FAQよくある質問
FAQ(よくある質問)
Q.買った自動車に修復歴があったら?
中古車販売大手で「修復歴なし」として購入した車が、実は大破歴を持つ事故車だった——。
本件は、安心を売りにする大手企業でさえ不誠実な販売が起こりうる現実を示しています。調停不成立から訴訟、そして販売店が虚偽を認め謝罪する和解に至るまでの一連の経緯は、消費者が直面するリスクの大きさと、適切な調査の重要性を浮き彫りにします。
この記事は、
- 中古車売買でトラブルに巻き込まれた消費者
- 中古車の購入を検討している人
に役立つ内容です。
「修復歴なし」の中古車を買ったら事故車
消費者法ニュース145号で紹介されていた裁判例報告の内容です。
裁判後に和解となっているため判決は出ていません。
大手ブランドから商品を買うとき、私たちが支払う金額には「安心」という価値が含まれています。特に中古車販売最大手「ガリバー」のような有名企業なら、なおさらです。しかし、その安心が嘘で塗り固められていたとしたら?
納車当日の異音
事の発端は2024年1月9日、原告がガリバー(販売店)の店舗で車両の引渡しを受けた日に遡ります。
約1ヶ月前の2023年12月8日に契約したその車は、価格241万円以上、「修復歴なし」と表示されていました。
しかし、納車当日に運転したところ、左折時に明らかな異音が発生。すぐに異常に気づきました。
その後、メーカーや日本自動車査定協会など複数の専門機関が「左フレームに修復歴あり」と判断。
しかし、原告が返金を求めたところ、販売店側はこれを拒否し、驚くべき主張を展開しました。
• オークションでは「修復歴なし」で仕入れた。
• 第三者機関(AIS)と社内で2度も検査済みであり、修復歴はない。
• そもそも当社では修復歴のある車は一切販売していない。
そして、「左フレームの修復は、引渡し後に(原告が)事故を起こして生じたものだ」と主張したとのことです。
販売店は解除には応じず、車両は販売店が引き取って保管という状態。

民事調停不成立
原告本人は、東京簡易裁判所に調停を申し立てたものの、調停においても、販売店は同様の主張を繰り返し、調停は不調となりました。
困り果てた原告が2024年12月に弁護士に相談。
民事訴訟を提起。
請求原因は、不法行為に基づく損害賠償請求(故意または過失により、修復歴のある車両を販売したこと)等であり、売買代金に加え、調査費用、弁護士費用等を請求。
弁護士の調査で廃車売却が判明
民事訴訟において、弁護士による徹底的な調査が始まり、事態は大きく動きます。
軽自動車検査記録から所有者履歴を一つひとつ追跡。
• 最初の所有者Aは、単独事故でこの車両を「大破」させていた。
• その大破した車両は、廃車買取専門のB社が引き取っていた。
• そしてB社は、その車両をわずか「36万円」で次の業者に転売していた。
販売店が241万円で「安心」と共に販売した車は、元をたどれば、大破して36万円で取引されたスクラップ同然の事故車だったのです。

和解条項での謝罪
弁護士が突き止めた「36万円の事故車」という動かぬ証拠を前に、販売店の態度は一変します。
和解を申し入れ、最終的に購入代金や弁護士費用などを含む約293万円を支払うことで決着しました。
しかし、この和解の真に重要な点は、金銭解決だけで終わらなかったことです。
和解条項は、販売店に対し、以下の4つの致命的な過ちと欺瞞を公式に認め、謝罪することを強制しました。
1. 修復歴のある車を「修復歴なし」と偽って販売した事実。
2. 納車前の検査や車底部のさび止め塗装の際に、修復歴を含む多数の損傷を見落とした事実。
3. 原告が納車当日に異常を訴え、検査資料の開示を求めたにもかかわらず、これを拒否した事実。
4. 調停や訴訟において「原告が納車後に事故を起こした」という虚偽の主張を維持した事実。
この一連の対応について、担当弁護士は強い疑念を表明しています。
本件の経緯からすると、販売店においては、〈修復歴のある車両を販売し、動かぬ証拠が出てきた場合には、ただちに和解して蓋をする〉という対応が常態化しているのではないか、という強い疑問が出されています。

消費者相談の証拠提出
• 第一に、所有者履歴という明白な警告。 弁護士が追跡したように、廃車買取業者を経由しているという履歴は、誠実な販売業者であれば事故車を疑うべき明白な赤信号でした。
• 第二に、車両の物理的な状態。 裁判では、特に「錆止め塗装の状況」に言及されていました。これは、現場の担当者が車の下回りで作業をしながら、大規模な修復の痕跡を知らなかったとは考え難いことを意味します。
• 第三に、即座に顧客を攻撃する対応。 納車当日のクレームに対し、調査より先に「顧客のせいだ」と主張する姿勢は、問題を解決するのではなく、責任を回避するための計画的な戦略をうかがわせます。
●裁判において弁護士は、全国の消費生活センター等に寄せられた相談情報を集約したデータベース「PIO-NET(パイオネット)」の情報を証拠として提出し、同社について同種の紛争が相当数存在することを立証したとのことです。
消費者問題の裁判では、調査嘱託で同種の相談がないか確認する方法がよく使われます。
裁判所の和解条項
和解条項も公表されています。
1 合意解除条項。
2 解決金として、遅延損害金も含めた支払義務の確認。
3 支払条項。
4 自動車の返還条項(簡易に引き渡し)
5 自動車の所有権移転登録手続条項。
6 謝罪条項
遅延損害金も含めての全額の支払となっているのはすごいですね。
過去の所有者が情報を開示してくれたのが強かったと感じます。
私も個人的にこのお店で車を買っていたりするのですが・・・
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