
FAQよくある質問
FAQ(よくある質問)
Q.ぼったくり被害の回復はできる?
「ぼったくり」とは店側が客に不当な高額料金を請求する行為です。
繁華街では客引きに応じた先で法外な追加料金を請求されるケースが後を絶ちません。本厚木付近でも被害が続いています。
被害に遭った際は「料金の明細確認」「警察への通報意思表示」「証拠確保」が重要です。
クレジットカード払いならカード会社への支払い停止申し立てや警察への被害届提出など、被害回復のわずかな可能性が残されています。
不当な請求には冷静かつ毅然とした対応を心がけましょう。
この記事は、
- ぼったくり被害に遭った人
- 繁華街で飲食を楽しむビジネスパーソン
に役立つ内容です。
ぼったくりとは?
「ぼったくり」とは、店側が客に対して不当かつ法外な高額料金を請求する行為を指す俗称です。
例えば、数千円程度の飲食しかしていないのに、何万円もの支払いを求められるようなケースがこれに当たります。
悪質な店は巧妙な手口で客から過大な代金を取ろうとし、その典型的なパターンには以下のようなものがあります。
事前に説明のない追加料金の請求
路上の客引き(キャッチ)の誘い文句で「○○円で飲み放題」などと言われ入店したのに、会計時になって週末料金や席料など様々な名目の追加料金を上乗せされるケースです。
当初の説明になかった料金をあとから加算し、最終的な請求額を吊り上げるのはぼったくり店の常套手段です。
法外なサービス料の請求
夜のお店でも、本来サービス料は料理代金の10~15%程度が一般的ですが、ぼったくり店では50%や100%ものサービス料を設定していることがあります。
客が事前にその割合に同意していない場合、極めて不当な値付けといえます。
通常無料または安価なものへの高額請求
日本の通常の飲食店では水やおしぼりは無料、お通し代も数百円程度が普通です。
しかし悪質店では、これらに対し何千円もの料金を設定するケースがあります。
しかも、断りなく提供しておき、会計時になって初めて高額料金だと伝えるのが典型的な手口です。
そのほかにも、マッチングアプリを利用したぼったくりとして、デートと称して連れて行かれた店で高額請求されるというものもあります。
以上のように、ぼったくりとは本来支払う必要のない不当な追加料金を巧みに請求する詐欺まがいの行為です。
「日本は安全だからそんなことはないだろう」と油断しがちですが、繁華街にはこのような店が存在するため十分な注意が必要です。
被害が発生する典型的な状況
歌舞伎町のような繁華街では、一部の悪質な飲食店によるぼったくり被害が後を絶ちません。
とりわけ東京・新宿の歌舞伎町や大阪・ミナミなど夜の盛り場では、華やかなネオン街の裏で法外な料金請求トラブルが発生しています。
本厚木駅付近でも規制に反して発生しています。
被害に遭う典型的な状況として多いのは、路上での客引きに付いて行ってしまった場合です。
繁華街の路上では、「安く飲めますよ」「〇〇円ポッキリで楽しめます」と甘い言葉で誘ってくる客引きがいます。
しかし、客引き行為自体が条例で禁止されている地域でされていることもあり、その場合、違法行為です。
このような誘いに乗ってしまうと高い確率でぼったくり被害に遭います。
たとえば「有名チェーン店にご案内します」と近づき、実際には系列を装った全く別の店に連れて行くケースもあります。
店に入ってしまうと、最初は安いコース説明をされても、後から前述のような追加料金を次々と請求されるのです。
また被害はバーやキャバクラだけでなく、スナックや居酒屋などでも起こり得ます。
一見普通の飲食店に思えても、客引きに案内された店や看板の料金表示が不明瞭な店は要注意です。
支払いを求められた場合の対処法
もし、店内で高額な支払いを突然要求されたら、その場での対処が極めて重要です。
冷静かつ毅然とした対応を心掛け、以下のようなステップを取りましょう。
料金の明細を確認
どのようなサービスに対してどれだけの料金が発生しているのか明細の提示を求めます。
事前に説明されていた料金と異なる場合はその旨を指摘します。怪しいなら録音開始。
提示された請求の内訳を確認し、身に覚えのない追加料金や明らかに法外な金額については支払いを拒否します。
「頼んだ分だけ支払いますが、それ以外は支払いません」ときっぱり伝えましょう。
法的にも、自分が注文・消費した範囲を超える支払い義務はありません。
店側と料金について合意が成立していないのであれば、その部分の契約は無効と主張できます。
警察を呼ぶ意思を示す
店員が引き下がらない場合、「それでは警察を呼びます」と毅然と告げます。
実際に110番通報する構えを見せることで、店側が折れてくる可能性があります。
悪質店のなかには警察沙汰になることを恐れるため、不当請求を諦めることがあります。
脅迫等があれば、迷わず110番し、「料金トラブルで脅されている」と伝えて助けを求めましょう。特に脅迫めいた言動や出口を塞がれるなど身の危険を感じたら直ちに通報すべきです。
ただし、警察対応に慣れている店もあるので、それも想定しておきましょう。
少なくとも警察を呼んで不利になることはないでしょう。
現金を渡さない
店側が執拗に支払いを迫ってきても、納得できないなら、その場で現金を差し出すのは避けたほうが良いでしょう。
一度現金を渡すと取り返すのは非常に困難です。支払を拒絶するよりも、返せと請求するほうがハードルは高いです。
キャッシュカードで預金口座から出金して払ったり、消費者金融でキャッシングさせて払わせる事例もありますが、現金で支払ってしまうと返還請求はかなり厳しいと考えておきましょう。
ただ、店側が恫喝的な態度を取ったり、暴力的な対応をした場合は、安全を最優先する考えも大事です。
証拠を確保する
押し問答になった際は、スマートフォンで会話を録音する、レシートやメニューを写真に撮るなど証拠を残します。
提供されたサービスと金額が記載された明細書を必ず受け取るようにしましょう。
支払いの証拠となるレシート・カード利用明細を保管します。
後日警察やカード会社に説明する際、録音・録画データがあれば非常に有力です。
店員に気付かれないようポケットに入れ録音するなど、できる範囲で構いません。
周囲に他の客がいれば証人になってもらえるよう連絡先を聞いておくのも有効でしょう。
冷静さを保つ
怒りや恐怖で取り乱すと状況が悪化しかねません。
決して手を出したり大声で喧嘩腰になったりしないよう注意します。
暴力沙汰になればこちらが不利になる可能性もあります。あくまで毅然と、「支払えないものは支払わない」という態度を繰り返し、早期に退出できるよう努めます。
以上が現場での基本的な対処法です。
要は「払わない・呼ぶ・記録する」を徹底することです。
不当な要求に屈しない強い姿勢を示しつつ、自分の安全も確保するため冷静に行動しましょう。
クレジットカードで支払ってしまった場合の対処法
怖い雰囲気に飲まれ、その場では拒否しきれずクレジットカード払いをしてしまうケースもあるでしょう。
カード会社を挟むため、現金支払よりは救済される可能性が出てきます。
カード等で支払ってしまった後でも諦めず、以下の対応を速やかに行ってください。
警察署へ行き被害届を提出する
店を出たら可能な限り早く最寄りの警察署に行き、ぼったくり被害の被害届を提出しましょう。
たとえ、警察が「民事上のトラブル」と判断してすぐに動いてくれなくても、相談や届出を行った事実は残ります。
この記録はカード会社への交渉で重要な裏付けになります。
警察には店の名前や場所、請求額、店員の言動(脅された内容)などを具体的に伝えましょう。録音や写真など証拠があれば提出します。
特に店員から脅されたり監禁まがいの状況で支払った場合は、立派な刑事事件(恐喝や監禁の可能性)です。警察は金銭トラブルとして消極的な場合もありますが、録音など犯罪行為の証拠があれば動いてくれる可能性があります。
カード会社に異議申し立て(支払い停止の抗弁)
警察対応と並行して、クレジットカード会社のコールセンターに速やかに連絡します。
そして「支払い停止の抗弁」という手続きを申し立ててください。
これは消費者が悪質な業者とのトラブルに巻き込まれた際、一時的にカード支払いを止められる法的な主張です。
具体的には「ぼったくり被害に遭ったので、該当のカード請求を止めて欲しい」と説明します。
支払い停止の抗弁
クレジットカードでぼったくり被害の支払いをした場合、「支払い停止の抗弁権」を行使できる可能性があります。
この権利は割賦販売法に基づくもので、以下の条件を満たす必要があります。
割賦購入あっせん契約(クレジット契約)であること
総支払額が4万円以上(リボルビング方式は38,000円)であること
2か月以上の期間にわたる支払いであること
販売業者に対して抗弁事由があること(商品やサービスの不適合、詐欺など)
支払停止の抗弁は、抗弁事由が解消するため請求が保留にされるもので、請求自体が消滅するものではありません。
チャージバックの請求
既にカード代金が引き落とされてしまった場合でも、チャージバック制度によって返金を受けられる可能性があります。
チャージバックとは、クレジットカード所有者が請求内容に異議を申し立て、売上の取り消しや返金を求める仕組みです。ぼったくり被害の場合、不正利用の一種として処理される可能性があります。
カード会社ごとに対応は異なりますが、「不当請求なのでチャージバックを求めたい」と申し出れば調査してもらえます。警察への相談記録や証拠があればその旨も伝え、強く交渉しましょう。
チャージバックが必ず認められるわけではなく、カード会社の調査結果によって判断されます。
チャージバックが適用される主な例としては、実際のサービス内容と説明が著しく異なる場合、強迫や詐欺によって契約が結ばれた場合、錯誤による意思表示があった場合とされます。
記録と書面のやり取り
カード会社とのやり取りは日時・担当者名をメモし、必要に応じて書面(電子メール等)で経緯を提出します。
後日紛争になった際に、こちらが迅速に対応した事実を示すためです。カード会社からの回答や処理結果も保存しておきます。
クレジットカードで支払った被害は、以上のような手順で支払いを差し止めたり返金を受けたりできる可能性があります。
特に警察への被害申告とカード会社への迅速な連絡が重要です。
時間が経つほど取り戻しが難しくなるため、翌日以降に気付いた場合でもできるだけ早く行動してください。
弁護士に相談する
被害額が大きい場合やどうしても納得できない場合は、弁護士への相談も検討しましょう。
弁護士は被害者の代理人として店側に内容証明郵便で返金を求める交渉をしたり、警察への働きかけ(刑事告訴のサポート)を行ったり、民事訴訟を起こすこともできます。
ただし、相談料、弁護士費用もかかるため、被害額との兼ね合いになります。
費用倒れになるほどの少額被害であれば現実的ではありませんが、数十万円以上を騙し取られたようなケースでは相談を検討すると良いでしょう。
法的な意見を聞きたいということであれば、市の無料相談窓口や、収入が少ない場合には法テラス(日本司法支援センター)に相談する方法もあるでしょう。
ただ、残念ながら、民事裁判でも十分な回収ができない事例も多いです。民事裁判で徹底的に争ってくる業者もいますし、無視して営業主体を変更するなどして勝訴判決を取ったものの現実には回収できない事例もあります。
あまり事例は多くありませんが、理論的には、同じ店で他の被害者がいれば後日集団訴訟の形で損害賠償請求できる可能性はあります。
ぼったくり被害事例
最後に、典型的なぼったくり被害のケースを想定事例としてご紹介します。
〈ケース〉
都内在住のAさん(55歳・会社員)は、出張で訪れた繁華街を歩いていると若い男性の客引きから「今なら60分飲み放題3000円ですよ。可愛い女の子もいます」と声をかけられます。
日頃は用心深いAさんですが、その日は仕事の疲れもあり「少しだけなら…」と誘いに乗ってしまいました。
客引きに案内されるまま路地裏のビルに入り、エレベーターで上がった先の小さなバーに通されます。
店内は薄暗く、若い女性が一人ついてくれました。
メニューも渡されず、最初の一杯が提供され談笑しているうちに1時間が経過。
そろそろ出ようかと切り出すと、店員が紙片に書かれた請求書を持ってきました。 請求額は合計で約20万円――「飲み放題3000円」のはずが、内訳を見ると女性の同席料5万円、ボトルワイン代8万円、サービス料100%など聞いたこともない項目が並んでいました。
驚いたAさんが「話が違う、払えない」と抗議すると、途端に屈強な店員二人がAさんの両側に立ちふさがります。
一人はドア付近に立ち出口を塞ぎ、「ルールなんでね。払ってもらうまで帰れませんよ」と威圧的に告げました。
もう一人も腕組みをして睨み付け、明らかにただならぬ雰囲気です。
内心震え上がったAさんですが、「警察を呼びますよ!」と勇気を出して声を上げました。しかし店員は鼻で笑い「警察?どうぞ呼べば?その前にこっちも暴れるお客さんがいるって通報しますけどね」と居直ります。
ますます追い詰められたAさんは、怖さのあまりクレジットカードで請求額を支払ってしまいました。サインをする手は震え、内心(もう二度とこんな所に来るものか)と思いながら店を出されました。
翌日、冷静になったAさんはこのままでは悔しいと感じ、会社の同僚に相談しました。同僚に背中を押され警察署に被害届を提出しに行きますが、「証拠がないと難しいですね」「店の場所は分かりますか?」と言われるばかりで具体的な捜査が始まる様子はありませんでした。
しかしAさんは諦めず、客引きでもらった名刺や店の場所の記憶を頼りにインターネットで調べ、歌舞伎町で同様の被害に遭った人たちのブログ記事を見つけます。そして消費生活センターにも相談し、クレジットカード会社に異議申し立てを行いました。
幸い、Aさんが支払いをした直後に警察署へ行っていたこともあり、カード会社は支払い停止を受け付けてくれました。
その結果、20万円の引き落としは差し止めとなり、Aさんは実質的な被害を免れることができました。
〈ケースの教訓〉
この事例は典型的なぼったくり被害の流れを示しています。
中高年のAさんが「少しだけなら…」という油断で客引きについて行ってしまったことが発端です。
一度店に入ってしまうと、心理的圧力をかけられて冷静な判断が難しくなる様子も描かれています。
Aさんは最終的にカード払いにしたこと、カード会社が支払い停止を受け付けてくれたため、救済の余地が生まれましたが、現金で払ってしまっていたら泣き寝入りするしかなかったかもしれません。
このケースから学べるのは、誘いに乗らない予防の重要性と、万一被害に遭った後でも適切に対応すれば被害を減らせる可能性があるという点です。
ぼったくりへの法律的対応(刑事・民事)
ぼったくり被害に対しては、刑事上・民事上で取り得る対応策があります。
法律面から見た場合にどのように対処できるのか、整理してみましょう。
刑事上の法的対応
店側の行為が明確に犯罪に該当する場合、刑事告訴や被害届の提出によって警察・検察が動き、加害者を処罰できる可能性があります。
典型的には、客に対する暴力や脅迫が伴えば恐喝罪(刑法249条)等が成立し得ます。
実際に手を出してケガをさせれば傷害罪も問われるでしょう。
こうしたケースでは警察も「民事不介入」とは言わず本格的に捜査してくれる可能性が高まります。
一方で「高額請求をした」という事実だけで直ちに詐欺罪(刑法246条)になるかというと、現状ではハードルが高いのが実情です。
詐欺罪は「人をだまして財物を交付させる」場合に成立しますが、ぼったくりでは一応でもお客が料金に同意して支払ってしまっているため、「だます行為」が認めにくいのです。
そのため警察も詐欺事件として立件するのは難しいと判断しがちで、被害届を出しても「金銭トラブルですね」と民事扱いされてしまうケースがあります。
とはいえ、各都道府県には風俗営業等に関連したぼったくり防止条例があり、悪質業者に適用できる場合もあります。
例えば、不当な客引きや料金請求を禁止し罰則を定めているところもあります。
ただし、これら条例は適用範囲が風俗営業的な店に限られることも多く、一般の居酒屋などには適用できないケースもあります。
まとめると、刑事上は脅迫・暴行があれば恐喝罪等で対処可能、そうでなく料金が高いだけでは直ちに刑事事件に持ち込みにくいというのが実情です。
ただし、証拠が揃えば警察も捜査に踏み切る場合がありますので、泣き寝入りせず録音などの証拠を持って被害を申し出ることが重要です。
民事上の法的対応
刑事事件にならない場合でも、民事上の法的手段によってお金を取り戻す道は残されています。
法律的には、店側が提示した法外な料金についてお客が事前に明確な同意をしていなければ、その部分の契約は無効または取り消しうると考えられます。
民法上、契約は当事者の合意で成立しますが、当初合意していない法外な金額に後から同意したとはいえず契約不成立と主張できます。
仮に、契約が成立していたとしても、価格に関する重要な錯誤があれば取り消し可能ですし、脅されて支払ったのであれば脅迫を理由に契約を取り消すこともできます。
さらに、極端に不当な契約は公序良俗違反として無効を主張できる場合もあります。
これらを法的根拠にして、店側に不当利得返還請求や損害賠償請求を行うことが考えられます。
具体的には、内容証明郵便で返金を要求し、応じなければ少額訴訟や民事訴訟を提起することになります。ただし実際問題として、ぼったくり店は法人名義があっても実体が不明だったり、判決を取っても支払わなかったりすることが多いです。
勝訴しても回収が困難というケースも少なくありません。また、裁判には時間と費用がかかるため、被害額との兼ね合いで現実的か検討が必要です。
行政上の法的対応
直接お金を取り戻す手段ではありませんが、行政による取り締まりも重要です。
ぼったくり防止条例(通称)に違反している場合、自治体や警察が営業停止や指導を行うことがあります。
また、風俗営業の許可を得ている店であれば、所轄の公安委員会が許可取消や営業停止処分を科す場合もあります。
被害者としては見えにくい部分ですが、苦情件数が一定数以上集まれば行政が動く契機となるため、泣き寝入りせず消費生活センター等への相談を通じ行政に情報提供することが間接的な対処につながります。
ご相談をご希望の場合には、お電話または相談予約フォームよりご連絡ください。
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