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相続

 

遺産分割調停の手続き

相続は誰にとっても避けられない現実であり、遺産分割をめぐる問題は家族関係に亀裂を入れることがあります。遺産分割調停を経験したことがある方も、これから直面するかもしれない方も、きっと悩みや不安が尽きないことでしょう。

この記事では、遺産分割調停の基礎知識や注意点を詳しく解説しています。

遺産分割調停の手続きや必要書類、調停プロセスをスムーズに進めるための情報を記載しています。

 

この記事は、

  • 相続問題で悩んでいる
  • 遺産分割調停を検討している人

に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.4.18

 

遺産分割調停とは

遺産分割調停とは、相続人間で遺産の分割について合意ができなかった場合に、家庭裁判所が仲裁する手続きです。

家庭裁判所への申立をおこない、調停員が間に入って合意を目指す手続です。

遺産分割調停の目的は、相続人間の紛争を円満に解決し、遺産分割に関する合意を形成することです。

一般民事事件を取り扱う民事調停は、簡易裁判所で行われますが、遺産分割のような家族の問題は、家庭裁判所での取り扱いとなります。


遺産分割調停のメリット・デメリット

遺産分割調停のメリットは、家庭裁判所の調停員が間に入ることにより、相続人間で合意ができなかった場合でも、遺産分割の合意が得られやすくなることです。

事案によっては、裁判官の心証が開示されることもあり、合意できなかった場合の審判手続での結果を予想することで、妥当な解決になりやすいこともあります。

一方、デメリットとしては、期間や費用がかかることです。
裁判所にもよりますが、調停期日は、1,2ヶ月に1回しか入りません。当事者が多数の場合、意見を確認するだけで、1回の期日が終わることもあり、相当に時間がかかります。

また、調停は話し合いをする手続のため、訴訟などで解決しなければならない法的な問題点があると、訴訟手続を先行しなければならなくなり、その結論が出るまで待つしかないこともあります。

相続の話し合い

家事調停の流れ

まず、一般的な家事調停の流れは以下のとおりです。
遺産分割調停の流れも同じです。

調停申立書の提出

調停期日の調整、呼び出し

第1回調停期日に出席、協議

第2回期日、協議

繰り返す

調停成立、不成立

遺産分割調停の流れ

遺産分割調停の中身

具体的な遺産分割調停期日での話し合いの流れは次のようなものです。

相続人の範囲の確定

遺産の範囲の決定

遺産の財産評価

特別受益・寄与分の考慮

遺産の分配方法の決定

 

まず、相続人の範囲を特定します。これは、誰が相続人であるかの問題です。

通常は、調停申立時に、戸籍謄本を提出するなどしていますが、戸籍上の当事者が相続人ではないと主張されることもあります。
養子縁組の無効などの問題です。

次に、遺産の範囲を決めます。分割の対象となる遺産に何が含まれるかの問題です。
通常は、調停申立時に、どのような財産があるかを示し資料提出もされています。ところが、ここで名義預金など、形式と実質が違う場合の問題や、相続発生前の預金からの出金、使途不明金などが問題になります。

その後、遺産の財産評価を決めます。
預貯金等であれば問題になりにくいですが、不動産や株式を分ける場合に、どのように評価するかによって、分配方法にも影響が出ます。
不動産業者の査定書を提出することが一般的ですが、当事者が争う場合には、鑑定まですることもあります。

特別受益や寄与分の主張がされる場合には、これらの検討もされます。
各相続人の取得分を調整する段階です。

最後に、遺産の分配方法を決めます。
不動産のような財産がある場合に、それを誰が取得するのか、現金で精算するのか、任意売却して現金に換えて分配するのかなどの方法が話し合われます。

 

このように、話し合いは段階的に進められます。

各段階で合意ができた場合、内容を中間合意として調書にすることがあります。

各段階で、遺産分割調停とは別に訴訟手続などになることもあります。

調停は段階的に

 

遺産分割調停の申立て方法

遺産分割調停の申立ては、遺産分割を希望する相続人が、管轄の家庭裁判所に申し立てを行います。申立て期間に制限はありませんが、早期に申し立てることで紛争解決を迅速に進めることができます。

家庭裁判所では、相続人間の遺産分割に関する紛争を円満に解決するために調停を行っています。調停の申立ては、いつでも可能ですが、遺産分割を迅速に進めるためには、紛争が発生した段階で早めに申し立てることが望ましいでしょう。
相続人間での話し合いで解決できれば良いですが、話し合いに応じない相続人がいたり、それぞれの分配に異議があるなど、合意できない場合には、解決のために調停を申し立てることが多いです。

 

調停の必要書類とその準備

遺産分割調停の申立てに必要な書類は、戸籍関係、申立書、遺産目録、相続関係図などです。
これらの書類を、事前に準備し、家庭裁判所へ提出することが求められます。

調停を始めるには、誰が当事者であるのかを特定する必要があります。
そのため、被相続人の相続人となっているのが誰なのか、戸籍謄本をさかのぼって提出する必要があります。通常は、わかりやすくするために、相続関係図も添付します。

また、判明している相続財産を遺産目録などで提出します。不動産があれば、これに関する全部事項証明書などの資料も提出します。

申立の段階で、相続人や遺産の範囲に関する情報をなるべく出しておくという趣旨です。

 

遺産分割調停申立書の提出先(管轄)

調停の申立てをする場合の提出先は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定めた家庭裁判所となります。

なお、調停ではなく遺産分割審判の申立てをする場合は、相続開始地(被相続人の最後の住所地)を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定めた家庭裁判所が提出先となります。

 

遺産分割調停にかかる時間

遺産分割調停にかかる時間は、一般的には、早くて数ヶ月、1年以上かかる事例も多いです。

当事者間で合意ができており、法的に調停成立での手続にしておきたいという事案では、初回の調停でまとまることもありますが、通常は、初回は事実関係の整理程度で終わってしまい、2回目以降に実質的な協議に入ることが多いです。
これが数回続くので、早くても数ヶ月かかるのが一般的です。

 

合意に至るまでの交渉

遺産分割調停では、調停委員が中立的な立場で双方の意見を取りまとめ、合意に至るまで交渉が行われます。合意ができなければ、調停不成立となります。

実際の調停期日では、当事者ごとに調停員が待つ部屋に入り、事情を確認されます。
このようなやりとりが続き、交互に事情を聞くため、時間がかかります。

調停期日には、当事者全員が参加することが求められます。
当事者の中に調停期日に欠席してしまう人がいる場合、基本的に調停は成立しません。

ただし、調停に出席して自分の意見を主張したいけれども、仕事の都合等で出席できない場合、次の調停期日に出席できるなら、そこで実質的に協議をすることもあります。
また、やむを得ない場合には、弁護士に代理人として出席してもらったりすることもあります。
今後は、電話会議システムやネットでの参加が活用されるようになる見込みではあります。

 

遺産分割調停の弁護士費用

遺産分割調停を弁護士に依頼する場合、弁護士費用がかかります。
多くの弁護士事務所では、着手金・報酬・実費という形で費用がかかります。

着手金や報酬は、遺産額によって変動する設定にしている事務所が多いでしょう。
ただ、固定制や、タイムチャージでの契約の設定にしている事務所もあります。

 

遺産分割調停でよくあるトラブル

遺産分割調停でよくあるトラブルは、以下の通りです。
①相続人間の感情的な問題
②遺産の評価額に関する問題
③相続人間の人数に関する問題

遺産分割調停においては、相続人間の感情的な問題が多いです。
客観的にはこのような結論になるという話があっても、過去の親子関係、兄弟姉妹の関係から、赤の他人よりも紛争が長期化することがあります。
兄弟だけが援助してもらったという話から、支出された学費の不公平さ、一人だけが自宅購入時に援助された、孫への援助が多かった、親の介護の話がよく出てくる話題です。

このような感情的な問題のなかには、特別受益など法的に主張できるものもあるのですが、法的には難しい感情面だけの問題でも、気持ちが収まらずに合意しないという人もいます。
なかには、兄弟姉妹とは口も聞きたくないという人もあり、感情的なトラブルを抱えていると調停が成立しにくいです。

それ以外に、法的なポイントとしては、遺産の評価額があります。不動産や非上場株式など、財産評価額に幅がある問題を抱えていると、これをどう評価するかが争われます。これらの財産を取得する人は低く評価してもらった方が他の財産の取り分が増えますし、取得できない人は、逆の主張をします。
そのために費用をかけて鑑定ということもあります。

最後の相続人間の人数に関する問題は、誰が相続人かの問題で、主に養子縁組の有効性などで争われる問題です。本格的に問題となった場合には、調停で解決できないので、訴訟などが先行して進められることになるでしょう。

 

相続人間のコミュニケーション

遺産分割調停において、感情的なトラブルを避けるためにも、相続人間の円滑なコミュニケーションが重要です。
誤解や対立を避けるために、率直な意見交換や協力を心掛けることが望ましいです。

相続人のコミュニケーション

 

調停不成立の原因と対処法

調停不成立の原因は、相続人間の意見の相違により合意が得られない点が挙げられます。

遺産分割調停を有利に進めるには 「遺産分割調停は、勝ち負けを決めるものではなく、当事者全員が納得する解決を図る手続き」であることを理解することが大事です。
自分の希望に沿った結論にするためには、以下のポイントを抑えることが大切です。

まず、調停委員には礼儀正しい態度で接しましょう。
調停委員は公正中立な立場を取りますが、人間です。
無作法で乱暴な態度をとる人と礼儀正しい人では、調停の進み方に影響が出るといえます。

また、法律的な知識を身に着けておくことも重要です。遺産分割は法律問題が絡んでいるため、法的な根拠に基づいた主張をする必要があります。

客観的な資料をもとに相手方の言い分に矛盾があることを示すことができれば、相手方の印象は悪くなります。客観的な裏付けがある場合には、相手方が納得しなくとも、粘り強く主張し続けることが重要です。

嘘や隠し事はしないようにしましょう。隠していた事実が明るみに出ると、信用を失い、話し合いがまとまらなくなります。

自分の主張や希望をきちんと伝えることも重要です。
早い段階で自分の希望を主張することで、調停委員がこちらの希望を理解し、全員が合意できそうな解決案を提示しやすくなります。

最後に、調停ではお互いが譲り合うことが必要です。
調停では、全員の合意が必要です。
自分の主張ばかりを押し通さず、譲れるものと譲れないものの優先順位をつけ、話し合いを進めるようにしましょう。

遺産分割合意

遺産分割調停と審判の違い

遺産分割調停と遺産分割審判は、目的や性格が異なります。

遺産分割調停は、相続人間や、包括受遺者がいればその人との合意形成が目的であり、当事者が自分たちで問題を解決することを目指します。調停案に反対する当事者がいる場合は、合意形成ができず調停が不成立になります。

一方、遺産分割審判は、裁判所が客観的な立場から遺産分割問題を解決する手続きであり、裁判所の判断が最終的な決定となります。審判によって決定された内容は、当事者に対して強制力があり、反対している当事者がいても拘束力が及びます。

つまり、遺産分割調停は当事者同士の話し合いによって解決を目指す手続きであり、遺産分割審判は裁判所による客観的な判断によって解決する手続きという違いです。

離婚問題などでは、調停が不成立になった場合には裁判での解決を目指すことになるのが通常です。これに対し、遺産分割では、基本的には裁判ではなく、審判手続での解決を目指すことになります。

遺産を分ける方法そのものを訴訟で争うことはできません。

ただ、遺産分割に関連する法律問題や、遺産分割に必要な問題がある場合には、訴訟で解決することがあります。

例えば、財産を隠している場合や、亡くなった人が別の人の名前で財産を持っているかもしれない場合には、遺産分割をする前に、遺産の範囲を確定する「遺産確認訴訟」という訴訟を起こすことができます。似たものに、遺言無効確認訴訟もあります。

また、相続人の中に養子がいて、養子縁組が無効であることが理由で、相続権の有無が争われる場合には、「養子縁組無効確認訴訟」が先に進められます。

 

遺産分割調停まとめ

遺産分割調停は、相続人間の紛争を解決する手続きで、適切な情報開示や円満なコミュニケーションが重要です。調停の申立て方法や必要書類の準備、調停委員の選任など手続きを進めるためには専門家のサポートが必要です。

適切な対策を講じることで、遺産分割調停が円滑に進み、紛争解決に繋がる確率が高まります。


 

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弁護士 石井琢磨 神奈川県弁護士会所属 日弁連登録番号28708

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