交通事故における専業主婦の逸失利益について弁護士が解説

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FAQ(よくある質問)

 

Q.専業主婦の逸失利益は?

交通事故の損害賠償請求の相談のなかで、被害者が専業主婦の場合、逸失利益や休業損害など、収入を前提にする損害はどうなるのかという質問がよくあります。

そこで、専業主婦の逸失利益について解説します。

この記事は、

  • 交通事故に遭った専業主婦
  • 保険会社からの提示が妥当が確認したい人

に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.4.24


 

逸失利益とは?休業損害とはどう違う?

逸失利益とは、交通事故で後遺障害が残ったことにより、将来的に得られるはずだった収入が減少したりなくなったりする損害のことです。

これに対し、休業損害とは、交通事故で治療中に仕事を休んだことによる収入の減少分の損害のことです。

大きな違いとしては、治療中か、治療終了により後遺障害となった後かという点です。


逸失利益は、基本的には、後遺障害が残り等級が認定された場合に請求できる損害です。これに対し、休業損害は、治療期間中のみ請求できる損害なのです。

逸失利益と休業損害とは異なる種類の損害です。どちらも交通事故による損害賠償請求の際に検討が必要な内容です。

後遺障害により等級が認定された場合は、専業主婦でも将来の逸失利益を請求できることがあるとされています。

 

家事労働の最高裁判決

専業主婦などの家事労働者の損害については、かつては争われていましたが、最高裁は家事労働を金銭的に評価できるとして、その評価基準は女性雇用労働者の平均賃金に相当するとしました(昭和49年7月19日の最高裁判例)。

ただ、年少女性の逸失利益についての判例では、労働によって得られる利益は女性の平均賃金で評価されるとし、家事労働分を加算することは二重計算になるので認められないとされました。

したがって、少なくとも専業主婦については、家事労働の損害を請求できることになっています。

 

一人暮らし女性の逸失利益

ただし、一人暮らしで無職女性の場合は、逸失利益が認められないともされます。

家事労働の価値については、「他人に依頼すれば当然相当の対価を支払わなければならない」ような家族の存在を前提にしていることが理由とされます。この考えならば、一人暮らしでも別居の家族の家事を担当していたような場合だと、認められることがあります。80歳の女性について、日中は長女の自宅に行き家事を負担していたとして、賃金センサスの一部の金額を基礎収入とした裁判例もあります。

ただ、家事労働の逸失利益を否定したとしても、将来の稼動の可能性については別問題です。

したがって、主婦の逸失利益の考え方としては、将来の稼働の可能性や、家事労働の価値の主張という視点で考える必要があります。


専業主婦の逸失利益で、基礎収入はどう決まる?

逸失利益は、将来の収入を失ったという請求です。そのため、いくらの収入を、どれくらいの間、失ったかが大事になります。

ざっくりした計算式は、収入×期間

となります。

そこで、失った収入をいくらとするのか専業主婦の場合には問題になります。

事故時には、実際の収入がなかったとしても、後遺障害が残ったことで、将来の利益が減った可能性はあります。

そこで、専業主婦が逸失利益を請求する場合、基礎収入は平均賃金を参考にします。

専業主婦の場合、交通事故前の収入がないかわりに、「もしも交通事故前から働いていたら」と想定した収入を基礎収入として算定するのです。

平均賃金は統計上、出されていますが、その人の属性によっても違います。

賃金センサスでは、男性の平均、女性の平均の区別のほか、学歴での平均などもあります。

裁判例では、「女子全年齢平均賃金」が参考値として用いられることが多いです。

女性労働者全体の平均的な賃金水準のことです。ただし、例外として、年齢や家族構成、家事労働の内容等から、生涯を通じて平均賃金に相当する家事ができる蓋然性が認められない場合には、年齢別平均賃金をもとに算出されることもあります。

 

 

 

専業主婦の逸失利益と生活費控除率や就業可能年数

専業主婦が逸失利益を請求する場合、生活費控除率や就業可能年数も考慮されます。

生活費控除率とは、死亡事故の場合に使われるもので、自身の生活費がかからなくなったことから、その分を損害から控除する制度です。

就業可能年数とは、どれくらいの期間、働き収入を得られたかを見るもので、定年までの期間などを示します。

 

逸失利益を算定する際には、「基礎収入×労働能力喪失率×ライプニッツ係数」という公式が用いられます。

労働能力喪失率は、概ね、後遺障害の等級で決まります。ひどい後遺障害の場合には、100%の能力を失ったとされますし、比較的かるい後遺障害の場合には5%程度とされることになります。

「ライプニッツ係数」という部分で就業可能年数の期間を示します。

これは、一括払いではなく毎月一定額ずつ支払われる場合に相当する現在価値を示すものです。

就業可能年数ごとに数字が決められているので、その数字を採用します。

 

死亡事故の場合、基礎収入から生活費控除率を考慮して計算されます。死亡により自分の生活費がかからなくなった分を差し引く制度です。

主婦の場合、生活費控除率は30%とされることが多いです。年金収入の場合には40%とされることが多いです。

 

専業主婦の年齢と割合認定

原則として、専業主婦の被害者の場合、最高裁判例に従い、基本的に逸失利益等の基礎収入は、女性の学歴別全年齢平均賃金を使用しますが。

しかし、60代以上の場合は年齢別平均賃金を使うことが多くなります。さらに、個別の事情によって割合が認定される場合もあります。

10代から50代の被害者では、学歴別全年齢平均賃金で認定する裁判例が多いです。

50代の被害者では、全年齢(割合認定)や年齢別(割合なし・割合認定)の割合が増え、60代以上の被害者では、全年齢の使用が大幅に減り、年齢別の使用が多くなる傾向にあります。


割合認定がされる理由としては、被害者自身が病気などで家事労働能力が制限されている場合や、同居者も家事を担っているため、被害者の家事負担が減っていると認定される点が挙げられます。
たとえば、娘が家事を手伝っていたり、他人が食事の準備をしている場合などです。

これらの割合認定は、被害者が担っていた家事の内容や状況に基づいて決定されます。

 

さらに、80代以降の被害者については、年齢別の基礎収入を考慮し、割合認定が大部分を占めています。

例えば、家事を全て担っていた場合でも、90%の認定がされたケースもあります。

事情としては、被害者が要介護1の認定を受けていたり、娘や孫と同居しているため、家事労働の負担がそれほど多くないと判断されたものです。

高齢者には就労能力に個人差があるため、裁判所は割合認定を通じて、年齢や個別事情を考慮して判断しています。

 

 

専業主婦が逸失利益を請求する場合、どのような証拠が必要?

専業主婦が逸失利益を請求する場合、一般的には、主婦であり給与収入等がないことを示します。

具体的には、市県民税の非課税証明書を提出し、収入がゼロであることを示すことになるでしょう。

また、一般的な後遺障害の証拠としては、
後遺障害の認定資料で、後遺障害の程度や等級を示すことになります。

その際、認定資料として使われた医師の後遺障害診断書なども提出します。

また、家族や友人などの証言、やりとりから、交通事故前から働く予定だったかどうか、家事や育児の実態などを示すことも多いです。

 

 

兼業主婦の逸失利益は?

兼業主婦の場合、専業主婦より逸失利益が下がってしまうのは納得いかないことが多いでしょう。

その点が考慮され、実収入が平均賃金以上のときは実収入を採用し、平均賃金を下回るときは平均賃金で算定する方法が採用されています。

これは、交通事故による逸失利益の算定方法に関する共同提言(平成11年)でされたものです。

・専業主婦の場合は、原則として女性の学歴別全年齢平均賃金による評価、

・有職の主婦の場合は、実収入額が女性の学歴別全年齢平均賃金を上回る場合は実収入額による評価、下回る場合は女性の学歴別全年齢平均賃金による評価、とされました。

交通事故の損害額算定で使われる赤い本や青い本でも、同じような考え方が示されています。

 

男性の専業主夫の損害

男性が専業主夫、家事従事者と認められた判例では、すべて女性の平均賃金が基礎収入とされ、被害者が女性の場合と同じ基準が適用されているものがあります。

裁判所は、性別を理由に一律に家事従事者を否定はしていません。

男性でも請求可能です。ただ、平均賃金の基準が異なる点もあり、被害者の具体的事情や同居家族の状況を検討していると考えられます。

 

逸失利益を請求する際の相手方は誰か?

逸失利益を請求する際の相手方は、交通事故の原因となった相手方車両の運転者や車の所有者なります。

相手が業務中の場合には、使用者責任により雇用主の会社も相手になることがあります。

加害者が任意保険に入っている場合には、事実上、その保険会社が交渉相手になります。

裁判を起こした場合、被告として当事者になるのは加害者ですが、実際には、保険会社の弁護士が代理人として担当します。

 

専業主婦の休業損害

専業主婦の事故後の休業状況については、専業主婦の収入をどう考えるかにも関係しています。

つまり、家事労働と考えるか、将来得られたであろう稼働収入と考えるかです。

後者で考えるならば、実際に稼働していないため、休業損害は逸失利益よりも否定されやすくなります。

これに対し、前者の家事労働で考えるのであれば、具体的に、交通事故の傷害で、家事にどのような支障があったのかを示す必要があります。

傷害の症状により、買い物などで重い物を持てなくなった、長時間の作業ができなくなった、家事ができない間、家事は誰がどのように負担したか等を示す必要があるでしょう。

他の家族の負担が増え、収入が減っているような場合には、認められやすくなります。

ただし、治療期間全般ではなく、実際の家事ができなかった期間について認められることがほとんどです。

 

まとめ

交通事故で受けた後遺障害によって、自分が得られるはずだった収入や利益が減少したり、失われたりした場合、その損害を相手方に賠償してもらうことができます。

これによって、自分や家族の生活費や将来設計などに影響が出ることを防ぐことができます。

自分の稼働能力に影響が出たのであれば、しっかり主張しておくようにしましょう。

 

逸失利益を請求する際は、自分が働く予定だった会社や職種、自分が経営していた会社の売上や利益、自分が将来得られると推定される収入などを示すのが有効です。

可能な限り客観的な資料や証拠を用意し、合理的な計算方法を用いているということを示しましょう。

ときには、国税庁等、公的機関の統計データを提出することもあります。

専業主婦の場合には、基礎収入の認定がポイントになりますので、そこを意識するようにしましょう。

 

 

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弁護士 石井琢磨 神奈川県弁護士会所属 日弁連登録番号28708

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