事例紹介
ケース紹介
勧誘拒絶の内容証明の事例
不動産投資の勧誘を拒絶したいので、拒絶の通知を内容証明で出したいという相談がありました。
話を聞いてみると、何年か前に、不動産投資に興味を持ち、不動産投資会社から物件の提案等を受けていたようですが、結局、投資には至らず、現在は投資をする意向がなくなっているとの話でした。
そのような話を、不動産投資会社に対して伝えたものの、担当者からは、しつこく勧誘がされているという話でした。
不動産投資で消費生活センターに相談
あまりにも勧誘がひどいので、市の消費生活センターにも相談したそうです。
消費生活センターの相談員からは、そのような勧誘を止めるよう、内容証明郵便を出したらどうかとアドバイスをされたとのことです。
内容証明郵便とは証拠に残る郵便
内容証明郵便とは、特殊な郵便方法の1つで、どのような書類を相手に送り、相手にいつ届いたのかを証明してもらえる方法です。
このような、内容証明郵便を使った方が良いものとして、期限が決められている意思表示があります。
例えば、訪問販売等のクーリングオフ、消滅時効を止めるための手続き、相続の遺留分の請求等です。
また、期限が決められていなくても、しっかりした意思表示を出しておいた方が良い画面でも内容証明日を使った方が良いと言われます。
例えば、継続的取引の解除の意思表示等でも使います。
証拠に残る通知となるので、後から相手に、「受け取っていない」「聞いていない」と言われるのを防ぐための方法です。
内容証明郵便を使わなくても良い事例
このような内容証明郵便ですが、結局は、郵便方法の1つに過ぎないので、あえて内容証明郵便を使わなくても良いことも多いです。
普通郵便で送って、到達していることが確認できれば足りる文書も多いです。
法律の専門家以外では、このような内容証明郵便の力を過大評価してるような印象を受けます。
特に、督促状とか、慰謝料請求などで、過大評価している人が多いです。内容証明だから払ってもらえる、とは限りません。
かつては、内容証明郵便自体がプレッシャーになるということもあったのですが、そこまで期待しないほうが良いと考えます。
今回の勧誘の拒絶通知についても、あえて証拠に残すだけのメリットはないのではないかと感じました。
今までの勧誘のやり取りでは、電話でのやりとりしかなく、通常の書面による拒絶通知でも、効果は変わらないのではないかないかと感じました。
断固たる意思表示のため内容証明郵便
ただし、不動産投資会社側の勧誘もかなりしつこく、かけてくる担当者の電話番号を着信拒否しても、違う電話番号からかけてきたり、メールで一方的に、職場にも連絡することを匂わせてきたりしていました。
インターネットで検索すると、違法業者ではないものの、勧誘がしつこいと評価されていました。
そのため、相談者としては心配になり、しっかりした書面で断固たる拒絶をしたいとのことでした。
そういう強い要望があるのであれば、費用以外にデメリットもないので、内容証明郵便で送ることも選択肢に入ります。
内容証明を依頼する2つの方法
内容証明郵便を送る際には、2つの方法があります。
- 弁護士名義で送る方法
- 本人名義で送る方法
本人名義で送る方法については、中身の文章についてだけは、弁護士が作成し、本人名義で発送するというものです。
受け取った相手には弁護士名は伝わりません。
この場合は、文書ファイルや、印刷した郵便物を納品して、ご自身で発送してもらうことになるのが原則です。
文書が複数ページにわたる場合には、ご自身の印鑑で、契印して発送することになります。
弁護士名義で内容証明郵便を発送する方法
弁護士名義で送る場合には、弁護士側の連絡先なども記載して、弁護士事務所で発送することになります。
弁護士の印鑑を押したうえで発送するか、電子内容証明郵便で発送するかの選択がありますが、今回のような、企業相手の場合には、弁護士の印鑑を押す意味もあまりなく、電子内容証明郵便を使うことがほとんどです。
個人相手の場合、弁護士の印鑑が押されている紙の書面を送ることによって、若干プレッシャーを与えることができるという意見もあり、相手によってはそのような方法で発送することもあります。
紙で送る場合は、郵便局への持ち込みが必要になります。
弁護士名義の内容証明郵便と交渉
弁護士名義で内容証明便を発送する際には、その後の交渉なども依頼を受けることがあります。
交渉事件として受任し、その最初の通知として内容証明郵便を利用するという方法です。
その場合には、内容証明郵便を受け取った相手方からの反論や連絡なども、弁護士宛にさせ、弁護士側で対応することになります。
これに対し、交渉事件を受けずに、弁護士名義での発送のみ対応するということもあります。
当然ながら、交渉まで依頼するとなると、費用は増えてしまうので、費用節約のために、書面発送のみ依頼する事例もあります。
今回のケースでは、弁護士名義の発送までは必要がないとのことで、発送も自分でするので、内容の文面だけ作成してほしいとの依頼でした。
そこで、メールを利用して、何回か修正するなどし、当方から文書ファイルを納品し、内容証明郵便の発送の際の注意事項などをお伝えして、ご自身にて、郵便局に持ち込んでもらう方法となりました。
内容証明郵便の取り扱いについては、すべての郵便局での対応ではなく、一定の規模以上の郵便局での対応になるのでその点は事前に確認してもらうことになります。
内容証明郵便については、動画でも解説しています。
しつこい勧誘と拒絶通知の効力
今回のケースで、不動産投資会社の勧誘が執拗に繰り返されていたのは、おそらく、担当者レベルの問題です。
勧誘の経過を聞くと、一定期間、連絡がなかった時期もあり、担当者レベルでは断念していたものの、上司などから、連絡を取れと言われて勧誘を再開してるような形跡があります。
そのため、書面で通知することによって、こちら側の社内での登録情報を変えることによって、勧誘が止まることも十分、考えられます。
通知にもにもかかわらず、再度、勧誘を繰り返してきた場合には、その違法性などを主張していくことも考えられます。
内容証明郵便が、その際の証拠になることもあります。
このように、相手の違法な勧誘を止めたいようなケースでは、文書作成、通知発送の方法で効果を得られることもありますのでご相談ください。