金取引の投資詐欺の裁判事例。神奈川県厚木市の法律事務所。

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ケース紹介

 

投資詐欺の損害賠償請求事例

勧誘により、投資名目で代金を支払ってしまう詐欺事件は多いです。

投資商品は、多種多様ですが、金地金の勧誘も未だに多いです。

今回は、金の投資をしたものの約束通りの返金がされずに困っているとして、法律相談に来た解決事例です。

 

この記事は、

  • 金取引の投資詐欺被害に遭った
  • 金などの投資商品の勧誘を受けたが返金されなくて悩んでいる

人に役立つ内容です。多くの詐欺業者は同じ手口で繰り返してきいますので、流れや言動を参考にしてみてください。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.8.14

 

行政処分により名称変更した詐欺会社

相談者は、女性で、株式取引、為替取引等の経験もありませんでした。

勧誘を受けて、金地金名目で約300万円を交付したという相談でした。

被告会社は、登記上、金地金の売買等を目的とする株式会社。

商品先物取引法に係る取引の許可ないし金融商品取引に関する登録はありません。

約5年前に設立され、以前は別商号でした。

その商号を調べると、過去、東京都により、金地金取引について、特定商取引に関する法律8条に基づき、3か月間の業務の一部停止命令を受けていることが判明しました。

その後、現在の商号に変更しているという経緯でした。

過去の行政処分を分かりにくくするため、このような商号変更があることも多いです。

 

投資勧誘の経緯

被告会社は、相談者の自宅に架電。

「お得意様だけのお話です」

「金を安く仕入れることができたので、相場より安く販売できます」

等と勧誘をしてきました。

営業マンからの勧誘文句を聞き、話を聞いてみたいと思ってしまい、面談に応じてしまいます。

営業マンは、「クーリングオフ期間が終わってすぐに売れば利益が出る」「すぐに売っても何十万円かの利益になる」「利益から手数料が支払えます」等と説明しました。

相談者は、被告会社の手数料について説明を受けましたが、手数料を引いて利益が出ると説明されたことで、利益から算出されるものと考えてしまいまいた。

この際、金価格の下落リスクや、手数料による元本割れリスクについては説明されませんでした

なお、過去に被告会社とは何ら取引はなく、お得意様という話も虚偽のものでした。

金投資

契約書と勧誘文句が違う

このような商法では、通常、勧誘文句の説明と、契約書の内容は違っています

今回作成されていたのは、金地金の売買契約書

購入代金として、1000万円以上の記載があり、初回に約200万円、その後、30年にわたり、毎月3万5000円ずつ払っていくという支払い方法でした。

また、手数料については、100万円以上の記載がされていました。

その後に、別契約書も作成されています。

金地金の勧誘では、このように、当初に一定額、その後、非常識なほどの長期間の分割払いの設定がされ、高額な手数料の記載がされているものが多いです。

典型的な手口といえます。

 

追加での勧誘

業者は一度契約をした相手には、追加契約を求めてきます。

一度、騙せた相手は騙しやすいので、さらに入金させようとするのです。

 

今回も、そのような動きがありました。

被告従業員は、「お得意様だけの案内になる」「契約が4キロ以上になると、買取金額がグラムあたりプラス100円になります」「クーリングオフ期間が過ぎてすぐに売っても適用されます」等と新たに入金させるよう勧誘しました。

すぐに解約すればよいのだと考え、これに応じてしまいます。

 

クーリングオフ、解約に応じない

投資詐欺業者の場合、クーリングオフ、解約という説明があっても、実際にその場面になると、返金はほとんど受けられません

相談者は、契約の解約について連絡をしものの、「金相場が下がっているので、もう少し待った方が良い」と説明し、解約に応じません。

解約を希望すると、今度は、解約手続について詳しく説明するため、被告会社の事務所まで来るよう求めてきます。

そして、被告会社に行くと、さらに勧誘が待っています。

「前回買われた分が下がってしまっている。別に安く仕入れた金があり、1グラム4000円で用意できる」

「クーリングオフ期間経過後、すぐに手続をとって、1キロあたり20万円の利益を出せるので、40万円の利益が出ます」と、追加契約の勧誘をしてきます。

相談者は、これを検討することとしてしまいます。

解約に行ったのに、話題をすり替えられ、追加契約の検討という話になってしまっているのです。

 

解約の引き延ばしで返金されない

しかし、相談者は家族に相談し、解約を決めます。

改めて解約希望の連絡をすると、「解約をすると手数料が10パーセントかかる」「自分を通して、買った額の80万円を割らないように順番に精算するので待ってほしい」と説明します。

悪質業者の場合、とにかく、現金の返金を先延ばしにしてきます。

すこしでも損を減らすなどといい、すぐに返金してこないものです。

この後も、「金相場が上がったタイミングで上司に申請するのでもう少し待って欲しい」、「申請が通らない」、「相場がプラスになったので申請中」、「申請の審議がおりたので手続に入ります。日にちが決まったら連絡します」と言っていたのに、「今までの契約を抱き合わせて切り替える方法が良いと思います」等と、ところどころ追加契約を提案してきます。

その後、「契約の切り替えを検討されていたかと思って解約手続は止めていました。」

などと、相談者の言葉尻をとらえて、返金を引き延ばします。

このような社内手続きなどあるわけがなく、単に返金をしない口実にすぎません。

結局、このように返金がされないことから、相談があり、訴訟提起となりました。

 

 

取引の仕組み自体が違法

本件契約は、契約時の価格で金を購入したこととして、第1回分として相当額を支払わせたうえ、残額を59回の分割払いとし、その全額を支払って初めて金の引渡しを受け得ることができ、それまでの間は、将来の任意の時点で中途解約をすることができ、そのときには、解除通知書を被告会社が受領した当日の株式会社東京商品取引所の金「標準取引」の1番限精算値(帳入値段)の価格を解約価格とし、それに、解約数量をかけて算出した解約代金から本件各契約における金の代金の差額金を計算するものとされ、他に購入代金の10パーセントの手数料を支払う必要があるものとされています。


このような契約は、「金地金売買契約」と称してはいるものの、その仕組の実態は、一般に「貴金属まがい取引」 と称されていた取引類型と同様で、将来の金価格によって差金決済をする私的差金決済契約であり、本件のような取引は、取引の仕組自体、公序に著しく反するものとして違法であるといえます。

被告会社らがこのようなあからさまな詐欺商法を作出してこれを口実に原告に金銭を交付させたことは、原告に対する不法行為ともいえます。


私的差金決済取引は、賭博罪・賭博開帳図利罪として刑事罰をもって禁止される行為ともいえ、あからさまな詐欺商法と評価できます。

これをあたかもまっとうな取引であるかのような外観を生じさせて業として、図利目的で、常習的に、一般消費者を勧誘して、高率の手数料を徴収し、売買代金名目で金員を交付させていることから、公序良俗に著しく反し、私法上も不法行為と認められます。

このように評価した裁判例も多くあります。

 

代表者、従業員も被告に

詐欺事件では、被告を多くすることで回収率が高まります。

債権回収の3つの基本ポイント

 

勧誘従業員、代表取締役、役員等も被告に含めるのが良いでしょう。

代表取締役であれば、被告会社の違法な取引を主導していたものと認められ、会社法429条1項または民法709条に基づき不法行為責任を負うものです。

 

説明義務違反による共同不法行為

取引の仕組み自体が違法と評価されるのがベストですが、通常は、説明義務違反の違法等も主張します。

勧誘に際して、金価格の下落リスクの説明など全くせず、被告会社の手数料について利益から支払えると虚偽の説明をし、短期間(クーリングオフ期間経過後)で確実な利益が出るものと断定的な判断を提供し、本件各契約が被告会社との相対取引となるなどの基本的仕組についても説明せず、被告会社の信用リスクの説明も全くしなかった等を主張できます。

 

このような取引は、商品市場における取引ではなく、顧客である相談者と被告会社との間のいわゆる相対取引によって行われるものです。

顧客による投下資金の回収又は金地金の引渡しは被告会社の資産状況に依存することになります。

しかし、被告会社では顧客財産に対する法的な分離措置は採られていません。

顧客は、被告会社の信用力について多大なリスクを負うこととなります。

30年後に、被告会社があるかといえば、疑わしいでしょう。

 

消費者契約法による取消

短期間(クーリングオフ期間経過後)で確実な利益が出るものと断定的な判断を提供をしている場合には、消費者契約法による取り消しなども、予備的に主張しておくことが多いです。

消費者契約法による取り消し

 

不実告知ないし利益を強調する一方での不利益事実の不告知も同様です。

勧誘態様によっては、特定商取引に関する法律に基づく解除も主張できるでしょう。

本件でなされた「お得意様だけのお話ですが、金を安く仕入れることができたので、相場より安く販売できます」との勧誘は、「他のものに比して著しく有利な条件で当該契約を締結できる旨を告げて」呼び出した、いわゆるアポイントメントセールスと評価できます。

この場合、特定商取引に関する法律の定める訪問販売に該当します。

 

和解による早期解決

本件では、一定額の解決金を分割払いにより回収する内容で裁判上の和解が成立し、和解通りの回収ができました。

訴訟の早い段階で和解提案がされたことから、争点に踏み込み判決をもらうよりも早い段階で回収に入れることなど、相談者の意向から和解による解決となっています。

このような業者を相手にする場合には、勝訴判決を得ても回収できないというリスクを考慮して検討すべきです。

判決と和解

金などの投資をする際の最低限の注意点

相手会社の履歴事項証明書をチェックしましょう。

法務局で誰でも取得できます。登録すれば、インターネットで確認もできます。数百万円の投資をするのに、数百円のコストを惜しんではいけません。

直近で会社名を変えているなど、商号変更があれば、過去の商号でも検索してみましょう。

 

契約書はよく読む。勧誘文句と全く違うことが書かれていることも少なくありません。その場合は、契約書が優先されてしまうので、「勧誘文句がなかったら、契約するか?」と考えてみてください。

契約書を持ち帰って、法律相談を受けても良いでしょう。

どうしても契約するというなら、勧誘文句を証拠化しましょう。パンフレットへの書き込みの保存、録音、メール、LINEのやりとりなど、相手が作成したものの方が望ましいです。

 

一般論として、儲け話を勧誘してくるということはありません。自分で投資すれば良いのに、それを勧誘してくるということは、どういうことなのか考えてみましょう。

 

 

投資詐欺でお困りの方は、ぜひご相談ください。


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弁護士 石井琢磨 神奈川県弁護士会所属 日弁連登録番号28708

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