養子縁組なし再婚でも養育費が減額されるとした裁判例を弁護士が解説

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FAQ(よくある質問)

 

Q.養子縁組なし再婚でも養育費が減額?

養育費の算定において、再婚相手の収入はどのように影響を及ぼすのでしょうか?

養子縁組をしていなくても事実上の扶養状態であることから、養育費減額事由になると判断された事例がありますので紹介しておきます。

本件では、離婚後に精神科医と再婚した母と、減額を求める父の間で養育費の見直しが求められました。

宇都宮家庭裁判所令和4年5月13日審判です。

この記事は、

  • 離婚した妻が再婚した人
  • 養育費の減額を求める人

に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.12.21

 

養育費減額事件の背景

申立人(父)と相手方(母)は、平成30年12月に離婚し、長女の親権は母に。

父は、月15万円の養育費を支払う合意。
母は令和2年に精神科医と再婚。

父は、母の再婚相手が社会的に十分な収入を得ているとして養育費の減額を求めました。

 

家庭裁判所の判断

再婚相手が養子縁組はしていないが、事実上の扶養状態と認定。

再婚相手の収入証明書の提出拒否により、算定表の上限金額を営業所得として推定。
養育費を新しい状況に基づいて再算定しました。

家庭裁判所は、申立人による減額請求を認め、月額15万円の養育費を9万円に減額しています。

 

 

養育費の合意

父と母は、長女の親権者を母と定めて協議離婚。

長女の養育費について、長女が満22歳に達する日の属する年の翌年の3月まで、月額15万円と合意。

その後、母は、令和2年12月27日に精神科医と婚姻。令和3年に長男をもうけました。相手方夫と長女は養子縁組をしていませんが、相手方夫は、相手方及び長女と同居し、事実上長女を扶養していると認定。

 

当事者の収入

申立人の令和3年の給与収入は1080万円。
相手方の令和2年の給与収入は221万4000円。長男出産に伴い、育児休暇を取得。月当たり17万7141円の育児休業給付金を受給。

相手方夫は、精神科・神経科・心療内科を診療科目とするクリニックを開院し、同年の市県民税税所得証明書によると、給与収入は881万8276円、営業等所得は-480万1653円。なお、相手方は、令和2年の確定申告書を含め、相手方夫の収入資料を上記証明書以外提出しない意思を示しました。

 

なお、父と長女との面会交流は、相手方が再婚後に途絶え、申立人は、相手方が本件合意に反して長女との面会交流を実施しないとして、面会交流調停を申し立て、その後、直接面会交流をさせなければならない旨の審判が出され、後日確定しています。

 

事情変更の原則

合意した養育費につき、申立人が、①相手方との間に前記面会交流調停が係属中、相手方の父から、養育費はいらないから長女と会うことを諦めるようになどと求められ、実際に申立人が令和3年2月から面会交流拒絶に対抗して養育費の支払を停止したにもかかわらず、相手方からは連絡が一切ない以上、相手方は養育費を請求する意思がないこと、

②長女を事実上扶養している相手方夫が社会通念上高収入を得ていると推認されることを理由として減額を求めたものであるところ、

当事者間において合意された内容を尊重すべきであるが、これを一切変更することが許されないと解するのは相当ではなく、合意の当時に前提とされていなかった事情が後に生じ、従前の合意の内容が実情に適合せず相当性を欠くに至った場合には、事情の変更があったものとして、従前の合意の内容を変更することができるものというべきであるとしました。


裁判所は事情変更を認める

本件についてみると、①の申立人の主張する事実を認めるに足りる資料はないが、②後述のように、相手方夫は相手方と再婚した後も長女と養子縁組をしていないものの、これに準ずる状態にあるとするのが相当であるところ、このような状態は本件合意時に前提とされておらず、これによって本件合意の内容が実情に適合せず相当性を欠くに至ったといえるから、相手方夫と長女が養子縁組に準ずる状態であることは事情の変更に当たるとするのが相当としました。

 

養育費額の算出について

申立人が支払うべき未成年者の養育費額を算定するに当たっては、義務者及び権利者の各基礎収入の額(総収入から税法等に基づく標準的な割合による公租公課並びに統計資料に基づいて推計された標準的な割合による職業費及び特別経費を控除して推計した額)を定め、そのうえで、義務者である申立人が、扶養義務を負う者のほか未成年者と同居していると仮定すれば、未成年者のために充てられたはずの生活費の額を、生活保護基準及び教育費に関する統計から導き出される標準的な生活費指数によって算出し、これを、権利者と義務者の基礎収入の割合で按分して、義務者が分担すべき養育費を算定するいわゆる標準算定方式(司法研究報告書第70輯第2号養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究参照)に基づいて検討するのが相当と指摘。

申立人の令和3年の給与収入は1080万円であり、これを総収入と認定。

相手方は令和3年に長男を出産したことに伴って、育児休業を取得し、月額17万7141円の育児休業給付金の支給を受けていること、育児休業給付金の取得には職業費(300万円未満約18%)がかからないことに鑑み、相手方の育児休業給付金は、給与収入に換算して約260万円の給与収入相当と認定。

令和2年の相手方夫の給与収入は881万8276円、営業等所得は-480万1653円であると認められるが、この詳細は相手方が確定申告書等の提出を拒否することから不明であるものの、営業等所得が大幅にマイナスであるのは同年にクリニックを開院したことによる一時的な収入の低下によるものと考えられると指摘。

そして、相手方が令和3年以降の相手方夫の収入について資料の提出も拒否するため、相手方が精神科の開業医であることに鑑み、相手方の総収入は少なくとも1567万円の営業所得(算定表の上限の金額)を得ていると推認するのが相当としました。

これを前提にすると、相手方夫は、絶対的にも、申立人に比して相対的にも相当に高額な収入を得ていると考えられ、このような相手方夫が長女を事実上扶養して事実上養子縁組している状態であること、長女への生活費等の給付が十分にされていると考えられることに鑑み、相手方夫の上記総収入から208万円程度(相手方夫が扶養義務を負うとした場合の子の生活費を参考にした金額。1567万円×48%×62÷(100+62+62)≒208万円(1万円以下四捨五入。))を相手方の総収入に加算するのが相当としました。


そこで、上記標準算定方式による標準算定表の表1〔養育費・子1人表(子0~14歳)〕に当てはめると、申立人が負担すべき養育費額は、月額8万円~10万円程度と算定。
長女の養育費として支払うべき額は、月額9万円と定めるのが相当としました。

 

 

養育費減額の重要ポイント

養子縁組をしていなくても再婚相手の収入が養育費算定に影響との判断。

収入資料を出さなくても再婚相手が高収入であるとの推定に基づく決定をした事例です。

養子縁組があれば、一次的な扶養義務は養父が負うことになりますが、養子縁組をしていなくても、事実上、扶養状態にあることが考慮されることがある、という点には注意が必要でしょう。

再婚相手の収入がそのまま認定されるものではありませんが、一定額、母親側の収入に加算される扱いがされることもあるということです。

また、審判の直接の当事者ではないからといって資料開示を拒絶すると、推定で認定されることもあるという点にも注意が必要でしょう。

 

 

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