民事裁判記録の閲覧制度とは?手数料・必要書類・注意点を解説

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FAQ(よくある質問)

 

Q.民事裁判記録の閲覧・期限は?

民事裁判記録の閲覧制度は、裁判の透明性と正義を支える重要な仕組みです。

誰でも裁判の記録の閲覧を申請できる一方、謄写は当事者または特定の第三者に制限されます。

申請には事件番号の特定が必要で、閲覧手続きの流れや制限、記録保存期間なども知っておくべきポイントです。

この記事では、民事裁判記録の閲覧に関する基本情報から手続きの詳細まで、利用者が備えておくべき注意点を解説します。

この記事は、

  • 他の裁判の調査をしている人
  • 民事裁判の当事者

に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2024.10.22

 

民事裁判記録の閲覧制度

民事裁判の記録閲覧は、裁判の公開原則に基づく重要な制度です。

民事訴訟法第91条第1項により、原則として誰でも裁判所書記官に対して訴訟記録の閲覧を請求できます。

これは、裁判の透明性を確保し、公正な司法を実現するための重要な仕組みです。

 

民事裁判記録の閲覧と謄写の違い

閲覧と謄写(コピー)は異なります。

閲覧は見るだけ、謄写はコピーして写しをもらえるものです。

・閲覧:原則として誰でも可能
・謄写:当事者および利害関係を疎明した第三者のみ可能

閲覧の際に撮影等は禁止されています。簡単なメモ程度は許容されます。

なお、民事裁判ではなく、家事事件(離婚調停など)の場合には、閲覧・謄写ともに利害関係の疎明が必要(家事事件手続法254条1項)です。

 

民意裁判記録の閲覧の手続き

閲覧までの流れは次のとおりです。

1. 裁判所・事件番号や当事者名を特定
2. その裁判所の閲覧窓口に申請
3. 身分証明書の提示
4. 手数料(150円)の納付

 

プライバシーや営業秘密保護のため、裁判所の決定により閲覧が制限される場合があります。

 

事件番号の特定

裁判記録の閲覧には裁判所や事件番号の特定が必要になります。

裁判所は、事件記録を事件番号で特定しています。

事件番号とは、裁判を起こすとつけられる番号です。

たとえば、令和6年(ワ)第141号のように、裁判を受け付けた年と、裁判手続きの種類と、受付順の組み合わせで決まります。裁判手続きで書面を出す場合なども、この事件番号を記載して、どの裁判の書類なのかを特定するのです。

その年の最初に受け付けた事件だと、1号という番号が付けられます。

記録の閲覧でも、事件記録を特定するため、事件番号の特定が原則として必要です。

事件番号がわからないものの、当事者名が分かる場合、裁判所が調査協力することもあるとされます。記録を閲覧する必要性など個別事情によるものと思われ、対応にはバラツキがあると感じます。

裁判記録閲覧イメージ

閲覧申請書の記載

閲覧申請書には事件番号等の事件の情報、自分の氏名等の情報のほか、閲覧の目的や範囲を記載する欄があるのが通常です。

閲覧の目的は調査や研究等と記載すれば問題ありません。何の調査であるかなどまでは問われないのが通常です。

閲覧部分については「全部」を指定すれば良いでしょう。

 

裁判記録の保存期間

訴訟記録は、進行中の事件はもちろん、既に終結した事件についても閲覧が可能です。

しかし、訴訟が終結してから5年が経過すると、判決や和解調書以外の記録は廃棄されてしまいます。

裁判所によっては、きっちり5年での廃棄がされていないこともあるので、微妙な閲覧タイミングの場合には、事前に問い合わせてみるほうが良いでしょう。

私も類似判例の調査で5年経過した事件の記録を閲覧できたことがあります。

 

東京地方裁判所での裁判記録の閲覧

多くの裁判所では、終了した事件では、事件を特定して閲覧申請をすれば対応してもらえます。

これに対し、東京地裁では、申請当日に記録がすぐに閲覧できないことがあります。

特に終結した事件の記録を閲覧する際には、午前中に申請を行い、その日の午後に閲覧ということもあります。

遠方の場合には、事前に準備してもらっておくと、午前中に申請して、午前中に閲覧できました。

神奈川県から東京に行く、と伝えることで、遠方扱いとして、このような申請を認めてもらえたこともあります。

 

閲覧できる書類

裁判記録の閲覧で確認できる主な書類としては、訴状、答弁書、準備書面、証拠説明書などがあります。

これらの書類を閲覧することで、担当弁護士がどのように訴訟書類を作成しているのか、どのような争点があり、どのように立証活動をしたのかを把握することができます。

本人尋問があるような事件では、証拠として提出された陳述書も閲覧できるでしょう。本人の言い分も確認できます。

口頭弁論調書・弁論準備手続調書を見ると、裁判の流れを確認できます。

当然ながら、判決書や和解調書も閲覧の対象です。

判例集等で判決を見ていない事件については、裁判官が考えたポイントや最終的な判断が確認できます。

また、和解調書を確認できれば、どのような和解ができたのかの確認や、回収側の銀行口座を確認できることもります。

 

閲覧申請自体の記録

裁判記録の閲覧申請を行った場合、その申請書自体が訴訟記録に残ります。

関連訴訟の調査等の場合、訴訟に関わる相手側に、こちらが閲覧した記録が知られる可能性があります。

シビアな事件の場合には、この点まで意識しておきましょう。

 

 

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