パワハラ冤罪という問題もあります。

パワハラをしていないのに、パワハラだと訴えられ、社内で懲戒処分を受けた、その内容を争いたいという相談です。

懲戒処分の無効を確認する訴訟を起こし、そのなかで、パワハラではないということを主張していく方法です。

パワハラという言葉が広まり、問題社員によるパワハラのでっち上げ、冤罪事件も出ています。

どのような紛争でも、このような冤罪事件はあるのですが、パワハラの場合、部下の指導とのグレーゾーンが広いため、このような冤罪問題が起きやすい構造にあるといえるでしょう。


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弁護士 石井琢磨 神奈川県弁護士会所属 日弁連登録番号28708

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