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限定承認の事例

限定承認を利用した事例の紹介です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2022.8.30


限定承認は、相続財産の範囲内でだけ債務についても責任を負う制度です。単純承認だとすべての債務にも責任を負うため、親が自分の知らないところで借金を負っているかもしれないと不安な場合で、一定の相続財産があるため相続放棄は使いたくないという場合に検討する方法です。


子による限定承認

申述人は、被相続人の子。

母親が死亡し、限定承認手続きをしたという事案です。

相続人である子は、申述人だけの一人っ子、夫である父親は先に死亡していたという事案です。

 

相続人が複数いる場合の限定承認

相続人が複数いる場合、限定承認をするには、相続人全員で進めなければなりません。

全員の協力体制が必要です。ここでの相続人には、相続放棄をした人は含まれません。

相続放棄をしていない相続人全員で進めなければならないので、協力しない相続人がいると限定承認は使えないことになります。

これに対し、相続人が1人であれば、単独で限定承認の申述ができます。

 

限定承認の期限は3ヶ月

限定承認にも期限があります。

相続があることを知ってから3ヶ月以内です。この期間は相続放棄と同じです。

この期間内に、限定承認をするべきかどうか、調査が進められないため判断できないという場合には、この期限を延長することもできます。熟慮期間の伸長手続きです。

限定承認を利用したい場合には、相続があることを知った後、早めに動く必要があります。ただ、すぐに動けなかったという場合には、この延長制度をあわせて利用すれば良いでしょう。

 

限定承認の申述書

限定承認は、家庭裁判所に書類を提出します。

そこには、戸籍謄本等を取り寄せ、相続人が誰であるのかを特定し、全員の申述であることを示します。

また、被相続人の死亡年月日を記載し、相続が開始したこと、申述人が、その相続の開始を知った時期を記載します。

さらに、被相続人には別添の遺産目録記載の遺産がありますが、相当の負債もあり、申述人は相続によって得た財産の限度で債務を弁済したいと考えますので、限定承認をすることを申述します等の記載をします。

 

限定承認の費用

限定承認をする際の費用については、弁護士費用と実費があります。

弁護士費用については、法律事務所によって変わります。

実費については、戸籍や不動産登記関係書類などの取得費用のほか、裁判所に払う印紙代、切手代、官報費用などがあります。

限定承認申述書に貼る印紙代は800円(2022年時点)、切手代は、裁判所によって異なりますが、1000円弱。

官報費用は、内容によって異なりますが、2022年時点でのもので、57428円でした。それほど変わらないでしょう。

 

限定承認の手続き

限定承認の申述書を裁判所に提出し、受理されたら、官報掲載の申込みをします。

事前に官報掲載内容や費用についての相談を進めておきます。

受理後、官報掲載申し込みと同時に、判明している債権者に対し、債権申出の催告をします。

債権者の取りまとめをするため、債権申出をするよう申告しておくものです。

通常は、限定承認をしたことを示して、催告書を送ります。

限定承認のご通知及び債権申出の催告書という内容で、被相続人の情報、限定承認者の情報を記載して通知します。

 

限定承認における債権申出の催告書の内容

催告書の内容は次のようなものです。

当職は、神奈川県弁護士会所属の弁護士ですが、上記限定承認者の代理人として、ご通知申し上げます。
上記被相続人は令和4年○月○日死亡し、その相続人について、令和4年○月○日横浜家庭裁判所において、相続の限定承認の申述が受理されました(同裁判所令和4年(家)第○号)。

つきましては、知れたる債権者である貴社に対して、貴社が被相続人に対して有する債権の請求申出をするよう催告いたします。

同封した債権申出書に所定事項をご記入のうえ
令和4年○月○日(必着)
までに、郵送にてご返送くださるようお願い申し上げます。

債権の存在及び内容を証する書面等がございましたら、その写しをあわせてご送付下さい。

債権申出については、検討の上、その結果を後日お知らせいたします。なお、今後の分配は、当事務所より行う予定です。
今後本件に関するご連絡等は当職宛てになされるようにお願いいたします。

 

 

限定承認における財産

限定承認の申述時には、財産目録も提出します。

今回の事例では、預貯金が主でした。そもそも、負債額もそれほど多くはありませんでした。

ただ、後から、多額の請求を受けることを心配し、念のため限定承認をしておきたいとの希望でした。

 

預貯金等の場合には、銀行名、支店名、普通預金などの種目、口座番号、相続発生時の残高を記載します。

複数の口座がある場合には一覧にします。

生命共済、保険があれば、同様に番号等の記載をします。

自宅にあった小口現金などがあれば、それも明記。

そのほかに、会社員であった場合には、会社関係で受け取るお金等があるかもしれません。未払給与、高額療養費還付金等を受け取った場合には、現金として記載しておきます。受け取り前であれば、元の権利の記載をしておきます。

賃借物件に住んでいた場合には、明渡をするのかどうか、また、敷金清算金なども記載しておきます。

 

限定承認の配当

債権の届出を受けたら、債権者を整理しておきます。

その後、財産の範囲で弁済を進めることになります。

今回の事例では、財産が債務額を上回っているという結果でした。そこで、各債権者の返済方法をまとめ、全額を返済しています。

限定承認手続きとしては、これで終了となっています。

 



限定承認、限定相続は相続人全員での対応が必要なため、あまり使われている手続きではありませんが、あとから多額の債務が出てくることに不安な人は、検討してみると良いでしょう。

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