火災保険サポート契約のクーリングオフを認めた裁判例を弁護士が解説

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FAQ(よくある質問)

 

Q.訪問工事、火災保険サポートのクーリングオフは?

業者の訪問によって火災保険金申請のサポート契約(業者の報酬は受領保険金の30%)について、法定書面を交付されたとはいえないため、クーリング・オフの行使期間は進行せず、クーリング・オフの成立を認めた裁判例の紹介です。

この記事は、

  • 訪問販売で家の工事契約をした人
  • 訪問販売で火災保険のサポート契約をした人

に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.11.9

 

8日経過後のクーリングオフ裁判例

水戸地方裁判所龍ケ崎支部令和5年2月17日判決です。

「火災保険などの損害保険を使って自己負担なく修理ができる」などと勧誘する工事業者が増えており、社会問題にもなっています。

今回のケースでも、そのような業者と契約してしまった消費者の訴訟でした。

このような事件の場合、契約をなくすための法的な方法としては、クーリング・オフが使われます。

 

訪問販売のクーリングオフの8日とは

通常、クーリングオフの主張を出し、この成否が争点になります。訪問販売などの場合には、8日以内のクーリングオフができるかどうかが問題になります。

この8日という期間が、法律で決められた書面を交付されてから、となっているので、不十分な書面しか交付されていない場合には、8日の期間がスタートしていないというロジックで、クーリングオフを主張します。

今回の裁判例でも、そのような主張がされています。

消費者からクーリングオフを主張。

業者から報酬請求の裁判を起こされたという内容です。

裁判所はクーリングオフを認め、業者の請求を棄却するという判決を出しました。

 

クーリングオフ以外の論点

クーリングオフが認められなかった場合のため、他の主張も消費者側はしています。

・保険申請のサポートという工事業者の行為は、非弁行為になるのではないか。

・支払保険金の30%の高額な報酬が暴利行為にならないか

・業者もしくは業者の提携業者で修理を行わない場合に違約金を支払う規定が消費者契約法9条1号に該当しないか

・消費者契約法の不実の告知又は不利益事実の不告知

・見積書等の不作成が債務不履行にならないか

 

裁判所はクーリングオフを認める

裁判所は、「訪問販売の法定書面として要求されている記載事項に関する記載の有無については厳格に解釈すべきであり、その重要な記載事項について記載を欠く場合には、クーリングオフの行使期間は進行しないと解するのが相当である」と前提を示しました。

そのうえで、特商法4条1号所定の

「役務の種類」については本件契約書では

「抽象的な記載があるだけで、実際に原告が被告宅に関して行う調査の具体的な内容も、保険金請求に関して行う具体的な作業の内容も一切記載されていない。」「本件契約時において、これらの事項を具体的に記載することが困難であったような事情も認められない」と認定。

「役務の提供時期」についても、「同様に記載可能なものをできるだけ詳細に記載する必要があり、例えば、役務の提供が複数回にわたる場合には、回数、期間等が明確になるよう記載する必要があるものと解されるところ、本件契約書には、そのような記載は一切されていない。」と認定。

法定書面の交付がないので、クーリングオフ可能と結論づけました。

 

火災保険の保険金請求手続では、業者が自宅を訪問し、「保険金が下りるから」「保険金申請は難しい」などと誤信させ、工事の契約以外に、申請サポート契約を締結することで保険金の数十%などの高い手数料を請求するということで問題になっています。

そのような場合に、本件のように、クーリング・オフの主張が認められる可能性があります。

 

特定商取引法の趣旨

特定商取引法は、訪問販売等の特定商取引を公正にし、及び購入者等が受けることのある損害の防止を図ることにより、購入者等の利益を保護し、あわせて商品等の流通及び役務の提供を適正かつ円滑にし、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的としています(同法1条)。

そして、同法5条1項は、訪問販売においては、購入者等が取引条件を確認しないまま取引行為をしてしまったり、取引条件が曖昧であったりしたため、後日、両当事者間のトラブルを惹起するおそれがあることから、販売業者又は役務提供業者が売買契約又は役務提供契約を締結したとき等に遅滞なく取引条件を明らかにした法定書面を購入者又は役務の提供を受ける者に交付しなければならない旨定めるものであることを確認しています。

また、同法9条1項は、訪問販売においては、購入者又は役務の提供を受ける者が受動的な立場に置かれ、契約締結の意思形成において販売業者又は役務提供業者の言辞に左右される面が強いため、契約締結の意思が不安定なまま契約の申込みや締結に至り、後日履行や解約をめぐって紛争が生じることが少なくないことから、このような弊害を除去するため、契約の申込み又は契約締結後一定期間内は申込者等が無条件で申込みの撤回又は契約の解除を行うことができる制度を設けたものである点を確認しています。

 

このような特定商取引法の目的や、訪問販売において、消費者保護のために法定書面の交付義務やクーリングオフ制度が設けられていること、法定書面の交付日がクーリングオフの行使期間の起算日とされていることからすると、法定書面として要求されている記載事項に関する記載の有無については厳格に解釈すべきであり、その重要な記載事項について記載を欠く場合には、クーリングオフの行使期間は進行しないと解するのが相当であるとしています。

 

「役務の種類」に関する裁判所の認定

そこで検討すると、特定商取引法4条1号所定の「役務の種類」とは、当該役務が特定できる事項をいい、その内容が複雑な役務については、その属性に鑑み、記載可能なものをできるだけ詳細に記載する必要があるものと解されると確認。

しかしながら、本件契約書には、・・・「被告の火災保険金受給申請に関する現状の調査、分析及び申請用書類作成に関する助言」、「本件申請に関する火災保険会社との折衝に関する助言」、「本件申請に関する保険会社査定人の立会いに際しての助言」、「上記のほか、被告の本件申請に関する事務手続に関する助言」といった抽象的な記載があるだけで、実際に原告が被告宅に関して行う調査の具体的な内容も、保険金請求に関して行う具体的な作業の内容も一切記載されていないと指摘。

また、本件契約書の記載上、本来であれば本件業務の具体的な内容は、本件契約書と一体となる別紙において明らかにされるはずであるが、本件契約書にはその別紙が作成されていない点にも言及。

他方で、本件契約時において、これらの事項を具体的に記載することが困難であったような事情も認められない(実際、本件契約書に先立って被告に交付された本件案内文書には、調査箇所に関する「アマドイ」との記載がされている。)としています。

以上によれば、本件契約書には「役務の種類」の記載があったとはいえないと結論づけています。

 

「役務の提供時期」に関する裁判所の認定

また、同条4号所定の「役務の提供時期」についても、同様に記載可能なものをできるだけ詳細に記載する必要があり、例えば、役務の提供が複数回にわたる場合には、回数、期間等が明確になるよう記載する必要があるものと解されるところ、本件契約書には、そのような記載は一切されていないと指摘。

この点に関し、原告代表者自身、これを記載することは難しくはない旨供述しており、実際にも本件申込書には、被告宅での調査予定日が記載されているのであるから、これを具体的に記載することが不可能であったとは認め難いと指摘。

以上によれば、本件契約書には「役務の提供時期」の記載もあったとはいえないと結論づけています。

 

以上のとおり、本件契約書は「役務の種類」及び「役務の提供時期」記載を欠いているところ、これらの記載は、被告が本件契約の取引条件を確認する上で重要な事項であるといえるから、本件契約書の交付によってもクーリングオフの行使期間は進行せず、被告は本件契約を解除(クーリングオフ)することができる。したがって、被告による本件契約の解除は有効であるとして、業者の請求を棄却しています。

 

 

国民生活センターでの注意喚起

2023年10月11日の記事で、同種の事件についての注意喚起がされています。

屋根工事の点検商法のトラブルが増えているとの指摘で、典型的な勧誘トークを知っておくことで防げるとの内容です。

点検商法とは、「近所で行う工事の挨拶に来た」などと言って突然訪問し、「屋根瓦がずれているため点検してあげる」と言って点検した後、「このままだと瓦が飛んでご近所に迷惑がかかる」などと不安をあおって工事の契約をする手口です。

記事によれば、

2022年度の屋根工事の点検商法に関する相談件数は過去5年で最も多くなり、2018年度の約3倍に。

また、契約当事者の8割超が60歳以上で、特に高齢者に注意してほしいトラブルとのこと。

 

この裁判のように8日を過ぎてもクーリングオフが認められる例もありますが、あくまで裁判で争ってのものですので、契約をしないのが一番、仮に契約しても8日以内のクーリングオフをしておく方が無難です。

 

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