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FAQ(よくある質問)

 

Q.リース契約書が偽造された場合は?

悪質リース商法以外でも、リース契約自体が問題になる相談はよくあります。

そのなかで、従業員などが署名代行して偽造した契約書だった場合に、どのような解決になりそうか、参考になる事例を紹介しておきます。

販売店からの勧誘で、代表者などが知らない間にリース契約がされたという相談もありますので、参考になるのではないでしょうか。

消費者法ニュース134号78頁に記載されていた和解事案です。

この記事は、

  • リース契約書が偽造された人
  • 問題あるリース契約を何とかしたい人

に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.3.14

 

偽造リース契約事案の概要

リース会社が合同会社を訴えた事案です。

合同会社はすっぽんの畜養・販売を目的として設立されましたが、実際には代表社員として登記された被告代表者が、知人の個人事業が破綻したため、事業の受け皿として設立したものであり、畜養に詳しくなかったとされています。

資本金40万円

合同会社を設立するにあたっても、少なくとも利益が出るまでは知人が無償で畜養の実務を処理することが前提とされていたとのことです。

 

リース契約の経緯

代表者や知人は、会社の営業で使用する自動車が必要だと考え、オリコオートリースの代理店となっている自動車販売店で軽自動車(スズキ・ワゴンR)の自動車リース契約を締結しました。

代表者は、平成29年10月30日、所定の契約申込書書式に社判スタンプを用いて会社の所在地及び商号を記載し、合同会社の会社印を捺印。

代表者署名欄(契約申込書の体裁上、連帯保証人署名欄を兼ねていた)に直筆で署名、捺印。

自動車販売店に提出してオリコオートとワゴンRに関する自動車リース契約を締結。

これは通常の契約で、合同会社も争っていません。

自動車リース

偽造リース契約の経緯

その後、知人は、自らが私的に使用する自車を確保するために、代表者の承諾を得ないまま、平成29年11月6日、すでにされたリース契約と同じ契約申込書書式を用いて契約申込書を偽造

同じ自動車販売店に差し入れて自動車リース契約を締結。ホンダ・フィットの引渡しを受けました。

第2契約の契約申込書は、会社所在地及び商号の記載に第1契約の契約申込書と同じ社判スタンプ、会社印が捺印。

代表者の住所記載欄、署名欄は知人がこれを手筆で記載

捺印は100円ショップで販売されているような三文判でした。

さらに、知人は、法人カード契約申込書を偽造して法人カード契約を締結(第3契約)。こちらでも第2契約と同じく偽造。

その際、電話番号は合同会社の固定電話を記載。

 

リース会社の本人確認電話

代表者は第2契約の際、勝手に知人がホンダ・フィットのリース契約を結んだことを知らず、再度ワゴンRの契約意思確認の電話があったと勘違いして、誤って契約を承諾してしまいました。

 

また、第3契約では知人が代表者になりすまして契約意思確認の電話に対応し、契約を承諾してしまいました。

さらに、知人が領得した法人カードを使用して私物を購入したため、合同会社は第2契約のリース料と第3契約の法人カードの利用料金の支払いを拒否しました。

 

リース会社からの民事裁判

オリコオートに対して保証債務を履行し、カードの購入代金を立て替えたオリコが、自動車リース料金相当額及び法人カード利用料金相当額の支払いを求めて合同会社及び代表者を被告として提訴

なお、知人はその後刑事訴追され、背任で有罪判決を受けました。

 

リース会社の主張

知人が合同会社から自動車リース契約、法人カード契約及び代表者の連帯保証契約の締結について代理権を付与されていたと主張しました。

また、代理権が付与されていなかった場合でも、表見代理が成立すると主張しました。

 

契約者側の主張

しかし、契約者側は、代理権を付与された事実がなく、知人が合同会社と雇用契約を締結していなかったことを主張しました。また、社員として登録されていない代表者に代理権が付与されていたと主張することには無理があると反論しました。

そして、表見代理の保護要件である善意無過失ないし正当事由が欠けることを主張しました。

具体的には、自動車販売店が運転免許証の写しを本人確認書類として受領しており、第2契約において店舗を訪れたのが代表者でないことを十分認識していたはずであり、オリコオートリースも契約申込書が偽造であることを知り得たはずだと主張しました。

さらに、第1契約の契約申込書と第2契約や第3契約の契約申込書では、法人代表者署名欄の筆跡や捺印欄の印影が全く異なっていたことも指摘されました。

 

オリコの再反論

これに対して、オリコは、オリコオートリースが膨大な契約書申込書を処理しなければならないため、他の過去の契約書を確認することは不可能であり、確認する義務もないと主張しました。

また、仮に他の契約書を確認すべきであったとしても、同一の社判スタンプが使用され、同一の会社印が用いられているため、法人代表者欄の署名の筆跡や捺印の印影が異なっていたとしても、偽造であると容易に探知することはできないと主張し、オリコオートリースに過失はないと主張しました。

過去の契約書を確認できないというのは、企業としてどうなのでしょうか。

かなり厳しい主張のように感じます。

 

代表者からオリコに対しては、不当訴訟を理由に反訴までしたそうです。

結局は、裁判が進み、裁判所が示した和解案を双方が了承、双方が相手方に対する請求を放棄することが主な内容となる裁判上の和解が成立したと報告されています。

 

偽造リース契約まとめ

リース契約では、リース会社による契約者の意思確認が杜撰な事例も多いです。

そのため、販売店が悪質な行為をしたリース商法でも、救済がされにくいことが多いのです。

本件では、契約書類が偽造され、刑事裁判での判決も出ていたことから、契約者の責任は否定されやすかったといえるでしょう。

 

和解での解決の事例報告となっているので、リース契約における代理店(加盟店)とリース会社の関係、リース契約における契約意思確認の法的性質などの判断がされたものではなりませんが、このような問題事例があるということは知っておいたほうが良いでしょう。

詳細を確認したい人は、消費者法ニュース134号をチェックしてみてください。

 

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