占いサイト詐欺の民事裁判で文書提出命令を活用した裁判例を弁護士が解説

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FAQ(よくある質問)

 

Q.占い詐欺サイト裁判で文書提出命令の活用法は?

占いなどの詐欺サイトに引っかかって損害を受けた場合の裁判では、民事裁判手続きで、文書提出命令の申立をすることで、有利な裁判活動を進められることがあります。

参考になる裁判例を紹介します。

この記事は、

  • 占いサイトなどの詐欺サイト被害に遭った
  • 民事裁判での立証方法を検討したい

に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.2.10

 

詐欺サイトに文書提出命令

今回の事例は、岡山簡易裁判所令和4年5月31日判決です。

利用者が占いサイト事業者に対して損害賠償請求をした事件です。

実在しない鑑定士があたかも実在するように欺罔し、錯誤に陥らせて、ポイントを購入・費消させた点が不法行為と認められた事件です。

 

鑑定士が実在しなかった点について、文書提出命令の申立をし、これが認められた点が大きいといえるでしょう。

 

被告らは鑑定士がいたと反論

被告会社は、本件サイトには、『伝説の恋愛伝道師』、『伝説の鑑定士』及び『その師匠』と評価を受けるほどの鑑定士が実在しないのに、あたかもそれらが実在すると原告を欺罔して、詐欺によりポイントを購入・費消させたと認定されています。

 

被告らは、現実に鑑定士らは実在すると主張、同人らと労働契約を締結していた、と主張していました。

 

文書提出命令の申立

これに対し、原告は、鑑定士らの労働者名簿、賃金台帳及び出勤簿を対象文書として文書提出命令の申立て。

文書提出命令は自分が持っていない一定の書類を裁判所に提出するよう命じる制度で、証拠収集方法の一つとして使われます。

裁判所は、文書提出命令の申立をを認め、被告らに対し、これらの文書の提出を命じます。

しかしながら、被告会社は、会社解散に伴い文書を破棄したとして、提出しませんでした。

そこで、裁判所は、鑑定士らは実在しなかったと認定し、不法行為による損害賠償請求を認めたという流れです。

損害額については、原告のポイント購入費相当額約25万円を認め、被告会社の代表者に対し、会社法429条1項に基づき、被告会社と連帯してその損害を賠償する責任を負うと判断しています。

 

文書提出命令後のペナルティ

裁判所は、令和3年5月6日付け文書提出命令により、被告会社に対し、労働者名簿、賃金台帳及び出勤簿の提出を命じたが、被告会社は、令和3年5月31日付け会社解散に伴いそれらを破棄したとして、提出しなかった。

他に鑑定士が存在するとの証拠も見当たらないから、鑑定士は存在しないと認めるのが相当である。

そうすると、被告会社には、原告をして、実在しない鑑定士があたかも実在すると欺罔し、錯誤に陥らせて、原告に上記ポイントを購入・費消させた不法行為が成立すると結論付けています。

このように文書提出命令が出されたのに応じない場合には、不利な事実認定がされるリスクが高まります。

 

文書提出命令の申立に対する反対意見

文書提出命令の申立がされた後、被告会社からは反対意見の主張がされています。

サイト事業者からは「いずれも専ら相手会社の利用(労務管理)に供する文書(同法220条4号ニ)であり、提出義務の対象外である」旨の意見が提出されています。

しかし、裁判所はこの意見を排斥。

決定では、これらの文書は、労働基準法107条ないし109条により調製及び保存義務が、同法101条(なお、100条3項で準用)により提出義務が、それぞれ罰則(同法120条1号、4号)付きで使用者に課されるから、これらの文書は相手方会社の利用(労務管理)に供するための文書ということはできないとし、民訴法220条4号ニの除外事由に該当せず、かつ相手方会社における鑑定士の存否は相手方会社からのこれらの文書の提出によらなければ認定ができず文書提出命令による必要がある、と判示しています。

 

ただ、裁判所は、プライバシーに関する部分は対象外としています。

具体的には、文書の記載中、性別や住所、相手方会社から支給される賃金や手当の額に関する情報はいわゆるプライバシーに関する情報であり、かつ、本案訴訟の審理には必要ないとして、これらの記載事項は不要として、文書の提出を命じています。

本当に雇用関係があったかどうかを確認するだけで、それ以上の内容までは開示させないという判断です。

 

 

文書提出命令の主文

相手方株式会社は、別紙文書目録番号3ないし5記載の文書(ただし、同番号3の文書については労働基準法107条1項及び同法施行規則53条1項3号ないし6号各所定事項に限り、並びに同番号4の文書については同規則54条1項1号及び3号ないし6号各所定事項に限るものとし、その余の記載事項は不要)を本決定送達の日から14日以内に当裁判所に提出せよ

2 申立人のその余の申立てをいずれも却下する。

 

文書提出命令を認めた理由

本案事件は、申立人が、相手方株式会社がインターネット上のサイトにおいて運営する「●●」において、平成30年9月19日から同年10月19日にかけて、申立人がその当時、約2年間交際を続けてきた男性との結婚に関する悩みについて鑑定を受け、その鑑定を受けるにあたって必要なポイント購入費として合計23万4000円を支払ったが、その鑑定自体が詐欺又は社会的に相当な範囲を逸脱した違法な行為であったと主張して、相手方会社に対し民法709条及び相手方Aに対し会社法429条1項に基づき、同額の損害賠償金、上記鑑定と称する違法な行為に関して申立人の極めてプライベートな事情を明らかにさせられるなどの精神的苦痛を被ったことに対する慰謝料、司法書士費用を請求した。

番号3ないし5の文書については、民訴法220条4号二の除外事由に該当せず、かつ、相手方会社における鑑定士の存否は相手方会社からの番号3ないし5の文書の提出によらなければ認定ができず文書提出命令による必要がある(相手方会社は、令和2年12月1日実施の第1回弁論準備手続期日において、相手方会社の概要(職員数)及び鑑定士の雇用形態について明らかにできるか否かを検討すると述べたが、現時点においてもこれらの点については明らかになっていない。)から、本件申立てのうち、番号3ないし5の文書の提出を求める部分には理由があるとしています。

 

ただし、これらの文書の記載事項中、性別や住所、相手方会社から支給される賃金や手当の額に関する情報はいわゆるプライバシーに関する情報であり、かつ、本案訴訟の審理には必要でないから、主文1項かっこ書き記載の限度での提出を求めるのが相当であるとの内容です。

労働者名簿等が存在するのかわかる文書を提出せよとの内容です。

 

占い師、鑑定士がいるからお金を払ったのであり、これらが架空であれば、虚偽の説明をしていたことになります。利用者側からは、架空だという立証はしにくいのが通常ですが、それを打開する一つの方法がこのような文書提出命令だといれるでしょう。

同様の占いサイト詐欺事件では、文書提出命令の活用により、詐欺の立証ができる可能性もありますので、参考にしてみてください。

 

 

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