SNS投資詐欺の勧誘者の共同不法行為責任を認めた裁判例を弁護士が解説

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FAQよくある質問

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FAQ(よくある質問)

 

Q.SNS投資詐欺の勧誘者の責任は?

SNS投資詐欺の被害はなくなりません。

このような詐欺事件で、勧誘者の責任をも追及することは多いです。

どの程度の関与をしていたのかによって、共同不法行為責任を負わせることができるのか変わってきますので、同種事例の判決等を調査しておきましょう。

この記事は、

  • SNS投資詐欺被害にあってしまった
  • 勧誘者の責任追及をしたい

という人に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2022.6.9

 

SNS投資詐欺被害の裁判例

今回紹介するのは、東京地方裁判所令和3年11月4日判決です。

勧誘者の責任を認め、約6600万円、1100万円の損害賠償責任を認めています。

 

原告2名の損害賠償請求事件でした。

原告1と原告2の2名です。

まず、最初の原告が勧誘された経緯を確認しましょう。

 

投資詐欺の勧誘経緯

原告1は、SNSを通じて被告1と知り合い、その後、被告1から被告2を紹介されました。

被告らは、原告1に対し、Aを紹介。

その際、被告らは、原告1に対し、

Aが複数の会社を経営していること、

タイで10億円の資金を用いてゴールドの売買を行って月30%の利益を安定して得ていること、

被告2は1500万円、被告1は500万円をAに出資して月20%の配当を得ていること、

配当は途切れたことがなく元本もAが保証すること

などを告げて、原告1もAに投資するよう勧誘。


原告1は、被告らの話を信用しAへの出資金として1000万円を被告1に交付。

原告1は、被告らからAへの追加出資枠が空いたとの勧誘を受けて、Aが代表取締役を務めるB株式会社に5000万円を送金。

合計6000万円を交付した内容です。

 

投資詐欺での出資契約書

原告1とAは、同年2月1日、上記6000万円について、毎月20日に元金の20%に相当する配当金を支払うこととする出資契約書を取り交わしました。

しかし、配当金は一切支払われませんでした。

 

2人目の詐欺被害の勧誘経緯

もうひとりの原告2はどのように勧誘されたのでしょうか。

原告2は、原告1から被告1を紹介され、被告1から月利20%で元本が保証されるとしてAのゴールド取引へ出資するよう勧誘を受けました。

原告2は、原告1の勧めもあって、原告ら、被告ら及びAの5名で会うこととなりました。

 

その際、被告らは、原告2に対し、被告2は1500万円、被告1は500万円をAに出資して月20%の配当を得ていることなどを告げて、原告2もAに投資するよう勧誘。

原告2は、Aへの出資金として1000万円を被告1に交付。

原告2とAは、被告1を介して、上記1000万円についての金銭消費貸借契約書を取り交わしました。

しかしながら、被告らは、原告2に対し、1000万円は、出資であって、毎月200万円の配当が受けられると説明していました。

その後、配当金は一切支払われませんでした。

 

 

被告らの反論

被告らは、出資金としての受領は認めるものの、いずれもAに交付したと主張しています。

本件は、Aが行っていたゴールドの出資案件の問題であり、事業内容や配当などの説明は、すべてAが行っていたと反論。

そのため、原告らは、Aからの説明を信用し、自由意思で出資したのであるから、仮に原告らに損失が発生したとしても、被告らが責任を負うものではないと主張していました。

また、被告らは、Aからの説明を原告らと同様に信用し、被告2に至っては顧客から1500万円を集めてAに出資させていたのであるから、原告らと同様の被害者的立場にあると主張しています。

被告らからは、賠償義務を認める内容の誓約書を原告らに差し入れていました。

これについては、原告らからの脅迫によって真意に反してやむなく誓約書を作成したものであるから、同書面記載の意思表示は取り消すと反論しています。

 

 

ゴールド投資事業はあった?

このような事件で、勧誘をしたAの投資事業が存在したのか問題になることは多いです。

架空事業への投資勧誘であれば、それ自体で詐欺の裏付けとなります。

Aによれば、ゴールドの買付けに係る契約書の取り交わしがあったとのことでした。

 

裁判所は、まず、Aの主張を整理しています。

D社(実在する会社であるかは不明)は、Aに対し、タイの鉱山から原材料を仕入れ、タイの自身の精錬所でゴールドに精錬して売却することにより、好調な時期には投下資本に対し月50%の利益が生じるなどと述べて、同事業への出資を促したとのこと。

Aは、出資をすることとし、

①Aがゴールドを購入することを内容とする売買取引基本契約書、

②Aがゴールド3kgを購入し、20%に相当する200万円のデポジットを支払うことを内容とする売買取引個別契約書を取り交わしたと主張。

Aは、同月19日、総額1050万円を預け、「金銭預り証」を交付されたとして証拠提出。

また、そのほか、ゴールド会社の代表者との間で、1000万円、1600万円を、870万円、500万円を、それぞれ貸し付けたとの内容の各「金銭消費貸借契約書」を作成したと主張。

さらに、その後、自身又は知人から集めた金員として、総額1億円を超える額を出資し、少なくとも平成30年末頃までは、何らかの配当金を受領していたが、平成31年に入ってからは1、2回配当金を受領したものの、その後は配当金を受領することができなくなっていたと主張しました。


Aは、ゴールド関連事業の出資に関連して10回以上タイに渡航し、その際、代表者にゴールドの精錬所あるいはゴールドの売買の現場などを見せてほしいと要望したが、売買現場の写真又は原材料のサンプルといったものしか見せてもらえなかったと証言。

 

投資勧誘のスキーム

被告2は、Aと知り合い、Aがゴールド関連事業の出資を扱っていること及び月50%の配当が生じる可能性があることなどを聞き、Aとの間で、自身がAに出資者を紹介した場合、紹介者は月30%の配当を継続的に得ることができ、かつ、実際の出資者には毎月20%の配当を継続的に支払うことができるとのスキームでAに出資者を紹介することとしたと認定。

なお、紹介者が毎月得られる出資額の30%という数値については、被告2が設定したものとのこと。

被告2は、実際に知人を紹介。知人は、Aのゴールド関連事業に出資する趣旨で被告2に500万円を交付し、Aとの間で、知人がAに500万円を貸し付けた旨の金銭消費貸借契約書を取り交わしていました。

また、別の知人をAに紹介し、1000万円を交付。

 

お礼として投資を紹介

もともと、被告1は、平成30年、原告1と知り合って仮想通貨に関する出資等を紹介され、出資の結果利益を得ることができました。

被告1は、そのお礼として、被告2が窓口となっているAのゴールド関連事業の出資を原告1に紹介したところ、原告1が興味を示したため、原告1に被告2及びAを紹介することに。

被告ら及びAは、東銀座のホテルで原告1に会い、その際、被告ら及びAは、タイのゴールド関連事業の出資者には月20%の配当を払っており、かつ、元本保証であることを説明。


また、被告らは、原告1に対し、被告2は1500万円を、被告1は500万円を、それぞれAに出資している旨説明。

このような経緯で、原告1は、1000万円を交付。

被告1は被告2を経由して同1000万円をAの妻へ交付。

 

追加出資及び原告2の出資

原告1は、平成31年1月20日、原告2を説明会に連れていき、被告1を紹介。

原告ら、被告2及びAは、同月30日、東銀座のホテルで会い、被告2及びAは、ゴールド関連事業への出資を原告らに促し、その後、上記4名は居酒屋に赴き、同居酒屋で被告1も合流。

原告1は、Aのゴールド関連事業への追加出資として、同月31日、Aから指示されたB社の口座に、5000万円を送金。
また、原告2は、同年2月1日、Aのゴールド関連事業への出資金として、被告1に1000万円を交付。

 

 

被告らの間での分配合意

Aのゴールド関連事業への出資は、好調時には月50%の配当が見込まれたことから、被告らが同出資をする者をAに紹介した場合、配当金を以下のとおり分配することが被告らとAの間では合意されていました。

紹介者(被告ら)は、出資額に対し毎月30%に相当する紹介料を得る(原告らの出資額7000万円については、毎月2100万円の紹介料が被告らに入る予定)。

上記30%の被告ら間の内訳は、20%を被告2、10%を被告1の取得分。

出資者には、出資額に対し毎月20%に相当する配当を支払う。

 

なお、Aは、少なくとも平成30年末頃までは、何らかの配当金を受領していたが、平成31年に入ってからは1、2回を除き配当金を受領することができなくなっていたため、被告らも遅くとも平成31年3月頃には紹介料を受領できなくなり、原告らの出資金7000万円に関する紹介料はまったく受領できず。

また、被告らは、Aのゴールド関連事業に対し、自己資金での出資はしていませんでした

 

投資の現場は確認できず

原告1は、被告2に対し、タイにおけるゴールド取引の現場をみせてほしいと要望。

タイに渡航するも、ゴールド取引の現場や精錬所等を見学することはできず

原告らは、平成31年3月中旬以降も配当金が支払われないことから、A及び被告1を追及。

 

被告らによる誓約書の作成

Aは、同年4月21日付けで、原告らが7000万円を投じたゴールド関連の出資案件は被告2が主導した詐欺であること等を認める書面に署名押印の上、原告らに提出。
また、被告1は、同月24日付けで、同旨の内容の書面を自署して、署名押印の上、原告らに提出。

さらに、原告らは、同月26日、被告1とともに、被告2の責任を追及するためC社に赴き、被告らは、被告2の上役に当たる人物も立会いの上で、被告ら及びAが詐欺案件の加害者であり、公正証書を作成すること及び原告らに7700万円を返済することを約束する誓約書に署名指印して原告らに提出。

被告ら及びAは、その後公正証書の作成には応じず、令和元年7月31日にAが1万円を弁済するに留まったため原告らは、同年12月9日、分離前被告であるA及び被告らに対する本件訴えを起こした流れです。

 

一部和解

原告らとAの間で和解協議が整ったことから、弁論を分離し、裁判上の和解を成立。

内容としては、Aは、解決金として、原告1に6600万円の、原告2に1100万円の、各支払義務があることを認めるものでした。

Aは、原告1に対しては6600万円のうち2000万円を、原告2に対しては1100万円のうち500万円を、それぞれ分割して支払い、期限の利益を喪失することなく分割金を支払ったときは、原告らはAに対するその余の支払義務を免除するというもの。

 

裁判上の和解の分割金として、原告1に20万円を、原告2に5万円を支払ったが、その余の分割金は約定どおり支払われませんでした。

 

裁判所は被告らの不法行為責任を認定

以上の経緯を前提に、裁判所は、被告らの責任を認めました。

原告らは、Aのゴールド関連事業への出資名目で合計7000万円の金員を被告ら又はAに交付。

しかしながら、上記のゴールド関連事業への出資スキームが投資を行う者に適正に損益を帰属させる実質を備えるものであること(例えば、具体的な資金の流れ、D社の実在や、ゴールド事業の詳細、運用成績、配当割合の根拠等)について、分離前被告であったA及び被告らは、何ら具体的に立証できていないと指摘。

却って、同出資スキームにつき用いられた契約書類は、売買・金銭消費貸借といった異なる類型の書式が混在し、契約主体も不明瞭なものであり、Aと原告らとの間で用いられた契約書類も、同旨の出資であるにもかかわらず理由なく出資・金銭消費貸借といった異なる類型の書式が用いられていると指摘。

しかるに、真に上記出資スキームが投資を行う者に適正に損益を帰属させる実質を備えるものであれば、このような趣旨不明の書式の混在が生じるとは解されない上、Aですら上記出資スキームに係る事業の実態を見ることができておらず、出資額に対し紹介者に毎月30%、出資者に毎月20%もの金員を持続的に支払うことができるとはにわかに信用できないことに照らせば、上記出資スキームは実質を備えないものであることは明らかであるとしました。

被告らは、出資額に対する毎月30%の紹介料を取得する目的で、しかも同スキームに関するリスクを認識して自身は金員を支出することなく、勧誘の席に同席したり、金員の授受に関与したりしていたのであるから、それのみでも原告らを実質のない投資に勧誘することを幇助していたものとして、Aとともに不法行為責任を負うことは免れないとしました。

 

勧誘関与者も共同不法行為の責任

被告らは、原告らに対し上記スキームを説明したのは専らAであるなどとして、被告らには責任がない旨を主張。

そもそも、被告らが原告1に対して自身も上記スキームに出資していることを前提とした言動をしていたことは、後に原告らから追及を受けた際に、被告2が、「僕、出してますよ。お金。ちゃんと。」と応答していることから明らかであって、被告らが説明に加わっていなかったとの点は信用できないと指摘。

しかしながら、その点を措くとしても、被告らは紹介料を得る目的で勧誘行為や金銭の授受に加担していたのであるから、被告ら及びAのうち誰が主として説明を担当していたか否かによって結論を異にするものではないとしています。

すなわち、被告らの上記主張又は供述は、自身らはAとの関係で従たる立場に留まった旨をいうにすぎないが、従たる立場であったとしても共同不法行為者として連帯して損害賠償義務を負うことは免れないと指摘。

また、被告らは、署名押印のある誓約書等は脅迫されて作成したものであるなどと、るる主張又は供述。しかしながら、既に認定した事実によれば、同誓約書等の内容に関わりなく被告らが不法行為に加担したことは認められるとしました。加えて、本件請求は不法行為に基づく損害賠償請求であって誓約書等の合意に基づく金銭請求ではないから、誓約書等記載の意思表示の強迫取消しが本件訴訟の争点となるものではないと、被告らの反論を排斥しています。

 

詐欺の損害額

各原告について、実際に交付した金額に10%相当額を因果関係のある弁護士費用相当損害金として加算した上で、一部の受領金を控除した金額を損害として認定しています。

遅延損害金については、最終送金日から平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5%の割合による遅延損害金を認定しています。

 

SNS投資詐欺裁判のポイント

本件では、投資名目資金の受領者ではなく、勧誘者の共同不法行為責任を認め、損害賠償責任を認めています。

被告らは、自分も被害者だとは言いつつ、紹介した投資者からの分配金を受け取るスキームを作っていました。また、自分たちもお金を出していたことの立証には失敗しています。

今回の原告1は、原告2を紹介するなどしており、一部の勧誘はしているとも評価されそうです。

とはいえ、自身も高額の被害を受けており、現金受領などには関与していないことから、原告らは被害者、被告らは加害者という評価に落ち着いたものと思われます。

若干、複雑な背景はありそうですが、SNSから始まった投資詐欺の事件として、勧誘者への責任追及をする際には、参考にしてみてください。

 

 

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弁護士 石井琢磨 神奈川県弁護士会所属 日弁連登録番号28708

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