時効期間経過後の弁済・承認と消滅時効の援用。本厚木駅北口から徒歩2分。

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FAQ(よくある質問)

 

Q.時効期間経過後に弁済したら、消滅時効の援用はできない?

時効期間経過後に、借金の一部を弁済してしまった場合、消滅時効の援用はできないかと相談を受けることがあります。

この記事は、

  • 借金を長期間、放置してしまって払えていない人
  • 長期間が過ぎた後に、払ったり認めてしまった人

に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.4.9


借金の消滅時効とは?

借金には、消滅時効期間があります。

貸金業等の借金については、消滅時効期間は5年とされています。


支払いを止めて、期限の利益を喪失した場合、そこから5年間が経過すれば、消滅時効が完成します。


「期限の利益を喪失する」とは、債権者から、一括請求され、遅延損害金も発生するという状態です。

普通は、約束された支払日までに払えなかったり、債務整理の開始通知などがあると期限の利益を喪失します。

この5年間の時効期間に、裁判所を使った支払督促や民事訴訟など、時効を止めるための手続きがされていなければ、消滅時効を援用することで、支払い義務をなくせる可能性があります。

時効

時効の中断、完成猶予、更新

このような時効を止める手続きについては、以前は、時効の中断と呼ばれていました。


2020年施行の民法改正法により、時効を止める手続きの時効中断は、時効の完成猶予時効の更新という言葉に変わっています。

ただし、しばらくは、改正前の法律が適用される債権も多くありますので、改正前の法律も、改正後の法律も併存して使われる状態にあります。

内容はさほど変わりません。

消滅時効の完成猶予とは

時効の完成猶予とは、その期間は、時効が完成しないというものです。


これに対して、時効の更新とは、更新の事由が発生したときに新たに時効期間が進行を開始するというものです。

時効の完成猶予には、裁判上での請求や、裁判所を使った支払督促、即決和解、民事調停などの場合、その手続きが終わるまで、時効の完成が猶予されるというものです。

裁判

裁判を起こしただけでは、権利関係が確定されていないので、まだ新しく時効期間はスタートしません。


例えば、判決等が必要になってきます。


しかし、裁判手続中に時効が完成してしまうと問題になるので、これを猶予するという制度になったわけです。


確定判決を受けたりすると、新たに消滅時効期間が進行することになります。


ここで更新されるということが明記されたわけです。


確定判決で更新された債権の時効期間は10年とされています。


用語自体は変わっていますが、実務上の取り扱いは、改正前の時効中断と大差ないといえます。

借金の弁済と債務の承認

借金を弁済するということは、その債務を認めていることが前提になります。


そのような弁済行為は債務の承認と呼ばれます。

債務の承認は、改正前の法律では時効の中断事由とされていました。

また、改正後の法律でも、同じように時効の更新事由とされています。


結局、時効期間がすぎる前に、債務承認があると、時効は成立しないという扱いになります。

改正後の条文は、民法152条1項に書かれています。

「時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。」

消滅時効での承認とは

消滅時効での承認とは、時効の利益を受ける人が、時効によって権利を失う人に対して、その権利が存在することを知っている旨を表示することと定義されています。
このような表示があるのであれば、時効を止めようとする意思等は必要がないとされています。

「支払いを猶予してほしい」と伝える事は、承認にあたるとされています。
その際、時効が進行しているかどうかなどは知らなくても良いとされています。

支払

また、利息を支払うという事は元本があることが前提になるので、借金の元本自体の承認になるとされます。


一部の弁済であっても、それが一部であることを認めてするのであれば、借金が全部あるということになるので、借金全部についての承認とされます。

消滅時効期間経過後の弁済

時効の中断や、時効の更新は、消滅時効期間が過ぎる前の話です。
消滅時効期間が5年の場合には、その5年間の間にこのようなことがあるのかどうかが問題になります。

これに対して、今回の話は、消滅時効期間が過ぎた場合、過ぎた後に債務の承認があった場合にはどうなるのかという点が問題になります。

消滅時効期間が過ぎていて、消滅時効の援用さえしておけば支払い義務がなくなったという状態なのに、それをしないで弁済等の債務承認行為をしてしまった場合の話です。


そのため、本来の時効の中断や、時効の更新とは違う話になってきます。

最高裁は、消滅時効の援用ができないとの結論

このような場合、原則として、消滅時効の援用はできずに支払い義務があるとされています。
最高裁判所は、時効完成した後に債務承認をした場合、信義則上、その後に時効を援用することができないとしています。
最判昭和40年4月20日です。

ただし、このような考え方を採用しているのは、弁済等の債務承認があるならば、債権者は債務者が消滅時効を援用する事は無いだろうと期待することや、消滅時効を援用することが債務承認とは矛盾する行為であることと理由とするものであるとされています。

時効援用が制限されるのは、

  • 債権者の期待
  • 矛盾する行為

という2点が趣旨だと言われます。


そこで、このような趣旨が該当しない場合には、債務の弁済等があっても、消滅時効の援用ができるという考え方も成り立ちます。

可能性

裁判例では、弁済をした理由次第で援用を認める

実際に、最高裁判決が出た後も、裁判例では、消滅時効の援用を認めたケースがあります。

債権者が騙して弁済させたり、怖がらせて弁済させたり、取り立てが違法だったりする場合には、その弁済があっても、後から消滅時効の援用が認められたケースがあります。


多くの場合、貸金業者の行き過ぎた取り立てが問題視され、債務者を救済しています。

このような裁判では、いかに取り立てが行き過ぎていたか等の個別事情を主張・立証できるかがポイントになります。


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