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FAQ(よくある質問)

 

Q.商人の相当な報酬請求とは?

代金の支払い義務は、通常は、契約によって行われます。

しかし、契約書がない場合であっても、事業者からの代金請求が認められる制度があります。

これが、商法に基づく相当な報酬請求という制度です。

この記事は、

  • 代金請求したい、契約書がないという人
  • 事業者から高額な請求を受けた人

に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.7.25

 

商人の報酬とは

商人の報酬とは、株式会社等の商人がその営業の範囲内で他人のために行った行為に対して請求できる相当な報酬のことを指します。

商人とは、自己の名をもって商行為を業とする者を指し、その範囲は株式会社から個人事業者まで広がります。

報酬の請求は、本来は契約によって決められます。

しかし、商人の営業行為であれば、契約で報酬額の合意がなくても無償にはなりません。営業行為でおこなっている以上、契約当事者としても無償だと期待するのはおかしな話です。そこで、相当な報酬を請求することができるルールとされています。

ただし、報酬は発生しないとの合意がある場合や、取引慣行上、無償の行為と考えられているものについては、報酬を請求することはできません。

 

商人の報酬請求の法的根拠

報酬請求の法的根拠は、商法第512条にあります。

この条文によれば、「商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる」とされています。

この報酬請求権は、契約が成立していない場合や契約の範囲外の仕事に対しても適用されます。

 

商人の報酬請求の実際のケース

この規定で報酬請求はできることになっていますが、「相当な」とはいくらなのか問題になることも多いです。

相場的な金額になることが多いですが、これ自体、曖昧な概念です。

相当な報酬の金額について合意ができなければ、請求がとしては裁判を起こすなどして判断を求めることになってしまうでしょう。トラブルを避けるには、できるだけ契約で金額を決めた方が良いのです。

報酬請求の成功事例としては、契約が成立していない状態で仕事を行った場合や、契約の範囲外の仕事を行った場合でも、商法第512条の報酬請求権に基づき、相当な報酬を請求し、それが認められたケースがあります。

商人である事業者側からすれば、契約の立証ができない場合でも、ある程度の報酬請求が認められるというケースがあるでしょう。

請負工事などで追加工事の金額について契約書がない場合などの請求根拠の一つになる理論といえます。

 

ビジネスマン

商人の相当な報酬事例

この相当な報酬制度は裁判例でも認められています。

たとえば、堺簡易裁判所令和3年1月14日判決では、レッカー費用の請求が認められました。

この事案は、レッカー車を運営する原告が、被告のために自動車をレッカー車で運んだと主張し、商法第512条に基づいてその費用を被告に求めたものです。

なお、原告は、被告の保険株式会社から、この事案に関連するレッカー車の費用として46663円を受け取ったと主張し、当初の請求から減額、減額された金額が認定され、被告に対して約6万円を支払うよう命じています。

 

代金請求の経緯

原告は、大阪運輸支局から有償運送の許可を受け、自家用車を積載するレッカー車を使用して、レッカー車の事業を営んでいました。
原告は、2016年12月3日に、自動車修理等を業とするオートショップの依頼により、大阪市のある場所に行き、被告との間で、故障した被告の自動車を、適正な報酬を受け取る約定で、その場所から堺市のQ社までレッカー車で運ぶ契約を結びました。
しかし、Q社は、その時点で営業時間外だったため、原告は、被告の自動車を原告の事業所に運び、一度預かった上で、その自動車をQ社まで運びました。

原告が、Z保険金支払いセンターの要求に応じて、その会社に対して、レッカー車の費用100869円を請求したところ、Z保険金支払いセンターは、原告に対して、レッカー車の費用は、JAF非会員料金の1.68倍と高額であり、適正な金額とは言えないと通知。

Z保険金支払いセンターは、2019年9月13日、原告に対して、レッカー車の費用46663円を含むレッカー車の費用50821円を支払いました。

 

レッカー車の費用の適正額は?

原告と被告は、本件搬送契約を締結した際、本件搬送費用について具体的な金額を定めていなかったものの、 原告は、大阪運輸支局から有償運送許可を受け、本件車積載車を使用して、レッカー事業等を営む者であり、原告が被告のために行った本件搬送業務は、その営業の範囲内において他人のためにした行為であるから、商法512条により、原告は、被告に対し、本件搬送業務についての相当な報酬を請求することができると前提を確認。

そして、上記相当額は、契約当事者の合理的意思を踏まえ、当該業界における料金基準の実情や当該事業者の事業規模、業態等の諸事情を総合的に勘案して判断すべきであるとしました。

 

そこで検討するに、原告が設定する料金は、原告料金表のとおりであり、これによれば、本件搬送費用は、本件一次搬送費用6万5658円と本件二次搬送費用2万7862円の合計9万3520円に消費税7349円を加えた10万0869円となるところ、およそ有償運送許可を受けたレッカー業者が、予め設定した料金に従って算定し、請求する金額は、総じて市場を反映したものであるといえ、特段の事情がない限り、相当な金額と認めるのが相当であるとしました。

そして、本件において原告料金表に従って本件搬送費用を算定することは、契約締結に際し、被告に原告料金表が示されていなかったとしても、被告が依頼した本件搬送の作業内容に照らせば、契約当事者としての被告の合理的意思に反するとはいえないし、近畿地方の大手レッカー会社であり、本件レッカー協同組合関西支部の会員でもある株式会社Rの一般料金表によれば、昼間(午前8時から午後6時)における普通乗用車のレッカー作業の場合、出動料が6000円、作業料が1万4000円(合計2万円。なお、事故等緊急時の場合であれば、更に5000円が加算され、2万5000円となる。)であるのに対し、原告料金表の出動料と作業料は、それぞれ1万8000円と6000円(合計2万4000円)であって、その他の搬送料や回送の1キロメートル当たりの単価の違い等を考慮したとしても、両者の間に大きな差異があるとはいえないことに照らせば、原告料金表に従って算定された料金の額は、相当性を欠くともいえないから、上記認定の10万0869円は、本件搬送費用として相当な額というべきであるとしました。

 

業界の参考基準価格との比較

この点、被告は、本件搬送費用の相当額について、原告が請求する搬送費用(本件一次搬送費用)は相当性を欠き、JAF非会員料金に相当する額が相当である旨主張。

被告が指摘するとおり、確かにJAFも一般に利用し得るレッカー業者であるけれども、自動車運転者においてJAFの利用が一般的であることを認めるに足りる証拠はなく、その料金基準は、レッカー搬送費用の相当額を検討する上で参考となり得るにとどまるものであると指摘。

そもそもレッカー業界では、業界内部において統一された料金基準は見当たらず、レッカー業者それぞれがその事業規模や業態等に応じて設定しているものであると言及。

したがって、たとえ同一の作業に対する料金であっても、レッカー業者によって料金に幅があり、当然に金額の違いが生じるものである以上、その点を考慮することなく、レッカー搬送に係る相当な費用額を特定のレッカー業者の料金基準に従って算定することは相当とはいえないとしました。

また、被告が指摘する原告の本件一次搬送費用がJAF非会員料金である3万5200円の2.01倍であるとの点にしても、本件搬送においては、原告は被告の求めに応じて代車を本件現場に運送している上、本件一次搬送に際して高速道路を使用しているなど、比較の前提となる本件搬送に係る事情を異にしているから、原告が主張する本件一次搬送費用の額とJAF非会員料金の額をそのまま比較することも相当でないとしました。

さらに、被告は、原告は、ホームページを持たず、料金表を一般に公表していない点を問題にしているが、ホームページに料金表が公表されていないからといって、原告が設定した料金が透明性を欠いた不適正、不相当な価格とはいえないし、不当に高額であるとも認められないとしています。

 

結論として、サイト上等に公表がされていなかったものの、業者の料金表に従った請求が認められています。その際、類似サービスのJAFよりも高額であったものの、他の業者の基準なども出され、請求を認める結論となっています。

自社内にサービス料金表など基準がある場合には、証拠提出し、この請求をしてみると良いでしょう。

 

 

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