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FAQ(よくある質問)

 

Q.民事裁判の控訴とは?

民事裁判の控訴は、一審判決への不服申立てです。

判決が出て、不服があり、争う場合には、さらに上の裁判所で内容を争うことができるのです。

今回は控訴の手続き、期間などを解説していきます。

この記事は、

  • 民事事件で控訴したい人
  • 判決に不服がある人

に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.7.18

 

民事裁判の控訴審とは

控訴審とは、第一審の判決に不服がある場合に、上級の裁判所に審理を求める手続きのことを指します。

一審が地方裁判所・家庭裁判所である場合には、上級の裁判所は高等裁判所になります。

控訴審では、第一審での判決に対する不服を具体的に述べ、新たな証拠や主張を提示することが可能です。しかし、新たな主張や証拠が無制限に認められるわけではなく、第一審で提出できたはずの主張や証拠が後から提出された場合、それは時機に遅れたものとして制限される可能性があります。

 

控訴の手続き

控訴を提起するためには、まず控訴状を提出する必要があります。

控訴状は、判決書の送達を受けた日から2週間以内に第一審の裁判所に提出しなければなりません。

控訴状は当事者、第一審判決の表示、控訴する旨、控訴の趣旨を記載するだけの簡素な書面となります。控訴状には控訴理由を記載することもできますが、通常は控訴理由を記載することはせず、控訴理由書に記載します。2週間の控訴期間内に十分な控訴理由を作成することは困難だからです。

控訴状には収入印紙を貼る必要があります。印紙額は不服を申し立てる部分について訴え提起の場合の1.5倍となります。

その後、具体的な控訴理由を記載した控訴理由書を提出します。控訴理由書は、控訴の提起後50日以内に提出しなければなりません。

控訴理由書には、第一審判決の取消し又は変更を求める事由を具体的に記載します。控訴審の審理は殆どが1回結審となります。そのため、控訴をする側(控訴人)にとって控訴理由書以外に書面を提出できる機会は与えられないと考えておくべきです。

控訴理由書では第一審判決の問題点について説得的な議論を展開し、また、必要に応じて新たな主張立証を行うことにより、控訴審の裁判所に第一審判決を変更すべきとの心証を与える必要があります。

この間に、裁判の記録は、地方裁判所から高等裁判所に送られ、高等裁判所の担当係が決まります。

 

控訴審の審理

控訴された側(被控訴人)は、控訴状、控訴理由書を受領します。その後、控訴の趣旨に対する答弁と控訴理由書に対する反論を記載した控訴答弁書を提出します。提出期限は裁判所が指定するのでそれに従います。

このあたりで、控訴審の弁論期日が開かれます。

控訴審では、第一審で提出された訴訟資料に加え、控訴審で新たに提出された訴訟資料に基づいて第一審判決の当否を審査します(続審制といいます)。

そのため、制度上は控訴審において新たな主張立証をすることが可能です。

しかし、無制限に新たな主張立証が認められるわけではありません。第一審で提出できたはずの主張立証であれば時機に遅れたものとして制限される可能性があります。また、控訴審になって初めて提出されたという事実自体が内容の信用性にネガティブな印象を与える可能性もあります。どうして一審で出さなかったのか、ということです。

特に立証に関して、控訴審では新たに証人尋問を申請してもあまり認めてもらえません。

控訴審は事実審であり、第一審判決で示された事実認定を変更することもできます。

これに対し、上告審である最高裁は法律審であり、控訴審までに認定された事実認定に基づいて判断することになります。そのため、事実認定を争うことができるのは控訴審までとなります。

民事裁判控訴

 

控訴審は1回結審が多い

控訴審では多くのケースが1回結審となります。

すなわち、第一回期日のみで審理が終了し、その後に主張立証の機会は与えられません。その後は、判決言渡し期日が指定されたり、和解の話となります。

第一審では数回に亘って期日が開催され、当事者に十分な主張立証の機会が与えられますが、控訴審では短期決戦となります。

令和3年の司法統計では、全体の3分の2以上の事件の審理期間が6ヶ月以内とされています。

特に控訴をする側としては説得力のある控訴理由書を提出し、控訴審の裁判所の心証を引き寄せることが重要となります。控訴審の裁判所が控訴理由に興味を持ってくれれば、控訴する側に控訴理由を補充させたり、控訴される側に反論させるなどの審理を行ってくれるはずです。ときには、証人尋問なども実施されます。

逆に、控訴理由について突っ込んだ審理が行われず、1回結審で終結してしまった場合には、控訴審の裁判所が控訴理由を重視していない(=判決を維持する方向で考えている)おそれがあり、控訴棄却となる懸念が生じます。

 

控訴審での逆転判決

控訴審で判決が変更される件数は必ずしも多くはありません。

統計の数字としては、令和3年度に終結した控訴審(高裁)の事件の総数1万2109件のうち、第一審判決を変更した原判決取り消しとなった事例は1575件に過ぎません。また、判決に至った事件の総数7286件を母数としても第一審判決を変更した割合は約22%とされています。

控訴取下げも一定数あり、控訴審での逆転判決は、確率的には高くないことが分かります。

その理由としては、第一審で十分な訴訟活動を行った以上、控訴審で判断を覆すような主張立証をすることは容易ではないという点が挙げられます。

また、一般に裁判官の認定に関する基準は大きく変わらないところ、控訴審でも同じく裁判官が審査する以上、やはり同じ判断になりがちであるといえます。

 

控訴審での和解

控訴審においても第一審と同様、多くの事件が和解によって終結します。上記のとおり控訴審では1回結審で審理が終わることが多いのですが、和解の協議を行う場合には結審した後であっても和解期日が設定されます。

控訴審での和解の特徴としては、既に第一審判決が示されており、控訴審の裁判所が異なる心証でない限りその内容が前提となること、事実上最後の和解の機会であること、という点が挙げられます。

特に第一審判決で敗訴した側にとっては難しい判断を迫られるといえます。

控訴をするべきか否かの判断

控訴をするべきか否かの判断については、第一審判決による不利益の程度、控訴審で判断が変わり得る可能性、控訴に係る費用及び時間、心情的な納得感などが要素になります。

これらの要素を踏まえ、慎重に検討する必要があります。

控訴と強制執行停止

一審で金銭の支払を命じる判決が出され、仮執行宣言がついている場合、控訴されていても、仮執行宣言に基づき強制執行ができます。

控訴して争っていても、財産を差し押さえられるということです。

控訴審で争っているときに、差し押さえを避けたい場合には、強制執行停止をしてもらう必要があります。

強制執行停止は、裁判所による強制執行を一時的に停止する手段です。

強制執行停止の手続きは、裁判所に申立てを行い、必要な担保を提供して認められます。

申し立てる裁判所は、記録がある裁判所です。早いタイミングでの申立であれば控訴状の提出先と同じく一審裁判所となります。印紙代自体は500円です。

強制執行停止の申立てが認められると、裁判所の命令の実行は一時的に停止され、債務者は一定の期間、差し押さえリスクから解放されます。

しかし、強制執行停止の申立てが必ずしも認められるわけではなく、その結果は多くの要素によって影響を受けます。

 

強制執行停止の担保金

また、債権者としては、一審で勝訴判決をもらっているなど、本来であれば差し押さえをできる権利が制限されるため、これを止めるための担保金も高額になってしまうことが多いです。

担保金額は裁判所の裁量によって決められますが、一審で認められた金額の6~8割程度とされます。不動産訴訟の場合には、物件価格の5~7割とされています。

つまり、この制度を使うには、一審判決の大部分を払える程度の資力はあるものの、争っている間に差押はされたくない、という状態が前提とされます。

 

担当裁判官が執行停止が認められると判断した場合には、担保金額及び担保提供期間を決定します。担保金額が決まったら、期間内に供託所で、供託手続を行います。執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所とされます。

 

なお、供託をする際に、供託者・被供託者の住所、氏名、裁判所名、法令条項等、記載事項については、間違えないようにご注意ください。

供託手続が終わったら、供託書正本と写し(コピー)を裁判所に提出するのが通常です。正本は提示します。

担保金の確認書類が裁判所に提出された後、強制執行停止の決定がされます。

 

 

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