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FAQ(よくある質問)

 

Q.個人再生とは?

個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に減額し、原則3年間で返済して生活を立て直す債務整理です。

この記事では、利用できる人の条件、借金の減額幅、住宅ローン特則、自己破産や任意整理との違い、保証人・税金・車への影響、手続の流れや注意点を解説します。

この記事は、

  • 借金返済が難しくなり、個人再生を検討している人
  • 任意整理、個人再生、自己破産で迷っている人

に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2026.6.15

 

個人再生とは?

個人再生は、返済が難しくなった借金を裁判所の手続によって減額し、原則3年間、事情によっては最長5年間で分割して返済する債務整理です。

自己破産とは違い、借金の支払義務がすべてなくなるわけではありません。裁判所に認められた金額を返済しながら、家計や事業を立て直していきます。

 

個人再生を検討する人の中には、次のような事情を抱えている人が多くいます。

「今の借金額では返済を続けられない」

「自己破産は避けたい」

「住宅ローンを払っている自宅を手放したくない」

「仕事の資格制限があるため、自己破産を選びにくい」

一定の条件を満たせば、住宅ローンを支払いながら自宅を残せることがあります。借金を大きく減らしつつ自宅を守れる可能性がある点は、個人再生ならではの特徴です。

ギャンブルや浪費が借金の原因であっても、それだけで利用できなくなるわけではありません。自己破産によって資格や職業に制限を受ける人も、個人再生であれば仕事を続けられる場合があります。

ただし、減額後の借金は返済しなければなりません。個人再生を利用するには、今後も一定の収入が入り、返済を続けられる見込みが必要です。

個人再生 自己破産との違い

個人再生は裁判所に申し立てる手続

任意整理では、弁護士などが債権者と個別に交渉して返済条件を変更します。個人再生は、それとは違います。

住所地を管轄する地方裁判所に申立てを行い、法律で決められた手順に沿って進めます。

申立ての際には、借入先と借金額だけでなく、収入や生活費、預貯金、保険、自動車、不動産、退職金なども申告します。特に一番の審査ポイントになるのが家計収支です。借金を減らせば支払える家計収支であることを示す必要があります。

そのうえで、減額後の借金をどのように支払うのかを記載した「再生計画案」を裁判所に提出します。

裁判所が再生計画を認可し、その決定が確定すると、借金の内容が再生計画どおりに変更されます。以後は、決められた金額を毎月返済していきます。

個人再生では、借金だけを見ていても方針を決められません。

月々の収入はいくらか。生活費はいくらか。住宅ローンを含めて毎月いくらまで支払えるか。処分せずに残したい財産があるか。こうした事情を一つずつ確認し、最後まで続けられる返済計画を作ります。

どのような人が利用できるのか

個人再生を利用するには、将来にわたって継続的または反復して収入を得る見込みが必要です。

正社員や公務員に限られません。パート、アルバイト、派遣社員、年金受給者、個人事業主でも、収入と家計の状況によっては利用できます。

雇用形態よりも、今後も収入が続くか、減額後の借金を無理なく払えるかが問題になります。

たとえば、同じ勤務先で長く働いているパートやアルバイトであれば、収入の継続性を説明しやすいでしょう。

派遣社員でも、これまで契約更新が続いている、次の派遣先が決まっているといった事情があれば、利用できることがあります。

個人事業主は月ごとの売上にばらつきが出やすいものです。それでも、年間を通じて一定の利益があり、再生計画に必要な返済資金を確保できるなら、申立てを検討できます。

年金も継続収入として扱われることがあります。ただし、年金額から生活費を払った後に、返済へ回せる金額が残らなければなりません。

これに対し、現在無収入で、就職の予定も収入の見込みもない場合、個人再生の利用は難しくなります。その場合は自己破産を検討するのが一般的です。

失業中でも、すでに就職先が決まっており、近いうちに給与を受け取れることが具体的に決まっているなら、申立てが可能なケースもあります。

個人再生 利用できる人の条件

借金の上限は5000万円です

個人再生を利用できるのは、住宅ローンなど一定の債権を除いた借金の総額が5000万円以下の場合です。

対象になる借金には、次のようなものがあります。

消費者金融や銀行のカードローン、クレジットカードの利用残高、個人からの借入れ、事業上の買掛金などです。

一定の要件を満たす住宅ローンは、原則として5000万円の計算に含めません。

住宅ローンが5000万円残っていても、それ以外の借金が1000万円であれば、1000万円を基準に個人再生を利用できるか判断します。

担保が付いている借金については、担保権の実行によって回収できると見込まれる部分が計算から除かれることもあります。

ただし、担保物を売っても借金を全額返せず、不足額が残る場合、その不足額は一般の再生債権として扱われることがあります。

借金額が5000万円に近いケースでは、単純に現在の残高を合計するだけでは判断できません。担保の内容や評価額まで確認する必要があります。

個人再生には二つの手続があります

個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」があります。

名称だけを見ると、会社員は給与所得者等再生を使うようにも思えます。しかし、実務では会社員であっても小規模個人再生を利用するケースが多く見られます。

小規模個人再生とは

小規模個人再生は、継続的または反復して収入を得る見込みがある人が利用できる手続です。

会社員や公務員だけでなく、パート、アルバイト、個人事業主、年金受給者も対象になり得ます。

この手続では、提出した再生計画案について債権者による書面決議が行われます。

再生計画案に反対した債権者が、議決権を持つ債権者の頭数の半数以上になった場合、再生計画案は可決されません。

反対した債権者の債権額が、議決権総額の2分の1を超えた場合も同じです。

たとえば、議決権を持つ債権者が5社いる場合、3社以上が反対すると再生計画案は否決されます。

債権者が5社いても、そのうち1社が借金総額の過半数を持っている場合、その1社の反対だけで否決されることがあります。

逆にいえば、積極的な賛成票を一定数集めなければならない制度ではありません。回答しなかった債権者は、通常、反対票としては扱われません。

借入先が1社だけの場合や、特定の会社からの借入れが総額の過半数を占めている場合には、その債権者の対応が結果を左右します。

申立て前に、債権者の数や各社の債権額を確認しておく必要があります。

給与所得者等再生とは

給与所得者等再生は、給与またはこれに近い定期的な収入があり、その変動幅が小さい人を対象とする手続です。

会社員や公務員が典型例ですが、雇用契約がある人だけに限られるわけではありません。収入が定期的で変動が少なければ、ほかの働き方でも利用できる余地があります。

小規模個人再生と違い、債権者による決議は行われません。

大口債権者から反対される可能性が高い場合でも、給与所得者等再生であれば手続を進められることがあります。

つまり債権者に反対されても減額できる制度です。

その代わり、給与所得者等再生では「可処分所得の2年分以上」を返済しなければなりません。

ここでいう可処分所得は、実際の手取り収入から家賃や食費を差し引いた残額ではありません。法律や政令で決められた基準を使って計算します。

独身で扶養家族がいない人や、収入が比較的高い人は、可処分所得が高く算定されることがあります。その結果、小規模個人再生を選んだ場合よりも返済額が大きくなるケースがあります。つまり、反対されても大丈夫ですが、支払い額が高くなることがあるという関係です。

債権者の決議がないからという理由だけで選ぶべきではありません。実際の返済額を試算し、小規模個人再生と比較して決めます。

小規模個人再生 給与所得者等再生 比較

借金はいくらまで減るのか

「個人再生をすれば借金が5分の1になる」と説明されることがあります。

間違いとまではいえませんが、正確でもありません。財産や収入によっては、5分の1より多く返済しなければならないからです。

小規模個人再生では、法律で決められた最低弁済額と、申立人が持つ財産の清算価値を比べ、高いほうの金額以上を返済します。

給与所得者等再生では、これに可処分所得の2年分を加えます。三つの金額を比較し、最も高い金額以上を支払います。

個人再生 借金はいくら減る

法律で決められた最低弁済額

住宅ローンなどを除く借金額ごとの最低弁済額は、原則として次のように計算します。

借金が100万円未満なら、基本的に借金全額です。

100万円以上500万円以下なら100万円、500万円を超えて1500万円以下なら借金総額の5分の1です。

1500万円を超えて3000万円以下なら300万円、3000万円を超えて5000万円以下なら借金総額の10分の1です。

借金が400万円であれば、法律上の最低弁済額は100万円です。

900万円なら180万円、2000万円なら300万円、4000万円なら400万円です。

ただし、財産の清算価値がこれを上回る場合は、清算価値以上を返済しなければなりません。

個人再生 最低弁済額 早見表

財産が多いと返済額も上がります

清算価値とは、仮に自己破産をした場合に、債権者への配当に回ると考えられる財産の価値です。

個人再生をする債権者が、自己破産をした場合よりも不利益になってはいけません。そのため、申立人が持っている財産の価値以上を返済する必要があります。これを清算価値保障原則と呼びます。

清算価値に含まれる可能性があるのは、預貯金、現金、保険の解約返戻金、自動車、不動産、株式、投資信託、退職金請求権、過払金返還請求権、相続財産などです。

借金が500万円の場合、法律上の最低弁済額は100万円です。

ところが、預貯金や保険、自動車などの清算価値が合計180万円あるなら、少なくとも180万円を返済する計画にしなければなりません。

借金の額だけを聞いても、実際の返済額は判断できないのです。

個人再生 清算価値保障原則

毎月の返済額を計算してみる

住宅ローンを除く借金が450万円で、清算価値が30万円だったとします。

最低弁済額は100万円です。清算価値より最低弁済額のほうが高いため、返済総額は少なくとも100万円になります。

これを3年間、36回で返済すると、月額は単純計算で約2万8000円です。

借金が1200万円、清算価値が180万円ならどうでしょうか。

最低弁済額は1200万円の5分の1に当たる240万円です。清算価値より高いため、返済総額は少なくとも240万円になります。3年間で返済すると、月額は約6万7000円です。

借金が2800万円で、清算価値が420万円の場合、最低弁済額は300万円です。清算価値のほうが高いため、420万円以上を返済します。3年間なら月額は約11万7000円です。

大切なのは「何分の1になるか」ではありません。実際の家計から、その月額を3年間払えるかどうかです。

返済期間は原則3年間です

個人再生の返済期間は原則3年間です。

特別な事情が認められれば、最長5年間まで延ばせることがあります。

月々の支払額を下げたいというだけで、当然に5年間が認められるわけではありません。3年間では返済が難しいものの、5年間なら返済を続けられる事情を説明します。

収入、家族構成、住宅ローン、教育費、医療費などが判断材料になります。

返済総額が240万円の場合、3年間なら月額は約6万7000円です。5年間なら月額4万円まで下がります。

月額が下がるのは助かります。ただ、5年間という期間は短くありません。その間に病気や失業、収入減少、家族構成の変化が起きることもあります。

目先の支払額だけでなく、その計画を最後まで守れるかを考える必要があります。

自宅を残すための住宅ローン特則

個人再生には「住宅資金特別条項」という制度があります。一般には住宅ローン特則と呼ばれています。

この特則を利用すると、住宅ローンは原則として支払い続けながら、カードローンや消費者金融など、住宅ローン以外の借金を減額できます。

自己破産では、自宅は原則として売却や競売の対象になります。住宅ローンが残っている自宅をそのまま維持するのは難しいでしょう。

個人再生では、法律上の条件を満たせば、住宅ローンを払いながら自宅に住み続けられます。

ただし、住宅ローンの元本まで大幅に減る制度ではありません。

住宅ローンについて、返済期間の延長や延滞分の分割、元本返済の一時猶予などを定めることはあります。それでも、住宅ローンの元本自体は基本的に支払う必要があります。

一般の借金について月4万円、住宅ローンについて月8万円を支払うなら、家計から毎月12万円を出さなければなりません。

「住宅を残せるか」だけでなく、「残した後も払い続けられるか」が問題です。

個人再生 住宅ローン特則 自宅を残す

住宅ローンがあれば必ず家を残せるわけではありません

住宅ローン特則には法律上の条件があります。

対象となる不動産は、申立人本人が住むための住宅でなければなりません。投資用マンションや、他人に貸しているだけの物件には使えない場合があります。

店舗兼住宅では、居住部分の割合や実際の使い方を確認します。

住宅ローン債権や保証会社の求償権を担保する抵当権が、その住宅に設定されていることも必要です。

住宅ローンとは別の借入れを担保する抵当権が同じ住宅に設定されていると、住宅ローン特則を利用できません。

税金の滞納による差押えがある場合や、住宅ローン以外の担保権が付いている場合も簡単ではありません。

ペアローン、連帯債務、共有名義、借地上の建物、保証会社による代位弁済後のケースでは、契約関係を詳しく調べる必要があります。

住宅ローンがあるから個人再生をすれば家を残せる、というほど単純な制度ではありません。

登記事項証明書、住宅ローン契約書、返済予定表、保証委託契約書などを確認して判断します。

また、住宅ローン特則を使う場合、不動産の評価額からローン残金を引いた金額は財産となり、清算価値に加算されます。住宅ローンのほうが高いオーバーローン物件であれば0と評価されますが、アンダーローンの場合、その差額の支払いが必要になります。値上がりしている不動産や、積極的に繰り上げ返済をしてきた物件だと、個人再生で差額が財産とされ、支払い額が高くなることもあります。

住宅ローンを延滞している場合

住宅ローンを延滞したからといって、直ちに住宅ローン特則が使えなくなるわけではありません。

延滞分を再生計画の中で分割して支払う方法や、返済期間を延長する方法を検討できることがあります。

しかし、延滞を長期間放置し、保証会社が金融機関へ代位弁済した後は、利用できる期間や条件に制限が出ます。

競売が始まっている場合も、個人再生を申し立てただけで当然に競売が止まるわけではありません。競売手続の中止命令など、別の申立てが必要になることがあります。

住宅ローンの延滞は、時間がたつほど対応が難しくなります。

自宅を残したいなら、代位弁済や競売申立ての前に動くべきです。

自己破産とは何が違うのか

個人再生も自己破産も、裁判所を利用する債務整理です。ただし、手続の目的は違います。

個人再生は借金を減額し、減額後の金額を返済する手続です。

自己破産は財産を清算したうえで、免責許可によって借金の支払義務を免れることを目指します。

個人再生では継続収入が必要です。自己破産では、継続収入は必須ではありません。

個人再生では、清算価値以上を返済すれば、財産を処分せずに残せる場合があります。自己破産では、一定額を超える財産は原則として換価・処分されます。

住宅ローン特則を利用できれば、個人再生で自宅を残せることがあります。自己破産で自宅を維持するのは通常困難です。

自己破産では、手続中、警備員や保険募集人など一部の職業や資格に制限が生じます。個人再生に同じ資格制限はありません。

浪費やギャンブルについても違いがあります。

自己破産では、浪費やギャンブルが免責不許可事由として問題になることがあります。個人再生では、それだけで利用できなくなるわけではありません。

もちろん、個人再生なら何をしてもよいわけではありません。財産を隠す、虚偽の説明をする、特定の債権者だけに返済するといった行為は、手続を失敗させる原因になります。

任意整理とは何が違うのか

任意整理では裁判所を利用しません。弁護士などが債権者と交渉し、返済条件を変更します。

将来利息を減免し、残った元本を3年から5年程度で分割返済する内容が一般的です。

ただし、任意整理では、債権者が応じない限り元本は減りません。基本的には借りた元本を全額返済します。また、最近は、将来利息も少しはつけないと合意しないと主張する消費者金融も出てきています。

借金が600万円あり、任意整理では毎月の返済額が高すぎるものの、個人再生によって120万円程度まで減れば返済できるという人には、個人再生が合う可能性があります。

反対に、借金額がそれほど多くなく、元本全額を3年から5年で返済できるなら、任意整理のほうが手続の負担は軽いでしょう。

任意整理では、手続の対象にする債権者を選べる余地があります。個人再生では、原則としてすべての債権者を申告しなければなりません。

勤務先からの借入れや、家族、友人からの借入れを隠して進めることはできません。

任意整理 個人再生 自己破産 比較

個人再生を選ぶメリット

個人再生では、借金の元本そのものを大幅に減らせることがあります。

任意整理では返済できない。しかし、自己破産まではしたくない。その間にある選択肢です。

条件を満たせば、自宅を残せる可能性があります。住宅ローン以外の借金が減れば、その分、住宅ローンを支払い続けやすくなります。

自己破産にある資格制限もありません。職業上、自己破産を選びにくい人にとっては大きな違いです。

ギャンブルや浪費、投資、買物などが借金の原因でも、それだけで利用を断られるわけではありません。

自動車や保険、預貯金については、その価値が返済額に影響することがあります。それでも、自己破産のように当然に処分されるわけではありません。

個人事業主が事業を続けながら再建できるケースもあります。

知っておきたいデメリット

個人再生をしても、減額後の借金は残ります。

返済期間は原則3年、最長5年です。途中で病気になったり、収入が減ったりしても、計画どおりの返済を続けるのが基本です。

申立てには多くの資料が必要になります。給与明細、源泉徴収票、確定申告書、家計簿、通帳、保険証券、退職金資料、不動産関係資料などを準備します。

また、裁判所によって審査の厳しさにはばらつきがあります。厳しい裁判所では、提出した家計収支と預金明細の整合性、資料の提出などを求められ、負担に感じる人も出てきます。

借金や財産は正確に申告しなければなりません。都合の悪い借入れだけを除外することはできません。

信用情報機関には事故情報が登録されます。その間は、新しい借入れやクレジットカードの作成、ローン、分割払いの利用が難しくなります。

官報にも氏名や住所などが掲載されます。ただし、一般の人が日常的に官報を読むことは少なく、官報への掲載だけで勤務先や近所に知られるケースは多くありません。

小規模個人再生では、債権者の反対によって再生計画案が否決されることがあります。

給与所得者等再生では債権者の決議はありませんが、可処分所得の計算によって返済額が高くなることがあります。

保証人がいる借金はどうなるのか

本人が個人再生をしても、その効果は保証人や連帯保証人には及びません。

本人の借金が減額されても、債権者は保証人に対し、減額前の金額を基準に請求できることがあります。

本人が500万円の借金について個人再生を行い、100万円を返済する計画が認められたとしても、保証人の責任まで100万円になるわけではありません。

家族や親族が保証人の場合、本人の個人再生をきっかけに、保証人へ一括請求が届くことがあります。

保証人自身も任意整理、個人再生、自己破産などを検討しなければならない場合があります。

保証人の有無は手続選択に大きく影響します。相談時には、誰がどの借金を保証しているかを必ず伝えてください。

税金や養育費は減額されるのか

税金、国民健康保険料、社会保険料などの公租公課は、カードローンや消費者金融の借金と同じようには減額されません。

個人再生後も、原則として別に支払う必要があります。

税金を滞納している場合は、再生計画の返済と並行して、役所などとの分納も続けます。両方を払える家計でなければ、計画は成り立ちません。

養育費や婚姻費用、一定の損害賠償債務なども、通常の借金と同じようには減額されないことがあります。

消費者金融への借金が減っても、税金や養育費、住宅ローンの負担が重ければ、生活が楽にならないケースもあります。

個人再生を検討するときは、すべての支払を家計に入れて考えます。

個人再生 税金 養育費 保証人への影響

車を残すことはできるのか

個人再生をしたからといって、車が必ず処分されるわけではありません。

ローンを完済し、本人が所有者になっている車であれば、原則としてそのまま使えます。

ただし、車の時価は清算価値に含まれます。高額な車を持っている場合は、個人再生の返済額が上がることがあります。

ローンが残り、ローン会社や販売会社に所有権が留保されている車は別です。返済を止めると、車を引き揚げられる可能性があります。

仕事や家族の事情で車が必要でも、それだけで車を残せるとは限りません。

個人再生では、一つの自動車ローン会社にだけ返済を続ける行為が、債権者間の公平に反すると判断されることもあります。

車検証の所有者欄、ローン契約、残債、購入時期、現在の査定額を確認して方針を決めます。

個人再生 車を残せるか

手続はどのように進むのか

弁護士に依頼すると、弁護士から各債権者へ受任通知を送ります。

貸金業者やカード会社からの直接の取立ては、通常、受任通知が届いた後に止まります。

ただし、裁判所から届いた訴状や支払督促、差押命令を放置してよいわけではありません。裁判や強制執行には別の対応が必要です。

受任後、債権者から取引履歴や現在の債権額を取り寄せます。申立人は家計を整え、裁判所に納める費用や将来の返済に備えて積立てを始めます。

必要書類がそろったら、住所地を管轄する地方裁判所へ申し立てます。

裁判所によっては、個人再生委員が選任されます。個人再生委員は、財産や収入、家計、返済可能性を調査し、裁判所へ意見を述べます。

裁判所が要件を満たしていると判断すると、再生手続開始決定が出ます。

その後、債権者から届け出られた債権額を確認します。内容に誤りがあれば、異議を出すなどの対応が必要です。

債権額が固まった後、返済総額と返済方法を記載した再生計画案を提出します。

小規模個人再生では債権者の書面決議が行われます。給与所得者等再生では債権者の意見を聴いたうえで、裁判所が認可の可否を判断します。

再生計画が認可され、認可決定が確定すると裁判所での手続は終了です。その後は、再生計画に従って返済します。

個人再生 手続の流れと期間

申立てにはどのような資料が必要か

個人再生では、収入、生活費、財産、借金を確認できる資料を幅広く提出します。

収入資料としては、給与明細、源泉徴収票、課税証明書、確定申告書、年金通知書などがあります。

毎月の収入と支出を記載した家計収支表も作成します。

預貯金については、本人名義のすべての通帳や取引明細を提出します。ネット銀行、証券口座、電子マネーなども確認対象です。

保険に加入していれば、保険証券や解約返戻金証明書を準備します。

車については、車検証、査定書、自動車ローン契約書などが必要です。

退職金がある人は、退職金見込額証明書や退職金規程を提出することがあります。

不動産を所有している場合は、登記事項証明書、固定資産評価証明書、査定書、住宅ローン契約書、返済予定表などを用意します。

借入先については、債権者名、住所、借金額、保証人の有無を記載した債権者一覧表を作成します。

勤務先、家族、友人から借りたお金も、原則として記載が必要です。

債権者を書き漏らすとどうなるのか

債権者一覧表は正確に作成しなければなりません。

一部の債権者を故意に隠した場合、再生計画が認可されなかったり、手続が廃止されたりするおそれがあります。

勤務先に知られたくない。家族には後で返したい。友人だけは別に払いたい。

そう考える気持ちは理解できます。しかし、だからといって債権者一覧表から外すことはできません。

個人再生は、原則として債権者を公平に扱う手続です。

故意ではない記載漏れでも、手続や返済内容に影響することがあります。過去の請求書、信用情報、通帳、給与明細などを確認し、借入先を洗い出します。

家族や友人だけに返済してはいけません

個人再生を考え始めた後に、家族や友人、勤務先など、一部の債権者だけへ返済する行為は避けてください。

このような返済は「偏頗弁済」と呼ばれ、債権者間の公平に反すると判断されることがあります。

身近な人に迷惑をかけたくないと思い、先に返してしまう人は少なくありません。それがかえって個人再生を難しくすることがあります。

申立て前に財産の名義を家族へ変えたり、預金を引き出して隠したりすることも認められません。

何を支払い、何を止めるべきかは個別に違います。住宅ローン、家賃、公共料金など、生活のために支払う必要があるものもあります。

弁護士へ依頼した後は、自己判断で返済せず、支払前に確認してください。

個人再生 偏頗弁済 財産隠し 禁止行為

給与や預金を差し押さえられている場合

個人再生を申し立てても、すでに行われている給与差押えや預金差押えが自動的に解除されるわけではありません。

再生手続開始決定後、再生債権に基づく強制執行が中止されることはあります。

しかし、申立てから開始決定までの間に、差押えが進んでしまうケースもあります。

状況によっては、強制執行の中止命令や取消しに関する申立てが必要です。

給与差押えが続けば、個人再生の返済資金を確保できなくなることもあります。

訴状、支払督促、差押命令、競売開始決定などが届いている場合は、相談時に必ず弁護士へ見せてください。

差押えや競売が迫っている案件では、申立準備を通常より速く進めなければなりません。

手続にはどのくらいかかるのか

弁護士への依頼から裁判所への申立てまでには、数か月かかることがあります。

必要資料がすぐにそろうか、家計が安定しているか、申立費用を準備できるかによって期間は変わります。

住宅ローン特則を利用する人、個人事業を営んでいる人、財産が多い人は、確認する事項が増えるため、準備に時間がかかりやすくなります。

裁判所へ申し立てた後も、再生計画の認可決定が確定するまで数か月かかるのが一般的です。

その後、原則3年間、最長5年間の返済が続きます。

早く終わらせることより、途中で崩れない計画を作ることのほうが大切です。

再生計画どおりに払えなくなったら

再生計画の認可後に返済を続けられなくなると、債権者から再生計画の取消しを申し立てられることがあります。

再生計画が取り消されれば、減額された借金が元の状態に近い形で復活します。すでに返済した金額を差し引いた残額について、再び請求を受ける可能性があります。

病気や事故、失業など、本人の責任とはいえない事情で返済が難しくなった場合には、再生計画の変更を検討できることがあります。

一定の範囲で返済期間を延ばせる場合もあります。

ハードシップ免責という制度もありますが、すでに一定割合以上を返済していることなど、厳しい条件があります。返済が苦しくなっただけで簡単に残額が免除される制度ではありません。

支払日を過ぎてからではなく、遅れそうだと分かった段階で相談してください。早いほど選べる対応が残っています。

個人再生が合いやすい人

現在の借金額では完済できないものの、借金が減れば返済を続けられる人は、個人再生を検討する余地があります。

住宅ローンを支払っている自宅を残したい人も、個人再生を選ぶ典型例です。

警備員や保険募集人など、自己破産による資格制限を避けたい人にも向いています。

浪費やギャンブルがあり、自己破産で免責を受けられるか不安な人も検討できます。

個人事業を続ける必要があり、事業用財産を維持したい人にも利用価値があります。

任意整理では月々の返済額を十分に下げられず、元本を減らせば返済できる人にも合う手続です。

個人再生を選びにくい人

収入がなく、今後も収入を得る具体的な見込みがない人は利用できません。

減額後の返済額さえ払えない場合も同じです。

自宅を残したくても、住宅ローンと再生計画の返済を合わせた金額を支払えなければ、いずれ家計が行き詰まります。

財産が多く、清算価値が高い場合には、個人再生をしても返済額があまり下がらないことがあります。

税金、養育費、住宅ローンなど、減額されない支払が多い人も慎重に検討しなければなりません。

小規模個人再生では大口債権者の反対が予想され、給与所得者等再生では可処分所得の金額が高すぎる。このようなケースでは、どちらの手続も使いにくい場合があります。

なぜ弁護士に依頼するのか

個人再生は、債務整理の中でも判断事項の多い手続です。

借金額だけを計算すれば終わるわけではありません。収入の継続性、財産の清算価値、債権者の構成、住宅ローン、保証人、税金、差押えなどを確認します。

債権者一覧表に誤りがあれば、手続全体に影響します。

財産評価を誤り、返済額が不足すれば、再生計画が認可されないこともあります。

住宅ローン特則を使う場合は、登記や抵当権、保証会社、代位弁済、共有関係まで調べなければなりません。

小規模個人再生と給与所得者等再生のどちらを選ぶかによって、返済額や成立可能性も変わります。

弁護士へ依頼する意味は、書類を作ってもらうことだけではありません。

任意整理、個人再生、自己破産を比べ、その人の収入、家族、財産、住宅、職業に合う方針を組み立てることにあります。

個人再生 弁護士に依頼する理由

相談前に確認しておきたいこと

相談時には、借入先とおおよその残高が分かる資料を持参すると話が進みやすくなります。

消費者金融、銀行ローン、クレジットカード、住宅ローン、自動車ローンのほか、勤務先や家族、友人からの借入れも整理してください。

毎月の手取り収入と生活費も確認します。家賃や住宅ローン、食費、水道光熱費、通信費、保険料、教育費などを書き出しておくと、返済可能額を検討しやすくなります。

自宅を残したい場合は、住宅ローンの返済予定表や契約書、登記事項証明書、固定資産税の資料が参考になります。

預貯金、保険、自動車、不動産、退職金などの財産も確認してください。特に不動産は問題になりやすいので、一括査定などでも査定額を確認しておいた法が良いです。

保証人がいる借金は、誰が保証人なのかも伝える必要があります。

裁判所から訴状や支払督促、差押命令、競売関係書類が届いているなら、封筒を含めてすべて持参してください。

個人再生を選ぶ前に確認すべきこと

個人再生は、借金を大幅に減額し、原則3年間、最長5年間で返済する手続です。

継続収入があり、減額後の借金を払える人が利用できます。住宅ローンなどを除いた借金は、原則として5000万円以下でなければなりません。

条件を満たせば、住宅ローン特則によって自宅を残せる可能性があります。

ただし、財産が多ければ返済額は上がります。保証人には請求が届くことがあります。税金や養育費は原則として減りません。小規模個人再生では、債権者の反対によって再生計画案が否決されることもあります。

個人再生が合うかどうかは、借金総額だけでは決まりません。

収入から生活費を引いた後、毎月いくら払えるのか。自宅を維持する費用はいくらか。財産はいくらあるか。保証人や税金の問題はないか。そこまで確認して初めて判断できます。

住宅ローンを延滞している人や、給与差押え、競売が迫っている人は、時間がたつほど選択肢が減ります。

返済が苦しくなった時点で動くこと。それが、自宅や生活を守るための現実的な一歩です。申立先の裁判所によって運用が異なることもあるため、具体的な方針は個別の資料を確認したうえで決めます。

 

 


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