FAQよくある質問
FAQ(よくある質問)
Q.収入が多いと自己破産できない?
収入が多いと自己破産できないのではないか、と不安に感じる方は少なくありません。
自己破産の判断基準は年収の高さではなく、借金を継続的に返済できるかどうかです。
この記事では、高収入でも自己破産が認められる場合、管財事件や免責不許可事由、個人再生との違い、給与差押えへの注意点を解説します。
この記事は、
- 収入はあるのに借金返済が追いつかない方
- 高収入を理由に自己破産をためらっている人
に役立つ内容です。
自己破産は収入が多いとできない?
「収入はそれなりにあるのに、なぜか借金が減らない」
「年収が高いのに自己破産なんて、周りに言えば呆れられるのではないか」
??そんな不安を抱えながら、この記事を検索した方も多いのではないでしょうか。
自己破産というと、収入がなく生活に困窮した人が使う制度だというイメージを持たれがちです。
そのため、一定の収入がある方ほど「自分は対象外なのではないか」「収入があるのにずるいと思われるのではないか」とためらってしまいます。
結論から言うと、収入が多いことは自己破産ができない理由にはなりません。
自己破産の可否を決めるのは年収の高さではなく、「今の収入では借金を返しきれるかどうか」という一点です。
年収600万円でも1500万円の借金を抱えていれば返済は困難ですし、年収300万円でも借金が100万円なら分割で返せる可能性があります。判断基準は年収の絶対額ではなく、収入と負債のバランスです。

収入が多くても自己破産はできる
自己破産では、「高収入か低収入か」だけで結論は決まりません。
裁判所が見るのは、債務総額、手取り収入、毎月の支出、預貯金や有価証券、不動産等の資産、扶養家族の有無、今後の収入の見込みなどを踏まえて、債務を通常どおり返済できるかどうかです。実際、裁判所への破産申立てでは財産目録のほか、給与を受け取っている場合には源泉徴収票や給与明細等の提出が必要になります。
ここで注意したいのは、「収入が多くても必ず破産できる」という意味でもないことです。毎月十分な余剰資金があり、保有資産を含めれば通常どおり返済できるのであれば、そもそも支払不能とは認められない可能性があります。
大切なのは、年収額ではなく、自分の負債・資産・家計をセットで見ることです。

自己破産の基準は「年収」ではなく「支払不能」かどうか
自己破産が認められるかどうかは、破産法で定められた支払不能という状態に当てはまるかで判断されます。
支払不能とは、支払う能力がないために、期限が来た借金を継続的に返せない状態のことです。
ここで重要なのは、支払不能かどうかは収入の金額だけで決まらないという点です。裁判所が見ているのは、今の収入と保有資産で、今後の借金返済を続けられる見込みがあるかどうかです。
たとえば年収800万円の会社員でも、銀行・消費者金融5社から合計2000万円を借り入れていれば、毎月の返済額だけで手取り収入を超えてしまい、返済の継続は不可能です。
この場合、年収が高くても支払不能と判断される可能性は十分にあります。
反対に、年収300万円で借金が50万円程度であれば、生活を切り詰めながらでも完済できる見込みがあると判断され、自己破産よりも任意整理での解決が現実的になるケースもあります。
つまり、自己破産の入り口に立てるかどうかを決めているのは、年収の多い少ないではなく、負債総額と月々の返済可能額の関係です。
年収が高い人であっても、借金の総額がそれを大きく上回っていれば、支払不能の状態にあると認められます。

収入が多いのに借金を抱えてしまう典型的な理由
「年収が高いのになぜ借金だけが膨らんだのか」という点は、裁判所も手続きの中で確認する部分です。よくある背景を知っておくと、ご自身の状況を整理する助けになります。
多いのは事業資金や事業の失敗によるものです。
個人事業主や会社役員の場合、事業の運転資金を個人名義のカードローンや消費者金融で調達していることがあります。事業が軌道に乗っていれば返済できますが、売上が落ち込むと個人の収入だけでは事業性の負債まで支えきれなくなります。年収が高く見えても、その大半が事業の穴埋めに消えているケースです。
保証人・連帯保証人としての債務もよくある理由です。
親族や知人の借入の保証人になり、その人が返済不能になった結果、保証人本人に一括請求が来ることがあります。本人の収入とは無関係に、数百万円から数千万円単位の債務を一度に背負うことになります。
投資や副業での損失を借入で穴埋めしたケースも増えています。
株式やFX、暗号資産などで損失を出し、それを取り戻そうとしてカードローンで追加投資を続けた結果、借金だけが積み上がる流れです。
収入が急に減った場合も見逃せません。
以前は年収1000万円あった管理職が、会社の業績悪化や転職で年収400万円まで下がったものの、以前の生活水準に合わせたローンやクレジットカードの支払いが残っていて、今の収入では支えきれなくなるというパターンです。
この場合、書類上の「現在の年収」だけを見ると中程度の金額でも、負債はかつての高収入時代に組んだものであるため、返済負担が重くのしかかります。
いずれのケースでも共通しているのは、収入の額と借金の額のバランスが崩れていることです。年収の高さそのものは、自己破産を妨げる要素にはなりません。

収入が多いと自己破産の手続きはどう変わるのか
収入が多いことが自己破産の可否を左右しないとはいえ、手続きの進み方には違いが出ることがあります。ここは収入が高い方が特に気になる部分だと思いますので、具体的に説明します。
管財事件になりやすい
自己破産の手続きには、大きく分けて同時廃止事件と管財事件の2種類があります。
同時廃止は、めぼしい財産がなく調査の必要性が低い場合に、破産手続きの開始と同時に手続きを終える簡易な方法です。
一方、管財事件は破産管財人が選任され、財産の調査や換価、免責の可否についての調査が行われる手続きです。
収入が多い方や、これまで一定の収入があった方は、預貯金や退職金見込み、生命保険の解約返戻金、不動産などの資産を保有している可能性が高くなります。
裁判所は資産の有無や借入の経緯を確認する必要があると判断すれば、資産がなくても管財事件を選択します。管財事件になると、破産管財人への報酬にあたる引継予納金が必要になり、同時廃止に比べて数十万円単位の費用が余計にかかるほか、管財人との面談や債権者集会への出席などの負担は増えます。

自由財産を超える資産は処分の対象になる
自己破産をしても、生活に最低限必要な財産まで奪われるわけではありません。
自由財産と呼ばれる、99万円以下の現金や差押えが禁止された財産などは手元に残せます。
しかし、収入が多い期間に蓄えた預貯金や、解約返戻金が20万円を超える生命保険、査定額の高い自動車などは、自由財産の範囲を超えていれば処分して債権者への配当に充てる対象になります。収入が多かった方ほど、この資産調査の対象が広くなる傾向があります。
また、預貯金の99万円までの自由財産拡張なども、必要性・相当性が認められにくくなるでしょう。

免責不許可事由には特に注意が必要
自己破産の最終的な目的は、借金の支払義務を免除してもらう免責を受けることです。
しかし、破産法では、浪費やギャンブルによる借金、財産を隠す行為などがあった場合、免責を許可しない事由として定めています。これを免責不許可事由と呼びます。
収入が多いのに借金を重ねた背景に、高額な浪費や過度なギャンブル、投機的な取引への依存があると、裁判所はこの免責不許可事由に該当するかどうかを慎重に確認します。
ただし、免責不許可事由に当てはまる事情があっても、そのまま免責が受けられなくなるわけではありません。裁判所が反省の態度や生活再建への取り組みなどの事情を総合的に考慮し、裁量免責という形で免責を認める運用が実務上ほとんどです。
実際に、浪費やギャンブルが理由での破産であっても、多くのケースで最終的に免責が認められています。大切なのは、借入に至った経緯を隠さず正直に説明し、家計簿の提出や今後の家計管理の姿勢を示すことです。
収入が多い場合には、それだけ支出も多い傾向にあり、ギャンブルの損失額も高くなることが多いです。この場合、損失金額から免責不許可リスクも高まります。

収入が多い人には個人再生が向いていることもある
自己破産は借金の支払義務そのものをなくす手続きですが、その代わりに住宅や自動車などの資産を手放す必要があります。
収入が多く、今後も継続的な収入が見込める方の場合、借金を大幅に減額したうえで分割返済していく個人再生という選択肢のほうが適していることがあります。
個人再生は、借金の総額を5分の1程度(最低100万円)まで減額し、原則3年間で分割返済する手続きです。
自己破産と違って、一定の資産を保有したまま手続きを進められる点が大きな違いです。
特に、住宅ローン特則を使えば、自宅を手放さずに住宅ローン以外の借金だけを減額できます。年収が高く、住宅ローンの支払いを継続する収入力がある方にとっては、自宅を残せる個人再生のほうが生活再建の負担が小さくなる場合があります。
一方で、個人再生には将来にわたって継続的な収入を得る見込みがあることが要件になっています。
収入が不安定であったり、今後の収入見通しが立たなかったりする場合は、個人再生の要件を満たせず、自己破産を選ばざるを得ないこともあります。逆に言えば、安定した収入があるからこそ個人再生という選択肢が使えるとも言えます。
収入が多い方は、自己破産を検討する段階で、個人再生や任意整理も含めて、どの手続きが今の資産状況と将来の収入見通しに合っているかを比較したうえで判断することが重要です。

高収入者が自己破産すると給与や賞与はどうなる?
自己破産をすると「給料をすべて取られてしまう」と考える方もいますが、そうではありません。
破産手続では原則として、開始決定時に存在する財産が破産財団となります。
そのため、破産手続開始後の労働によって新たに発生する給与は、原則として破産財団には入りません。 実務上、このような開始後に取得した財産は「新得財産」と呼ばれます。
もっとも、開始決定の時点ですでに発生していた未払給与や、退職金請求権などについては別途評価が必要です。
退職金については勤務状況や支給条件、退職時期等によって扱いが変わるため、申立て前に弁護士へ確認することが重要です。裁判所も申立ての事情によって退職金支給額証明書等の提出を求めています。

高収入者は給与差押えの金額が大きくなることがある
自己破産前に返済を滞納し、判決等の債務名義を取得された場合、債権者から給与を差し押さえられることがあります。
一般の借金については、原則として手取り給与の4分の1までが差押可能です。ただし、手取り月額が44万円を超える場合は33万円を超える部分を差し押さえることができます。
たとえば手取り月額が60万円なら、通常の4分の1は15万円ですが、「33万円を超える部分」は27万円です。そのため一般債権について最大27万円が差押可能範囲となり得ます。
高収入者ほどこの例外の影響が大きくなるため、「給与が高いから差押えを受けても生活できる」と放置するのは危険です。
なお、養育費や婚姻費用等は一般の貸金債権より差押可能範囲が広く、別ルールが適用されます。

また、自己破産は申立書を提出しただけであらゆる差押えがその瞬間に消える制度ではありません。
強制執行の停止・失効等は破産手続開始決定や免責手続の段階と破産法上の規定に従うため、すでに給与差押えを受けている場合には早めに弁護士へ相談すべきです。
収入が多い人が自己破産を検討する際に準備しておくこと
収入が多い人が自己破産の相談に進む場合、いくつか準備しておくと手続きがスムーズになる点があります。
過去の収入と支出の推移を整理しておくことです。特に、収入が高かった時期の生活水準や借入の経緯を時系列で説明できるようにしておくと、弁護士が支払不能に該当するかどうかを判断しやすくなります。
給与明細や源泉徴収票は直近2、3年分を用意しておくとよいでしょう。
保有資産をすべて洗い出しておくことも欠かせません。預貯金、生命保険の解約返戻金、自動車、不動産、退職金の見込額など、収入が多い期間に蓄えた資産は自己破産の手続きで申告が必要です。
申告漏れや意図的な隠匿は免責不許可事由に該当し、悪質と判断されれば刑事責任を問われる可能性もあるため、思い当たる資産はすべて弁護士に伝えてください。
借入の使途を正直に説明できるようにしておくことも大切です。事業資金なのか、生活費の補填なのか、投資や浪費によるものなのかによって、裁判所への説明の仕方や必要な資料が変わってきます。事実を隠さず伝えることが、結果的に手続きをスムーズに進める近道です。

収入が多い人の自己破産に関するよくある質問
Q.年収1000万円でも自己破産できますか?
A.年収1000万円という理由だけで自己破産できなくなることはありません。債務額、資産、毎月の返済可能額等を踏まえて「支払不能」かどうかを判断します。
Q.年収3000万円なら自己破産はできませんか?
A.法律上、年収3000万円を上限とする規定はありません。
ただし、収入・資産が多ければ返済能力も慎重に検討されるため、巨額の債務や保証債務等を含めた個別判断が必要です。
Q.自己破産すると今後の給料も取られ続けますか?
A.破産手続開始後に新しく発生する給与は、原則として開始時の破産財団には入りません。一方、開始時にすでに発生している未払給与や退職金請求権等は別途検討が必要です。
Q.収入が多いと免責されにくいですか?
A.高収入自体は免責不許可事由ではありません。浪費、賭博・投機、財産隠し、虚偽説明などの事情がある場合に免責判断で問題となります。
Q.税金も自己破産すればなくなりますか?
A.原則としてなくなりません。税金、罰金、養育費などは免責の対象外となる非免責債権です。
収入の多さで自分を諦めないでください
収入が多いという理由だけで、自己破産をためらう必要はありません。
判断されるのは年収の絶対額ではなく、今の収入で借金を返しきれる見込みがあるかどうかです。事業の失敗、保証債務、投資の失敗、収入の急激な減少など、収入が多い方にも借金を返せなくなる事情は数多くあります。
ただし、収入や資産の状況によっては管財事件になる可能性や、個人再生のほうが生活再建に適している可能性もあります。どの手続きが最適かは、負債総額、資産の内容、今後の収入見通しによって一人ひとり異なります。ご自身の年収や資産状況を踏まえたうえでどの手続きが選べるのか、正確な判断をするためには、早い段階で弁護士に相談することをお勧めします。収入があることを理由に一人で抱え込まず、まずは現在の借入状況を整理したうえで、専門家に相談してください。
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