失踪宣告の申立ができる利害関係人に関する判例を弁護士が解説

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FAQ(よくある質問)

 

Q.失踪宣告を申し立てられる利害関係人とは?

長期不在者を死亡したものとみなす失踪宣告。相続人以外で、これを申し立てられる利害関係人になれるか争われたケースがあります。

不在者の権利関係をはっきりさせたいと考えたときに、失踪宣告が検討されますが、契約当事者などは、そもそも申立ができるかどうかを検討したほうが良いでしょう。

東京高等裁判所令和2年11月30日決定の事件を取り上げます。

この記事は、

  • 契約相手が長期、不在者で困っている
  • 失踪宣告申立を検討している

に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.6.5

 

不在者への失踪宣告

この判例は、不在者に対する失踪宣告を求める事件に関するものです。

申立人が契約当事者という立場で、不在者について失踪の宣告を求めましたが、原審はこれを却下しました。それに対して不服を申し立てた事件です。

申立人・抗告人は弁護士です。

争点は、不在者の債権者または契約当事者が、民法30条1項の「利害関係人」に該当し、不在者について失踪宣告を申し立てることができるかどうかです。

日本の法制度では、不在者の親族だけでなく、不在者と一定の関係性を持つ人々も「利害関係人」として失踪宣告を申し立てることができるルールになっています。ここに該当するかが問題となりました。

 

不在者の契約相手と失踪宣告

不在者の子であるCが死亡し、Cの法定相続人は親である不在者のみ。

抗告人は、弁護士。C死亡の前日に、Cとの間で、死後事務委任契約及び家屋管理契約を締結した旨主張。

同死後事務委任契約の内容は、Cが抗告人に対し、Cの死亡後にC名義の預貯金を解約し、解約金を受領すること等を委託し、抗告人が所定の報酬を取得すること等であり、前記家屋管理契約の内容は、Cが抗告人に対し、Cの生存中及びその死亡後にCが賃借する建物の管理等を委託し、抗告人が所定の報酬を取得すること等でした。

親である不在者は、明治43年生まれ。

抗告人は、不在者の戸籍附票を取得したものの、戸籍附票には不在者の名のみ記載されており、住所は記載されていなかったため、改製前の戸籍附票を取得したものの、やはり名のみ記載されており、住所は空欄

抗告人は、役所に不在者の住所について照会したところ、職員から電話があり、現在の戸籍附票に住所が載っていないということは、どこかの時点で消除されたと思われるが、以前の附票が廃棄されていれば、いつ消除されたかはわからない旨告げられました。

そこで、失踪宣告の申立をしたという流れです。

家庭裁判所では否定され、高等裁判所に持ち込まれました。

 

高等裁判所も失踪宣告を否定

高等裁判所も、抗告人は民法30条1項の「利害関係」を有しないから、失踪の宣告を請求することができず、本件申立てを却下することが相当としました。

不在者の財産管理については、請求権者として利害関係人のほか検察官が規定されているのに対し、失踪宣告については、請求権者は利害関係人に限られ、検察官は規定されていない点を指摘。

これは、不在者の財産管理は、不在者本人の財産の保護のための制度であって、公益的観点から国家の関与が容認されているのに対し、失踪宣告は、不在者について死亡したものとみなし、婚姻を解消させ、相続を開始させるという重大な効力を生じさせるものであるところ、遺族が不在者の帰来を待っているのに国家が死亡の効果を強要することは穏当でないという理由に基づくものであるとしました。

そうであれば、民法30条1項の規定する利害関係人については、不在者財産管理人の請求権者におけるそれよりも制限的に解すべきであって、失踪宣告をすることについて法律上の利害関係を有する者をいうと解するのが相当としました。

抗告人は、仮に本件各契約が有効であるとしても、Cに対する債権者であって、不在者がCを相続したことを前提として不在者に対する債権者となる可能性があるにとどまるから、不在者につき失踪宣告をすることについて法律上の利害関係を有するとはいえないと結論づけました。

 

弁護士の主張を排斥

抗告人は弁護士でもあることから、法的な主張をしていましたが、高裁はこれを認めませんでした。

 

失踪宣告申立をする人が誰もいないという主張

抗告人は、ある不在者について失踪宣告をすることについて利害関係を有する者がいない場合には、失踪宣告の申立てをする者がおらず、失踪宣告をなし得ないという状態に陥る可能性があるから、これを避けるため、抗告人を民法30条1項の利害関係人に当たると解すべきである旨主張。


しかしながら、民法30条1項の規定する利害関係人については、失踪宣告をすることについて法律上の利害関係があることを要すると解すべきところ、この観点から失踪宣告の申立て資格を有する者がいない場合に、それだけの理由で利害関係人に該当する者の範囲を拡張すべきとはいえないから、抗告人の上記主張は採用することができないと排斥。

不在者に相続人などがいないと、失踪宣告申立ができなくなるから、契約相手などでも認めるべきとの主張でしたが、否定されています。

 

年齢によって要件緩和という主張

抗告人は、本件のように失踪宣告を受けるべき不在者が満110歳に達しており、死亡している蓋然性が高く、相続人もいないような場合には、失踪宣告の影響を受ける者がいないのであるから、広く請求権者を認めるべきであり、抗告人も民法30条1項の利害関係人に当たると解すべきである旨主張。

しかしながら、失踪宣告の持つ重大な効果に鑑みると、失踪宣告の申立資格が認められるためには不在者につき失踪宣告をすることについての法律上の利害関係を有することを要すると解すべきところ、個別の事件における事情に応じて申立て資格を拡張することは、失踪宣告に関する実務の迅速かつ安定的運用を損なうことになるおそれが高いといわざるを得ないから、抗告人の上記主張は採用することができないと排斥。

失踪宣告制度の趣旨からすると、一定の要件で広く解釈することも認められそうなものですが、形式論で排斥されてしまっています。

 

不在者財産管理人選任は迂遠との主張を排斥

抗告人は、本件において、失踪宣告をするためだけに不在者財産管理人選任の申立てをしなければならないとするのは迂遠であり、抗告人に加重な負担を強いるものであり、また、不在者財産管理人が選任されても、長期間失踪宣告の申立てをせずに不安定な状態となる可能性もある旨主張。

しかしながら、抗告人が、仮にCに対する債権者であるとして、Cの相続人である不在者に対して弁済を求める必要があるというのであれば、不在者について不在者財産管理人の選任を申し立て、不在者財産管理人との間で権利義務の調整を図れば足りるのであり、不在者について失踪宣告の申立てを行う必要があるということはできないと指摘。

また、不在者財産管理人は、抗告人との権利義務の調整のために必要がある場合には、不在者につき失踪宣告を請求することもできるのであるから、このように解することにより抗告人に特段の支障が生ずるともいえないとして主張を排斥しました。

裁判所は、不在者財産管理人を選び、失踪宣告は、そこで調整の必要があれば請求できるとし、そこからとの流れを推奨されていることになります。

不在者財産管理人の選任申立も、予納金などが必要で、負担がかかるので、簡略化したかったのですが、原則どおりのルートで進めなさいということですね。

 

 

他の失踪宣告申し立てに関する判例

東京高決昭和46年1月21日では、利害関係人による失踪宣告が認められています。

不在者の子が交通事故により死亡したケースにおいて、加害者が不在者について失踪宣告を申し立てたという事案でした。不在者の財産管理人から加害者に対して損害賠償請求訴訟が提起されていました。

このような関係の場合、不在者が失踪宣告を受ければ、子より先に死亡しており固有慰謝料が否定されることから、単なる債務者とはことなり、不在者が存在したことによってのみ肯定される利害関係人であると判断されました。

 

これに対し、不在者の所有する建物の賃借人が失踪宣告を申し立てたケースについて、利害関係を否定、申立てを却下した事例があります。

利害関係人として認められるには、単なる債権者のような立場では足りず、もう一歩進んだ関係が必要といえます。

 

基本的には、本件のような事案では、不在者財産管理人の選任申立、そこから、不在者財産管理人による失踪宣告申立の判断となる流れで進められることになりそうです。

 

 

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