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FAQ(よくある質問)

 

Q.離縁裁判のポイントは?

離婚と同じように養子縁組でも関係を解消したい、離縁したいという相談はあります。

しかし、一方が反対している場合には、離婚と同じように調停・裁判となります。裁判でも離縁事由はないとされると離縁が認められない結論になってしまいます。
今回も離縁を否定した裁判例を紹介します

名古屋高等裁判所令和3年6月11日判決です。

この記事は、

  • 養子縁組を解消したい人
  • 離縁を争っている人

に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.9.5

 

養親と養子の関係

この事件は、ある養親が自分の養子に対して離縁を求めたケースです。

養親と養子の関係は、本来は親子のような強い絆で結ばれるべきもの。

しかし、この養親は、「関係が壊れてしまった」と主張。

 

養親と養子は、祖母と孫という関係でした。

事件は、養親(昭和7年生)とその夫(大正15年生)が、昭和27年に結婚して子供を持った後、平成19年に孫(平成元年生)と養子縁組。この養子縁組は、主に財産継承や相続税の対策として行われました。

夫は、その遺産の多くを子や養子に相続させる内容の公正証書遺言をしました。

 

養子関係の悪化

火災で養親夫婦の家が焼失し、夫は亡くなりました。

その後、養親は一時的に養子の家に身を寄せたものの、関係は次第に冷え込み、最終的にはお互いに話すこともなくなりました。

遺言発見、養親は自分の取り分が少ないことに驚き、孫らを相手に遺留分請求、調停申立。

 

養親は、本件養子縁組は、税金対策と一家の財産を長男たる男子に集中させ、財産が分散しないようにして一家を末永く繁栄させるためになされたものであり、夫遺言によって夫名義の財産の多くは長男や養子が相続することとなった
のであるから、本件養子縁組の目的は達しており、養子縁組を継続させる理由はなくなったと主張。

また、養子は、遺留分調停において、これまでの恩を踏みにじる主張を繰り返し、信頼を完全に喪失し、調停申立て後4年近くにわたり絶縁状態であるとして、縁組を継続し難い重大な事由があると主張。

しかし、裁判所は「重大な事由がない」と判断し、養親の請求を棄却しました。

 

民法の離縁事由

養子縁組の解消を離縁と呼びます。

離縁は、離婚と同じく、相手が応じない場合には、法的に離縁できる事情があるかどうかで決まります。

民法814条は1項では、離縁の訴えができる事由を決めています。

一方から悪意で遺棄されたときや3年以上の生死不明の他は、 その他縁組を継続し難い重大な事由があるときが離縁事由として書かれています。

これが認められなければ、相手が争う以上、離縁は認められません。

 

「縁組を継続し難い重大な事由」とは

「縁組を継続し難い重大な事由」という表現は、民法の言い回しですが、わかりやすく言うと、親子の関係がもう修復不能なレベルに達している状況を指します。イメージとしては、崩れた橋のようなもの。ただ壊れただけでなく、将来修復する見込みもないとされています。

この重大な事由は、親子関係が崩壊しているだけではなく、養子縁組をした背景や目的、そして離縁後の予想される状況まで考慮されます。つまり、全体像を見て判断するわけです。

この判断には、必ずしも「誰かが悪い」わけではなく、客観的な状況が評価されます。だから、一方だけが悪いとは限りません。この点で、責任の有無は二の次といえるでしょう。

 

なお、養子が未成年者の場合は、その利益を最優先に考慮する必要があります。

 

 

養子縁組に関する原告の主張

原告(養母)は、夫とともに被告(養子)の生活費や教育費を長年にわたって支えてきました。それに対して、原告が火災で夫を失い、住居や生活必需品を失った際に、被告からの援助や共感は一切なかったと証言しています。

火災後の混乱の中でも、被告が原告に「下着一枚買ってあげることもしなかった」という具体例が挙げられています。

また、遺産分割の調停においても、被告はこれまでの支援を否定し、原告に対して冷淡な態度を取り続けました。

このような状況を踏まえ、原告は被告に対する信頼を失い、「縁組を継続し難い重大な事由がある」と主張。

 

養子縁組に関する被告の反論

原告の主張に対し、被告は反論しました。

生活費の援助に関して
- 原告から生活費をもらったことはない。
- 例えば、結婚時に夫から結婚祝いとして100万円を受け取ったが、それ以降は自分で生計を立てている。
- 大学の学費に関しては奨学金と父からの支援がある

と反論しました。

また、被告は、別件調停の成立後、原告と被告の関係が疎遠になったことは事実であるが、被告は、遺産を巡る紛争に巻き込まれたに過ぎないと主張。

 

 

家庭裁判所の判断

原告の請求を棄却。

離縁は認めないという結論でした。

その前提として、本件火災後、原告は、長男宅に身を寄せ、以前は被告の部屋であった2階の部屋を使用していた事実を認定。被告は、本件火災当日、原告のために当面の衣類を購入し、その後は1週間ほど仕事を休み、長男宅にて原告の話し相手になるなどして過ごした事実も認定。

裁判所は、原告と被告は、本件養子縁組の前後を通じ、一般的な祖母と孫としての関係を築いており、本件火災後も、原告は長男宅に身を寄せ、被告も長男宅に滞在して原告の話し相手になるなどして原告を気遣ったと認定。

原告と被告の関係に変化が生じたのは、四十九日の法要の後、夫の遺言が開示され、夫の遺産の多くを長男及び被告が相続することが判明した後であると指摘。

そして、原告が長男宅に身を寄せていた期間に、被告が原告に対し冷たく当たるなどしたことを認めるに足りる証拠はないと指摘。

その他、本件記録を精査しても、被告の側に、縁組関係を破たんさせるような有責行為があったとは認められないと言及。

原告が被告との縁組解消を希望する旨述べていることを踏まえても、本件においては、縁組を継続し難い重大な事由は認められないとしました。

 

原告は不服として控訴。

 

高等裁判所も離縁を否定

控訴を棄却するという結論でした。

離縁は否定した形です。

一家の財産を長男のほか、その長男である養子にも継がせるという本件養子縁組の主たる目的は未だ達成されていない(この目的が達成されるのは控訴人が死亡して、その相続が開始された時である。)ところ、上記目的を取り消して離縁を認めることを正当化することができるような養子の側の有責行為の存在は認められないうえ、祖母である控訴人と孫である被控訴人という関係においてされた本件養子縁組が、回復し難いほどにまで既に破綻しているとも認められないと指摘。

家庭裁判所の判断を支持しました。

 

離縁裁判のポイント

実質的な流れを見れば遺言を巡るトラブルのように見えます。

細かい事実認定について主張の対立はありましたが、結局は関係破綻の事実の主張・立証が足りなかったという結果になっています。

離婚と同じく、一方が争っている場合には相当な事情がないと離縁が認められないということになります。

離婚の場合には夫婦は同居しているのが前提なので、別居期間など客観的な事実も重要になるのですが、養子関係の場合には、必ずしも同居は必要がないので、別居期間など客観的な事情だけでなく、細かい事実の積み重ねがより重要になるといえるでしょう。

どのように事実を積み重ねて構成するかがポイントになります。

 

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