事例紹介
ケース紹介
リフォーム詐欺の事例
訪問販売を受け、リフォーム詐欺の被害にあってしまった事例です。
刑事告訴、民事裁判の提起をしています。
リフォーム詐欺の勧誘
相談者は、もともと輸入住宅専門ブランドで自宅建物を建築していました。
このブランドの住宅の建築、リフォーム、メンテナンス等を業とする旨、名乗っている者との間で請負契約をして、工事を発注しました。
相手は突如として相談者の自宅を訪問、自宅のメンテナンス工事の勧誘をしてきました。
後日、再び訪問してきて、窓修理交換工事の見積書を提示。
そこで、窓修理交換工事に関する請負契約を締結。
請負代金約270万円の工事でした。
請負代金の大部分が前払い
支払条件:注文時に部材費として240万円、交換取付工事完了時に工事費用及び産廃処理費用として30万円
というものでした。
工事期間は部材費納品後約4日(雨天・休日を除く)
なお、輸入窓部材は、発注から納品まで3~4か月を要するとのことでした。
代金のうち、大部分を先に支払うという内容です。
契約通り、先に部材費を送金しました。
連絡とれず債務不履行
その後、被告からの連絡はありませんでした。
複数回にわたり被告の携帯電話に連絡しましたが、呼出音は鳴るものの応答しない状態が続いてしまいます。
完全に無視された状態が続いています。
そこで、見積書や注文書に記載された被告の住所を訪問してみたところ、空き家でした。
その後、一度だけ、自宅のポストに被告からの手紙が入っていました。
手紙には、「窓の方が遅れて居りまして、申し訳ありません。もうそろそろかと思いますので、今しばらくお待ち願います。」、「また、改めて参ります」等と記載。
しかし、その後も連絡は一切ありませんでした。
電話にも出ず、住所も明らかにしないうえでの手紙だけの投函というのは、詐欺じゃないと言いたいだけのアリバイ作りのように見えます。その後の調査で、被告は、かなり前から別の住所に居住していることが判明。架空の住所で営業活動や契約を行っていたことが発覚しています。
その後、全く工事が行われていないことを踏まえると、被告に工事を行う意思がないことは明らかでしょう。
債務不履行による契約解除
法的に支払ったお金を取り戻したい場合には、被告の債務不履行に基づき、請負契約を解除するとの意思表示をします。
契約を解除するには、まず工事をするよう催告が必要です。しかし、履行の催告をしても、契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであれば、無催告解除が認められます(民法542条1項5号参照)。
このような解除をして、支払済みの代金返還請求をするのが通常の流れでしょう。
メーカーからの情報流出の可能性
今回の勧誘を受けるより、数年前には、被告から相談者に対し、住宅のメンテナンス工事に関するダイレクトメールが届いたことがありました。
おそらく、被告が、相当程度前から、該当ブランドの住宅の所有者として、相談者を把握していたものと思われます。どこかからか相談者の情報を把握していたことになります。
同じブランドでの情報流出などがあれば、同様の被害が発生している可能性もあります。
詐欺罪での刑事告訴
被告の態度からして、詐欺の可能性が高いと考え、民事訴訟に先立ち、被告を詐欺罪により刑事告訴もしています。
警察署に受理されてもいます。
警察署は、事件を検察庁に送致しています。
詐欺罪の告訴事実
被告訴人は、○○の所有者から工事の修繕代金を詐取しようと企て、令和○年○月○日、○○の所有者である神奈川県の告訴人方において、工事を行うつもりがないのにこれがあるように装い、告訴人との間で告訴人自宅建物の窓の修繕工事を金270万円の代金にて行う請負契約を締結し、工事がなされるものと告訴人を誤信させ、同月○日に告訴人をして請負代金の内金240万円から送金手数料を控除した金○円を被告訴人指定口座に振込み支払いをさせたものである。
詐欺罪という犯罪が成立するには、代金をだまし取ったことの立証が必要です。そのためには、最初から、騙し取るつもりだったと示せなければなりません。
契約時には、しっかりやろうと思っていたのに、できなくなった、お金も返せなくなった、という反論が通ってしまうと、詐欺罪は成立しなくなるのです。
民事訴訟を提起、判決
刑事告訴は受理されても、実際に刑事手続が始まるには時間がかかります。
そのため、その後に民事訴訟を提起しています。
民事裁判の結果、請求額全額を支払うよう命じる判決が言い渡されています。
リフォーム等で、代金の大部分を前払いとする契約の場合、このように逃げられるリスクも頭に入れておく必要があります。金額が大きい場合には、事前に相手の信用を調査しておいた方が無難です。
リフォーム詐欺に関する法律相談のお申し込みは以下のボタンからできます。