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FAQ(よくある質問)

 

Q.土地の工作物責任とは?

工作物が原因で損害を受けた場合に、工作物責任による損害賠償請求を検討することがあります。

土地の所有者にとってもリスクがあるルールですので、チェックしておきましょう。

この記事は、

  • 土地の工作物によって損害を受けた人
  • 不動産所有者・占有者

に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.7.6

 

工作物責任とは

工作物責任とは、土地の「工作物」に起因する事故によって他人に損害が生じた場合、その工作物の占有者や所有者が賠償責任を負うという法的な責任のことを指します。

民法717条に書かれています。

この責任は、一般的な不法行為責任よりも広範で、工作物の占有者や所有者は、工作物にの設置又は保存に瑕疵があった場合、これによって他人に損害が生じたときには、その損害を賠償する責任があります。

工作物責任の存在する理由は、社会生活の中で人々が工作物を利用することは避けられない一方で、その工作物に瑕疵があると大きな損害をもたらす可能性があるからです。そのため、工作物の安全性を確保する責任は、その工作物の占有者や所有者にあるとされています。これは、工作物の占有者や所有者がその工作物の状態を最もよく知り、必要な修繕や改善を行うことができる立場にあるからです。

 

工作物責任の法的枠組み

工作物責任は、民法の第717条1項に「工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う」と規定されています。

また、同項但し書きには、「占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない」と規定されています。

これにより、工作物の占有者だけでなく、所有者にも工作物責任が及ぶことが明確にされています。

工作物責任の法的枠組みは、被害者の保護を目的としています。工作物による事故が発生した場合、被害者はその損害を賠償するための相手を特定しやすく、また、その賠償責任を立証するハードルも低くなっています。

占有者と異なり、所有者は自分に過失がなくても責任を負う、無過失責任を負うことになっています。

法律

工作物責任の具体的な適用例

工作物責任が具体的にどのような場合に適用されるのでしょうか。

例えば、工作物については、マンションの外壁タイルが落下し、下を通行していた人に怪我をさせた場合、そのマンションの管理組合は工作物責任により損害賠償責任を負う可能性があります。

また、私道の舗装が破損していて、そのために自転車が転倒し、乗っていた人が怪我をした場合、その道路の管理者は工作物責任により損害賠償責任を負う可能性があります。国や地方公共団体の場合、国家賠償法に基づくことになりますが、民法の工作物責任と類似の規定があります。国家賠償法2条では、「道路、河川その他の公の営造物」について、その設置・管理の瑕疵により他人に損害を与えたときは、国・公共団体に国家賠償責任が生じるとしています。これは、民法717条に対する特例とも考えられます。

これらの例からわかるように、工作物責任は、工作物に起因する事故によって他人に損害が生じた場合に適用されます。そして、その工作物の占有者や所有者は、その損害を賠償する責任を負います。

 

工作物責任と他の法的責任との関係

工作物責任は、一般的な不法行為責任や契約上の責任とは異なる特性を持っています。

一般的な不法行為責任は、過失(注意義務の違反)があった場合にのみ発生しますが、工作物責任は、工作物に瑕疵があった場合、その瑕疵によって他人に損害が生じたときには、過失の有無に関わらず発生します。特に、所有者は無過失責任を負います。

また、契約上の責任は、契約関係に基づく責任であり、契約の当事者間でのみ発生しますが、工作物責任は、工作物の占有者や所有者と被害者との間に契約関係がなくても発生します。

これらの違いから、工作物責任は、一般的な不法行為責任や契約上の責任とは異なる法的責任として位置づけられています。そして、これらの責任が同時に問われる場合でも、それぞれの責任は独立して存在し、その適用範囲や影響は異なります。

 

工作物の例

建物、橋、堤防などもあります。炭坑の坑口に設置されたワイヤーロープ、工場に設置された機械類も、工作物として扱われるでしょう。

 

工作物責任の要件

工作物責任の要件とされている「設置又は保存に暇疵」があるとは、その工作物の建造またはその後の修理などに不完全な点が存在することを指します。

その種の工作物として通常備えているべき安全性が欠けていれば、暇疵があるとされ、建造し、または維持する者の過失の有無を問わないものとされます。

判例では、高地の所有者が崖地を支えるために建造したコンクリートの擁壁が不完全なために、その一部が崩壊して下方の家屋が潰れた場合にも工作物責任を負っています。

 

土地または工場に備え付けた機械の暇疵については、判例は、農耕地の潅概のために据えつけたポンプの音響・振動のために、付近の宿屋営業者の家屋を傾け、かつ、顧客を減らした場合には、ポンプの据え付けの不完全なことを工作物の設置の暇疵としました。

しかし、工場内に据え付けられた機械に暇疵があって、工員が負傷した場合には、工場内に据え付けた機械は土地の工作物ではないと判示したものもあります。ただし、大きな機械は、工場の建物と一体をなして工作物と見られる可能性も十分にあります。

 

失火責任法との関係

工作物責任と失火責任との関係は、問題です。

たとえば、電力会社が高圧電線の架設施設の不十分なために火災を起こしたような場合に、判例は、なお、これに失火責任の特則が適用され、故意または重大な過失なき限り責任を負わないものと判示します。

しかし、学説のなかには、本条の責任は、失火責任法による責任に優先し、同法は適用されないとする意見も多いです。

 

占有者の責任

占有者または所有者の賠償責任の内容は、普通の不法行為の責任とまったく同一です。ただし、一定の者に対して求償権を取得する場合があることは、本条3項に規定されています。

占有者が責任を免れることもあります。ただ、占有者がこの注意を怠らなかったことは、占有者の方で立証しなければならないとされます。

占有者に対し、所有者の責任は、過失の立証を要しない無過失責任とされます。

免責事由はありません。工作物の暇疵が所有者の所有中に生じたものでなくても、所有者は責任を負います。

ただ、一定の場合には、占有者への求償もできると考えられています。

所有者が占有者に対して、工作物の暇疵を修理するよう求めていたのに、占有者が修理を怠ったことが原因で損害が発生した場合、所有者は占有者に対して求償権を行使することができるといえるでしょう。

 

工作物責任については、瑕疵が唯一の原因である必要はないとされます。

自然力の作用または被害者の過失が要因になった場合でも、工作物責任は発生します。

被害者の過失が原因であるときは、過失相殺の話にはなるでしょう。

 

 

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