保険・請負契約のクーリングオフができるか特定商取引法の書面について解説。弁護士が解説

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FAQ(よくある質問)

 

Q.保険・請負契約のクーリングオフはできる?

最近、増えている保険金請求と工事請負契約の相談があります。

このような勧誘を訪問販売で受けた際、クーリングオフが認められるか争われることもあります。

複合的な契約のため、どのように考えれればよいのか解説します。

 

この記事は、

  • クーリングオフを検討している
  • 保険金の範囲で工事すると勧誘されたが納得できない

という人に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.8.30

 

増加中の保険請求・修理工事相談

国民生活センターから発表された統計データで、保険を使った修理工事の消費者相談が増加していると報告されています。

保険で直せるから、ということで勧誘をし、工事を実施するものの問題が発生するというパターンです。

明らかに相談件数が増えていることから、このような工事請負業者が、火災保険等の知識をつけて勧誘、保険金の受領も含めて対応するようになっているものと推認されます。

 

そのような契約で、クーリングオフが認められる裁判例もあります。

今回は、クーリングオフが認められた事例を紹介します。契約関係が複雑な場合のクーリングオフ検討に参考になる裁判例です。

名古屋簡易裁判所令和3年3月31日判決です。

 

事案の概要

原告から工事代金の請求をされ、クーリングオフを主張して争った事案です。

原告は、不動産所有者支援団体を運営。入会会員に対し、火災保険の取扱いに関する援助及び不動産の開発等を業とする一般社団法人。

原告と被告との間で契約がされました。保険金の支払に関する契約と建物の修繕工事請負契約でした。

 

契約内容は一体化した複合契約

裁判所は、この契約について、次のように認定。

被告が原告の団体に入会することで、原告は、被告の保険金請求の援助をし、その結果被告に保険金が支払われると、被告は保険金受領の日から7日以内に少なくともその受給した保険金の全額を請負代金として、原告に一括して支払うことを内容とし、保険請求の援助と建物修繕工事請負契約が一体化されている複合的契約であると認めるのが相当であるとしました。

また、本件契約は、被告住宅の屋根を修補することを主たる目的とし、その費用は被告が加入する共済から支払われる保険金の範囲内とするか、不足する分は被告が追加することを基本的な内容とするものでした。

 

特定商取引法で義務づけられている書面

特定商取引法5条により交付すべき書面には、役務の種類を特定する必要があります(特定商取引法4条1号)。

複雑な役務(複数の要素から成り立っている役務)については、記載可能なものをできるだけ詳細に記載する必要があるとされます。

原告が交付した本件契約書の記載は、複数の要素から成り立っている役務であり、その内容が複雑な役務であると解されるから、記載可能なものをできるだけ詳細に記載する必要があるとされます。

また、特定商取引法が法定書面の交付を要求している趣旨は、取引条件が不明確なことによる紛争の発生を防止するために、取引条件を明確にすべきことを業者に義務付け、訪問販売を受け、役務提供を受ける者に、役務自体の必要性の有無、質、対価の相当性等を十分に検討する機会を与えることにあると解するのが相当であるとしています。

 

特定商取引法の書面の不備

これを本件について見ると、被告に交付された書面は、契約書及び重要事項説明書

これらの書面には、具体的な施工箇所及び具体的な金額が記載されていないと指摘。また、保険金がいくら支払われたら、どの箇所を施工するのかという対応関係及び優先順位も特定されていないとしています。

原告は、被告に対し、被告住宅の修繕工事の内容、対価について十分に検討することが可能な書面を交付したと認めることは困難であり、特定商取引法が定める法定書面を交付したと認めることはできないとされました。

したがって、本件契約についてクーリングオフの起算日は進行していないこととなり、被告の特定商取引法9条1項による解除(クーリングオフ)は有効であるとしました。

その結果、原告は、被告に対して、違約金の支払いを請求することはできないとして、原告の請求を棄却しました。

 

訪問販売などのクーリングオフは8日間

訪問販売などの契約では、クーリングオフができます。

この期間は8日間ですが、その期間は、法律で決められた書面を受け取ってからスタートします。

書面を受け取っていなければ、8日間はスタートしておらず、いつでもクーリングオフできる理屈になります。

そこで、法律で決められた書面になるのかどうか、が多くの裁判で争われることになります。

今回の裁判でも、同様の紛争になっています。

 

法定書面では、契約の内容をできるだけ具体的に記載することが求められます。これを満たしていないと、交付していないものとされ、あとからクーリングオフが認められる可能性が出てくるのです。

しかし、今回のように、対象工事が契約時に決まらないこともありえます。

今回の判決では、保険金受給額が明確になった段階で、修繕工事の具体的内容及び金額を明確に示した書面を追加して交付すべきとしました。8日間のクーリングオフの起算日もこの工事の具体的内容及び金額を明確に示した書面を被告が受領した日から進行するものと判断したものです。

 

クーリングオフの検討ができない書面では不十分

今回の契約は、保険請求の援助と、家屋の複数箇所の修補を訪問販売で契約したものです。

契約対象が、複数の要素から成り立っている複雑な状況です。

特定商取引法が、法定書面の交付を求めている趣旨は、取引内容を明確にすべきことを業者に義務付け、訪問販売では、その取引内容を消費者に検討する機会を与える点にあります。

保険請求の援助と建物工事請負契約が一体化されている複合契約でも、結局は、工事内容が重要な判断要素になります。

今回の契約では、業者が消費者の保険金請求の援助をし、その結果、保険金が支払われれば、消費者は受け取った保険金の全額を請負代金として業者に払うものとされていました。

しかし、不足する分は消費者が追加することも内容とされており、具体的な施工箇所及び具体的な金額は記載されていないものでした。

また、保険金がいくら支払われたら、どの工事をするのかという対応関係や優先順位も特定されていませんでした。

このような書面では、クーリングオフの検討をすることができないとして、不十分なものだと判断したものです。

 

 

なお、同一業者で、地裁レベルで、業者側の請求を認めた判決もあり、今後の判断は分かれる可能性が高い争点ではあります。


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