養子縁組が無効とされた祖母と孫の養子縁組の裁判例について解説。弁護士が解説

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FAQ(よくある質問)

 

Q.養子縁組が無効になる場合とは?

相続の関係では、養子縁組はよく問題となります。

ときには、養子縁組が無効だとして裁判になることもあります。

どのような場合に無効となるのか、実際に争う人や、これから養子縁組をしようと考えている人はチェックしておきましょう。

 

この記事は、

  • 相続紛争で養子縁組が問題になっている
  • 養子縁組をしておきたいが後で問題にならないか

という人に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.10.20

 

養子縁組の無効が争われやすい紛争

相続紛争で、養子縁組の有効性が争われることがあります。

養子縁組届が出され、戸籍に反映されている場合、相続は戸籍を前提に行われます。

そこで、養子縁組の無効を争う場合には、養子縁組無効確認訴訟を提起し、勝訴判決をもらい、戸籍を修正しなければなりません。

養子縁組の無効が争われるほとんどの事例では、相続に関しての紛争です。

養子も相続人になりますので、養子がいれば他の相続人の相続分が減ります。養子縁組が無効とされれば、他の相続人の取り分が増えるので、これが争われやすいという構造です。

特に、被相続人が高齢になってからの養子縁組では、認知症などで判断能力がなかったのではないかと争われることも多いです。

養子縁組が孫との間でされているようなケースでは、兄弟姉妹間での紛争になることも多いです。

 

養子縁組が無効とされるポイント

養子縁組無効確認の裁判で、無効となるポイントは、次の2つ。

・養子縁組届の署名、押印

・判断能力

養子縁組が有効であるためには、養親となった人に、養子縁組の意思がなければなりません。

細かくは、縁組意思、届出意思などと分けられることになりますが、裁判の立証では、この2つのポイントをおさえてくことが大事です。

そのため、まず確認すべきは、養子縁組届の用紙と、入通院・介護保険などでの医師の判断です。

 

今回、これらがポイントとなり、養子縁組が無効とされた裁判例を解説します。

横浜家庭裁判所令和2年2月25日判決です。

 

養子縁組を争われた家族関係

母親が亡くなった後、孫との養子縁組が争われ、無効とされた裁判例です。

母の前夫の子の子(孫)との間で養子縁組がされました。

これを母の後夫の子らが争ったという構造です。

養子がいれば相続人が増える、つまり自分たちの相続分が減ります。そこで、養子縁組が無効と判断されれば、相続分が増えることになります。

 

養子縁組等の時期は死亡前年

養子縁組は、平成28年8月4日に養子縁組届出がされています。このとき89歳。

母は、平成29年に死亡。

死亡の前の年の届出です。

 

養子縁組無効の理由

原告らは、母の縁組意思及び届出意思を欠いているとの主張、

母の縁組意思能力を欠いている旨を主張して、本件養子縁組が無効だと訴えました。

 

養子縁組届の署名は代筆

養子縁組届の「養親になる人」欄の署名は母親本人の筆跡ではなく代筆されたものっでした。

原告らは、養子縁組当時に代筆をしなければならない特段の事情はなかったと主張。

また、養子縁組届の養親の届出人署名欄と養子の届出人署名欄の各印影が同一の印鑑によるのは不自然だとも主張。

養子縁組がされた当時、母は89歳の高齢、認知症により判断能力が減退していたとも主張しています。

原告らも、本件養子縁組について聞かされていなかったことなどからも、本件養子縁組は被告らの一存で秘密裡に行われたものであり、縁組意思及び届出意思はなかったと主張しました。

 

被告は相続税対策などと反論

被告は、本件養子縁組当時、母の自書能力には支障が生じていて、賃貸借契約書等の書類についても、以前から代筆がされていたと主張しました。

一族においては本家筋の長男である被告がゆくゆくは家を継いでいく存在として考えられていたことから、縁組意思及び届出意思を有していたと反論。養子縁組には相続税対策の意味もあったとも主張しています。

 

 

認知症の意見書

原告らは、平成26年、27年の介護保険用の主治医の意見書の診断内容から、既に平成26年3月には認知症の症状が現れていたことがうかがえると主張。

また、平成28年1月25日の骨折で約1か月間入院した際の経過記録にある「認知あり、記憶障害あるが危険行動は見られない。声掛けに返答あるが、理解できているかは不明」との記述、同年6月22日の骨折による入院時の様子の記録にある「当院入院歴あるが本人覚えていない、日付、今回の受傷機序も答えられない。」「既往歴に認知症あり行動に予測が立たない為」との記載及び入院直後の長谷川式簡易知能スケールの結果が30点中5点であったことなどよれば、判断能力は相当程度低下した状態にあったことは明らかだと主張しました。

その年の医療記録などがあったわけです。

 

裁判所は、養子縁組を無効と判断

裁判所は原告の主張を認めました。

やはり最重視されたのは、判断能力。医療記録の認定です。

平成26年意見書において、診断として認知症は掲げられていないが、認知症の中核症状として、短期記憶について「問題あり」、日常の意思決定を行うための認知能力について「見守りが必要」、自分の意思の伝達能力について「具体的要求に限られる」にチェックが付けられていた点を指摘。

また、平成27年意見書においては、診断として「認知症」が記載され、認知症の中核症状としては、平成26年意見書と同様、短期記憶について「問題あり」、日常の意思決定を行うための認知能力について「見守りが必要」、自分の意思の伝達能力について「具体的要求に限られる」にチェックが付けられていたとも指摘。

平成28年1月25日の入院について、「認知症あり、問題行動はなし」とか、「認知あり、記憶障害あるが、危険行動はみられない。」などとの記載。

平成28年6月22日の入院について「当院入院歴あるが本人覚えていない、日付、今回の受傷機序も答えられない。」などとの記載も指摘。

平成28年6月23日、長谷川式簡易知能スケールの結果は、30点満点中5点であった点も指摘。

 

養子縁組届け出の提出は、同年8月4日です。1ヶ月半前にこの数字は、さすがに問題だと考えたのでしょう。

 

養子縁組の筆跡の認定

裁判所は、養子縁組届の「養親になる人」欄中の「養母」欄の署名は、本人のものではないと認定

また、印章についても、本人のみが管理していた印章によるものと認めるに足りる証拠はないとし、被告の署名の横に押印された印影と酷似していることから、被告の家庭内において世帯主が管理して、家族で共用していた印鑑によるものと推認されると指摘しました。

そうすると、本件養子縁組届の外形からは、本件養子縁組届が本人の意思に基づいて作成されたとは認められないとしました。

 

依頼されて代筆したとの主張は排斥

被告は、依頼されての代筆だと主張していましたが、裁判所は、この主張を排斥。

平成27年2月13日において既に「認知症」と診断されており、平成28年6月22日の医療記録によれば、「当院入院歴あるが本人覚えていない、日付、今回の受傷機序も答えられない。」などとの記載があり、平成28年6月23日に実施された長谷川式簡易知能スケールの結果は30点満点中5点というかなり低い点数(一般的に後見程度に相当する。)であったことなどに照らして、本件養子縁組当時、意思能力はかなり低下していたものとうかがわれるとしています。

本件養子縁組がされることを十分認識した上で、その署名を代筆することに同意したと認めるには合理的な疑いが残るとしました。

よって、届出意思の有無など他の争点を検討するまでもなく、養子縁組は無効だと結論づけました。

 

代筆の主張を排斥するにも、本人の判断能力を理由としています。

このような紛争では、各種医療機関との関係や、そのような資料の取得が大事です。

 

 


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