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FAQ(よくある質問)

 

Q.家賃値上げが通る理由は?

家賃を適切に値上げしたい賃貸人の人も多いでしょう。

家賃の値上げを求める際には、法的な背景や正当な理由の存在、さらにはそのタイミングやリスクなど、多くのポイントを熟知して行動することが求められます。

この記事では、家賃値上げの適正な理由や法的根拠、方法、リスク、手続について詳しく解説します。

この記事は、

  • 家賃値上げをしたい賃貸人
  • 家賃値上げ通知を受け取った賃借人

に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.10.23

 

家賃の値上げの主な理由

家賃に関しては、何の理由もなく値上げできるものではありません。

まず、家賃の値上げに関する法律をチェックしてみましょう。

借地借家法第32条1項には家賃の値上げが認められる以下の3つの理由が記載されています。

- 土地建物の税金などの増加
- 経済の変動(土地建物の価格上昇等)
- 近隣物件と比べて家賃が安すぎる状況

これらはあくまで「例示」であり、これ以外にも正当な理由が存在すれば値上げは可能です。また、これらの変動があったとしても、自動的に家賃を増減する権利が生じるわけではありません。

そして、家賃値上げは、適正な金額であることが必要です。

値上げをする際には、大家と借主の間の合意ができない場合、法的手続きが必要です。

 

その他の家賃値上げのポイント

現在の家賃が設定されてからの経過時間も考慮の要因となります。しかし、一定期間の経過だけで家賃の増減が求められるわけではありません。経済の大きな変動によって家賃が不適切になった場合、前回の家賃設定からあまり時間が経っていなくても、家賃の変更を求めることができます。

契約当事者間の個人的な状況の変化や特殊な事情の解消も考慮されます。公平性の観点から、これらの主観的な要因を無視することは適切ではありません。例えば、特定の関係から始められた安い家賃が、時間の経過で変わる場合、増額が考慮されるべきです。但し、急激に高い増額が求められる場合は、増額の範囲を慎重に考慮する必要があります。

家賃増額請求権の趣旨

本来、貸主と借主の間で家賃の改定が円満に合意できるのが望ましいです。

しかし、現実には、合意がまとまらないことも多いです。
その結果、家賃額が安すぎるなど、不相当な金額水準で放置されると不都合です。これを回避するため、家賃が諸般の事情の変更により不相当になったときに、公平の観念から、契約当事者の一方的意思表示により、改定できる権利を定めたものです。

家賃値上げ

 

値上げ禁止特約がないこと

家賃増額請求権の要件として、上記のような理由のほか、値上げ禁止特約がないことが必要です。

家賃を一定期間変更しないという特約がある場合(例: ○年間家賃を変えない約束)、家賃が不適切であると感じられても、増額の要求はできないのが原則です。

ただし、特約の期間が非常に長く、経済の大きな変動が起こり、それが特約の時の予想を超えていて、結果として非常に不公平になる場合、増額請求が認められることもあります。事情変更の原則によるものです。

 

家賃値上げのタイミング

家賃の値上げを請求するタイミングや、それに伴う法定更新のリスクなども考慮する必要があります。

2年などの賃貸借期間が決められている場合、値上げのタイミングが更新時期ではだめなのか問われることになるでしょう。

実際に、値上げされる可能性のあるタイミングとして、挙げられているのが、所有者の変更(相続含む)や契約の更新です。

 

貸主から値上げの通知をするリスクとして、賃貸借契約の解約リスクはあります。

値上げを請求することで、借家人が、家を出ていくという選択をすることは想定されます。

 

家賃の相場の確認

値上げ通知をする前に、近隣の物件や不動産会社などから家賃の相場を調べることが重要です。

争われた場合には、適正家賃の請求かどうかが問題になるためです。

 

値上げ額の制限

家賃の値上げには法律上「上限いくらまで」という制限は存在しません。

ただし、無理な値上げは不可能であり、正当な理由が必要とされます。

極端な値上げを求めた場合、借主が争えば紛争となり、裁判所に持ち込むことになります。その場合、適正な賃料額がいくらかが問われることになります。

 

家賃増額請求の方法

家賃増額請求の方法としては、意思表示は口頭または書面でできますが、証拠に残る形で送るべきですので、内容証明郵便が推奨されます。

記載内容から、増減請求の意思表示であることが確認できれば特別の様式は不要です。

共同賃借人の場合、家賃増額の意思表示が共同賃借人全員に到達しなければ、増額の効果が発生しません。


裁判上での増減請求の際は、訴状に金額を明示する必要があります。

 

家賃増額請求の効果

法的には、家賃増減請求権は、形成権の性質を持ちます。
つまり、賃貸人が増額の意思表示をした際、賃借人が承諾してもしなくても、その表示から将来的に家賃が増額されることになります。
ただ、当事者間で「相当額」についての争いがある場合は、調停や裁判で決定されることになります。

裁判で決定された家賃改定の効果は、増減請求の意思表示の時点に遡って生じます。そのため、最初の通知がいつ届いたか確定する必要があり、内容証明郵便が推奨されるのです。

争いがないなら、提示額が改定家賃となります。

 

家賃値上げの交渉決裂後の調停

家賃値上げの通知をして、貸主と借主との間で合意できなかった場合の手続きを確認します。

一般的には、調停の申し立てを検討することになります。

調停は、裁判所を通じて中立的な第三者の意見や調整を得られる手続きです。

欠点としては、手続きが長期化する可能性があったり、費用がかかる、合意が得られなければ不成立となるという点があります。

この調停の申立ては、訴訟よりも先に行われるべきもので、これを「調停前置主義」と言います。調停は、双方の妥協点を模索するためのものです。

調停を経ずに訴訟が提起されると、裁判所は適当でない場合を除き、事件を調停に付する必要があります。

 

調停不成立後の訴訟や対応

調停がうまく進まない場合、次のステップとして訴訟が考えられます。この際、大家側は自らの主張の正当性を証明する必要があります。裁判では鑑定士の鑑定結果が重要な証拠となることも多いです。

その借主との間で家賃の値上げは断念し、契約解除に動く貸主もいます。

うまく行けば短期間で問題を解決できる可能性があり、新しい借主との間で値上げ後の家賃で合意できれば、実質的に値上げと同じ経済敵効果を得られます。

しかし、貸主からの賃貸借契約の解除は、争われると貸主にとって不利な判断がされる可能性が高いです。契約の更新拒絶にも正当な理由が必要ですし、債務不履行による解除であれば、信頼関係破壊などより強い事情が必要です。値上げ後の家賃未払いでは正当理由になりませんので、値上げ通知後のタイミングでの解除の場合、解除の有効性が争われると、裁判所からは値上げに応じなかったから解除に動いたのだと評価されやすくなります。

 

相当額の家賃の算定方法

裁判等になった場合、家賃額を決める方法は複数あります。

よく使われるのは、利回り法、スライド法、差額配分法、賃貸事例比較法あたりです。

これらの方式の適用はケース・バイ・ケース。
多くの場合、徹底的に争うのであれば、不動産鑑定士による鑑定評価がされることになります。そこまで費用をかけるか、合意するかが問われることになるでしょう。

複数の方式を組み合わせて最終的な金額を決定する「総合方式」が採用されることが多いです。

法律上は、相当賃料額を裁判所が決めることになります。鑑定などの客観的な適正賃料額に、具体的な事案に応じた要素を考慮して修正されることがあります。

適正賃料額の鑑定評価に不合理なところがなかったり、当事者間に特殊な事情がなければ、適正賃料額が相当賃料額と認定されることになります。

サブリースなどでは、特殊事情を考慮することになります。

 

裁判での適正な賃料の算出方法

基準としては、の4つの評価手法が使われます。すなわち、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法、差額配分法です。

利回り法は、基礎価格(物件価格、利用権含む)に利潤率を乗じ、諸経費(公租公課等)を加えるものです。

スライド法は、現行賃料(公租公課等を控除したもの)に、現行賃料決定時から増減額時までの変動指数(地価、建物価格、消費者物価指数など)を適用し、公租公課等を加えるものです。

賃貸事例比較法は、新規賃料による賃貸事例比較法を基に試算賃料を求める手法です。

差額配分法は、適正賃料と実際の賃料の差額を賃貸人と賃借人に分担させる方法です。

鑑定では、これら4つの評価手法を併用し、それらの単純平均や比較衡量に基づいて求められます。

実務的には、利回り法や差額配分法を基にスライド法や賃貸事例比較法を参考にして適正賃料を決定することが多いです。

家賃増額請求訴訟の訴額

家賃増額請求を行い、訴訟をする場合には、訴額に応じて収入印紙を訴状に貼らなければなりません。

賃料の変動に関する訴訟の訴額の算出方法は以下の通りです。

1か月あたりの増減額 x (増減が始まった時期から訴訟提起までの月数 + 12ヶ月)。

この12ヶ月は、通常の訴訟が平均でかかる期間として加算されます。

 

ただし、目的物の価格の2分の1の金額が、上記算出額より低い場合、そちらが訴額になります。家賃増額請求とはいえ、目的物の価格を上回るのがおかしいという基準です。

 

賃料額確認訴訟

賃料の増額または減額の請求権が発生した際の賃料額を確認するための訴訟です。
賃貸借契約の中で賃料額に関する部分だけを法律的に確認するものとして捉えられます。
請求権が発生した時点の賃料額だけを対象とします。

原告と被告間の賃貸借契約において、特定の日時点の月額賃料が何万円であることを確認する内容となります。

増額や減額が認められない場合は、従前の賃料で確定するものではなく、請求自体が棄却されます。

訴訟中に新たに増減額の理由が発生した場合、その事由に基づいて再度賃料の増減を求める必要があります。

 

家賃増額請求に対する抗弁

賃貸人からの家賃増額請求に対して、法的に抗弁として主張できる事情として、不増額特約があります。

家賃を増額しない特約があれば、その定めに従うことになります。
また、○年ごとに協議のうえ改定するという条項は、記載された○年間は増額しない特約であると解釈されます。

増額しない期間について、一定期間の定めがない場合、相当期間と解釈することになるでしょう。

不増額特約は、物件を引き継いだ新所有者になっても主張できるとされています。

ただし、この不増額特約の主張が信義則に反すれば認められません。

他の抗弁としては、増減額の意思表示の撤回や信義則違反・権利濫用という一般的主張はありえます。

 

賃料の自動増減額特約

賃料を自動的に増額する特約がある場合、その基準が、経済事情の変動等を示す指標に基づく場合は有効とされます。

ただし、特約が不相当になっている場合には、当事者は特約に拘束されず、増減額請求可能とされています。

なお、自動増減額特約が存在しても、増減額請求権が行使されれば、これにより失効し、その後は自動に増額されることなどはなくなるとされています。

 

紛争中の家賃支払

増額請求があったものの、適切な額について合意が得られない場合、暫定の支払い金額や、増額確定後の清算ルールを確認しておく必要があります。

まず、増額請求を受けた賃借人は、裁判の結果が出るまで、自分が相当と考える家賃を支払えば良いとされます。例えば、5万円の家賃を7万円に増やす要求があった場合、賃借人が6万円が妥当だと感じれば、その金額を支払います。5万円が相当だと考えるなら、そのまま払い続ければ良いことになります。

裁判で増額が認められた場合、賃借人が支払った金額が裁判で確定した金額より低ければ、賃借人はその差額に年1割の利息を加えて賃貸人に支払う必要があります。

相当と考える家賃を支払えば良いというのは、賃貸借契約が解除されないだけであり、後に増額が認められた場合には、利息をつけての支払いが必要になる点は注意が必要です。

 

家賃減額請求の取扱い

賃借人からの減額請求の意思表示がされた場合、当事者間で「相当家賃」についての合意が得られない場合の取扱いは、増額請求と同じです。
金額が確定するまでの間、賃貸人は自分が相当と判断する金額を請求できます。賃借人はこの額を支払う義務があります。この金額を支払わないと、家賃不払いとして契約解除が認められることもあります。

減額が認められた場合、賃貸人は過払いとなる分を賃借人に返還する必要があり、その超過分には年1割の利息がつきます。ただし、賃借人の支払額が不足していた場合、その不足額に対して1割の利息の請求は認められません。この場合、家賃不払いという債務不履行の問題が出てきます。

 

家賃減額請求に対する増額請求

賃借人からの家賃減額請求に対して賃貸人が増額請求をした場合、賃貸人は家賃の確定まで従前の家賃を請求できます。一方、賃借人は、従前の家賃を支払うことで債務不履行の責任を問われません。

裁判が決着するまで、賃借人は従前の家賃を支払う必要があり、賃貸人は従前の家賃を超えて請求することはできません。


減額請求があっても、確定までは、賃貸人は相当家賃の請求はできます。
ただ、増額請求があっても、賃借人は相当と考える家賃を支払えば、債務不履行にはなりません。

そこで、減額と増額請求があり、双方の主張が対立している場合には、確定するまでの間は、従前の家賃額が基準として扱うこととし、バランスを保っているのです。

 

定期賃貸借契約の注意点

定期賃貸借契約の場合、契約期間が経過すると終了します。

家賃増額請求は使えません。

契約終了した場合、新しい契約交渉が必要になり、この時に賃上げ要求がされる可能性が高まります。
特に飲食店の物件での使用が増えているため、注意が必要です。

 

借地借家法の家賃増減額請求権は強行規定とされます。しかしこの趣旨は、家賃の変更は基本的に当事者同士の合意に基づくもので、特定の条項だけで増減請求権が制約されるわけではありません。

借地借家法では、借主側にのみ不利益な合意を排斥する片面的強行規定が多いですが、この増減額請求権は違うとされています。したがって、賃借人に不利な特約でも、直ちにそれだけで無効とはなりません。

家賃を増額しない旨の但書の条項は良いのですが、それ以外の合意で制限しようとしても増減請求権は行使できるとされています。

増減額が当事者間の協議で決定する特約がある場合でも、賃貸人は協議せずに増減額を請求することが許されるとされています。

 

家賃自動改定特約の有効性

家賃を自動的に変更する特約(自動改定特約)は、協議の手間やトラブルを回避する手段として使われることがあります。しかし、経済的背景の変動などにより、特約の内容が適切でなくなった場合、その効力が無効とされることもあります。

一部の裁判例や学説は、特約に基づく家賃の変更が不適切になった場合の特約の無効性について、明確な基準がないと批判しています。これに対し、他の学説は、特約は基本的に有効であり、特約が無効になる理由は家賃の増減請求権の趣旨に反する場合とされます。

最高裁は、バブル経済前に結ばれた3年毎に地代を10%増額する特約についての判断を示しています。

この特約は原則有効だが、経済事情の変動等を示す指標に基づいている必要があるとしています。

もし、特約による地代の額が不相当と判断される場合、その特約に拘束されないとしています。また、賃借人が特約に基づく増額を受け入れていた場合、賃貸人の不当利得にはならないとしました。

しかし、特約の効力を争い、後に有効と認められた場合の解決は、異なる解釈が存在します。

バブル経済のように物価上昇時には有効だった特約も、地価が下落に転じた後は、争える余地が出てくるという判断です。

このような規定が、サブリース契約でも同じように考えるべきかどうか議論になっています。最高裁はサブリースも建物の賃貸借契約に該当するとしていますが、サブリースでも全く同じ判断をしてよいか反対意見もあります。

 

サブリース契約の特殊性

サブリース契約は、不動産会社が土地所有者の建築した建物で転貸事業を行う契約です。

1990年代以降、建物のサブリース契約の裁判例が登場し、賃料に関する特約(例:最低賃料額保証特約や賃料自動増額特約)が多用され問題となりました。

バブル経済の崩壊後、特約による賃料が転貸料を下回るケースが増加し、不動産会社が賃貸人(建物所有者)に減額請求を求める紛争が増えたものです。

当初、下級審裁判例はサブリースが賃貸借であることを前提として減額請求権規定の適用を肯定していましたが、一部の裁判例はサブリース契約の実質を重視し、賃貸借ではないと判断していました。

最高裁は複数の判決を通じて、サブリース契約も賃貸借契約に当たると判断し、借地借家法32条が適用されるとしています。ただし、サブリース特有の賃料に関する特約の存在や背景事情を十分考慮すべきであるとされています。

 

公営住宅の取り扱い

公営住宅は、低所得者向けの低廉な家賃目的とした物件のため、賃料増減額請求はできないものとされています。

これに対し、公団住宅や特定優良賃貸住宅では増減額請求が可能とされています。

 

 

値上げ通知を受けた借家人の対応

借主の立場からすれば、値上げの理由を確認することが重要です。貸主の主張を書面で取っておくことが望ましいでしょう。争いを避けるため、冷静な態度は維持しましょう。

値上げが不適切なのかどうか、法律事務所に相談するのも一つの選択肢です。

 

値上げ交渉を拒絶する場合

値上げ前の家賃を正しく払っていれば、大家に退去を求められることはありません。
貸主が受け取りを拒絶するような場合には、値上げ前の家賃を供託所に供託することで、家賃の支払い義務を果たすことができます。

ただし、法的な賃料増額請求訴訟まで起こされ、値上げ額が適正だと判断された場合には、差額に利息をつけて支払う義務が発生することになります。この点のリスクをどの程度あるか考えて、転居などの選択肢と比較して方針を検討することになるでしょう。

 

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