エレベーター事故の損害賠償請求、工作物責任を弁護士が解説

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FAQ(よくある質問)

 

Q.エレベーター事故の損害賠償とは?

エレベーターによる事故の際の損害賠償請求についての解説です。

エレベーターの問題点、規制法、工作物責任を認めた裁判例も解説しています。

この記事は、

  • エレベーター事故の関係者
  • 工作物責任を検討している人

に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.7.7

 

エレベーターの危険性

エレベーターは私たちの日常生活において欠かせない存在となっています。

ビルやマンション、ショッピングモールなど、多くの建物で利用されており、階層間の移動をスムーズに行うための重要な交通手段です。しかし、その一方でエレベーターは潜在的なリスクも孕んでいます。

突然の停止、ドアの異常、落下事故など、さまざまな事故が発生しています。

 

エレベーター設置の流れ

日本の事業用建物にエレベーターを設置する際の一般的な流れがありますが、規制法としては、労働安全衛生法、建築基準法があります。流れも、法律によって変わります。

労働安全衛生法における設置の流れとしては、

1.製造許可: 労働安全衛生法に基づき、エレベーターの製造許可を取得します。

2. 設置届・確認済証: エレベーターの設置を行う前に、設置届を提出し、確認済証を取得します。

3. 工事・試運転・完成: エレベーターの設置工事を行い、試運転を行います。

4.落成検査、検査済証

5.定期自主検査、保守メンテナンス

というものです。

 

建築基準法における流れについては、建築物の建築確認と合わせて申請する方法と、エレベーターのみ単独で申請する方法があります。

1.確認申請書提出

2.確認済証受領

3.設置工事

4.完了検査: エレベーターの設置が完了した後、行政機関の検査員等による完了検査を受けます。

5.検査済証の交付

以上が一般的な流れです。

 

エレベーターの安全対策とメンテナンス

エレベーターの安全性を確保するためには、定期的なメンテナンスと適切な安全対策が不可欠です。エレベーターの各部品の点検や清掃、必要に応じた部品の交換など、メンテナンス作業はエレベーターの安全性を維持するための重要な要素です。

また、エレベーター内に緊急連絡装置を設置する、定員を守る、ドアが完全に開いてから乗り降りするなどの利用者自身が行うべき安全対策も重要です。

これらの対策を適切に行うことで、エレベーターの安全性を高めることができます。

エレベーター

エレベーターの法規制と遵守事項

エレベーターの設置や運用には、法規制が存在します。

これらの法規制は、エレベーターの安全性を確保し、利用者を守るためのものです。エレベーターの設置者や管理者は、これらの法規制を遵守し、定期的な点検やメンテナンスを行うことが求められます。また、エレベーターの利用者も、安全にエレベーターを利用するためのルールを守ることが求められます。

 

 

エレベーター事故の損害賠償

エレベーター事故は、その発生頻度は低いものの、一度起こると大きな損害をもたらす可能性があります。ドアに挟まれたり落下事故など、死亡という最悪の結果が発生してしまっている事例もあります。

このような事故が発生した場合、被害者は損害賠償を求めることができます。

エレベーター事故の損害賠償請求には、主に二つのステップがあります。まず、事故の原因を特定し、その責任を問うことです。エレベーターの事故は、設備の不具合やメンテナンス不足、操作ミスなど、さまざまな原因で発生する可能性があります。これらの原因を特定するためには、事故現場の調査や専門家による検証が必要となります。

次に、被害者が受けた損害の程度を評価し、適切な賠償額を算出することです。

これには、物的損害(医療費や修理費など)だけでなく、精神的損害も含まれます。

 

エレベーター事故の損害賠償請求は、一般的にはエレベーターの所有者や管理者、製造元などに対して行われます。これらの当事者は、エレベーターの安全を確保する責任を負っており、その責任を果たせなかった場合、損害賠償の責任を問われることになります。

しかし、事故の原因や状況によっては、被害者自身にも一部の責任があると判断されることもあります。例えば、エレベーターの使用方法を適切に守らなかった場合などです。このような場合、過失相殺により、賠償額は減額される可能性があります。

損害賠償請求の根拠としては、エレベーター自体の欠陥等の場合には製造物責任、設置や保管の瑕疵では工作物責任により占有者又は所有者に対して行うことが多いです。

 

エレベーターの工作物責任の裁判例

この事案は、原告が被告が所有する建物内の温泉施設のエレベーターの扉に挟まれて負傷したと主張し、被告に対して損害賠償を求めた事案です。

東京地方裁判所平成18年9月26日判決です。

原告は、被告が経営する温泉施設を訪れ、エレベーターの扉に挟まれて負傷したと主張。

原告は、エレベーターの扉が閉まるまでの時間が短すぎ、閉まる速度が速すぎ、そして人の体を挟んだときにすぐに開かなかったことが事故の原因だと主張。

一方、被告は、エレベーターの保守点検業者が異常を一切認めなかったこと、そして従前、エレベーターの作動についてクレームを受けたことが一切ないことを主張。

 

原告は、頸椎捻挫、右肋骨部挫傷、肋軟骨損傷の傷害を受けたと主張。損害として治療費、通院交通費、文書料、休業損害、傷害慰謝料、弁護士費用の支払いを求めています。

被告は、原告が事故後の診察で皮下出血や骨折が認められなかったこと、そして原告が変形性脊椎症の既往症があり、その症状を原因とする通院歴もあることを指摘。被告は、原告が主張する症状は既往症を原因としたものである可能性が高いと主張し、事故と症状との間に因果関係はないと主張。

 

また、被告は、エレベーターに異常が認められなかったことから、事故は原告が安全を確認せずにエレベーターから降りようとした結果、扉に挟まれたと考えられると主張。したがって、被告らに責任があるとしても、原告の過失により損害賠償額は大幅に減額されるべきだと過失相殺の主張をしています。

 

裁判での争点

主な争点は以下の2つでした。

1. 被告会社のエレベーター施設の管理が不十分であったか、また、施設の設置や保存に欠陥があったか。
2. 事故と被害者の損害との間に因果関係があるか、また、損害の額はいくらか(過失相殺事由の有無や素因減額の可否も含む)。

以下に各争点についての裁判所の判断をまとめます。

 

エレベーター施設の管理と欠陥について

被害者がエレベーターから降りる際に、扉が通常よりも高速で閉まり、被害者が胸を挟まれる事故が発生したことが認められました。

この事故は、ドアの開閉時間やセフティシュー(安全装置)の作動状況などが重なって生じたものと推定。

温泉施設であることからも、保存・設置の瑕疵があると認定しています。


しかし、事故以前に同様の事故がなかったことから、被告会社は専門業者にメンテナンスを任せることで、必要な注意を払っていたと判断されました。

これにより占有者の工作物責任は否定。しかし、無過失責任である所有者の責任は認められました。所有者である被告に対してのみ損害賠償を命じる結論となっています。

 

因果関係と損害額について

被害者は頸椎捻挫、右肋骨部挫傷、肋軟骨損傷の傷害を主張しましたが、証拠により右肋骨部挫傷は否定され、肋軟骨損傷と頸椎捻挫のみが認定。

被害者の既往症である変形性頸椎症の寄与が大きいと判断され、損害全体に対して四割の減額が適用されました。

認定損害額は一三四万一二三二円となり、素因減額により、最終的な損害額は八〇万四七三九円となりました。これに弁護士費用として八万円が認定されたという結論です。

 

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